禁断のキャビシミュ比較!

DTMや宅録が増える昨今、プラグインでのアンプ・シミュレーターに満足できないギタリストが注目しているのがキャビネット・シミュレーター、いわゆる“キャビシミュ”だ。
そのモデリング具合について、実際はどうなのかを検証!
マーシャルの名機であるプリアンプ、JMP-1を接続して6機種を弾き比べてみた。


禁断の弾き比べ試奏動画


※1=アンプ・シミュレーターとしての機能を内蔵 ※2=ROOMコントローラーにより部屋鳴りをシミュレート。
今回の検証は、プリアンプからの接続です。
シミュレーターには、アンプ・ヘッドやパワー・アンプから直接接続しないでください。機材の破損につながります。
価格は、すべて税込みです。


キャビシミュ・ブームの発起人(!?)は、このモデル

Two notes
Torpedo C.A.B. M +
¥オープン

【仕様】
●コントロール:プリセット(パラメーター・ノブ)、ヴォリューム(バリュー・ノブ)、入力レベル・セレクター、グランド・リフト・スイッチ
●インプット:アンプ/楽器/ライン入力端子、AUX入力端子
●アウトプット:スピーカー出力端子、バランスXLR DI出力端子、バランス1/4TRS出力端子、ヘッドフォン出力端子
●収録キャビネット:BDeLuxe(Fender Blues Deluxe 1×12)、BigBeast(4×12 Zilla cabinet with Celestion Vintage 30 speakers)、BoGreen(Bogner 4×12 Greenbacks G12M25 Reissue in 16ohms)、Brit 65C(Marshall 1965A 4×10 Closed Back with Celestion G10L-35)、Brit Std(Marshall 1936 2×12 Celestion G12T)、Brit VintC(Marshall 1960A 4×12 closed back Celestion Vintage 30 speakers)、Celestion Ruby Open 1×12: Celestion 1×12 cabinet with Celestion Ruby speaker)、Copperback Closed 4×12 Celestion(Celestion 4×12 cabinet with Celestion Neo 250 Copperback speakers)、DarkPrinz(Fender Princeton 1×10 with Oxford 10J4-3 speaker)、Eddie(Peavey 5150 2×12 Sheffield 1200)、ENGL E112VB(Engl E112VB with Celestion® Vintage 30 speaker)、G12M Greenback Closed 4×12 Celestion(Celestion 4×12 cabinet with Celestion G12M Greenback speakers)、Greatsh(Gretsch 6159 amp cabinet with two Jensen C12-PS)、Rand RD112(Randall® RD112 1×12 angled with Celestion Vintage 30)、Revv 2×12 Open Back V1( Revv 2×12 open back with Warehouse Guitar Speakers Vet 30 and ET 90 drivers)、Revv 4×12 Closed Back V1(Revv 4×12 closed back with Warehouse Guitar Speakers Vet 30 and ET 90 drivers)、Sig H75 LD(Two-Rock 2×12 cabinet with Celestion G12-H75 speaker)、Silver77(Fender Twin Reverb 2×12 with orange JBL speakers)、Superblue(Fender 4×10 Super Reverb)、Tanger Fat(PPC412HP 4×12 Orange with Celestion Heritage G12H & G12M Heritage Greenback)、The One(Brunetti Neo1512 with 1×12 and 1×15 speakers)、Vibro V30(Fender Vibrolux 1×12 Celestion® V30 speaker)、Victory Kraken 212V Classic(Victory Kraken 2×12 cabinet with Celestion V30 speakers)、Victory Sheriff 412C Classic(Victory Sheriff 4×12 cabinet with Celestion G12H speakers)、Voice 30(Vox AC30 JMI 2×12 Celestion “Silver Bell”)、Watt FanC(Hiwatt 2×12 Fane closed back)、BassFlex(Ampeg Portaflex© B15N with original 15“ CTS speaker)、Fridge(Ampeg 8×10)、MetalBigBass(Hartke 410TP)、OCBass410(Form Factor Audio 4×10)、SilverRumble(Fender Rumble 500 2×10 with Eminence speakers)、Tio(EBS 611 with 1×15 and 1×10 Eminence© speakers)
●パワー・アンプ・シミュレート・コントロール:Tube=アンプの出力段回路構成の種類(Push Pull / Single Ended)、真空管の種類(6L6|EL34|EL84|KT88)、Type=真空管の極数(五極管|三極管)、Volume、Contour、Depth
●パワー・アンプ・リスト:SE 6L6(Single-ended Class-A with 6L6)、SE EL34(Single-ended Class-A with EL34)、SE EL84(Single-ended Class-A with EL84)、SE KT88(Single-ended Class-A with KT88)、PP 6L6(Push-pull Class-AB with 6L6)、PP EL34( Push-pull Class-AB with EL34)、PP EL84(Push-pull Class-AB with EL84)、PP KT88 Push-pull Class-AB with KT88
●マイク・シミュレート:Dyn 57(Shure SM57)、Dyn 58(Shure SM58)、Dyn 7b(Shure SM7B)、Dyn 80(Telefunken M80)、Dyn 81(Telefunken M81)、Dyn 421(Sennheiser MD421)、Dyn 906(AKG D112)、Dyn D6(Audix D6)、Dyn I5(Audix I5)、Dyn Bass88(Beyerdynamic® M88)、Dyn TG201(Beyerdynamic® M201TG)、Dyn TG12(TUL G12)、Dyn Bass 20(Electrovoice RE20)、Dyn LowKick(Subkick Yamaha)、Rbn 160(Beyerdynamic M160N)、Rbn 121(Royer R121)、Rbn 101(Royer R101)、Rbn 4038(Coles 4038)、Rbn 1R(sE Electronics 1R)、Rbn 92(AEA R92)、Cnd 184(Neumann KM184)、Cnd 201(Mojave Audio MA-201 FET)、Cnd 840(Beyerdynamic Beta52)、Cnd BLX414(AKG C414 B-XLS)、Cnd BTL414(AKG C414 B-TL II)、Cnd 87(Neumann U87)、Cnd Fet 47(Neumann U47 FET)、Cnd Tube 47(Neumann U47 Tube)、Cnd Gem II(sE Electronics Gemini Ⅱ)、Knightfall(Blue Dragonfly)
●電源:12V DC専用電源アダプター付属(2.1mm、センター・マイナス)、200mA
●サイズ:100(幅)×121(奥行き)×60(高さ)mm
●重量:450g

■Two notes:Torpedo C.A.B. M+が通販で購入可能
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/c/c-/am/am01/am010588/687229

○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/twonotes-tncabm

■Two notes:Torpedo C.A.B. Mのの詳細
http://www.electroharmonix.co.jp/twonotes/torpedo-cab-m-plus.html

キャビネット・シミュレーターを世に広めたのが、このモデルだろう。
収録されているキャビネットの数は32種類、パワー・アンプのシミュレートも8種類収録されているうえに、真空管の種類や構成まで選択できてしまう。マイクやマイキングなどのシミュレートも搭載されており、スマホのアプリ(写真下)ではわかりやすくエディットできるという、とにかくキャビシミュの考えられる要素をすべて詰め込んだ1台といえるモデルだ。
これまでもWeROCKでは何度か紹介してきたが、かなり綿密な音作りができるので楽しくシミュレートできるモデルだ。外部のプリアンプから接続して音を出してみると、まずレイテンシーがほとんど感じられないことに驚かされる。これだけ多くの機能を盛り込んだデジタル機器になると、どうしてもそのあたりを懸念してしまうのだが、まったく心配する必要はない。
そして、肝心のシミュレートぐあいは、今回、DTM環境でオーディオ・インターフェイスから出力されるモニター・スピーカーでの試奏なのだが、ほとんど本物のキャビネットを鳴らした時と違和感がないと感じられた。トーンに関しては、WeROCK TV(YouTube)の動画を観て頂くとわかるとおり、例えるなら“キャビネットを鳴らしてマイク録りしている音をブースで聴きながらギターを弾いてる感じ”だろうか。動画では、マーシャルっぽい音に近づけるためにマーシャル系キャビ+EL34の真空管を選択してみた。それ以外にも、上の仕様リストを見てもらえばわかるとおり、とにかく音の選択肢が広すぎるモデルなので、音作りの可能性は無限大だ!

▲スマホ・アプリでの操作も可能で、とにかく細かいところまで音作りを追い込めるのがすごい


超小型ボディに充実の機能を搭載!

tc electronic
IMPULSE IR LOADER
¥オープン

【仕様】
コントロール
:フットスイッチ、ナヴィゲーション・ボタン、レヴェル
インプット:1/4インチ・モノラル・ジャック
アウトプット:1/4インチ・モノラル・ジャック
収録キャビネット:G12M  112 Celestion.uli (Celestion G12M Creamback  1×12 オープン・バック)、Alnico Blue 212 Celestion uli(Celestion Alnico  Blue 2×12オープン・バック)、V30 412 Celestion.uli(Celestion Vintage 30 4×12クローズド・バック )、G12M 412 Celestion.uli(Celestion G12M Creamback 4x12 クローズド・バック)、G12-65 412 Celestion.uli (Celestion G12-65 4×12 クローズド・バック)、G12M Heritage 4 x 12 Celestion.uli (Celestion G12M-Heritage 4×12 クローズド・バック)、G12M Greenback 4 x 12 Celestion.uli(Celestion G12M Greenback 4×12 クローズド・バック)、G10 Greenback 4 x 10 Celestion.uli(Celestion G10 Greenback 4x12 クローズド・バック)、G10 Vintage 2 x 10 Celstion.uli(Celestion G10 Vintage 2 x 10 オープン・バック)、G12T-75  2 x 12 Celestion.uli(Celestion G12T-75 2 x 12 クローズド・バック)、Gold 1 x 12 Celestion.uli(Celestion Gold 1 x 12 クローズド・バック)、BN12-300x 115 P All Celestion.uli(Celestion BN15-300x 1 x 15 ポーテッド)、H-HD15 + G12M Cream.uli(Blaskheart* HD 15 1×12オープン・バック)、Dmn + JS 1960-G12T5.uli(Demon* B CUSTOM 4×12クローズド・バック)、Engl+ G12M-Hentage.uli(Engl* Sovereign 4×12クローズド・バック)、DSL + JS 1960-G12T5.uli(Marshall* DSL 4×12クローズド・バック)、800 + V30 412.uli(Marshall* JCM800 4×12クローズド・バック)、900 + G 12M Green.uli(Marshall* JCM900 4×12クローズド・バック)、Badge+ G10 Vintage.uli(Suhr* Badger 2×10オープン・バック)、AC30 + Gold.uli(VOX* AC30 1×12クローズド・バック)
電源:9V センターマイナス100mA
●サイズ:48(幅)×93(奥行き)×48(高さ)mm

■tc electronic:IMPULSE IR LOADERが通販で購入可能
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/c/c-/am/am01/am010598/726318

○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/tce-impulse-ir-loader

■tc electronic:IMPULSE IR LOADERの詳細
https://electori.co.jp/tcelectronic/IMPULSE_IR_LOADER.htm

 

今回、試奏したモデルの中でも1、2を争うコンパクトなボディを持ったキャビシミュだ。
手のひらサイズどころか、幅は指2本強! このサイズの中に、12種類の公式セレッション・スピーカー・キャビネットのシミュレート、さらには8種類のパワー・アンプ+キャビネット・シミュレートしたプリセット、合計20種類が搭載されている(5種類のピエゾ・ピックアップを補正したアコースティック・ギターIRも搭載)。
使い方はシンプルで、センターのコントローラーと、その両サイドにあるボタンのみでエディットしていく。両サイドにあるボタンを押していくとプリセットされたシミュレートが切り替わっていき、同時に押すとEQの調整画面に変わる。EQは、ハイとローのみとシンプルなので直感でトーンを変更することが可能だ。また、AとBというふたつのモードをフットスイッチで切り替えることもでき、2パターンのキャビシミュを登録しておけば、瞬時に音色切り替えができる仕様だ。とくに深い段階に入るようなエディット・モードがないので、キャビシミュ初心者でも、接続してすぐに使えるうれしいモデルとなっている。
とくにオススメの音色は、プリセット16だ。これは、マーシャル DSL(JCM2000と思われる)のパワー・アンプ部と1960のキャビをシミュレートした音色で、今回、使用したマーシャル JMP-1のプリアンプと組み合わせると、まさに、あの2000の音圧を奏でてくれる。押し出し感が素晴らしい!

▲コントロール・ツマミの両サイドのボタンを同時に押すと、EQエディットの画面になる。
同時押ししない場合は、押すたびにキャビネットのプリセットが変わっていくわかりやすさ!

いちばん目立つコントローラーは、左のボタン同時押しをした際はEQの調整に使用。
通常は、アウトレベルをコントロールする


手のひらサイズに40種類以上をシミュレート

Mooer
RADAR
¥オープン

【仕様】
コントロール
:メニュー・スイッチ
インプット:1/4インチ・モノラル・オーディオ・ジャック
アウトプット:1/4インチ・モノラル・オーディオ・ジャック
収録キャビネット:Champer 1×8(Fender Champ Silverface)、V. Champer 1×8(Fender Vibro Champ Silverface)、Prince. B 1×10(Fender Princeton Tweed)、Prince.S 1×10(Fender 65’princeton reverb)、65DLX 1×12(Fender 65 deluxe reverb)、57DLX 1×12(Fender 57 tweed deluxe)、Kitty 1×12(Bad cat)、Ac15 1×12(VoxAC15C1)、Twinverb.S 2×12(Fender 70’twin reverb silverface)、Twinverb.B 2×12(Fender 67’twin reverb blackface)、Matchbox 2×12(Matchless chieftain)、AC30.B 2×12(Vox V212H Alnico blue)、AC30.S2x12(VoxAC30 Jimi2 12 Silver bell)、Superverb 4×10(Fender 64’super reverb)、59Baseman 4×10(Fender 59’bassman Tweed)、1960AG4x12(Marshall 1960A Green back)、1960BT4x12(Marshall 1960B G12T-75)、1960BV4x12(Marshall 1960B V30)、UK.Citrus 4×12(Orange pc412)、Solo.L4x12(Soldano 4×12 Lucky)、Solo.S 4×12(Soldano 4×12 Slant)、Rect.S 4×12(Mesa boogie recto standard)、Rect.T 4×12(Mesa boogie recto traditional)、German.V4x12(Diezel Rearloaded V30)、German.G 4×12(Diezel Rearloaded G12-65Heritage)、BSVT 1×15(AMPEG SVT 15E)、B.SVT.S 1×15(AMPEG SVT 15E/Subkick)、B.SVT 4×10(AMPEG SVT 410HE)、B.SVT.S 4×10(AMPEG SVT 410HE/Subkick)、B.SVT 8×10(AMPEG SVT 810E)
マイク・シミュレート:Sm57(Shure SM57)、Sm58(Shure SM 58)、Md421(Sennheiser MD421)、Md441(Sennheiser MD441U)、U47(Neumann U47)、U87(Neumann U87)、RodeNT1(Rode NT-1)、MXL2001P(Marshall MXL 2001P)、MXL2003(Marshall MXL2003)、C3000(AKG C3000)、C4000B(AKG C4000B)
電源:センター・マイナスDC12Vアダプター(付属)、200mA
サイズ:42mm(幅)×93.5(奥行き)×52mm(高さ)
重量:150g

■Mooer:Raderが通販で購入可能
○公式オンライン・ショップ
https://mooer.jp/products/mooerradar

■Mooer:Raderの詳細
https://www.lep-international.jp/home/2017/12/28/mooer-radar

 

今回、試奏したモデルの中では、ナンバー1の小型モデルだ。しかし、その小さなボディに、たっぷりと多機能なシミュレーションを搭載しているから驚かされる。
30種類のキャビネット・モデルに、11種類のマイク・モデリング。パワー・アンプ・モデリング内ではEL34、EL84、6L6、6V6という4種類の真空管が選択可能となっている。グラフィックEQも装備しており、それらをボタンひとつで操作できるというシンプルな作り。
ボタンひとつなだけで、こんな多機能な操作は戸惑うかと思いきや、すごくわかりやすく手軽にエディットできたのもポイントだ。
そして、音のほうも、充分にシミュレートされており、納得のトーンだ。
最初の画面でわかりやすい表示の元にサクサクとキャビネットが選択でき、それぞれの個性をシミュレートした音が出てくれる。かなりキャビネットならではの空気感も再現されており、真空管を変更した際のニュアンスも表現されているので、この小ささが信じられないぐらい多機能が詰まった1台といえる。


3台のキャビネットを別々に出力可能な1台!

Mooer
CAB X2
¥オープン

【仕様】
コントロール
:HICH CUT、LEVEL、LOW CUT、LATENCY、CAB、SAVE、BYPASS、A/B
インプット:INPUT-L(MONO)=1/4インチ・アンバランス(TS/ステレオ接続時はL端子)、INPUT-R=1/4インチ・アンバランス(TS/ステレオ接続時はR端子)
アウトプット:OUTPUT A(Left)=1/4インチ・アンバランス(TS/左キャビネット・シミュレーターを出力)、OUTPUT B(Right)=1/4インチ・アンバランス(TS/右キャビネット・シミュレーターを出力)、ヘッドフォン・アウト(1/8インチ・ステレオ・フォンアウトプット)
●収録キャビネット
65DLX 1×12(Fender 65 Deluxe reverb 112 cabinet)、A15 1×12(VOX AC15C1 112 cabinet)、Twinverb.B 2×12(Fender 67 Twin Reverb Blackface 212 cabinet)、AC30.S 2×12(VOX AC30 212 cabinet)、59Baseman 4×10(Fender 59 Bassman 410 cabinet)、1960AG 4×12(Marshall 1960A Green Back 412 cabinet)、Rect.S 4×12(Mesa Boogie Recto Standard 412 cabinet)、German.V 4×12(Diezel Rear loaded V30 412 cabinet)、B.svt 1×15(Ampeg svt 15E 115 cabinet)、B.svt 4×10(Ampeg svt 410HE 410 cabinet)、B.svt 8×10(Ampeg svt 810E 810 cabinet)
電源:9vセンター・マイナス(300mA)
サイズ:75(幅)×115(奥行き)×45(高さ)mm
●重量:334g

■Moore:CAB X2が通販で購入可能
○公式オンライン・ショップ
https://mooer.jp/products/mooer-cab-x2

■Moore:CAB Xの詳細
https://www.lep-international.jp/home/2021/12/16/mooer-cab-x2

 

今回、紹介しているキャビシミュ・モデルの中でも、ちょっと変わった使い方ができるのが、このムーアー CAB X2だ。
2台のキャビネットの音を作り、その2音色をステレオで振り分けて出力することも可能。また、コントローラーも個性的で、通常のEQではなくハイ・カット、ロー・カット、さらには0〜20msの範囲でレイテンシーを調整するツマミを搭載している。
11種類のキャビネットは、CABツマミから選ぶことですぐに変更でき、トーンはパワー・アンプやマイクのシミュレートは搭載していないものの、充分にキャビネットで鳴らしているニュアンスを奏でてくれた。
すぐにキャビネットのタイプを変更できるので、キャビシミュ初心者ならば、どのキャビがどんなトーンなのか学ぶのにも最適な1台といえるだろう。ハイ・カットとロー・カットというEQも、わかりやすくて初心者でも音作りしやすいぞ!


真空管を搭載し、アナログにこだわったモデル

CARL MARTIN
Ampster
¥45,100(税込/メーカー希望小売価格)

【仕様】
●コ
ントロール
:マスター、プレゼンス、ベース、ミドル、トレブル、ゲイン、ヴォイシング・スイッチ
●フ
ットスイッチ:キャビネット切り替え、ミュート
インプット:TS標準フォーン(1MΩインピーダンス)、リターン・ジャック(TS標準フォーン/100kΩインピーダンス/プラグ接続時にループ・オン)
アウトプット:Link(ダイレクト・アウト)、ジャック(アンバランス/バッファード/TS標準フォーン/1kΩインピーダンス)、Balanced DIジャック(バランス/XLRタイプ/600Ωインピーダンス/グランド・リフト・スイッチ付)、センド・ジャック(TS標準フォーン/1kΩインピーダンス)、Remoteジャック:TS標準フォーン
収録キャビネット:2種類のキャビネット・シミュレーション(2×12オープン・キャビネット/4×12クローズド・バック・キャビネット)
電源:9v、1A、φ2.1 mm、センターマイナス(専用ACアダプター付属)
●サイズ:45(幅)×120(奥行き)×70(高さ)
mm
重量:800g

■CARL MARTIN:Ampsterが通販で購入可能
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/c/c-/ef/ef05/ef050948/737159

○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/carlmtn-ampster

■CARL MARTIN:Ampsterの詳細
https://hookup.co.jp/products/carl-martin/ampster

 

今回、他のモデルはデジタル仕様が多い中で、シミュレーターとしては珍しい完全アナログ仕様のモデルだ。さらには、本物の真空管まで内蔵している、かなり貴重なアナログ・シミュレーターではないだろうか。
シミュレートされているキャビネットは、2×12インチ オープン・バック・タイプと4×12インチ クローズド・バック・タイプの2種類という潔さ。切り替えも左側のフットスイッチで行なうのみ。その他は、通常のアンプにあるようなEQに、ゲインとマスター・ヴォリュームのみというシンプルな構造だ。
コントロール構成を見てもわかるとおり、アンプ機能も搭載しているので歪み系エフェクターから直接接続する使用法もありだが、今回はキャビシミュの実力を検証するため、プリアンプからの接続で試奏してみた。
試奏してみると、その音色に驚かされた!
かなりの実力派シミュレーターで、真空管を搭載しているためか、今回の中でいちばん本物のキャビネットから鳴らしている感覚に近いと感じられた。トーンやセッティングの幅は広くないのだが、簡単接続ですぐに実機に近い音が出てくれるのだ。
デジタルと決定的に違うのは音圧だろうか。卓上の小さなモニターが、まるで小型の真空管アンプを鳴らしてるような音を奏でてくれる。他のモデルでは歪みが充分だと感じられるものもあったが、このモデルではブースターを足したいと思った。これこそ本物に近いニュアンスなのだ。シミュレーターの域を脱していて、このモデルを使用して録音したいと思わせてくれるモデルだった!

いちばんの特徴は、真空管を搭載している点だ!

▲リア・パネルにはセンド・リターンも装備。空間系のエフェクターをここに接続するなど、本当のアンプのように使える。
ヴォイシング・スイッチは、低域のキャラクターを変更できる

プレゼンス、ベース、ミドル、トレブルに、ゲインとマスター・ヴォリュームという仕様は、まさにアンプそのもの。
ゲインを上げても歪むわけではなく、音圧の調整で使おう


わかりやすい操作性でアンプ・シミュレーターも内蔵

WALRUS AUDIO
ACS1 Amp + Cab Simulator

¥61,600(税込)

【仕様】
コントロール
:ベース、ミドル、トレブル、ヴォリューム、ゲイン、ルーム、キャビネット・セレクト・スイッチ、L+Rスイッチ、アンプ・セレクト・スイッチ
インプット:インプットL(モノラル用)、インプットR、MIDIイン
アウトプット:アウトプットL(モノラル出力用)、アウトプットR、MIDスルー
フットスイッチ:バイパス・スイッチ、ブースト・スイッチ
アンプ・シミュレート:フラートン(Fender Deluxe Reverb)、ロンドン(Marshall Bluesbreaker)、ダートフォード(Vox AC30)
収録キャビネット:Front Cabs(A: Walrus Custom Fender Deluxe Style、B: Walrus Custom Marshall 4×12 Style、C: Walrus Custom Vox Green Back Style)、Back Cabs(A: Walrus Custom Fender Super Reverb Style、B: Walrus Custom Two Rock Style、C: Walrus Custom Vox Blue Back Style)
電源9vDC センターマイナス、300mA
サイズ73(幅)×125(奥行き)×63(高さ)mm
重量:360g

■WALRUS AUDIO:ACS1 Amp + Cab Simulatorが通販で購入可能
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/c/c-/ef/ef05/ef051230/702738

○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/walrus-wal-mako-acs1

■WALRUS AUDIO:ACS1 Amp + Cab Simulatorの詳細
https://pearl-music.co.jp/walrusaudio/product/effector/1790/

デジタル系の小型タイプのシミュレーターは、ツマミを少なくしているモデルが多いが、そのぶんエディットに苦労したりアプリを使って操作したりで(便利なのだが)、とまどうギタリストもいることと思う。そんなギタリストにオススメなのが、こちらのモデルだ。
3種類のEQに、ゲインとヴォリューム、そしてルームというリバーブ感を調整するアナログ派のギタリストにもわかりやすいツマミを装備している。シミュレートの選択はトグル・スイッチで選ぶだけで、これまたわかりやすい(キャビネット・シミュレートは、バイパス・スイッチを押しながら選択することで他の3種類が選べる)。
こちらは、他のモデルと違いアンプ自体のモデリング(フェンダー、マーシャル、ヴォックス系ヴィンテージ)も搭載されている。今回の試奏ではプリアンプからの接続だったため、“もしかしたらトゥー・マッチ?”とも思えたが、いやいやちょうどいい感じでキャビを鳴らしたサウンドをシミュレートしてくれた。
選べるキャビネットは合計6種類。12インチ4発のマーシャル系をセレクトして弾いてみると、ヴィンテージ・マーシャルを彷彿とさせる中域の出方が特徴だ。
ふつうにキャビネットで鳴らしている感覚だったが、“あ、シミュレーターだった!”と思わせてくれるほど、いいニュアンスだ。ルーム・ツマミで部屋鳴りを調整することもできるので、DTMなどでの録音でも手軽に使えるモデルといえる。

▲リア・パネルにMIDI端子を装備

アンプ・シミュレーター機能も搭載しており、3つのEQやゲイン・コントロールでアンプとしての音作りも可能だ

モノラル・アウトはもちろんのこと、ステレオ・アウトにすることも可能だ。
さらにヘッドフォン端子を装備しているので、練習にも使える