ヘイディーズがミニ・アルバム『BRINGS』を発表
嬢メタル・シーンで活動していたアザゼルが、新ヴォーカリストとして紗良を迎えるにあたりバンド名を変更、新たにヘイディーズとして始動した。
その彼女達が、新バンドとして初となるミニ・アルバムを完成。新バンド結成に至る経緯と、そのファースト音源に関して語ってもらった。
■アルバム『BRINGS』からMV「BRING IT ON!!!」
ガールズ・バンドらしからぬ
音を出してるアルバムにしたかった
——もともとアザゼルが母体になってるわけだけど、ヘイディーズになった経緯を教えてくれる?
空也:アザゼルは、ヴォーカルの事情で活動するのが難しくなり、バンド側としてはゲスト・ヴォーカルを迎えて活動を続けることになって、その時に当時から仲良かった紗良ちゃんを迎えて“サラゼル”としてライヴをやっていました。それで1年ぐらい活動していたんですけど、けっきょくヴォーカルの復帰が難しいということになり、じゃあ、どうしようと。
アザゼル自体、自分達も思い入れがあったし、お客さんや関係者のみなさんにも愛してもらっていたバンドだったから、残したいという気持ちが強かったんです。いっぽう、紗良ちゃんとやっていたサラゼルもバランスもよかったし、なによりも紗良ちゃんがアザゼルを好きでいてくれたのがわかっていたから、これはアザゼルを解散したり終わらせるのはもったいない。で、継続はするけど、ヴォーカルも代わるし心機一転という形でアザゼルの意思を引き継ぎつつ、さらにパンチの効いたバンド名に変えてやっていこうとなったのが、ちょうど1年前ですね。
——紗良ちゃんを選んだ決め手となったのは?
Mayo:ゲスト・ヴォーカルを迎えて活動していた時期は、いろんなヴォーカルの方に歌って頂いたんですね。その中で、紗良は、ステージングを含めていちばん合ってたんです。ステージ上の立ち回りもうまかったし、いろいろと気もつかえるのですごくありがたくて、みんな、紗良にお願いしたいねって言ってた。
yuri:ステージに立った時のバランスがしっくりきていて、それが私には大きかったですね。あと、ステージング以外のところで協力的に支えてくれた部分が多くてすごくありがたかったです。
空也:楽器隊としては、私達の爆音に負けないヴォーカルというのが重要で、紗良ちゃんの声はその中でいつも抜けてきてくれた。最初に合わせた時から、これは強いなって思ってました。
Mayo:紗良が歌ってる時って、メンバー個々のキャラクターの統一性が出ていたんで、ピッタリだと思いました。
——紗良ちゃん自身としては、アザゼルをサポートしていてどう思っていた?
紗良:単純に楽しかったんですよ。誘ってくれた時も“私がアザゼルで歌っていいの!?”という感じだったし、どれぐらいの期間をサポートするかはわからないけど活動していきたいという感というかバンドを守っていきたいというメンバーの考えが、すごい好きだった。だから、私で協力できることだったらなんでもしたいと思ったし、じっさいに一緒にライヴをやった時もすごい楽しかったから“次、いつでも誘って!”という感じだった(笑)。
自分のスケジュールが許す限り、むしろこちらから、ぜひぜひだったし、お客さんもその状況を受け入れてくれていましたしね。お客さんがいいバンドって、すごくいいバンドだと思ってるんです。だから、このバンドは、やっぱりいいバンドなんだなって。
——紗良ちゃんが入ることでバンド名を変更したわけで、そこに対するプレッシャーみたいなものはなかった?
紗良:プレッシャーを感じることはなかったんですけど、フロントマンとしての意識はすごくあるので、この4人だからできる形を早く作っていきたいと思った。同時にアザゼルで培ってきた楽曲は3人の思い入れの強さを感じていたので継続していきたかった。
——ということは、現在でもアザゼルの曲もやっている?
紗良:最初は、どうするか検討しました。新バンドとしてやるんだったら、楽曲も新しいものだけでやったほうがいいかなと。でもアザゼル時代の曲やライヴ・スタイルにバンドとお客さんの隔たりをなくして“どっちも楽しいよね! わ〜!!”みたいなものを感じていて、そういう考え方というか、楽曲の作り方の根本が私も好きで共感できて、観てくれるみんなの視点を優先で考え続けていこうと。
——新バンドになったから、そういう方向性を変えていこうとは思わなかった?
空也:私的にはなかったですね。ヴォーカルが代わるという時点で、そもそもが変わるじゃないですか。紗良ちゃんが、もともとのアザゼルの曲を歌っていてもドラマ性が生まれていたし、ぜんぜん聴こえ方が違うんです。であれば、紗良ちゃんのヴォーカルが映えるような、そしてアザゼル時代から根本にあったライヴでお客さんが楽しめるという部分は変えずに新しく作っていければなと思ってました。
——新バンドになっていちばん最初に作った曲というと?
紗良:「BRING IT ON!!!」ですね。
Mayo:これ、“あばれる君②”?
空也:そうそう。仮タイトルが、“あばれる君②”だったんです(笑)。で、「No!!!!!!!!!! 」が“あばれる君①”。
紗良:そういう仮タイトルを付けちゃうほど、これはお客さんを暴れさせたいという曲なんです(笑)。
——その曲とヘヴィな「No!!!!!!!!!! 」という並びの時点で、けっこう幅広い作品になってると感じられるね?
空也:今の音楽シーンってジャンルとかも細分化されてるから、“こっち!”と決めるよりアザゼルの時よりも幅広く持ちたいなと思って、あえて自分に制限をかけずに作ってメンバーに投げました。
まずは、メンバーが喜んでくれないことにはお客さんにも伝わらないだろうと思ってるので、何もセーヴせずに投げたものをメンバーがいいと言ってくれたので、大丈夫かと思って広めな方向性で攻めてみました。
——「BRING IT ON!!!」がMVにもなってるし、アザゼル時代からのファンからしても戻ってきたなという楽曲なんだけど、「No!!!!!!!!!! 」を最初に出してたとしたらすごいインパクトだったんじゃない?
空也:私的には、「No!!!!!!!!!! 」がいちばんの推し曲だったんですよ。ただ、“あばれる君①”と“あばれる君②”を同時にメンバーに投げた時に、感触的には“あばれる君②”のほうがよくて、紗良ちゃんが歌詞を一瞬で作ったのがあばれる君②の「BRING IT ON!!!」でした。そしてライヴで成長したのも「BRING IT ON!!!」でしたね。
Mayo:ライヴでフロアがグチャグチャになるのが好きだし、最初は、みんな「No!!!!!!!!!! 」を推してやっていこうって言ってたんですよ。ところが、回数を重ねるごとに「BRING IT ON!!!」の成長率がハンパなくて(笑)。
空也:なんでだったんだろうね。
Mayo:わかんないんだけど、めっちゃいい曲ですよ。
紗良:私は、「No!!!!!!!!!! 」のデモ段階を聴いた時は、今までのアザゼルの流れを感じる曲だと思ったんですよ。いっぽう「BRING IT ON!!!」も元曲の段階では方向性的には近いものを感じたんですけど、「BRING IT ON!!!」は、パッと世界観をイメージできて、ここから新しいバンドが始まるというイメージを素直に楽曲に乗せられたんです。ちなみに「No!!!!!!!!!! 」は、わちゃわちゃ系にしたかったので、ライヴでわちゃわちゃするにはどうすればいいかと考えて歌詞を書いてます。
空也:「BRING IT ON!!!」は、単純かつカッコいい曲を目指して作ったんです。ヘイディーズになって、チューニングもレギュラーから下げてサウンド的にもだいぶ自分の理想に近いものになってきてるんですね。ヘヴィかつ単純、それでもカッコいいというのが私のギターのポリシーなので、それを詰め込んだ曲です。ギターもプラグインではなく、マーシャルとボグナーを鳴らして録ってます。アンプを鳴らしていいと言われてテンション上がったし、すごく楽しくて気持ちよかった。
——「Dare」はyuriちゃん曲だよね? レコーディングはどうだった?
yuri:ライヴで楽しくやれる曲がいいなという感覚で作りました。自分の好みなメロディですね。それと、アザゼル時代は自宅録音が多かったんですけど、今回、スタジオでドラムと一緒に録ったんですよ。私、ドラムによって雰囲気が変わってしまうタイプのベーシストなんで、一緒に録れたのはライヴ感も出しやすかったし、ノリもよかったと思ってます。ずっとリズム隊で一緒にレコーディングしたかったから、今回、できてうれしかったですね。
Mayo:一緒にレコーディングすると、アイコンタクトを取ったりで同じテンション感で録れるから、いいですよね。ただ、「Dare」は、手数を増やしたりしてたいへんだった(笑)。BPMが185なんですけど、サビを8ビートで刻んでほしいと言われてテンションの切り替えが激しい曲になって苦労しましたね。アルバム全体的には、ライヴ感をちゃんと届けられるような音源を作りたくて、それでいてCDでしか聴けないようなアレンジをしたかった。ドラムも、たぶんライヴではやらないであろうフレーズを入れたりしてます。
——ところどころ、デス・ヴォイスが出てくるけど、これも紗良ちゃんがやってるの?
紗良:ライヴと同じように私がやったりyuriがやったりしてます。私、これまでにデス・ヴォイスをやってきたことがなかったから、練習はしたもののレコーディングでの勝手がわからなくてエンジニアといろいろと試行錯誤をしました。アーチ・エネミーのアリッサを研究したりね。あとは、「No!!!!!!!!!! 」とか「Dare」のBメロに出てくるようなゴショゴショ言ってる部分とか、普通に歌ってる以外のところも注目して聴いてもらいたいです。なんて言ってるかは何回も聴かないとわからないかな〜(笑)。歌詞にも書いてないしレコーディングも一人だったからメンバーも知らない。私しか正解を知らないです。
空也:とにかくアルバム全編を通して、アザゼル時代よりも各パートがはるかにいい音になってるんですね。ガールズ・バンドらしからぬ音を出してるアルバムにしたかったし、聴いてるだけで圧がすごいのを目指して作っていたので、そこも楽しんでもらいたいですね。
▲左から、yuri(b)、Mayo(ds)、紗良(vo)、空也(g)/写真:Rie Shiina
ミニ・アルバム『BRINGS』
ブラックリステッド
BLRC-00136
¥2,420(税込) 2023年4月28日
①-BRINGS-
②BRING IT ON!!!
③No!!!!!!!!!!
④ダーク・ヒロイン
⑤Dare
⑥BRING IT ON!!! (instrumental)
■ライヴ日程■
5月13日(土)=心斎橋ショヴェル
5月14日(日)=栄ライオンリミテッド
5月21日(日)=吉祥寺クレッシェンド
7月2日(日)=本八幡ルート14
8月6日(日)=横浜・関内7thアヴェニュー
8月19日(土)=西川口ハーツ
■ヘイディーズ 公式サイト■
https://www.hades-rock.com/