WeROCK 105 付録CDインタヴュー集〜六合 編

WeROCK 105の付録オムニバスCDに参加したバンドのインタヴュー集を、このWeROCK EYESでもお届けするシリーズ企画。
京都を拠点とする六合のインタヴューです。
MV「眩耀」
六合ならではのメロディの存在感を感じてほしい
——20周年記念作となる『連綿』が完成しました。やはり、そこは意識されていました?
積田:曲作りに関しては、前作の『饒彩万輝』(2019年8月)の時に作っていた2曲があって、そこからスタートしました。意識してそうしたわけではなかったんですが、共通してあるのは、日常のちょっとしたところからの着想だったんです。そうした、“連綿”と続く日常についての楽曲がそろいました。
——では、そうした日常からの着想が歌詞となり、それに合わせて曲を作っていたんですか?
積田:いや同時進行というか、日常の出来事からリフやメロディが生まれることもありますし、歌詞の一節が生まれることもあって。
——20周年ということはあまり意識しなかったんですか?
積田:そうですね。制作の途中で、“あ、2025年は20周年だね”って話が出てきたぐらいで。あと、先行で配信した「康寧」は、これまでの六合で使ってこなかったリズムを入れたりしたので、メンバーも少し驚いていたりしてました。「暮雨」については、ギターの仲出(克大)君が“1曲の中にこれだけいいメロディをいろいろ詰め込んでいいのか?”って喜んでくれたのを覚えています。
——作詞作曲はすべて積田さんが手がけられていますが、メンバーのアイディアが加わることもあるんですか?
積田:あります。スタジオでみんなで合わせている時、セクションとセクションの間に“こういうパートを入れよう”とか新しいアイディアが入ることがちょくちょくあるし、それはバンドならではと思います。
——その新作から、今回のオムニバスに「康寧」を選ばれた理由は?
積田:先行配信曲として選んだ時もそうなんですけど、バンド側からというよりもレーベルの意見です(笑)。でも、結果として六合が今までやってこなかったリズムだったりで新しい雰囲気が出ている曲ですし、『連綿』をイメージしてもらう曲としてもいいかなと思っています。
——アルバム全体として、キャッチーになったというか、“弾けた”面も感じました。
積田:お、いいですね(笑)。メロディの存在は昔から大事にしてきたし、ライヴなどの経験も曲作りに反映されると思うんですね。だから、今までやってきたことが積み重なってきて、新しいところも顔を出していると思います。
——“ダーク・ロック”、あるいは“プログ・ロック”が六合のイメージですが、そこだけではないというか、いい意味で聴きやすいと感じます。
積田:あくまでも歌ものではあるので、気に入ってくれた人に口ずさんでもらえたら最高ですし、歌メロにしろギターのフレーズにしろ、歌えるものは大事にしていますので。
——最後に組曲が入るのも、プログ・ロックらしいというか。
積田:組曲を入れるのは、じつは初の試みなんですよね。ただ、なぜ試みたのかという点では、エピソードらしいエピソードはなくて(笑)。
——え、そうなんですか?
積田:組曲を作るきっかけとしては、ある時、僕達のライヴにレーベルの社長が来ていたんですね。その時に“Xの「Rose of Pain」みたいな曲を作ってみないか?”って言われたんです。僕達は“「Rose of Pain」は名曲ですよね。アハハ……”って笑ってたんですけど、しばらくしたら“そう言えば、あの曲のことはどうなった?”って(笑)。それで、やったことはなかったし、おもしろいかなと思い、チャレンジしました。メンバーのルーツとして、そういう組曲があってもおかしくなかったし、昔の六合だと作っていそうなんですけどね。メンバーの間では、ライヴでどうするんだって話になっていますが、3曲で組曲でありつつ、1曲1曲だけでも成立するように作っているので、このライヴではこの曲だけ、というふうにしようかなと思っています。
——以前、お話しいただいていますが、あらためて日本語だけの歌詞でロックを歌う理由は?
積田:自然なんですよ。自分が生きてきた経験や体験、風景から曲が生まれるし、そうしたものを言い表わせられるのは日本語なので。英語を交えた歌詞でカッコいい曲、好きな曲はあるんですが、自分が作る以上は日本語の歌詞になります。
——その歌詞も日常的な表現ではなく、文学的だったり、やや難解な言葉が使われてます。
積田:そうなんです。普段使っている言葉だとストレートに意味が伝わるんですけど、“歌詞”という表現のためにそうしています。
——今回のオムニバスを通じて、六合のどういった部分をアピールしたいですか?
積田:自分達ではメタルがベースになっていると思うんです。そのうえで、ヴォーカルのメロディ、ギターのメロディが重要だと思ってやってきましたし……難しいですね(笑)。メタルが好きな人にはもちろん聴いていただきたいですし、ロックって幅広い言い方になりますけど、ロックを通ってきた人には六合ならではのメロディの存在感を感じてもらえると思っています。もしかしたら、ポップスが大好きな人にも届くんじゃないかって、自分達では思っているぐらいですので。
▲左より、原田一樹(g)、内田伸吾(ds)、積田晋平(vo)、仲出克大(g)
アルバム『連綿』
¥3,300(税込) 2025年2月26日
①眩耀
②康寧
③密想
④暮雨
⑤屡次
⑥蛍火
⑦組曲「畢生」〜当惑
⑧組曲「畢生」〜兆候
⑨組曲「畢生」〜観取
◎文学的な日本語の歌詞とメロディ、ダーク・ロック/プログ・ロック・サウンドを融合した楽曲を聴かせる六合。“和”の世界観と彼らのルーツの1つである洋楽のテイストなどがミックスされ、最新作となる『連綿』で独自のスタンスを築き上げている。ぜひ、歌詞を読みながら、彼らの世界に浸ってほしい。
■ライヴ予定■
5月11日(日)=心斎橋パンヘッドグルーヴ
9月16日(火)=梅田クラブクアトロ(フリーク・キッチン来日公演のオープニング・アクト)
■六合 公式サイト■
https://rikugo.com/
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