マーシャル CODEで作るCATS IN BOOTSサウンド
もはや伝説となっていると言っても過言ではないキャッツ・イン・ブーツ。
80年代後半に大橋隆志がアメリカに渡り結成したバンドだ。強烈なサウンドを放ち世界デビューも飾った彼らのアルバムが再発された。そこで今、大橋隆志が残してくれた伝説のサウンドを、おなじみのマーシャル CODEでシミュレーションしてみた!
CODEで作る大橋隆志のサウンド
マーシャル CODE 25
¥オープン
【仕様】
●出力:25w
●コントロール:ゲイン、ベース、ミドル、トレブル、ヴォリューム、マスター
●プリセット:ユーザー編集可能な100個のプリセット
●フットコントローラー:4ウェイ・プログラム可能 (PEDL-91009、別売り)
●ストンプ・ボックスFX:コンプレッサー、ディストーション(3種類)、オート・ワウ、ピッチ・シフター
●プリアンプ・モデル:クリーン×5、クランチ×5、オーバードライブ×4、ナチュラル
●モジュレーション系FX:コーラス、フランジャー、フェイザー、トレモロ
●空間系FX:ディレイ×4、リバーブ×4
●パワー・アンプ・モデル:クラシック・マーシャル100w、ヴィンテージ・マーシャル30w、イギリス製クラスA、アメリカ製クラスA/B
●キャビネット・タイプ:全8種類
●接続:Bluetooth® 4.0 および USB 2.0
●外形寸法:340(高さ)×350(幅)×215(奥行き)㎜
●重量:6.1㎏
■『BAD BOYS』で聴ける
ギター・サウンド
歪み成分が少な目で太目なサウンドだ。
アンプはPlexiを選択、キャビネットは1960xを選んでみた。Plexiだけだとゲインが足らないように感じたので、中低域が太く出るGUVで少しだけブーストしている。
歯切れがいいサウンドながらも6弦あたりは太目な音なので、トレブル、ベースは上げ気味にし、ミドルはドンシャリにならない程度に下げてみた。アンプ部でもプレゼンスは少し上げ気味だ。
ソロでは、ゲインも上がって多少カリっとした音色に感じるので、FxペダルをODRに変更してレベルを少し上げ目にしてみると近くなるだろう。さらにルーム・リバーブでプリ・ディレイとレベルを5くらいに上げるといい。『キックト・アンド・クロード』にも「BAD BOYS」が収録されており、そちらは高域が多少マイルドになって低域もタイトになっている印象だ。
■『SHOT GUN SALLY』の歪みを
CODEで再現
『DEMONSTRATION』と比較すると、アルバム全体的にミックスでハイ・エンドとロー・エンドが多少整理されたギター・サウンドに感じる。
アンプをキャビネットは同じものを選択し、トレブルとベースは抑え気味にしてミドルを多めにしてみた。
「BAD BOYS」と比べるとこちらのほうがコンプレッション感と歪みの質が細かく感じるので、FxペダルでODRを選びトーンを上げ気味で少し多めにブーストしている。バッキングにもある程度のリバーブがかかっているので、ルームリバーブを選択。スライド・バーのソロの時はアンプのミドルを7くらいに上げ、リバーブのレベルを少し上げてショート・ディレイ(Type Studio, Time100, FeedBack0.6, Frequency4.0, Level5.8)を足すと似た雰囲気になる。他の曲のソロ時はFxペダルのODRのレベルを少し上げるといい。
サウンド・シミュレーション:水田“Shacho”俊一郎(レコーディング・エンジニア)
■マーシャル CODEシリーズの詳細■
http://www.marshallamps.jp/products/amplifiers/code/
大橋隆志が語る、
キャッツ・イン・ブーツ時のサウンド
——キャッツ・イン・ブーツ時代の使用機材を教えてください。
大橋:ギターは、ギブソン・レスポール・スタンダードの1954、1971、1978年製、レスポール・スペシャルの1957年製、アリアプロⅡ:PE Image、アイバニーズ:AR-JAMなどなど。アンプは、マーシャルのヘッドが1971、1973、1974年製など。キャビネットは、1970年代後半製と1987年製。あとは、エレクトロ・ヴォイスのスピーカーが入ったセイモア・ダンカンのキャビネットも使ったかな。エフェクターはRAT(ディストーション)。
——当時、使用していたマーシャルに関してお伺いいたします。いつぐらいに手に入れたもので、手に入れた経緯、改造など注目ポイントをお願いします。
大橋:1973年製と1971年製のものはリー・ジャクソンに改造してもらった。
1974年製のモデルは、買った時のままだが、真空管が6550(当時北米仕様は6550管がデフォルトだった)からEL34の仕様になっていた。
73年製のは1986年に日本でSHARA(石原愼一郎/アースシェイカー)さんより譲り受け、1987年にLAでリー・ジャクソン氏に改造してもらった。71と74年製のは1989年頃、L.A.の楽器屋にてゲット。
——多くのアンプのなか、マーシャルを選んだ理由は?
大橋:音。
——『DEMONSTRATION – EAST MEETS WEST』(1988)、『キックト・アンド・クロード(Kicked And Klawed)』(1989)レコーディング時は、マーシャルはどのようなセッティングでしたか? コントロール類の具体的なセッティング例、レコーディング法を教えてください。
大橋:セッティングは覚えてないし、アンプの個体によって音は違うので、決まったセッティングはないよ。レコーディングの時は直結にしてた。
——リー・ジャクソンに改造してもらったとのことですが、どんな改造のリクエストをしましたか? また改造後と前で、どう変わりましたか?
大橋:リクエストとかはなく、当時、リー・ジャクソン氏が行なっていたスタンダードな改造を施してもらった。基本はインプット2CH仕様ではなくなり、マスター・ヴォリュームとミドル・ノブで可変する帯域を選ぶコントローラーが追加される。さらに歪むプリアンプ回路も追加されたけど、そのチャンネルを使うことは一度もなかった。
——あの時代のマーシャル・サウンドをどう感じていますか?
大橋:ロー・エンドとミッドに奥行きと音圧があり、ギラッとするハイ・エンドがある。太くてクリアでドライヴがナチュラル。弾き手の力量が問われる音。
——オールド・マーシャルならではの苦労点は、どんなところでしょうか?
大橋:そのアンプの持ち味以外の音は出ない。アースをうまくしないと、マイクに口が触れた特にバチッと感電することがある。維持、メンテに気をつかうしお金もかかる。
——オールド・マーシャルは、トーン・コントロールなどの幅が狭く、それほど歪まないと言われていました。そのあたりをどう克服していましたか?
大橋:求めている音がする個体を使う、または探す。
——マーシャル・キャビならではのよさはどこにあると思われますか。
大橋:箱鳴り。
——当時と現在で、大橋さんのマーシャル・サウンドの違いを教えてください。
大橋:違わない。っていうか、オールド・マーシャルってそれぞれ一通りの使い方しかないと思う。
——多くのマーシャルを所有されているとのことですが、大橋さんならではの使い分けるポイントは?
大橋:延べで8台くらい所有したかな。使い分けのポイントは、それぞれの個体の持ち音と曲とのマッチング。
——当時の大橋さんのセッティングをシミュレートする際のポイント、アドヴァイスは?
大橋:唸るようなドライヴ感。
——大橋さんが、マーシャルを愛し続ける理由といえば?
大橋:音。
▲キャッツ・イン・ブーツのレコーディング時のショット(ご本人提供)。
後ろ側にもおいてあるようなので、3台のマーシャルが用意されていたようだ
▲アルバム『DEMONSTRATION<EAST MEETS WEST>』
https://store.universal-music.co.jp/product/upcy90040/
▲アルバム『KICKED & KLAWED』
https://store.universal-music.co.jp/product/uicy79780/
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