新楽器2023-2024/島 紀史 × ユニヴァーサル・オーディオ:UAFX Lion ’68 Super Lead Amp 編

高品位なサウンドをコンパクト・ペダルに収めたユニヴァーサル・オーディオのUAFXシリーズ。
このシリーズに、プレキシ・マーシャルをシミュレートしたモデルが登場した。
ヴィンテージ・マーシャルを愛する島 紀史がチェック! 動画とともにその魅力をお伝えしよう。

島 紀史による試奏動画

動画撮影協力:BAZOOKA STUDIO
https://bazookastudio.com/


ユニヴァーサル・オーディオ UAFX Lion ’68 Super Lead Amp
¥61,600(税込)

【仕様】
●コントロール:ヴォリュームⅠ、ヴォリュームⅡ、アウトプット、ベース、ミドル、トレブル、ルーム、プレゼンス、ブースト
●スイッチ:スピーカー・セレクト、ストア、アンプ・モデル(ベース、リード、ブラウン)、オン・オフ・スイッチ、プリセット・スイッチ
●入力端子:1/4インチTSフォーン × 2(Input 2はステレオ接続用&4ケーブル・モード用)
●出力端子:1/4インチTSフォーン × 2(Output 2はステレオ接続用&4ケーブル・モード用)
●USB端子:Type-C(コンピューター経由によるアップデート用)
●電源:外部ACアダプター(アイソレートタイプ 9VDC/センターマイナス/400 mA以上)、純正のPSU-GP1-WWを別売

 

——島さんにシミュレーターというイメージが、まったくないのですが(笑)。
:ですよね(笑)? ただ、興味はあったんですよ。ギターをレコーディングする際にアンプを鳴らすことにこだわってはいますけど、自分でデモを作る時とかレコーディング時にガイドでギターを弾く時なんかにはアンプを鳴らさずにシミュレーターを使ったりはするんですよ。ただ、もちろん本物のアンプとは違うんですよ。
今回は、自分が好きな時代のマーシャルのシミュレーターということだったので、すごく興味深かったんです。
——現在のメイン・アンプはマーシャルのメジャーですけど、このLionがシミュレートしているプレキシ時代のマーシャルにはどういうイメージを持っていましたか?
:1959に関しては100Wだし、50Wよりも歪まないと言われてたじゃないですか。当時のマーシャルは、ワット数が大きくなればなるほどクリーンになっていくイメージなんですよ。でも、僕のメジャーに比べればコンプレッションがかかってくれてクランチ程度には歪んでくれる印象ですよね。
——ライオンには、3種類のアンプ・モデルが搭載されていますが、やはり1959モデリングであるリードを選ばれましたね。
:いちばん馴染みのある音でしたね。ベースというモデルは、少しコンボ感を感じました。スーパー・ベースのモデリングらしいんですが、より低域が出てくれますね。僕はピッキングでローを出したりするので、最初から低域が出てないアンプのほうが好きなのでリードのほうを選びました。ふだんでも大音量で鳴らすため箱鳴りするから、ベースはゼロにしてるんです。その箱鳴り感も、このLionにはしっかりと感じますね。低音の膨らみがあって、すごくよく再現できてるなって思いました。
昔は、プラグインとかマルチ・エフェクターで1959のモデリングがあっても、似ても似つかないものが多かったんですよ。ところが、このLionは、これで作り込んで録音してブラインド・テストしても本物かどうかわからないレベルにあるんじゃないですかね。もちろん本物のアンプを大音量で鳴らした時の空気に触れた音とは異なるかもしれないけど、レコーディングされた音源で比較したならだまされると思いますよ(笑)。コントローラーも僕にも優しくて使いやすいですし、今、少し触っただけでもここまでの音が作れるわけですから。もう、ビックリしますよね。
——とくに気に入った点というと?
:一時期、こういうシミュレーターのものってレイテンシーがあると言われたじゃないですか。それを改善するためにメーカーさんが努力した結果、今度は早すぎると思うようになったんですよ。改善されすぎて、“真空管のアンプは、そんなタイミングでは音が出てこないし!”というところまで早くなってた(笑)。ところが、Lionにはそれもないんですよ。
——キャビネット・シミュレーターも入ってますが、単純にキャビネットをシミュレートした音ではなく、どんなマイクを使って録られてるのかもシミュレートされてますね。
:なんの説明も受けずに好きな音を作っていったら、ふだん自分がキャビに立てているマイクを使用しているもの(GB30)を選びましたからね(笑)。レコーディングしている時、コントロール・ルームのスピーカーで聴いてる音を選んだんですよ。よくできてると思いました。シュアー 57(マイク)をメインに使ってる時の感覚に近かったです。
GB25は、25Wのセレッション・グリーンバックのモデリングなんですね? やはり25Wという小さい出力でスピーカーを鳴らしてる無理してる感じが出てます。コンプレッション感と低音弦でヴィブラートをかけた時のギリギリいう感じが再現されていて、この音が好きな方も大多数いると思いますよ。
JB/GBは、僕らの世代にとってはハイファイな音と感じました。ヴィンテージ30のモデリングは、すごい再現度ですね。マイクで録るとこういう音がするんです。すごい、“ヴィンテージ30”度!
——目玉は、エディ・ヴァン・ヘイレンで有名なブラウン・サウンドを再現した“ブラウン”モデルですね。
:これは、よりコンプレッション感が強くなって、低域の潰れた感じが似てますね〜。僕には、アンプがドライヴしすぎな音なんですけど、このトーンもいいですね〜。このモードにブースターをかけると、かなりいい。
さっきのリード・モードもそうですけど、ブースターのエフェクターがすごく合いますね。ブースターを通すだけで、僕がふだん出している感じになります。ブースターを使うと、リードかブラウンか悩むぐらいいいですね〜。ソロならブラウン・モード、バッキングはリード・モードという使い方もいいです。
——4インプットのマーシャルを再現しているヴォリューム1と2があるところもおもしろいですよね?
:僕が、昔、1959を使ってる時に、インプットをリンクしてる時期があったんですね。その時が、このぐらいのセッティングでヴォリューム2は、ブーミーになるのであまり上げてなかったんです。でも、ヴォリューム1はフルです。
——今回、半信半疑で試奏取材に来てもらったと思うのですが(笑)、総合的にはどうでした?
:ズルいなって思います。僕、レコーディングでは小さい部屋でマーシャルを鳴らすほうが好きなんですけど、ルームというツマミを調整することでそれも再現できるんです。これはリバーブではなく、部屋鳴り感を再現してくれますね。小さい部屋でいろんな反射がマイクに作用する感じをシミュレートしてくれてる。
ちゃんとアンプが鳴ってる感があるし、このクオリティの音で録音できると思うと便利すぎますよね。もう、ビックリするレベルでした。

▲中央のスイッチをALTに持っていくことで、下段のコントローラーがルーム、プレゼンス、ブーストになる

▲ベース、リード、ブラウンという3種類のアンプ・モデルを搭載している

▲スマホ・アプリを使うことで、4インプットならではのリンク設定も可能(jump)。その他、アプリにしかできない設定も可能となる

■島 紀史のお気に入りsetting

↓クリックで拡大できます

ALTでセッティングできるルームは11時、プレゼンスは0、ブーストは2時にセットしている。ブースターを併用すると、かなりの島サウンド!

 

■ユニヴァーサル・オーディオ UAFX Lion ’68 Super Lead Ampの詳細■
https://hookup.co.jp/products/universal-audio/uafx-lion-68-super-lead-amp


▲コンチェルト・ムーン/アルバム『Waiting for You』
(ワルキューレ・レコード)

島 紀史:1996年にコンチェルト・ムーンを結成し、以来日本のメロディアス・ハード・ロック・シーンを牽引してきたギタリスト。ストラトキャスター+マーシャルによる王道のロック・サウンドと確固たるテクニックで注目を集めてきた。最新作はコンチェルト・ムーンの『WAITING FOR YOU』(写真)。

■コンチェルト・ムーン 公式サイト■
https://concerto-moon.com/