K-A-ZがTONEXの謎に迫る!
ギタリスト、ベーシストに話題の“TONEX(トーンエックス)”。
世界中にあるアンプの音を出せてしまうというこの機材がいったいなんなのか!? 今回は、K-A-Zに登場してもらい試奏検証してもらった。
本人のアンプの音と、TONEXを使ってキャプチャーした音を使った動画にも注目です!
K-A-Zによる試奏動画
IKマルチメディア
Amplitube TONEX Pedal
¥59,400(税込/実勢価格)
▲TONEX Pedalのリア部分。ステレオ出力も可能で、ヘッドフォン端子も装備
【仕様】
●150種類のカスタマイズ可能なプリセット
●24-bit /44.1 kHz の USB オーディオインターフェイスとしても動作
●コントロール:モデル・セレクト、プリセット・コントローラー、パラメーター・コントローラー、ゲイン、ベース、ミドル、トレブル、ヴォリューム、リバーブ、コンプレッサー、ノイズ・ゲイト、プレゼンス、デプス
●入出力端子:インプット、アウトプット(L/R)、ヘッドフォン・アウト、MIDIイン/アウト、EXT.コントロール、USB端子
●電源:9v DC(センター・マイナス)
●外形寸法:176(幅)×142(奥行き)×55(高さ)mm
●重量:906g
IKマルチメディア
Amplitube TONEX Capture
¥38,500(税込/実勢価格)
▲TONEX Captureは、フロントとリアに入出力端子やコントローラーを搭載している。
アンプの音をキャプチャーする際は、ここからアンプやオーディオ・インターフェイスに接続する
【仕様】
●コントロール:ライン・インプット用アッテネーション、フロム・アンプ用アッテネーション、ライン・アウト/パワー・アウト・スイッチ、グランド・リフト・スイッチ×2
●入出力端子:ライン・インプット、フロム・アンプ、ライン・アウト、トゥ・キャビネット、トゥ・アンプ
●電源:9v DC(センター・マイナス)
●外形寸法:158(幅)×137(奥行き)×45(高さ)mm
●重量:980g
TONEXとは?
TONEXは、いわゆるアンプ・シミュレーターで、大きく分けて3つのものになる。
DTMで使えるTONEXソフトウェア、TONEX Capture、そして発売されたばかりのTONEX Pedalだ。
ソフトウェアは、デフォルトで入っているアンプや歪み系エフェクターの音だけではなく、世界中のギタリスト/ベーシストが取り込んだ音を瞬時に呼び出せるプラグイン。
TONEX Captureは、自分のアンプや歪み系エフェクターをキャプチャーする際に必要な機能を搭載したハードウェア。そして、TONEXソフトウェアの音を内蔵した150種類のプリセットに保存可能なストンプ・ペダルが、TONEX Pedalだ。とくに、TONEX Pedalを持っていれば、この小さな筐体で、ライヴやスタジオ・リハーサルなどの異なる環境でも、いつでも自分の好きなアンプの音が出せる! ギタリストには夢のようなエフェクターだ。
K-A-Zチェック
——今回、まずはキャビネットから出てる音をシュアーのSM57で集音し、それをTONEX Captureを経由してキャプチャーしてみました(下の図①)。じっさい、どうだった?
▲アンプ+キャビネット+マイクのサウンドをキャプチャーする時の接続方法だ
▲K-A-Zスタジオに装備されたキャビネットから57マイクを通した音をキャプチャーした
K-A-Z:最初は半信半疑な部分もあったんだ。再現率というか、どれぐらいふだん出している音に近いものが出るのかなって。もちろん、すごく興味もあったしさ。
自分の最近の音源でいうと、ソロ・アルバムである『Venomous -attacK-A-Zenith V-』だったり、THE冠のアルバム『日本のヘビーメタル』あたりなんだけど、その2枚は、今回、キャプチャーしたアンプで鳴らした音でレコーディングしてるのね。アンプは、ヒュース&ケトナーのブラック・スピリッツを基本にして、トライアンプのマーク3やコアブレイドを使ったかな。
——その時の音を、今回、キャプチャーしてみたわけだね。
K-A-Z:最初、慣れてないのもあったけど、配線周りで戸惑ったよね(笑)。じっさい、アルバムの音では2本のマイクを使ってミキサーでミックスしたのをレコーディングしたんだけど、今回はオーディオ・インターフェイスのインプットの都合上、SM57の1本でキャプチャーしてみたんだ。ちょっとルーティングで苦労したけど、これは最初だけで慣れてしまえばすんなりいくんじゃないかな。
じっさいにキャプチャーする時、パソコンの画面に図が出てくれるので、それにそってやればいいだけなので、説明書いらずでガンバれたよ。どんどんソフト上で指示が出てくるので、そのとおりにやればいいだけ。
▲接続などが難しいと思いがちだが、ソフトウェアの説明にそって行なえばいいのでわかりやすい
——取り込まれた音は、どうだった?
K-A-Z:なにかの設定が甘かったのか、最初やってみた時は本物のアンプの音よりも歪みが抑えられてると感じたんだ。それは、キャプチャーする時にもっと突き詰めてやらなかったからかもしれなけど、じゃっかん違う部分はあったかな。ゲイン、あるいはヴォリュームを合わせていけばかなり実機に近づけられると思う。
でもね、基本的に、このアンプの音が入ってくれるので、それだけでも充分なんだよ。あまりヒュース&ケトナーをシミュレートしたプラグインって見ないから、ここにオーバードライブを加えていったり、DAW上で使うならEQだったり他のプラグインを加えていけばいい。ようは、大元の歪みであるヒュース&ケトナーの特性はしっかりとキャプチャーされてるんだ。このトーンさえキャプチャーしてくれれば、ここからいろんな遊び方ができるかなって。いろいろ突き詰めていくと、ふだん出してる音に近いものが作れると思ったよ。この音を元に音作りしていく作業が、すごくおもしろかった。
これ、オーバードライブを通った音とかもキャプチャーできるんでしょ? それに、オーバードライブだけの音のキャプチャーもできるんだよね。ふだん、歪み系のエフェクターを使ってないからやらなかったけど、それはすごいよね。
▲TONEXのソフトウェアだ。
この画面は、すでにK-A-Zのキャプチャーが終わって好みのヘッド画像を入れている
▲今回は実験できなかったが、なんとオーバードライブなどの歪み系エフェクトもキャプチャー可能だ
——キャプチャーする時のポイントは、どこだった?
K-A-Z:EQとかゲインをふだんのままのセッティングでやるよりも、マイクからオーディオ・インターフェイスの音を通ったアンプのトーンを確認しながら、キャプチャー用にアンプの音を作るといいかもしれない。俺も、最初、キャプチャーした時に歪みが足らないなと思ったので、アンプのゲインを上げたりして再度やってみたんだ。中域もいつもより上げたかな。これも、歪みを強くするため。ローは7弦というのもあるから、あまり出してはいない。それでキャプチャーしてみて、逆に“こっちの音も好きかも”って思ったよ。
根本にいるのはヒュース&ケトナーのトーンなので、これをどう料理するかというね。今回、DAW上ではAmpliTubeを使ったんだけど、そこには俺が使ってるヒュース&ケトナーのモデリングは入ってないから、すごく助かるよ。耳でわかってる俺の音が取り込まれているわけだからね。
——図①のパターンをやってるうちに、キャビネットからの音をキャプチャーするのではなく、ヘッドだけの音をキャプチャーをしたらどうなるのか(下図②)と思ってきたという。
▲こちらは、アンプ・ヘッドの音をダイレクトにキャプチャーする際の接続方法。
今回、使用したヒュース&ケトナーのブラック・スピリッツはロード・ボックス機能を搭載しているので、キャビネットに接続しなくても大丈夫だったが、通常は必ずキャビネットに接続するかロード・ボックスを使用すること。そうしないと、アンプを痛めてしまう
K-A-Z:そうそう。TONEXでキャプチャーした音がAmpliTubeで読み込めることがわかったので、とするとヘッドだけの音を取り込めばキャビネットとマイクを違うパターンにもできるわけでしょ。図①のパターンではうちのスタジオにある“ヒュース&ケトナーのスピーカー1発+シュアーのSM57”という組み合わせをキャプチャーしたわけだけど、ヘッドだけキャプチャーすればそうではない選択肢が試せるわけ。
AmpliTubeを使えば、違うキャビネットやマイクの組み合わせが無限に広がる。TONEXのソフトウェアだけでも、いろんなキャビネットが入ってたから、それだけでも楽しかったしさ。今までと違うサウンド・メイキングもできるし、いつもの自分の音に近づけることもできるよね。
AmpliTubeと組み合わせると、ストンプ系のエフェクターもいっぱいあるから、いろいろ音が作れるね。俺がDAWでTONEXを使うなら、TONEXのプラグインだけでも近い音は作れるんだけど、選択肢が広がるからAmpliTubeを使うかな。ふだんの足元でも10バンドのEQのストンプ・エフェクターを使ってるので、それをAmpliTubeで使うとホントに自分の音に近づけたよ。
▲上の図②はヘッドだけのキャプチャーだったので、Amplitubeを使い、キャビとエフェクターをプラスしてみた
——TONEXのソフトウェアのほうでもEQが使えるけど、それはどうだった?
K-A-Z:けっこう幅広く使えるね。そう考えると、キャプチャーする元のアンプのセッティングをどうするのかってなるよね。ふだんの自分の音に近いEQにするのか、あえてフラットにしてキャプチャーするのかって。そのあたりも突き詰めたいって思った。俺的な考えなんだけど、本物のアンプに近づける作業をするより、このTONEXで出せるトーンをどういうふうに研ぎ澄ませていくかのほうがいいかな。
——続いて、キャプチャーした音をTONEX Pedalに読み込ませてみました。こちらは、どうだった?
K-A-Z:たとえば、ブラック・スピリッツ、トライアンプ・マーク3、コアブレイドという3台のアンプをキャプチャーしてTONEX Pedalに読み込ませたらおもしろいよね。
コアブレイドでザクザクしたヘヴィ系の音を出したかと思えば、トライアンプでケトナーならではのクリーン・トーンを出したり、そういう使い方がこの小さいTONEX Pedalでできるわけだし。ライヴで全部のアンプを並べるのは、なかなかできないからね。今回は、試せなかったけど、TONEX Pedalをバンドの中で試すとどうなるかやってみたい。
——では、TONEXの総合的評価を教えてください。
K-A-Z:今回、1日かけて試奏してみたけど、1週間ぐらい時間が欲しいぐらい突き詰めたいと思った(笑)。かなり、いい線の音になるような感じがする。
ただ、俺はアンプとTONEXは別物と考えてる。たとえば、牛肉があって、肉を焼くのか生で食べるのかの違いはあるけど、けっきょくお肉であることには変わらないわけでしょ。大元は一緒なわけ。そういう考え方がいいと思う。ムリに焼き肉の味に近づけようとせず、あえて同じ素材で違う料理を作るのもいいんじゃないのかなって(笑)。それぐらい可能性があるかな。
▲TONEX Pedalにトーン・モデルを読み込ませるのはソフトウェアを使えばじつに簡単だ
▲3つのフットスイッチでプリセットされた音色を切り替えていく
▲いちばん左のコントローラーを押しながら操作すると、各コントローラーの種類が変更される
▲MIDIイン/アウトを搭載しているので、いろいろな拡張性が考えられる
■IKマルチメディア:Amplitube TONEX Pedalが通販で購入可能■
○イケベ楽器
※2023年5月末現在、次回以降(納期未定)入荷分予約受付中
https://www.ikebe-gakki.com/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=751716&bid=ec&cat=efx001010
○ミュージックランドKEY
※次回入荷未定
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/ik-tonex-pedal
■IKマルチメディア:Amplitube TONEX Captureが通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=749963&bid=ec&cat=rec008007
○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/ik-tonex-capture
■IKマルチメディア:Amplitube TONEX Pedalの詳細■
https://hookup.co.jp/products/ik-multimedia/tonex-pedal
■IKマルチメディア:Amplitube TONEX Captureの詳細■
https://hookup.co.jp/products/ik-multimedia/tonex-capture
◎K-A-Z
SADSや黒夢、カイキゲッショク、そしてTHE冠などでおなじみの7弦ギタリスト。
7弦を生かしたヘヴィなリフから、多彩すぎるソロ・プレイまでこなす敏腕プレイヤーだ。最新ソロ・アルバムは、『Venomous -attacK-A-Zenith V-』(写真下)。現在は、ソロのベスト・アルバムを制作中とのことだ。
▲ソロ・アルバム『Venompus -attacK-A-Zenith Ⅴ-』
K-A-Z公式ツイッター
https://twitter.com/thekazrock