鈴木“アンパン”政行(ラウドネス)のシグネイチャー・スティック登場!
2021年11月にデビュー40周年となったラウドネス。
そのドラマーであるアンパンこと鈴木政行のシグネイチャー・スティックが、これまでも愛用していたアヘッドから発売された。そこで、アンパン自身にアヘッドとの出会いやシグネイチャー・スティックの魅力を語ってもらった。
硬くてヌケる、強い音が出せるのでメタルにオススメです
——アヘッドを知ったのはいつぐらいだったんですか?
鈴木:いつだったかな。メタリカのラーズ・ウルリッヒが使っているというので知ってはいたんです。で、使い始めたキッカケは、TSPのShuさんなんですよ。
それまでは、22歳とか23歳の頃から、自分で某メーカーにオーダーして作っていた自分のスペシャル・ヒッコリー製のモデルを使っていたり、ラウドネスに入ってから、いろんなスティックを試していたんですね。それで、いつだったかの“LOUD∞OUT FEST”の時ぐらいに、Shuさんにアヘッドの方を紹介してもらったのがキッカケです。それで、けっこう最初の頃からアンパン・モデルを作ってみないかと言われてはいたんですが、初めて使うものだし、いろいろ試していたんです。その中で、XL Rock Concertというモデルが自分には合っているなというのをつかんで、ずっと使わせてもらってきて、今回のシグネイチャー・モデルにつながったんです。
——最初にアヘッドを使った時の印象は?
鈴木:以前に使っていた、木製の自分のモデルと太さや長さが近いものを試したりしたんですが、まず重心が先端にあることに驚きましたね。だから、最初は変に力んだりして、うまく使えないなというのがありました。あと、木製のスティックの頃と同じように力を入れて叩いていたら、すぐに折れたりして、どうしようかと。それで、自分自身でいろいろなフォームを試したり、ドラマー仲間に相談したりして、力まずに叩くというのがわかって。
そうすると、もう最高のスティックだなと。アヘッドならではの重心や遠心力みたいなものを味方にするということなんですよね。だから、使い方のコツをつかむと、身体にも優しいんです。ムダなエネルギーを使わずに、ヌケる音が出せるんです。さらに言うと、ドラムそのものにも優しいんです。以前は、リムをダメにしたり、シンバルも割れたりしていたんですが、アヘッドはムダな力を入れずにヌケる音が出せるから、楽器にも優しいんです。
——一般的な木のスティックと比べると重さもあるから、コントロールするための力も必要かと感じるんですが、そうではないんですね。
鈴木:そうですね。例えばヌケる音を出そうとすると、思い切り叩けばいいかというとそうではないんですね。アヘッド自体の重さや遠心力みたいなものも使う。そして、さっと振り戻す。だから、ヘッドへの負担も少なくなり、結果、ヘッドもシェル全体も鳴るようになるんです。だから、振り下ろす力よりも、振り戻す力は鍛えましたけど。
——さて、今回のシグネイチャー・スティックですが、もととなっているのは、先ほど話に出たXL Rock Concertです。まず、そのモデルを長く使われてきた理由は?
鈴木:俺にとって、長すぎずもなく、重すぎずもなく、ちょうどよかったんです。アヘッドのラインナップの中では、重いほうなんですけど、昔に使っていた木のアンパン・モデルに似ているんですよ、重心が先端のほうにあるという違いはありますけどね。
——今回のシグネイチャーを作るにあたり、リクエストしたことは?
鈴木:まず、素材や太さ、長さなどは長く使ってきたXL Rock Concertと一緒にしてくださいということ、デザインでは金や黒を使ってくださいということでしたね。
——なぜ、金色を?
鈴木:世界一になりたいからです。金メダルということです。しかも、メタルが好きだから、金属をイメージできる色がいいなって。それで、金色にも使える色がいろいろあって、そこから選んでもらったんですが、僕には黄色に見えたんですね。それで、“ストライパーみたいだな。もっと、金に見える色がいい”ということをお伝えしたら、写真ではそう見えるけど、大丈夫ですよと言われたので、信じたらバッチリでした。ただ、この金色に黒いインクが乗りにくいというか、にじみやすいみたいで、すごい苦労したってアヘッドの方が仰っていましたね。
——ラウドネスのロゴや“Ampan”のサインですね。ところで、脳梗塞からの復帰後、スティックを変えようとかも考えました?
鈴木:最初はそれこそ箸も持てないほどだったんです。それで、リハビリをして少しずつ少しずつ戻していったんですが、スティックを変えようとは思わなかったです。変えたら負けだと思ってたんです。スティックもそうだし、バス・ドラムは26インチ、シンバルの大きさもそのままで復帰しようと思ってたんです。以前と同じスティック、ドラム・セットで、前よりレベル・アップしたプレイをするということを考えていますから。今もガンバっています。
——では、最後に。アンパンさんのシグネイチャー・モデルはどういうドラマーにオススメでしょうか?
鈴木:まずは、ロック・ドラマー。もっと言えば、メタル・ドラマーに向いています。なぜならば、硬い音が出せるから。そして、ヌケる音、強い音になる。長持ちもする。ワンマン・ライヴで考えると、2〜3回は持ちます。
スラッシュ・メタル・バンドの頃は、1曲で1本折れることもありましたし、他のメタル・ドラマーもパワー・ヒッターが多いと思うので、ヘッドの持ちも悪かったりすると思います。無理して大きな力を入れて、身体にも悪い影響がある。でも、そうしたデメリットを、僕のスティックに限らず、アヘッドならすべて解決してくれます。アヘッドを使いこなすことが、身体にも楽器にも優しいことにつながり、さらに音は強力になるという。俺自身、オッサンになりましたけど、アヘッドのおかげで、若い時よりも深みのある音、硬い音が出せるようになったと思います。まあ、アヘッドで柔らかい音も表現できるはずですが、16歳の時からメタルしか叩いていないので、そういう音を出したことがなくて(笑)。
AHEAD
Masayuki “AMPAN” Suzuki
Signature
¥オープン
【仕様】
●材質:アルミ合金
●サイズ:425(長さ)×16(太さ)mm
●テーパー部:SST(スーパー・ショート・テーパー)
●チップ部:XLTIP
※ライヴ会場とA!SMART(アスマート)通販のみでの限定販売。
【試奏】
ブラックとゴールドの組み合わせで、見た目のインパクトも充分なアンパンのシグネイチャー・モデル。編集部では、以前にもアンパンが愛用していたXL Rock Concertモデルを試させていただいたことがあり、基本的な仕様は同じとのことで、手にした印象も変わらず、一般的な木のスティックに比べると、“重い! 太い!”というのが最初にくる。
実際にスネアを叩いてみると、アンパンが語るように、重心が先にあることやスティック自体の重さ、そして円形のチップのため、大きな音が出しやすい。シンバルも同じで、破壊的なサウンドを鳴らせる。ライドのカップ・サウンドやクラッシュの音も気持ちよく響くのだ。また、叩いているうちに、この重さや太さにも少しだけ慣れたのか、ムダに力を入れなくても大きな音を鳴らせるようにもなった。
ただ、やはり細かくて速いストロークなどは、正直なところ、使いこなすには練習が必要だなと感じる部分もあるが、そこも身に付ければ無敵のスティックとなるはずだ。
▲グリップ部はゴールドとブラックのコンビネーション。
片側にはアヘッドのロゴや“Ampan”のサイン、鈴木政行という文字、もう片側にはラウドネスのロゴなどがデザインされている
▲チップ部にかけてのテーパー(徐々に細くなる部分)が短めで、これにより重心がチップ寄りになり、遠心力が増す。大きな音を出すために向いているのだ。
さらにチップは丸いタイプで、いわゆる三角形のようなチップと比べると、パワーのある音が出せる。
メタル・ドラマーにはぴったりのフォルムだ
アンパンが教えてくれた(!?)、アヘッドの握り方
▲少しグリップ・エンドが余る感じで握り込む。
なお、ふだんはグローブを使用し、グリップ部にはテープを巻いている
▲手の甲側から見たところ。
親指と人差し指は、強く握らず、中指、薬指、小指でスティックを支える
▲親指と人差し指は叩く瞬間だけスティックを支えるようにして、またすぐに離すとのこと
■アヘッド 公式サイト■
https://www.labreatrading.com/
■アンパン・シグネイチャー・スティックが通販で購入可能■
https://www.asmart.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&cat=100167300&swrd=&pid=10031256&vid=