リスキー・メロディ インタヴュー

来年には結成10周年を迎えるリスキー・メロディが、7月3日に川崎クラブチッタでワンマンを行なう。ロック度高めで、かなりの実力派をそろえたメンバーから、バンドの歴史を振り返ってもらうとともに、5人の魅力に迫ってみた!!

■アルバム『ESPERANZA』からMV「REBOOT」


ガールズ・バンドのエンターテインメントを
極めていきたい

——バンドとしてはWeROCK初登場になるけど、バンドの歴史はけっこう長いよね?
ALICE
:結成は2014年で、今いるオリジナル・メンバーは私だけになります。
私、もともとタレント事務所に所属していたんですが、それより以前に高校生の頃とかにバンドをやっていたことがあって、どうしてもバンドがやりたいと言って結成させてもらったんです。女のコのロックって、まっすぐな気持ちがあるキレイさがあると思っていて、その時からガールズ・バンドにしたかったんですね。私は、もともと歌っていて、だいぶ方向性は違うんですがソロとしてもCDを出していたりしていて。でも、バンドがやりたかったんです。当時、舞台とか出ていたんですけど、共演していたのは元アイドリングとか元SDN48、元モー娘。とかだったんですけど、私にはなんにも肩書がなかったので自分も没頭できるものがほしかったんです。ただ、アイドル・グループとかは性に合わなかったので、やっぱりバンドだなって。
——その時は、どういう音楽性のバンドをやりたかった?
ALICE
:キャッチーでメロディアスなロックで、その部分は今も変わってないですね。今より歌詞とかは若い感じで、今のほうが世界観が広くなってますね。私は作詞がメインなんですけど、ファースト・シングルの「Risky Melody」は私が曲も書いてます。1期のメンバーで2018年まで活動していたんですが、私以外のメンバーが脱退することになって……。
AYA:そこで私とayaeが加入するんです。それまでは、それぞれ違うバンドでリーダーをやっていて。リスキー・メロディに加入する1年ぐらい前に、後輩バンドとして事務所に所属してたんですが、リスメロが終わりそうと聞いて“リスメロを続けてほしいです”って言って加入することになったんですね。
ALICE:リスメロを存続させたいって動いてくれて、まずはその3人で動くことになって。
AYA:私、初めて観たガールズ・バンドがリスキー・メロディだったんです。彼女達を観て“ガールズ・バンドって、こんなにパワーあふれるキラキラしたものなんだ”ってなり、それでリスメロの前にやっていたガールズ・バンドがバンドを始めたキッカケなんですね。で、事務所の後輩バンドだったので、リスメロと一緒にいる機会も多かったんです。
ayae:私は、その事務所に入る前から音大にも行ってたのでバンド経験はあったんですね。なので、後輩バンドになる前から対バンしてたりしていたのでリスメロのことは知っていて、その時からALICEさんのオーラが違ったんですよ。すごいバンドがいるなって思ってました。オーラもすごかったし、なんかモフモフのすごい衣装を着てたので近寄りがたくてしゃべったこともなかったんですよね(笑)。
ALICE:その頃、また違うバンドのオーディションがあって、そこに来ていたのがHaRUだったんだよね。
HaRU:新しいバンドのオーディションがあるとのことで呼ばれたんですね。それが、いつのまにかにリスキー・メロディに入る方向の話になって“私、なんのオーディションに行ったんだっけ?”ってけっこう混乱した覚えがあります(笑)。そもそも私、世の中にガールズ・バンドのシーンがあるのも知らなかったし、ちゃんとしたバンドもライヴもやったことなかったんですね。ベースも高校生の頃に少しやったことがあるぐらいで……。
ALICE:ヘタクソだったんです(笑)。でも、気合がすごくてね。

▲ALICE(vo)

——ヘタとはいえ違うバンドだったけど、オーディションに来たんだよね? であれば、それなりにベーシストとしての自信もあったのでは?
HaRU
:やる気だけで行きました! バンドが決まるんだったら仕事も辞めるって決意して……。それで、家も事務所の近くに引っ越しました(笑)。
ALICE:とにかく気合がすごかった。私とAYA、ayaeでバンドの土台は作れるから、残りのサオ隊は元気で活発でノリノリでやる気のあるコを入れたかったんです。
——この段階で加入した3人は、リスキー・メロディと自分のやりたい音楽性は一致していたのかな?
AYA
:私は、もともと好きだったものと近かったですね。リスキー・メロディのライヴを観ていても、すごく楽しかったんですよ。お客さんもステージも、すごい熱量で楽しんでる。そういう楽しめる曲が好きだったんです。
ayae:私は、クラシックあがりなので世界観を重要視してるんです。リスキー・メロディは、詞の世界観に奥行きがあるんですよ。この曲にはこういうストーリーがある、というのをドラムで表現したいってリスキー・メロディは思わせてくれたんです。
——音大にドラム学部というのがあるの?
ayae
:違います。オーケストラですね。打楽器だったりパーカッション全部です。ロック・ドラムを叩くようになったのは、また違うんですけど、リスキー・メロディの音楽性を考えた時に、自分がやりたいことができそうだし新しい引き出しが作れそうという期待感があったんです。
HaRU:で、私と同じような感じで入ったギタリストもいたんですけど、すぐ辞めてしまって。
Asumi:そして、2019年4月に私が加入しました。私、仙台出身なんですけど、高校生の時にシンガー・ソングライターさんのバック・バンドをやっていたんですね。その時にリスキー・メロディと仙台で対バンする機会があって、リスメロを観たらカッコよくて、なんか私、このバンドに入る気がするって思っちゃったんです(笑)。それは、まだ2018年4月の話だったんです。
その後、リスメロがメンバー募集をしてるのを知ったんですが、その条件が東京都在住って書いてあって、まだあと1年高校生活があるしムリだと思って諦めていて……。高校を卒業してギターを修行しようと思って上京することになって、リスキー・メロディはどうしてるかなって調べたら“あ! ギターがいない!?”と知って。で、連絡を取って入ることになりました。
AYA:なんか、急に事務所に来て、数時間後に加入が決まってたよね(笑)。

▲Asumi(g)

——Asumiちゃんは、以前、WeROCKのマーシャル企画で登場して頂いたことがあって、その若さでAC/DCやヴァン・ヘイレン、マイケル・シェンカーが好きと言っていてビックリした覚えがあるんだけど、なぜ、リスキー・メロディが響いたの?
Asumi
:私が仙台にいた時、地元にガールズ・バンドって、ほぼいなかったんですね。そんな時にリスメロを観て衝撃を受けてガールズ・バンドをやりたいって思ったんです。私、子供の頃、あまりネットとか見てなくて、それで、本屋さんに行ってWeROCKだったりロックの雑誌を買って音楽の情報を得ていたんです。そこからたどっていくと、80年代のハード・ロックに行き着いていきました(笑)。
ALICE:で、この5人がそろったのが2019年の4月ですね。で、2019年9月にメジャーよりプリンセス プリンセスのカヴァーである「Diamonds」をリリースして、これからだっていう時にコロナ禍になって……。
——この5人になって意気揚々と活動できたわけではなかった?
ALICE
:逆にたいへんな部分も多かったですね。それこそバンド初心者のコもいたし、前のメンバーがいなくなったことでアンチというか、ファンともかなり揉めたりして警察に相談することになったりしたこともあって……。そんな中でも、なんとか作り上げたのが2021年11月に発売したアルバム『ESPERANZA』なんです。
このアルバムを作ったことで“これがリスキー・メロディなんだ”と言えるようになりました。前のメンバーでもアルバムは作っていたんですけど、それは無理矢理、最後に作った記念作みたいなものだったので、作品として初めてちゃんと作ったのが『ESPERANZA』で、今のメンバーでいろいろ乗り越えて作ったアルバムです。ホント、よくやってくれましたよ。このメンバーに感謝です。

▲HaRU(b)

——そのアルバムでは、曲作りは誰が中心になるのかな?
ALICE
:作曲は、いろんな作家さんとやっています。この時は、2020年1月からワンマン・ツアーがあって、それぞれメンバーのイメージとなる曲を発表していこうって言ってたんですね。テーマを決めて作っていこうってね。
たとえば「My Story」という曲ではドラムがなく、ハンド・パーカッションを叩いていてayaeの雰囲気というか打楽器奏者ならではの世界観を出した曲にしようと。そうやりながら、「Jealous Heart」ではAsumiのスキルを見せたくてギターのスラップを入れてみたり。それで、バンドがどういう方向性がベストなのかを探っていたんです。
AYA:コロナ禍もあって、けっきょくアルバムができるまで2年ぐらいかかってしまってね。そのぶん、ヴァラエティに富んだ楽曲が多くなってます。
ALICE:そういう意味では、このアルバムができてから今のサウンドが固まった感じだよね。
——ちなみに、ヘタだと言っていたベースはどうしていたの(汗)?
HaRU
:私だけ、ずっと精神と時の部屋に閉じ込められていて(笑)、みんながレコーディングしてるなか、別室で同じ曲をずっと弾き続けて泣いてました。鍵盤だったり、音大だったり、みんな音楽的な基盤がしっかりしてるじゃないですか。私だけ、うっかり間違えて来ちゃったみたいな空気になっちゃって(笑)。
ALICE:ただ、ライヴを観て頂ければわかるんですが、HaRUはパフォーマンス能力が高いんですよ。そういうベーシストは、なかなかいないぞって思ってました。

▲ayae(ds)

——2011年に発表したこのアルバムのイメージと今では、またバンドの雰囲気は違っているのかな?
ALICE
:この時のイメージがかなり極まって、研ぎ澄まされた状態が今だと思います。ライヴの体感も、当時の3倍ぐらいの威力になってますね。
——今のリスキー・メロディが目指している音楽性は、どういう方向なのかな?
ALICE
:誰もが聴きやすいキャッチーさを持っていつつ、熱量のあるロックですね。最近、作っている曲も、そこを基本に置きつつ激しい感じもありますね。
私達の曲って、極論を言ってしまうと誰かの応援歌なんです。誰かの背中を押したいんです。それが自分達であったり、仲間だったり、いつでも応援してたり戦ってる曲が多いんです。それに、1曲1曲のドラマ性を重要視しています。

▲AYA(kb)

——そして、いよいよ7月3日にクラブチッタ川崎でワンマンがあります。これは、バンドにとってどんな意味のある1日になりそうかな?
ALICE
:いつも周年のワンマンをやっていて、今回、9周年なんです。バンドの危機だったりコロナ禍もあったりで、なんとか生き残ってきたので、ここで挑戦したいんです。いつ、うちらも活動できなくなるかわからないし、なにが起こるかわからないご時世なのでダメなのか成功するのかわからないけど、できることはやりたいし後悔したくないんです。今の私達にとっては背伸びかもしれないけど、挑戦する私達を見て、勇気をもらったりガンバろうって思ってくれる人がいたらロック・バンドの生き様としていいなと思ってるんです。
Asumi:リスキー・メロディが全力で駆け抜ける景色を、いろいろな人に観てほしいです。
ayae:今回、楽器もこだわりたいというのがあって、ドラマーとして音楽人生を賭けてやってきた音も聴いてほしいんですよ。
HaRU:全力のパフォーマンスができる広い場所にセットも入れるので、うちらの全力のステージを観てほしいと思ってます。
AYA:VJにプロジェクション・マッピングやレーザーなど、いっぱい盛り込み、そういった演出もありつつ、リスキー・メロディのライヴは誰でも楽しめるんだというところを観てほしいですね。
ALICE:バンドに限らず、なんにしても、女のコだけで9年間続けるというのは珍しいと思うんです。今回は、演出効果もバリバリ入れますし、ガールズ・バンドのエンターテインメントというのを突き詰めていきたい。私達の生き様というのも出るだろうし、ステージとフロアの一体感もいつも以上に高まるはず。そこにメンバーとスタッフで作ってきたリスキー・メロディの音楽がある。そんな、今まで作ってきた、いろんなものが掛け合わさってできるステージにしたいですね。

アルバム『BRINGS』

MAGNIFIQUE RECORD
QACW-1046
¥3,300(税込) 2021年11月3日

①REBOOT
②It’s OK
③Jealous Heart
④CRAZY LOVE
⑤未来への地図
⑥Missing Man
⑦My Story
⑧2020
⑨YOZORA
⑩Esperanza

■ライヴ日程■
6月25日(日)=下北沢ヴォイスファクトリー
6月26日(月)=横浜・関内7thアヴェニュー
6月27日(火)=渋谷エッグマン
7月1日(土)=下北沢ヴォイスファクトリー
7月3日(月)=川崎クラブチッタ【9周年ワンマン】
7月16日(日)=吉祥寺クレッシェンド
7月18日(火)=渋谷エッグマン

■リスキー・メロディ 公式サイト■
https://risky-melody.com/