FullMooNが過去の楽曲をリレコーディング!

ガールズ・ロック・シーンで長く活動を続けるフルムーンが、現在のメンバーで過去の楽曲をリレコーディングしたミニ・アルバムを発表した。
WeROCK 101で本誌に初登場となった彼女達のインタヴューをWeROCK EYESでも公開!
ここまでのバンドの歴史からリリースまでを語ってもらった。


サウンド面で心機一転した現在の4人!

——わりと歴史のあるバンドだよね?
えれん
:結成当時から含めると2008年からになりますが、2011年までは別バンド扱いだと思って頂いて大丈夫です。その頃から在籍してるのは私だけですし、ねねが加入した2012年から現在の“フルムーン”になって今年で12周年になります。やっぱりヴォーカルが代わるとバンド自体が変わるイメージがあるじゃないですか。だから、ねねになってからは新バンドという気持ちで切り替えてやろうと。ただ、昔の曲自体は残したいという気持ちもあったので、バンド名を“フルムーン”として活動することになりました。
——以前は、“元祖秋葉系ガールズ・ロック・バンド”と名乗っていたりしたんだよね?
えれん
:最初の頃は秋葉原とかでライヴもしてましたし、対バンもロック・バンドよりもアイドル系が多かったりしてたんですよ。それに、集まったメンバーがバンド経験豊富というわけではなかったのでアイドル・バンド路線でもあったんです。そこから、ねねが加入して本格的なガールズ・バンドとしてやろうとなりました。
ねね:以前はキーボードもいたし、もっとポップでした。
えれん:それに、今でも、当時のSEを使っていたりするし、昔の路線と完全に違うわけでもないんです。曲自体に重いタイプが増えていたりするんですが、私達のキャラクター的にはライヴで、はっちゃけた部分もありますし……。
:エンタテインメント・バンドなんです。
ねね:遊び心があるバンドという部分は残っていますよね。バンド名が変わる時、残ったのが本格的にバンドをやりたいというメンバーだったし、サウンド面で心機一転というイメージですね。
——えれん以外のメンバーは、どういう経緯で加入したのかな?
りん
:私は、とにかくバンドがやりたくて、フルムーンだということも知らずにベーシストを募集しているということで話を聞きにいったんです。
ねね:私は他にいろいろバンドをやっていたんですが、男性のバンドでしかやってこなくて“男性とやっても売れないな”って思ってガールズ・バンドに入りました(笑)。当時、ガールズ・バンドを探していたらウィキペディアにフルムーンがあったので、ウィキペディアに載るぐらいならきっと有名だろうからけっこういいんじゃないかなって思って(笑)。そこまでどんなバンドか深く知らなかったんですけど、私、キーボードがいるバンドが好きなので、当時はキーボードもいたからいいと思って加入しました。
:私は、対バンでよく一緒にやっていたからお友達バンドみたいな感じだったんですね。そのバンドがなくなった時に、ちょうどフルムーンにドラマーがいなかったのでサポートをしていたんです。1年ぐらいサポートをして、満を持して加入しました。お試し期間が1年間ぐらいあったという(笑)。加入してほしいとは言われてたんですけど、私もフルムーンにアニメっぽい印象があって、音楽性は好きでもキャラクター的に違うなって思ってたんです。スカート履いてポンポン持って踊れるかって(笑)。でも、そのうちどうでもよくなって加入しました(笑)。フルムーンにはハードな曲もあるんですけど、昔の曲もあるし、見た目からエンタメ・バンドの印象のほうが強かったんです。
ねね:コミック・バンドって言われることもあったしね(笑)。“そのわりに演奏うまいよね”とか言われて。

▲ねね(vocal)

——曲もヴァラエティに富んでるし、エンタメ性の強いものもあればハードなものもあるでしょ。たとえば、りんは「effecter」という曲でスラップを使ったりしていて。
りん
:フルムーンに入るまではスラップとかやらない人だったんですけど、フルムーンに入ってからプレイするようになりました。もともとはピック弾きだったんですけど、フルムーンでは指弾きのほうが合う曲も多いし、逆に言うとフルムーンで今のスタイルが作られた部分も多いんですよ。
:まだ入った頃は生まれたてだった(笑)。
りん:フルムーンに入って、いろいろとベーシストとして学んだんです。
えれん:私もフルムーンに入ってギターを始めて、バンドの知識もなければフルムーンとともに成長していったんです。
——ねねは、ヴィジュアルのイメージと音源では歌声のイメージが違うよね? ヴィジュアルからはキュートな声かと思いきや……。
ねね
:太いですよね(笑)。低めというか、クセが強いかもしれないですよね。ギャップがあると言われたこともありますが、フルムーンにはキャピキャピした歌もあるのでそっちもいけるし、どちらもいけるんですよ。フルムーンって激しい曲もあれば、ポップでキャピキャピ系もあるので曲によって声は使い分けてます。
——もともと、どういうヴォーカリストが好きなの?
ねね
:MR.BIGが好きなので、ホントはハスキーなヴォーカリストになりたかったんです。
——話している声は、ハスキーなほうだよね?
ねね
:ホントですか!? やった〜!
——でも、歌からエリック・マーティンっぽさは感じないけど(笑)。
ねね
:ですよね(笑)。洋楽に目覚めてからは、ディープ・パープルだったりTOTOだったり、鍵盤が入ってるバンドが好きで。ヴァン・ヘイレンもギターがメインだけど鍵盤が入ってる曲もあるので好きです。スティーヴィー・ワンダーだったりビリー・ジョエルだったり、いろいろと聴きます。

▲えれん(guitar)

——今回のミニ・アルバムは、過去曲をリレコーディングした5曲になるわけだけど、なぜ、こういう作品を作ろうと思ったの?
ねね
:「blue max」と「effecter」は会場限定盤だったので、現在は手に入らない楽曲なんですね。でも、ライヴでもやっているし人気曲なのでお客さんからも欲しいという声が多かったため、このメンバーで録り直そうと。2014年頃の曲ですね。「DRAWING STARS」と「青い月」は、昔の曲ですね。
えれん:その2曲を発表した頃にいたメンバーは私だけなんですけど、今でもライヴでやってるし音源がないという状態だったので録り直しました。
りん:同じようなリレコーディングしたアルバム『Ancient MooN』を2018年にリリースしているんです。その第2弾ということですね。
——当時と、アレンジを変えたりした部分も多いのかな?
えれん
:「青い月」は、原曲ではキーボードが入っていたんですね。そのキーボードの部分をギターに変えたりしています。
——10年以上前の楽曲でも、それほど古さは感じないよね? いい意味で時代に合った曲をやっていなかったからなのかな?
えれん
:そうですね、なにも考えてなかったです(笑)。
:時代に捕らわれてないのではなく、なにも考えてなかった(笑)。
りん:やりたいようにやってただけという(笑)。
ねね:でも、当時とそこまでアレンジが変わってないのに、なにか違うよね。ミックスが違うのもあるかと。
:そもそもヴォーカルが違う曲もあるし(笑)。
——ヴォーカリストって、前のヴォーカルの曲をリレコーディングしたりすると、どうしても比べられてしまうでしょ。そのあたりのプレッシャーはなかった?
ねね
:それよりも、すごくいい曲だったし、歌ってみたかったんです。私が歌ったら、さらによくなるだろうという自信もあったし、もうずっとライヴで歌ってきたので前ヴォーカルの歌という感覚もなかったですね。もちろん、入った当時は意識しましたけど、もう10年以上たってますし、今はとくに意識することもないです。
えれん:「青い月」は、このバンドができた最初の頃の曲で代表曲なんです。このバンドのために作られた曲で。5曲とも違う時代に作られた楽曲なんですけど、自分達で演奏して完成すると最終的にフルムーンっぽい曲になるんです。
ねね:最近は私が曲を持っていくことも多いんですが、疾走感があってノリがあってメロがいいという部分を重視して作ると、それをメンバーがカッコよくしてくれるんです。ちなみに「blue max」はベースがすごく動く曲にしたくて、デモではベースとピアノだけで作って持っていったんです。
:けっこう、ねねが作ってくる曲は、楽器チームにチャレンジさせることがあるよね。この前も、“どこまで速いのいける?”って聞かれたし(笑)。
ねね:楽器ができないので、何が難しいとか何が弾きづらいとかわからないので、むちゃくちゃなやつを作るんです(笑)。だから、すごい迷惑だと思うし、いちばんの被害者はベースかと。
りん:「blue max」を初めて弾いたのは加入してすぐだったんです。私、それまで、こんなにベースが動く曲を弾いたことなくてすごいなって思ったんですけど、そのおかげで成長できたので、すごくプラスになりました。

▲りん(bass)

——「blue max」はテレビ東京系「秋山ロケの地図」 4月度エンディングテーマにもなっていて、YouTubeのコメントを見るとそのテレビを経由して訪れる方もいるね。過去の曲でも、反響があることはどう思っている?
えれん
:やっぱり、フルムーンの曲はいいんだなって(笑)。
——「青い月」が代表曲であるなら、1曲目でも不思議ではなかったんじゃない?
ねね
:『CIRCUS』(2013年)というアルバムが、「青い月」が1曲目だったんですよ。だから、あえて最後に持っていくことでいい感じでエンディングを迎えられるかなって。
:それにハードな楽曲を持ってきたいというのもあったし、MVを撮るなら「blue max」かなという話が出ていたので、それなら「blue max」が1曲目かなとなりまして。
——1曲に、フルムーンのいろんな部分が集約されてる曲でもあるよね?
:見せ場がいっぱいあるので、いろんな楽器が目立つのもいいですよね。
——他の曲も含めて、それぞれ聴きどころというと?
えれん
:「青い月」は、イントロのギターが8分だったのを16分に変えて激しい部分を出してます。「サバイバル」も、前ヴァージョンより激しさが増してるかなと思います。この曲は、私自身が録り直したかった曲なんです。
ねね:録り直すという部分では、ギターがいちばんたいへんだったと思うんです。キーボードの部分を全部、ギターで表現しなきゃいけなかったから。聴き慣れたキーボードのフレーズが、新しくなり、さらにカッコよくしなくてはいけなかったという部分で苦しんでました。
えれん:もともとあったキーボード・ソロを残しつつも、ギターでどうカッコよくするのかですごく悩みました。だから、ただのリレコーディングではなく、新たに加えた部分もいっぱいあります。
りん:「青い月」は過去に私はレコーディングしていないので、そういう意味で新しいものになってるかなと思います。「サバイバル」は以前とは細かくフレーズが変わってたりします。「effecter」はスラップの曲で、加入したてでスラップをやったことのない私がレコーディングしていて未熟な部分もあったんですが、10年後の私がフレーズも変えたりして成長した自分を入れられたかなと思います。「blue max」もそうですね。
:ドラムは、昔のヴァージョンが、それほどベースにフレーズを合わせにいってないというか、手数は多いんですけどそこまで拍に合わせてなかったんですね。私は、けっこう拍にハメたくなってしまうタイプなので、そういう部分をキレイにしてみました。「blue max」は、手足のコンビネーションで叩いていたんですけど、MVを撮るのに手が激しく観えたほうがいいということで手数のプレイに変えました。あと、「DRAWING STARS」のキーボードが目立つところがあったんですけど、そこにドラムのフレーズを入れたんです。そこが自分的に気に入ってるし挑戦だったんですが、今のところ誰からもその感想を得たことがないです(笑)。

▲葵(drums)

——先ほども言っていたけど、ヴォーカルはいろんなスタイルが聴けるね?
ねね
:私のイメージって「DRAWING STARS」なのかな? お客さんが私の声で聴きたかったのは、その曲だと思うんです。自分自身としても、速いものや激しいものより、こういうミドル・テンポな歌が得意なのかもしれないですね。「サバイバル」は、当時、レコーディングしながら歌詞を書いてたぐらいで歌い慣れてないままやってた感じだったから強さがないように感じるんですね。今回は、ちゃんと芯がある形で歌えて進化してると思います。
——そして、現在、8月に発売予定の新しい音源を作っている最中とのことで。
ねね
:もともとは、今、作っているのがメインというか8月31日=赤羽レニー・アルファのワンマンに向けての作品になるんです。そのアルバムは新曲ばかりなんですが、それを作るために過去の曲をリレコーディングしておこうとリリースしたのが『AncientMooN 』なんです。8月にリリース予定のアルバムでは、これまでのフルムーンとは違う方向性の楽曲もあるし、アルバムだからこそいろんな曲があっていろんな挑戦があってもいいんじゃないかと。
:それに、昔は、演奏できなかったですね。みんなが成長してるんです。
えれん:もちろんフルムーンの王道と言える曲もあります。
りん:昨年、リリースしたアルバム『Dear…』がわりと成長している作品なんです。それを挟んだことで、次のアルバムがより進化したものになりそうですね。
えれん:フルムーンは、エンタテインメント性はありますが、音楽に対して熱くマジメなバンドでありますので、それを音源だったりライヴで感じて頂ければなと思ってます。

8月9日発売のWeROCK 102では新作のミニ・アルバム『SPREAD』に関するインタヴューを掲載します。
こちらにもご期待ください!

ミニ・アルバム『Ancient MooN Ⅱ

ジリオンモードプロダクション
ZMR-034 ¥2,200(税込) 4月17日
①blue max
②サバイバル
③effecter
④DRAWING STARS
⑤青い月

■ライヴ予定■
7月25日(木)=赤坂ネイビーフロア
7月28日(日)=巣鴨・獅子王
8月1日(木)=渋谷ギルティ
8月3日(土)=上野・音横丁
8月4日(日)=都立産業貿易センター
8月7日(水)=無観客・無料配信ライヴ
8月10日(土)=所沢航空記念公園
8月11日(日)=埼玉会館 小ホール
8月13日(火)=下北沢ヴォイスファクトリー
8月18日(日)=巣鴨・獅子王
8月24日(土)=吉祥寺クレッシェンド
8月31日(土)=赤羽レニーアルファ
9月7日(土)=横浜7thアヴェニュー
9月23日(月・祝)=目黒ライブステーション
10月5日(月・祝)=心斎橋ショヴェル

■フルムーン 公式サイト■
https://www.tatenaga.net/