WeROCK 105 付録CDインタヴュー集〜アヤ・プロジェクト 編

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WeROCK 105の付録オムニバスCDに参加したバンドのインタヴュー集を、このWeROCK EYESでもお届けするシリーズ企画。
アヤプロ


アヤプロ流の「グリーンスリーヴス」です

——2024年12月にサード・アルバム『Dark Matter』が発表されましたが、リリース前後で作品に対する印象は変わりました?
Aya
:まだ、リリースされたばかりなので、そんなには変わっていないです(笑)。ただ、1作目から3作目まで通して聴くと32曲ぐらいになるんですけど、5年間でそれだけ作れたというのは、自分でもガンバってきたなと思ってます。
——その最新作から、今回は「What Child Is This」で参加していただきました。
Aya
:この曲は、イングランドの民謡の「グリーンスリーヴス」をモチーフにしているんですね。もともと「グリーンスリーヴス」は、ヘンリー8世が恋人のアン・ブーリンに向けて作った歌で、その後にウィリアム・チャタートンという人がこのメロディに歌詞を付けた「What Child Is This?」というクリスマス・キャロルがあるんです。日本では「御使いうたいて」と呼ばれている曲です。それで、『Dark Matter』は12月25日にリリースされるし、ピッタリだなと思った曲ですね。さらに調べると、ウィーン少年団が「グリーンスリーヴス」に、また別の歌詞を付けて「新年のうた」として歌ってるんです。その歌詞の内容が“古き罪を蛇の皮のように脱いで、新しい年を迎える”というものなんです。2025年は巳年だし、WeROCKのオムニバスにはこの曲がいいなと思い選びました。もっと言えば、アルバムのジャケットが私が着物を少し脱いだ写真になっているのも、その「新年のうた」の歌詞にも繋がっているんです。
——WeROCK 104でインタヴューさせていただいた時、サード・アルバムの中では、この「What Child Is This」が最初にできたとお話しされていたじゃないですか。
Aya
:そうですね。だから、この曲を作り始めた時は、サード・アルバムを12月25日にリリースするとかも決まってなかったんですけど、制作を進めていく中で物事がピッタリと合っていったんです(笑)。「グリーンスリーヴス」という民謡が形を変えたりしつつ、伝統として受け継がれていくのはすごいと思いますし、リッチー・ブラックモアもレインボーで「16世紀のグリーンスリーヴス」をやっていて。だから、この「What Child Is This」はアヤプロ流の「グリーンスリーヴス」なんです。
——アルバム全体の制作を振り返ってもらって、とくに印象深いことは何ですか?
Aya
:日頃から観たり聴いたりして感じたことをリフやメロディとして残していて、作曲をする時にそれを組み合わせていくんです。それで曲のアウトラインができたら岡垣(“Jill”正志/ジルズ・プロジェクト、他)先生と一緒に全パートを仕上げて、レコーディング・メンバーに送るんです。で、レコーディングは3回ぐらいに分けてやって、それぞれ毎回ドラムからレコーディングを始めたんですが、レコーディング当日の朝に曲の最終形を送ることが多かったり(笑)、予定になかったけど曲作りが間に合った曲もあったりして。堀江さんは“ええ? ワシ、今、聴いたとこなんやけど”って言いながらも2〜3曲録ってくれるんですね。「Solidarity」や「Breakthrough」がそうでした。私はレコーディングに立ち会いながら、“やっぱりレジェンドはすごいな”って感動して、テンションも上がりまくりでした。
——自身のパートはどうだったんですか?
Aya
:キーボードに関しては、ソフトの音源を使っているところもありつつ、ハモンドやレズリー、ミニ・ムーグなどはライヴと同じように実際の機材を使っています。興味のある方は、アルバムを手に入れて、ジャケットに書いている使用機材にも注目してください。
——アヤプロは“進化系様式美”を掲げていますが、この「What Child Is This」はその要素を強く感じます。
Aya
:ええ。ファーストからやってきた“ドラマティックでダークでヘヴィ”というところは変わっていないですね。そのうえで、このアルバムに入っている「Solidarity」や「Breakthrough」などこれまでのアヤプロにないところも取り入れました。聴いてくださった方からも“びっくりした”という感想をいただいてますし、アルバム全体でも、ギターとキーボードのソロ・バトルだけでなく、これまでと比べてギターが前面に出てきています。ちょっとポップなEL&Pの雰囲気も出ていると思いますし、アヤプロのインストで様式美の存在を広めて、この世界に引き込みたいです(笑)。70年代や80年代のレインボーや岡垣先生のジルズ・プロジェクトなどの様式美が好きな方はもちろん、クラシックが好きな人にも聴いてほしいし、アヤプロのドラマティックなところ、メロディアスなところを気に入ってもらえると思っています。
——今後の予定やヴィジョンは?
Aya
:アヤプロはインストのバンドですけど、2024年になって初めてインストだけのイヴェントに出たんですね。その時に、インストを通して、様式美の存在を違うジャンルにも広めたいなと、さらに思ったんです。ライヴは3月8日に心斎橋パンヘッドグルーヴが決まっています。これは“仙人放題 ”という堀江さんがドラムを叩く3バンドの共演イヴェントです。

アルバム『Dark Matter
¥3,300(税込) 2024年12月25日
①All Things In The Universe
②Echos In The Void
③What Child Is This
④Dark Matter
⑤Dule Ⅱ
⑥Evil Heart
⑦Free Your Spirit
⑧Rebels On Ashes
⑨Solidarity
⑩Princess Kaguya
⑪Breakthrough
⑫Twisted Light 2024

ソロ・キーボーディスト、Ayaが率いる様式美インスト・プロジェクトの3作目。レコーディングは、岡垣“Jill”正志のプロデュースのもと、鈴木広美(g)、水元まりお(b)、堀江睦男(ds)、ゲスト・ヴォーカルの千田忠彦と前作と同じメンバーで行なわれ、よりバンド感を強く感じさせる仕上がりとなっている。

■アヤ・プロジェクト 公式インスタグラム■
https://www.instagram.com/aya_project.jp/