メタルとお酒〜MORRIE編
大好評の本誌連載企画“メタルとお酒”。
今回は、カリスマ・ヴォーカリストと称されるMORRIEが登場!
先日のソロ・ライヴで公式ワインとウィスキーを発表したMORRIEに、お酒との付き合いを聞いてみた!
お酒は思考が宇宙に行くための“加速装置”です
——11月3日に東京キネマ倶楽部で、ソロ・ライヴ“SOLITUDE”の100回目が行なわれ、当日はこれに合わせてワインとスコッチが発売されましたね。
MORRIE:ええ。以前から、記念的なものを作りたいとは思っていて。
——その公式ワインとスコッチについてですが、それぞれどういった味わいなのか、簡単に教えてもらえますか?
MORRIE:赤ワインはスペイン・テンプラニーニョの辛口で、白ワインはこれもスペイン・パルデイーナで爽やかな飲み心地、どちらも飲みやすいと思います。スコッチは、シングルモルトのブレンディットで、ピートがかなり効いたスモーキー・フレーバーです。
——ワインとスコッチが好きだということですか?
MORRIE:アメリカだとワインを食事時に飲むことが多くて。ワインだけを飲むというより、ステーキには赤ワイン、パスタや鶏肉、魚料理には白ワインを合わせます。チーズとリンゴと白ワインの組み合わせなど、すごく美味しい。ワインはヘザーがよく飲むので、リカーショップにダースで頼んで配達してもらいます。
——スコッチについては?
MORRIE:お酒だけを楽しむ時は、ブランデーやコニャックだったけど、最近はスコッチに移っていますね。スコッチはいろいろ試していますよ。本とかも買って、どんな種類があるかいろいろ調べてね。
——凝り性ですね。
MORRIE:いや、そんなに凝らないですよ。有名どころは飲みましたけど、見たことも聞いたこともない銘柄がまだまだたくさんありますから。
——今、好みのスコッチは?
MORRIE:ピートというかスモーキーな感じのものでは、ボウモアの12年ものは常備しています。飲みやすくて飽きがこない。あと、最近おいしいなと思うスコッチは、ラガヴーリン。マッカランとかは“ザ・スコッチ”という感じであまり好きじゃないかな。
——飲み方はロックですか?
MORRIE:いや、ストレートですね。毎晩ウチで飲んでいますけど、量はそんなに飲まずにチビチビとね。
——外ではあまり飲まれない?
MORRIE:そうですね。もともとひとりで飲むのが好きで、飲みながら本を読んだり考えごとをしたり映画を観たりという感じですね。もちろん、一緒に飲みに行こうかっていう友達はいますけど、サシ飲み友達としてはごく数人です。青木(裕/元downy、2018年3月に逝去)君とは4〜5回は飲みましたね。彼とのお酒は楽しくて。音楽の話で、いい感じで陽気に盛り上がって。でも、彼が亡くなってから知りましたけど、お酒の武勇伝もたくさんあったみたいで。
——もともと、青木さんとはどういうきっかけでお知り合いになったんですか?
MORRIE:ベースのTOKIEのことを昔から知っていて、彼女が2007年だったかな、unkieというバンドを始めた時に、ライヴを観に行ったんですよ。そこのギタリストがソリッドで神経に直結したようなギターを弾いてて、むちゃくちゃカッコよくて、それが青木君だった。2012年にソロ・バンドを始動させる時にはギターは青木 裕しかいないと思って、彼に話をしてね。2014年の僕のソロ・アルバム『HARD CORE REVERIE』でも弾いてくれています。自分は1990年代前半から2000年代の半ばまでニューヨークにいたので、日本のシーンを知らなくて、downyが出てきたあたりも知らなかった。後から知って、おもしろいバンドだなと思いました。
——お酒の話に戻りますが、バーボンは飲まれないんですか?
MORRIE:ジャック・ダニエルとか嫌いじゃないし、たまに飲みますよ。バーボンはロックかなあ。あとは日本酒もいっとき飲んでましたけど、今は、ファンの方にいただいたものを飲むぐらいで、あまり飲まないですね。おいしいと思いますけどね。
——焼酎とかは?
MORRIE:飲まないというかわからないですね。何にしてもおいしいお酒に出会ったら開眼すると思います。だから、焼酎もおすすめを紹介してもらって、たまに試すんですけど、ピンと来ないというかよくわからなくて(笑)。おいしい焼酎があったら紹介してほしい。
——お酒は若い頃から飲まれていたんですか?
MORRIE:大学に入って付き合いで飲むようになりまして、だんだん強くなっていって。
——MORRIEさんには、お酒にまつわる失敗談はなさそうですよね。
MORRIE:お酒を飲んで暴れたり絡んだりしないし、記憶がなくなるまで飲むということもないので。飲むと冴えていくタイプなんですよ。それでケンカじゃないけど、議論になったりすることもありますけど、基本的には陽気な感じですね。ただ、3回ぐらい意識を失ったことがあります。最初は1990年頃だと思うんですが、たまに行っていた六本木のバーで飲んでいて悪酔いして気分が悪くなってしまって。それでトイレに行ったんですけど、そのまま気絶してしまい、扉をドンドンと叩く音で目を覚ましたという。45分ぐらいトイレにこもっていたと思う。あと、これもかなり前ですが、札幌でライヴの後だっと思うけど、飲みすぎてこれもトイレで気を失いそうになったとか。それと、1990年代の後半だったと思いますが、ニューヨークで日本酒を飲みながら友達と鍋を食べて、日本酒もそれなりに飲んで気分よくお店を出たんですよ。それで雪が降っていて、ああ、きれいだなと思いながら歩き出したら急にパターンと倒れてしまって。友達が言うには、倒れる時に受け身を取っていたらしいです(笑)。柔道をやっていたからね。それくらいのもので、あとは穏やかなものですよ。
——1980年代後半、デッド・エンドの頃はどうだったんですか? 当時は打ち上げも盛んだったし。
MORRIE:打ち上げはしていましたけど、バカ騒ぎとかしなかったですね。YOUちゃん(足立祐二)はほとんど飲まなかったし。デッド・エンドが復活した後は、それなりに飲むようになってましたけど。(“CRAZY” COOL-)JOEは、当時からよく飲んでましたけどね。それで、ひとつ思い出しましたよ。ファースト・ソロ・アルバム『ignorance』の時、レコーディングが終わるとプロデューサーのロリ・モシマンと飲みに行ってたんですよ。だいたい、お昼ぐらいからレコーディングが始まって、夜の8時とか9時にその日の作業が終わると、3時とか4時ぐらいまでバーで飲むという。これが月曜から金曜まで4週間ぐらい続いてたんですが、ある日、“ロシアン・クレリュード”とかいうカルア・ミルクとウォッカのカクテルがあって、その一気飲みで勝負することになったんですね。5杯ぐらい飲んで、もういいやとなったんですけど、その帰りのタクシーで大変なことになりましたね。走行中にドアを開けて……。当時は、ニュージャージーのホーボーケンにいたSHOYO(E・Z・O)のところに間借りしてたけど、あの時は大変でした。
——当時、SHOYOさんと飲み歩いたりとかは?
MORRIE:いや、そういうのはなかったかな。部屋で2人でよく飲みながら話しました。彼はよくバドワイザーとか飲んでました。
——話は変わりますけど、ヴォーカリストの中には喉のことを考えて、お酒を飲まない人やタバコを吸わない人もいるじゃないですか?
MORRIE:タバコは止めましたね、ずいぶん前に。朝起きて、タンが絡むのが嫌で。ウィスキーとかもガブ飲みすると喉が炎症気味になりますし、ライヴの前日は飲まないようにしてますよ。毎日飲むと言ってもそんなに量は飲みません。難しいところですけど、お酒やタバコが好きだけど、喉のために控えるでしょ。でも、精神的にそれでいい歌が歌えるのかということがありますからね。何をするにしてもベーシックなところで、心とか精神とかをいかにいい状態に保てるかというところですから。
——さて、MORRIEさんはあまりビールを飲まれないということですが。
MORRIE:そうですね。夏に喉が渇いた時に2口とか3口飲むのが、めちゃくちゃうまいけど、それで充分。だから、ホントに1年に1回とか2回、ビールは口にするぐらいだし、打ち上げでもビールは飲まないです。だから、久々にマーシャル・ビールを飲んで、酔いましたね。ビールのほうが酔う気がする。
——マーシャル・ビールの味はいかがでしたか?
MORRIE:ビールは詳しくないですけど、まろやかで口当たりがいいなと思いましたね。ガツンという感じがなくて飲みやすいと思います。ビールらしからぬビールという感じがします。昔、ニューヨークに行った当時は、ギネス・ビールはちょこちょこ飲んでいて、コクがあって好きでしたが、それとはまったく違う印象ですね。
——MORRIEさんにとってお酒とは?
MORRIE:思考が宇宙に行くための、ある種の加速装置です。もちろん、お酒がなくても〈私〉について感じて考えつつ、宇宙に行けるんですけど、お酒があるとまた違う航路で行けることがある。
——今後の展開について、教えてください。まず、ソロ・ライヴの“SOLITUDE”は今後も展開されていくというお話ですが。
MORRIE:“SOLITUDE”はいちばん難しいんです。デッド・エンドやクリーチャー・クリーチャーは、ギターを持たずに歌っているだけじゃないですか。ある意味、楽なんですよ。それが、“SOLITUDE”を続けてきてわかったんです。バンドだと僕が歌わなくても曲が成立しますけど、“SOLITUDE”は僕がギターを弾いていますから、ギターが止まると曲が止まる。恐ろしいですね。あとは語りがどうしても必要になる。曲だけやってそのまま帰るわけにいかない。そのバランスでね。最近は、気がついたら時が流れていると感じられるように、歌とギターが融合してきたと思いますし、かなりの成長だと思いますよ。ヴォーカリストが片手間にギターを弾いているという心構えではまったくないですし。孤独な鍛錬の場ですね、“SOLITUDE”は。デッド・エンドはYOUちゃんがいなくなってしまったし、クリーチャー・クリーチャーは休眠しているので、ソロ・バンドを要所要所でやりつつ、“SOLITUDE”を続けていきます。ソロ・バンドは、12月17日に大塚Deepaでのライヴが決まっています。
——そして、12月24日には、アルバム『Ballad D』のアナログ盤もリリースされます。
MORRIE:『Ballad D』は記念碑的な作品でもあるので、アナログ盤は出したかったんですよ。アナログ盤ならではの音のよさがあるし、ジャケットもCDとはまた変えてます。レーベルのスタッフは“ジャケットが怖い”って言ってましたけどね(笑)。
写真:森 好弘
Morrie 公式酒/
SOLITUDE 100 “Deathless”(赤ワイン)、SOLITUDE 100 “Recurrence”(白ワイン)
各¥3,000(税込)※希望小売価格
◎SOLITUDE 100 “Deathless”
【アルコール】11度
【内容量】750ml
【ぶどう品種】テンプラニーリョ100%
◎SOLITUDE 100 “Recurrence”
【アルコール】11度
【内容量】750ml
【ぶどう品種】パルディーナ100%
◎赤ワインは、スペインを代表する赤ワイン用ぶどうであるテンプラニーリョのみを用いた単一ワイン。やや辛口でフレッシュな果実味を楽しめる。白ワインはスペインの固有ぶどう品種であるパルディナを100%用いた単一ワイン。穏やかな酸味と飲み飽きない爽やかなフルーティーさが特徴だ。
Morrie 公式酒/
SOLITUDE 100 “Epinola”(スコッチ・ウィスキー/5年)、SOLITUDE 100 “Correspondence”(スコッチ・ウィスキー12年)
Epinola=¥5,000(税込)、Correspondence=¥10,000(税込)※希望小売価格
◎SOLITUDE 100 “Epinola”
【アルコール】40度
【内容量】500m
◎SOLITUDE 100 “Correspondence”
【アルコール】40度
【内容量】500ml
◎ウィスキーの5年ものは、グレインとモルトの卓越したバランスがほのかなオーク香によって高まり、穏やかでスムーズな後味が心地いい。また、12年ものは、12年以上熟成された複数の蒸留所のシングルモルトをブレンドし、濃厚で豊潤。フル・ボディ感やデリケートなスモーキー感を味わえる。
マーシャル アンプト・アップ・ラガー
3本セット(写真)=¥1,980(税込)、
3本セット×8=¥15,840(税込)、
8本セット=¥5,280(税込)
16本セット=¥10,560(税込)
8本セット+16本セット(スタック・セット)=¥15,500(税込)
12本入りシュリンク・パック=¥7,260(税込)
※希望小売価格
【原材料】麦芽、ホップ
【アルコール】4.6%
【内容量】330ml
◎マーシャルの公式ビール。金麦色で、フレッシュで心地いい柑橘系のホップが香るラガービールだ。
スコットランドにて生産されている。
問:株式会社 都商会
http://miyako-shokai.com
◎モーリー:デッド・エンドのヴォーカリストとして、1987年にメジャー・デビュー。1990年のバンド解散後、ソロ活動を本格的にスタートし、2005年にはクリーチャー・クリーチャーの始動、2009年8月にはデッド・エンドの再始動と、シーンに刺激を与えてきた。ソロとしても精力的に活動、2022年9月にはデッド・エンドのセルフ・カヴァー作『Ballad D』を発表した。
▲『Ballad D』の生産限定アナログ盤(12月24日発売)
MORRIE 公式サイト
http://morrie.jp/
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