WeROCK 105 付録CDインタヴュー集〜高橋信成 編

WeROCK 105の付録オムニバスCDに参加したバンドのインタヴュー集を、このWeROCK EYESでもお届けするシリーズ企画。
今回はソロ・ヴォーカリストとして活躍する高橋信成のインタヴューをお届けします。
Trailer「荒神 -Aragami-」
自分の中のパワーを前面に出してます
——高橋さんが音楽を始めたきっかけは?
高橋:音楽そのものは小学校の時からクラシック・ピアノをやっていたんですね。その後、高校に入ってから声楽も本格的に始めました。
——ロック・ヴォーカルを始めたのもその頃からですか?
高橋:大学に入って声楽を続けていたんですが、その頃にコピー・バンドを組んだんですね。ただ、その時はギターだったんです。少年ナイフとか歌謡曲をアレンジしたものを弾いてたんです。それで、大学を卒業してから本格的にバンドを始めた時に“ヴォーカルをやってよ”って言われてからずっとヴォーカリストですね。
——メタルに傾倒していったのもその頃からなんですか?
高橋:メタルを初めて聴いたのが、13歳の時だったんですね。イングヴェイ・マルムスティーンのCDを借りて聴いて、“世の中にはこんな音楽があるんだ”と思い、その感覚はずっと残っていて。ただ、まわりはクラシックの人ばかりだったのでバンドを組もうとかにならず、大学を卒業してバンドを始めたんですが、最初のバンドはヴィジュアル系の感じだったんです。でも、その後、メタル・バンドのギタリストと一緒にやったりもして、どんどんハード・ロックやメタルの人とのつながりもできて行って、本格的にバンドを始めるという時にメタルをやりたいと決めて。以来ずっとメタルですね(笑)。様式美バンドで長く歌っていました。ロック・ヴォーカリストとして、いちばん衝撃を受けたのはアンセムの森川之雄さんで、今でも大好きなヴォーカリストです。メタル以外というかヴォーカリスト全体では、ちあきなおみさんにいちばん衝撃を受けています。
——リアル・タイムではないですよね?
高橋:ええ(笑)。本格的にソロ活動を始める前、ファースト・シングルを一緒に作った、OZMA-Xの貫井義正(g)さんに教えてもらったんです。私のライヴにはすごい世界観があるし、ちあきなおみを観てみるのもどうかな? って。歌っている時の雰囲気や空間の作り方、声量も歌唱力もすごい。歌い方をマネしているわけではないですけど、影響はかなり受けています。
——声楽を学ばれたことの中で、今のヴォーカルに生かされていることはなんですか?
高橋:声楽でオペラを勉強してよかったのは、世界観の中でどう自分を演じればいいのかをつかめたこと、アンサンブルの中で役者としても演じることを学んだことは今の自分にも生かされていると思います。
——どうして、ソロ・ヴォーカリストとして活動することになったんですか?
高橋:大阪のオルトラウンジというライヴ・ハウスで、高崎 晃さんが何回か年越しイヴェントをされていたことがあって。その第1回目、確か2015年の12月31日に私が当時在籍していたバンドで出させてもらい、高崎さんのスペシャル・バンドでも2曲歌わせてもらったんです。そのステージを、(44マグナムの)JIMMYさんがたまたま観られていて、その後、JIMMYさんと一緒に2016年から2017年の1月まで活動してました。その流れでファースト・シングルでギター・ソロを弾いてもらっています。
——なぜ、高橋信成という男性名で?
高橋:最初に組んだヴィジュアル系時代を含めて、男性のキャラと女性のキャラをやることがあって、JIMMYさんとのプロジェクトの時も、トパーズの曲とヴェルヴェット・スパイダーの曲を両方歌うというものだったんですね。そうした時に、自分自身を女性に寄せるのか、男性に寄せるのかというのは、ずっと長い間、考えていたんです。それで、JIMMYさんとの活動の後、自分のキャラを男性っぽくしようと決めて、戦国武将が好きだったので、ソロとして始める時に“高橋信成”という名前にしたんです。
——そして、今回のオムニバスにファースト・シングルから「Knock Me Out!」で参加してもらいました。高橋さんにとって、どういう位置付けの曲ですか?
高橋:様式美バンドをやったりハード・ロック・バンドをやったりしてきて、そうした自分の引き出しの中のパワー、ロック感を前面に出した曲ですね。現在のライヴでもメインとなっている曲です。
——ギター・ソロはJIMMYさんが弾いています。
高橋:楽曲を作っていただいた貫井さんがJIMMYさんを大好きな方で。それで、ギター・ソロの尺だけ決めて、あとはJIMMYさんにすべてお任せしました。
——ファースト・シングルのタイトル曲「Dead or Alive 」は、この「Knock Me Out!」ともまた違うテイストのメタルですね。
高橋:ソロを始めるまでのバンド経験もあって、そのいろいろな色を出していこうと思っていたし、それは続けていこうと。
——そのいろいろな色として、3月にセカンド・シングルがリリースされます。ジルズ・プロジェクトなどで活躍されている岡垣“Jill”正志さんのプロデュースということもあり、ファースト・シングルとは違った作風ですね。
高橋:岡垣さんとは10年近く前にお話しさせていただくことがあって。何か一緒にやる機会があればいいねって仰っていただいてたんですが、岡垣さんもすごく忙しい方でなかなかご一緒できない中、そのシングルの2曲目に入る「Chaotic」というインスト曲はお渡ししていて。それで、一昨年の11月に岡垣さんが“あのインスト曲はどうする?”って声をかけてくれたことがきっかけで、シングルを出そうということになったんです。
——ヴォーカリストの高橋さんがインスト曲を作った理由は?
高橋:私はライヴで鍵盤を弾いていたりしていたし、本気でプログレを作ったらどういう曲になるのかなって試験的に作った曲だったんです。それで、この曲をどういう形で発表しようかなって悩んでいた時に岡垣さんと縁があって。
——プログレという単語が出てきましたが、様式美の色が強い印象を受けました。
高橋:ああ、そうですね。
——演奏自体も高橋さんなんですか?
高橋:キーボードのフレーズは打ち込みで入れてあって、それをちゃんと弾き直そうと思ってはいたんですが、ケガをして速いフレーズを弾くのが難しくなってしまって。それもあって、この曲は宙ぶらりんになっていたんです。そうした時に岡垣さんとご縁があって、編集や音色で世界観を作り上げるというのを岡垣さんが見てくれることになって。だから、全部が打ち込みそのままではなくて、岡垣さんが弾いたフレーズが加わっているところもあります。
——「荒神-Aragami-」については?
高橋:「Chaotic」と新曲を一緒にしてシングルとして発表したいです、曲を描いていただけませんか、と岡垣さんに話したらOKしてもらい、“こういう世界観、こういうスローなテンポ感の曲に挑戦したい”という意味で、とある有名海外ミュージシャンの曲をサンプルとしてお伝えしたんです。ただ、どういう曲になるのかはすべてお任せしました。
——歌のキーも指定せず?
高橋:Eあたりが楽には歌えるんですが、「荒神-Aragami-」はAマイナーだったかな。岡垣さんから、サンプルとしてお伝えした曲の中の高いところは出せるの? と聞かれて、たぶん大丈夫ですと答えた結果ですね。だから、自分にとっては少し高いところもある曲なんですが、そこは挑戦で。あと、ソロを始める時に、英語の歌詞の曲もあるんですが、日本語を大事に紡いだ歌詞を書こう、歌おうと思ったんです。「荒神-Aragami-」はそこにも注目してほしいです。
——レコーディング参加メンバーの人選はどのように決めたんですか?
高橋:岡垣さんがスローな曲を書いてくれるなら、ギターは金谷(幸久)さんがいいなあってボンヤリですけど考えていて、これまで一緒にやらせてもらうことがなかったのでリクエストしました。ドラムは、岡垣さんにお任せしますと伝えたら、堀江(睦男)さんに叩いていただけることとなって。ベースの岩城(“YASU”保夫)さんは、私が音源を作る時にずっと一緒にやってきた人で、自分がやりやすいというところですね。「Chaotic」のレコーディングは藤居 諒(g)さん、Karuma(b)さん、TSUYOSHI(ds)さんです。ファースト・シングルに行き着く前、レコーディングを手伝ってくれた人達が中心ですね。岡垣さんは「荒神 -Aragami-」ではキーボードとアレンジ、「Chaotic」はアレンジを担当してもらいました。全体として、私もそうですが、岡垣さんも世界観のある曲を作られるじゃないですか。だから制作の中で、歌い方も含めて、いろいろ引き出してもらったり、教えてもらったりして、すごくよかったと思ってます。
シングル「Dead or Alive」
¥1,980(税込) 2020年7月22日
①Dead or Alive
②Knock Me Out!
③魔天歴-The Devil’s truth in chronicles-
シングル「荒神」
¥1,430(税込) 2025年3月26日
①荒神 -Aragami-
②Chaotic
◎今回のオムニバスに提供してくれたのはファースト・シングル「Dead or Alive」に収録。タイトル曲も含めてハード・ロック/ヘヴィ・メタルな攻めの作風だ。いっぽう、3月に発表されるセカンド・シングルでは、彼女の経験の中で大きな位置を占める様式美を前面に打ち出している。どちらにも高橋信成の魅力が詰まっている!
■高橋信成 公式X■
https://x.com/nobu_shige_01
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