国産ペダルにはない個性派!? 〜KMAのフェイザーとオクターヴァー

ドイツ生まれのKMA MACHINES。
そのラインナップをWeROCKの誌面では速報的にレポートしてきたが、続々と正式に日本にも上陸してきた。
今回は、その中からフェイザーとオクターヴァー、それぞれ2機種ずつの計4モデル。その個性的なサウンドを改めて紹介したい。


フェイザー編

KMA MACHINES
ASTROSPURT
¥オープン

【仕様】
●コントロール:エンフェイズ、シグナル、ミックス、デプス、スパート、エンフェイズ・オン/オフ。本体内部にDIPスイッチ、パルス、ゲイン、バイアス
●入出力端子:インプット、アウトプット×2
●外形寸法:103(幅)×53(高さ)×123(奥行き)mm
●重さ:358g

■KMA MACHINES:ASTROSPURTの詳細
http://www.electroharmonix.co.jp/kma/astrospurt.html

▲ASTROSPURTは、裏のパネルを開けると多数のスイッチが搭載されており、組み合わせることでこれまでにないトーンを作り出せる

▲フェイズの速度によって、宇宙船の噴射口のLEDが点滅を繰り返す(ASTROSPURT)

歪み特集でも、かなり個性的なモデルを紹介したが、その流れから今回も奇抜さに期待が持てるフェイザーだ。
まずは、ASTROSPURTからいってみよう。昔ながらのアナログ回路を使用したフェイザーとのことで、最近のデジタル・エフェクターなどに搭載しているフェイザーがキレイすぎるというギタリストにはたいへん気になるモデルだろう。
このKMAのモデルは、まずコントローラーの名前に一癖ある(汗)。
どれがなにかわかりづらいので、そこから解明していくと……SPURTは、いわゆるスピード調整ノブ。SIGNALは音量設定で、MIXはドライ音とエフェクト音の混ぜ具合をコントロールできるツマミだ。DEPTHは通常のデプス・コントロールと同じで、いちばんの特徴はEMPHというコントローラー。これは、サイケで宇宙的な浮遊感を強調してくれるというツマミ。下のスイッチでオン/オフすることが可能で、かなりいろいろなタイプのフェイズ・サウンドを作り出せるので、つねにオンにしたくなる。また、このツマミは、裏ブタを開けて内部にある4つのDIPスイッチの設定しだいで、さらに特徴的な効果を発揮してくれる。高域や低域を強調する効果はもちろんのこと、オーバードライブやファズをかけたようなトーン、さらに全部をオンにするととんでもない音になってくれる(笑)。
フェイザーでありながらフランジャー的な音も作れるのはありがたい。音はアナログだけあり、リアルなフェイザー・サウンドが楽しめる。“これを待っていた!”というぐらい、デジタルにはない暖かい(けれど過激な)フェイザー・サウンドを作り出してくれる。

KMA MACHINES
HORIZONT
¥オープン

【仕様】
●コントロール:シグナル、ミックス、ウェーヴフォーム、スパート、デプス、REG、エンフェイズ・オン/オフ、エンフェイズ(1、2、3、4)、エクスプレッション・モード・スイッチ(スパート/スウィープ)、スイープ・スイッチ(LFO/ENV)、エンヴェロープ(アップ/ダウン)、フュール、ディケイ、ステレオ・パン(オン/オフ)、スパート・コントロール(LFO/LFO+ENV/ENV)、タップ、エンゲイジ
●入出力端子:インプット、エクスプレッション・ペダル・イン、アウトプット×2、センド、リターン
●外形寸法:152(幅)×57(高さ)×125(奥行き)mm
●重さ:560g

■KMA MACHINES:HORIZONT詳細
http://www.electroharmonix.co.jp/kma/horizont.html

HORIZONTは、ASTROSPURTの内部スイッチをフロントに持ってきた感覚。かかりはナチュラルだ

続いては、さらにコントローラーが増えているHORIZONTだ。こちらは、アナログとデジタルのよい点を取り入れたハイブリッド・モデル。
通常のフェイザー的な使用はもちろんのこと、エンベロープ・フィルター的な使い方でのオート・ワウっぽい効果も可能だし、エクスプレッション・ペダルを使用してスピードをコントロールすることもできる。
さらに、センド/リターンやステレオ出力、タップ・フットスイッチも装備。そして、左上に複数のスイッチが搭載されており、この組み合わせでこれまでにないフェイズ・トーンも作り出せる。なんだか、とんでもない音にしてくれるフェイザーかと思いきや、デジタルを組み合わせてるからか、ナチュラルでエグすぎないフェイズ・サウンドという印象だった(使い方が間違ってなければ……)。


オクターヴァー編

KMA MACHINES
MOAI MAEA
¥オープン

【仕様】
コントロール:クリーン、オクターヴ+、 オクターヴ-Ⅰ、オクターヴ-Ⅱ、サブ・モード(Ⅰ/Ⅱ/|-Ⅱ)※本体内部でオクターヴ上のファズや上オクターヴ上の最大音量を設定可能、またDIPスイッチでエフェクト・ループの位相反転が可能
●入出力端子:インプット、アウトプット、エフェクト・ループ
●外形寸法:145(幅)×60(高さ)×125(奥行き)mm
●重さ:525g

■KMA MACHINES:MOAI MAEAの詳細
http://www.electroharmonix.co.jp/kma/moai-maea.html

MOAI MAEAは、中央のコントローラーで、1オクターヴ下、2オクターヴ下、その両方を選択する

 

KMA MACHINES
Queequeg2

¥オープン

【仕様】
コントロール:ミックス、サブ・オクターブ・モード(-2/-2|-1/-1)、オン/オフ、シュリーク(オクターブ上のオン/オフ)、ドローン(サブ・オクターブのオン/オフ)
●入出力端子:インプット、アウトプット
●外形寸法:66(幅)×57(高さ)×125(奥行き)mm
●重さ:260g

■KMA MACHINES:Queequeg2の詳細
http://www.electroharmonix.co.jp/kma/queequeg-2.html

どのオクターヴが選ばれてるかは、クジラの目の色でわかる!

続いて、2種類のオクターヴァーだ。
5種類のコントローラーと3つのフットスイッチを搭載しているのが、MOAI MAEAだ。“複雑なオクターヴァー?”と思いきや、このモデルは、1オクターヴ上、1オクターヴ下、2オクターヴ下のサウンドを作ってくれるので、各オクターヴ音のレベル調整+αと考えれば、わりとシンプルに理解できる。
しかし、KMAはそれだけでは終わりません! やはり裏パネルを開けることで、多彩な機能が隠されている。このモデルには、オクターヴ上のファズを設定するツマミ、オクターヴ上の最大音量を設定するツマミ、エフェクト・ループの位相反転スイッチが搭載されていた。3つのフットスイッチも組み合わせることで、いろいろな使用法が可能で、シンプルに理解できると言ったものの、やはり一筋縄ではいかない多彩な面を持ってるのがKMAの特徴だろう。

一転して、ひとつのツマミとひとつのスイッチというシンプルなコントローラーなのが、Queequeg2だ。こちらはスイッチで、1オクターヴ下、2オクターヴ下、そしてその両方という3種類が選べる。今回はギターでの試奏だったが、2つのオクターヴを組み合わせることで、単音で弾くと重厚なシンセっぽい音になってくれる。アナログ・オクターヴァーなので反応もよく、ベースやシンセで試してみると、これまたおもしろそうな安心オクターヴァーだ。