【試奏動画連動】ケリー・サイモンがマーシャル Studio JTMに迫る!

マーシャルの始まりとなるモデルがある。それが“JTM45”だ。
20Wのフル・バルブ・モデルとして好評のStudioシリーズに、なんと、このJTMが加わった!
そこでヴィンテージ・マーシャルを愛するケリー・サイモンに、このStudio JTMに迫ってもらった。動画とともにチェックしてほしい。

ケリー・サイモンによる試奏動画


マーシャル Studio JTM ST20H
¥176,000(税込)

ST20Hのリア・パネル。
スピーカーは、16Ω、8Ω、4Ωに対応。さらにオリジナル・モデルにはなかったDIアウトを搭載している他、FXループを装備し、オン/オフで切り替えられる

【仕様】
●出力
:20W/5W
●真空管:ECC83(プリ管)×3、5881(パワー管)x 2
●チャンネル:1
●コントロール:ノーマル・ヴォリューム、ハイ・トレブル・ヴォリューム、トレブル、ミドル、ベース、プレゼンス
●入出力端子:ノーマル & ハイ・トレブル・チャンネル×各2、エフェクト・センド/リターン、DI出力、スピーカー・アウト×5(16Ω×1/8Ω×2/4Ω×2)
●外形寸法:500(幅)×240(高さ)×230(奥行き)mm
●重量:9.25kg

▲ST20Hの下にあるのが専用キャビネット。
左が12インチ×2発入りのST212(¥132,000)で、右は12インチ×1発のST112(¥99,000)だ
(ともに税込価格)

マーシャル Studio JTM ST20C
¥198,000(税込)

▲ST20Cのバックはハーフ・オープン仕様で、スピーカーはセレッション:G12M-65だ

【仕様】
●出力:20W/5W
●真空管:ECC83(プリ管)×3、5881(パワー管)x 2
●スピーカー:セレッション G12M-65(Creamback 12”)x 1
●チャンネル:1
●コントロール:ノーマル・ヴォリューム、ハイ・トレブル・ヴォリューム、トレブル、ミドル、ベース、プレゼンス
●入出力端子:ノーマル & ハイ・トレブル・チャンネル×各2、エフェクト・センド/リターン、DI出力、スピーカー・アウト×5(16Ω×1/8Ω×2/4Ω×2)
●外形寸法:500(幅)×460(高さ)×265(奥行き)mm
●重量:17.8kg

——ケリーさん自身、オリジナルのJTMは弾かれたことはありますか?
ケリー
:JTM45ではないんです。なので、イメージでしかなかったんですが、あまり歪まなくてクリーンでパワーがあるアンプだと思ってました。
——そのイメージを持ちつつ、今回のスタジオ・シリーズで復活したJTMを弾いてみた率直な感想は?
ケリー
:フェンダーのベースマンを参考に開発したと言われてるとおり、フェンダーっぽい音も出るなと思いました。すごくパワーがあってクリーン。でも、思った以上に歪みますね。僕が使ってるオールド・マーシャルだとかプレキシあたりに近いぐらい歪んでくれるんです。それは、このモデルが20Wなのでヴォリュームを上げやすいし、飽和状態になるのが早いからでしょうね。これ、真空管は、なにが入ってるんですか?
——プリ管がECC83が2本で、パワー管は5881が2本です。その他、フェイズ・スプリッターとしてECC83が1本入ってるそうです。
ケリー
:その組み合わせだからか、僕が使ってるマーシャルに近いというか違和感がないですね。

▲フル・バブル仕様で、プリ管:ECC83 x 2、パワー管:5881 x 2、その他にフェイズ・スプリッターとしてECC83 が、もう1本搭載されている

 

——歪むというのは、どの程度までの歪みですか?
ケリー
:思ったよりもモダンな歪みなんですよ。ヴォリュームをかなり上げないといけないので自宅ではちょっと大音量すぎると思うんですけど(笑)、たとえばスタジオやライヴ・ハウスに持って行ってフル・ヴォリュームでプレイすればリズム・ギターならばエフェクターなしでいけます。強めのクランチぐらい歪んでくれるので、その部分で楽しめるんじゃないかと。キラキラしたクランチならではのトーンがよく出ますね。
——4インプット仕様になってますが、使うのはやはり……。
ケリー
:僕はハード・ロック/ヘヴィ・メタルのギタリストなので、やはりハイ・トレブル・チャンネルの上の段ですね。よくリンクさせて使うギタリストもいますが、僕はリンクするとパワーが出すぎるのでやらないんです。飽和感が膨らみすぎてしまって、僕のように速く弾く人間にはその部分が邪魔になることがあるんです。なので、ハイ・トレブル・チャンネルを使います。
ノーマル・チャンネルでも試してみたんですが、音圧は変わるものの音質はそれほど変化しない印象でした。使いやすさだったり、出したい音圧によってインプットの場所を選ぶのがいいと思います。そもそも、このモデルは20Wですからね。100Wほど音量が出すぎることもないので、このアンプのいちばんいい音を引き出すんだったら、ハイ・トレブル・チャンネルかなと。他のインプットだと歪みの感じとか出力を抑えられてしまうので、それだったらヴォリュームを下げて調整するのがいいかと思います。

▲4インプットおなじみのリンク方式も可能。ただし、ケリー・サイモンは使用しないそうだ


——ギターや、シングルやハムバッキング・ピックアップとの相性はどう感じましたか?
ケリー
:この時代は、ストラトやギブソンの335だったと思うんですね。両方に対応できるアンプだったと思うから、やはりハムバッカーでもキレイなクリーンが出たし、ストラトならベスト・マッチすると想像してました。ハーフ・トーンにしてもクリーンに出てくれたし、カッティングなんかもすごく気持ちいいんですが、そこがフェンダーっぽくていいんですよ〜。マーシャルでありながらフェンダーのよさも出せるアンプで、カッティングやクリーン・トーンにも対応できるモデルですね。しかも、音の立ち上がりが速いので、スピードの速いカッティングにも対応してくれる。フェンダーのアンプだと、少しマイルドになるんですよ。このJTMは、思ったよりモダンに抜けてくれます。
——とすると、ブースターなどを使って歪ませて使うだけではなく、クランチだったりカッティングだったりで使うのもありですか?
ケリー
:むしろレコーディングなんかでは、そういう使い方をしたくなりますね。それだけのために使いたくなるようなトーンがあります。
——EQ類の感じはいかがでしたか?
ケリー
:極力、トーン・コントロールもアップ気味に使うのがオススメです。
マーシャルが他のアンプといちばん違うと感じるのは、プレゼンス・コントロールのレンジだと思うんですね。他のメーカーでは、ここまで音域が広く出ない。このプレゼンスのコントロールによってトレブルが引っ張られたりしてくれるので、ベストな調整をするとピッキングのニュアンスが出しやすい音作りができます。ピッキングの空気感をスピーカーから出しやすいんです。この部分は、マーシャル以外には難しいと思ってるんですね。
エディットぐあいとしては、トレブルを上げないのであればプレゼンスを上げ気味にする。トレブルを上げるのであればプレゼンスは下げ気味にするなど、うまくプレゼンスを使ってほしいなって思います。ベースに関しては、もともとマーシャルは低音が出てくれるので、よほど小さな音でない限り、そこまで上げる必要はないかと。ミドルは8〜10が好きですね。ミドルからプレゼンスまでのコントロールでピッキングのニュアンスを出します。ちなみに、自分のマーシャルでも、ミドルはほぼ10ですね。まあ、最近のマーシャルでは、10にはしないですけど(笑)。
——ということは、このStudio JTMもマーシャルの系譜を存分に再現してくれていると?
ケリー
:ですね。僕の感覚としては、たとえば中域〜高域を控えめにしたいならEQで下げるのではなく、ピッキングのタッチを弱くして調整するんです。ずっとミドルが出すぎてると歌モノなんかでは邪魔になってくるので、そういう時はピッキングでコントロールする。アンプのほうでミドルを下げてしまうと、出したい時に出せなくなってしまいますからね。
——20Wから5Wに切り替えられるパワー・リダクションはどうでした?
ケリー
:感覚としては半分ぐらいの音量になりますね。自宅でヴォリュームをフルなんて不可能だと思うので(笑)、そういう時に5Wにして弾くのがいいかと。トーンの抜け感は変わりますけど、これこそデジタルではなくアナログのよさなんですよ。5Wなりの演奏というのも僕は大事かなと思うんです。アンプはスピーカーを鳴らさないとですよね。

▲出力を20Wから5Wにも切り替えられるのも、スタジオ・シリーズの特徴だ


——スタックとコンボでの違いはどうでしたか?
ケリー
:体感的にコンボだと下にスピーカーがあるので、自分の目の前に音が飛んでくるわけではなく弾きやすい感じになりますね。バックの形状もあるとは思うんですが、音がまとまって聴こえてくれます。自宅とかだと、なかなかスタックは鳴らせないと思うので、そういう意味ではコンボもありなんですが、コンボで弾く時は少し上向きに角度を付けたくなりますね。
——今回、エフェクターとしてブースターを使うというのも試してみてましたが、相性はどうでした?
ケリー
:クランチの質がキレイなので、充分にリードまでいけますね。オーバードライブぐらいまでの歪みエフェクターがあれば充分です。ヘヴィ・メタルとは少し違いますけど、80年代のハード・ロックまでいけますね。
——スタジオ・シリーズはプリもパワーも真空管で、やはりデジタルとは根本的な違いを感じますね。
ケリー
:音が飛んできますからね。これは真空管ならではなんです。空気の揺れを感じられます。しかも、いい意味で想像してたより弾きやすい。
——マーシャルは、そのあたりのニュアンスがすごく出るアンプですよね。
ケリー
:スピーカーの前じゃないと得られない感覚があるんですよ。最近のDTMでは、プラグインで音を作るわけで、マイクで拾った音を机にあるモニター・スピーカーで聴くじゃないですか。それは、もうCDの音というかね。すごく気持ちいい音なんですけど、ギター・プレイヤーとしてはキャビネットから出る圧を感じるほうが大切なんです。今でも昔でもエレキ・ギターはアンプがなければ成立しないものだがら、その感覚を養うためにも本物のアンプを使ってほしいですね。それは小さな音でもすごく感じるはずですから。デジタルでは味わえない空気で演奏できるようになるんです。
僕達はお客さんのようにPAスピーカーを聴いて演奏するわけではなく、生のベースやドラムの音を聴くわけで、そういった楽器と自分の音をどれだけブレンドさせるのか、その感覚をふだんから養っておかないとダメなんです。そのためにも、こういったアンプを鳴らすことが大切です。ピッキングがすごく気持よくて、空気が動くのを感じられます。これを体感したうえで、デジタルをはじめ、いろんなテクノロジーを試すのが、僕はいちばんいいと思いますね。

■Kelly’s setting

↓クリックで拡大できます

▲ST20Hでのケリー・セッティング。トレブルとプレゼンスのセッティングがポイントとなる

ST20Cでのセッティング。なお、それぞれブースターを使用している点を付け加えておこう

▲スタジオ・シリーズ・ファミリー!
いちばん左より、SV20H&SV20C、2525H&2525C、今回試奏したST20H&ST20C、SC20H&ST20C(ヘッドは、それぞれキャビネットと組み合わせている)

 

■マーシャル Studioシリーズの詳細■
https://www.marshallamps.jp/products/amplifiers/studio/


▲ケリー・サイモンズ・ブラインド・フェイス/アルバム『OVERTURE OF DESTRUCTION』
(キングレコード)

◎ケリー・サイモン:ケリー・サイモンズ・ブラインド・フェイスやソロとして活躍。“超絶”と称されるテクニックで注目を集める。現在は、マーク・ボールズとのプロジェクトが進行中。こちらにも期待が高まる!

■ケリー・サイモン 公式サイト■
https://www.kellysimonz.com/