WeROCK 093 付録CDインタヴュー〜Cran Arcanaria編

WeROCK 093の付録オムニバスCDに参加したバンドのインタヴュー集を、このWeROCK EYESでもお届け!
今回は女性ヴォーカルのクランが率いるプロジェクト、クラン・アルカナリアのインタヴューをお届けしよう。
4月29日に発売されるアルバム『Raging Raven』にも注目!

配信シングル「Dark Eternal」


暴れたい人が暴れられる空間を作りたい

——クラン・アルカナリアはソロ・プロジェクトとのことだけど、もともとはバンドで活動していたんだよね?
クラン
:ソロ・プロジェクトを立ち上げる前は、ゼストリアというバンドで活動していました。もともとバンド活動している時からソロでもやりたいと思っていて、オタク気質があるので(笑)、同人活動というか顔出しもいらないぐらいの動きをしたかったんですね。
その準備をしている頃にゼストリアから脱退することになったので、ソロ活動を表に出る方向でやろうかなと。それまではバンドがメインだったので、ソロといっても音源制作中心にやろうとしていたんですね。でも、バンドを辞めるならソロでステージに立ってもいいかなって。
——ソロ・プロジェクトを発表したのは、2019年6月となっているね。
クラン
:その発表と同時にファースト・シングル「Invisible」をリリースしているので、レコーディングとか曲作りの活動としてはその前からになります。Insurrectoというバンドのnaokiさんに曲作りを手伝ってもらってるんですが、そのバンドも女性ヴォーカルのシンフォニック系メタルなんです。
——もともとシンフォニック系のメタルが好きだったんだ?
クラン
:ゼストリアの前にarakiahというバンドをやっていたんですが、そこで一緒だった535という女性ギタリストがいるんです。彼女は今もサポートで手伝ってくれていたり、作曲もしてくれていたりします。
——ということは、そのバンドがシンフォニック系を歌うキッカケになった?
クラン
:ところが、arakiahは反対から読むとハイカラじゃないですか? ハイ・アンド・マイティ・カラーのコピー・バンドだったんで、ハイカラと一緒でツイン・ヴォーカルだったんすよ(笑)。で、J-POPと言いながら、メタラーのメンバーが多かったので曲はメタル寄りだったという。それでもシンフォニックではなかったですね。
535と私はゲーム音楽も好きで、arakiahをやっていながらユニットみたいな形で同人活動につながるような音源を作りたいと話していたんです。で、彼女が作ってくるデモが、けっこうシンフォニック寄りなものが多かったんですが、そのユニットもなかなかタイミングが合わずに実現しなくて。そのデモ時の楽曲をバンド・アレンジして、クラン・アルカナリアの曲としてファースト・アルバム『The End Of Nightmare』に収録したりしています。あの時は形にはならなかったけど、そのユニットの方向性が今の音楽性に生きてると思います。私自身、もともとシンフォニック・メタルが好きだったんですけど、やってきたバンドがロックだったりポップな感じのものが多かったので、ソロになって完全に自分の趣味に全振りした感じですね。
——ヴォーカリストとして、シンフォニック・メタルのサウンドに合ってるよね? アンラッキー モルフェウスっぽさというかFukiちゃんに近い声に感じたけど?
クラン
:よく言われます。私、陰陽座が大好きなんですよ。Fukiさんも陰陽座の黒猫さんを好きらしいので、そのルーツが似ているのかなって。歌い始めたのも、ひたすらカラオケで陰陽座や水樹奈々さんを歌っていて、バンドを始めた頃も陰陽座のコピバンをやってました。なので、もともと、そっち寄りのメタルはやりたいと思っていたんです。ただ、名古屋で活動しているんですけど、なかなか女性でバンドをやってる人というのが見つからなくて、とにかくバンドをやりたかったので最初はポップで明るいガールズ・ロック・バンドをやってました。なので、ようやくソロ・プロジェクトになって自分のやりたいことをやれてるんです。
——なぜ、バンドという形態は取らなかったの?
クラン
:まわりが、バンド中心に活動していくのが難しい状況にあったんですね。でも、彼女達の作曲能力がすごくて、これを世に出さないのはもったいないと思っていて、なんとか彼女達の曲を表に出せないかって考えてたんです。とくに535においては、誰かが引っ張らないと家でゲームをやってギターを弾いて酒を飲んでというタイプのコなので(笑)。曲を作るのも早いんですよ。“こういう曲、作って!”ってお願いすると、30分ぐらいで“こんなサビ、どう?”って曲が来る。ぜったいにもったいないと思っていて、ライヴでもタイミングさえ合えば弾いてもらいたいなって。
バンドだと、みんなの意志があって、そのバランスをとって進んで行かなければいけないじゃないですか。ひとりのメンバーの都合でできないこともあったりするけど、ソロならそれは大丈夫であって、いろんな人と音楽をやってみたいという思いを成立できるのがソロ・プロジェクトかなと。その代わり、金銭面も全部、私が賄うので(笑)、たいへんな面もあるし負担はあるんですけど、それをかけてでもやる価値はあるなと思ってます。今は、素敵なメンバーに恵まれていますしね。
——作詞以外は、他の方に依頼するパターンが多いようだけど、細かいリクエストをするのかな?
クラン
:naokiさんや535に関しては、私の好きな世界観をわかってくれているのでお任せするパターンが多いですね。デモが来た時点でバッチリですし、NGだと思ったことは一回もないです。そもそも趣味が、めちゃめちゃ合うし、535に至っては10年ぐらいの付き合いで音楽以外でも遊んだりしてますし、なにも言わなくてもわかってもらえるぐらいで(笑)。
——ところで、2019年12月に初ライヴとあるけど、となると思いきりコロナ禍になって今に至ってるよね?
クラン
:そうなんですよ。ライヴにいたっては、声出しOKなものを1回も経験したことがないぐらいなんです。
——そんな中、2020年3月にファースト・アルバム『The End Of Nightmare』をリリースしてるでしょ。
クラン
:4月にリリースするセカンド・アルバムは、かなり攻め攻めな感じで作っているんですけど、ファーストはライヴで定番になるような激しい曲から個人的に入れたかったバラードまで、かなり幅広い作品になってますね。2020年11月にはセカンド・シングル「魂ノ華」をリリースしてるんですが、このあたりまでは、せっかくソロでやるんだからいろんな方とコラボしたかったんです。ファースト・アルバムにおいては、作曲で参加してくれた方は4〜5人いましたから。「魂ノ華」も作曲は初めてお願いしたEveさんという方で、もともとはドラマーの方なんですが、エンジニアもやられているので今回の付録に収録させて頂いてる音源もミックスを担当して頂いてます。
——その今回、収録させて頂いた曲は、誰の楽曲になるのかな?
クラン
:これは、naokiさんです。セカンド・シングルまではいろんな人とやってみたいという思いが強かったんですけど、それから時間もたって周りで支えてもらえるサポート・メンバーも固定してきたので、そのメンバーが中心になってます。ソロ・プロジェクトではあるんですが、だんだんバンドに近い形で制作している感じにはなってきていると思いますね。
——それでもバンドにはしたくない?
クラン
:したくないというか、みんなを縛りたくないんです。バンドとなると、小さいことで揉めたりするじゃないですか。もったいない揉め事を起こすぐらいならソロでいいかなというのがあるんです。ソロもたいへんですけど、そういう負担はないし、まわりのサポート・メンバーがいろいろと助けてくれるのでうまく連携が取れてるとは思いますね。
——先ほど、今度のセカンド・アルバムは攻め攻めになると言ってたけど、当初からそういう方向で行こうと思ってた?
クラン
:作り始めが1年ちょい前ぐらいだったから、よく覚えてないんですけど(笑)、今回はゴシック寄りというよりもスピード感のある楽曲が多いですね。提供させて頂いた「Light of salvation」のようなテンポ感というか。前回のアルバムがバラードもあったりで幅広かったですし、ライヴでガンガン頭を振る曲ではないという楽曲も多かったんですけど、いろいろとライヴを重ねていって最近は頭を振れる曲が多いんですよ。セット・リストがマンネリ化するようなことがないように、暴れられる曲を増やそうと。
クラン・アルカナリアの色として、暴れたい人が暴れられる空間を作れる活動をしていきたいなというのがあって、今回は攻め攻めの曲ばかりにしたかった。コロナ禍で、ライヴ・ハウスでモッシュしたり声を出したりするのが難しいなか、もう少しで終息するのが見え始めてるというのもあるので、それに向けて大暴れできる曲を増やしたいなって思ってます。現在、付録CDの私達の楽曲を聴いた印象のままのアルバムを作っていて、ヴォーカルは、これまでの中でもいちばんハイ・トーンが多いし、メタル、メタルしてるので、ぜひ楽しんでもらいたいですね。

▲左から、おがさ(サポートg)、RiN(サポートb)、クラン(vo)、CHiHO(サポートds)、535(サポートg)

アルバム『Raging Raven
ARCN-0004
2023年4月29日 ¥3,300(税込)
①羽撃き-Instrumental-
②鴉
③Dark Eternal
④Judgement
⑤Invisible(Re-REC)
⑥月華幻影
⑦Dominator(Re-REC)
⑧Light Of Salvation
⑨Recollection
⑩Memento Mori
⑪Observer

現在制作中というセカンド・アルバム。数曲聴かせて頂いたのだが、スピード感たっぷりでハードな部分を前面に押し出した作品になりそうだ。クランの力強さと幅広さを兼ね備えたヴォーカルは、聴きどころ!

■ライヴ予定■
3月26日(日)=名古屋・柴田アヒル
4月22日(土)=名古屋・某所(詳細は後日発表)
4月29日(土)=名古屋・柴田アヒル
5月28日(日)=名古屋・鶴舞デイトリップ
6月3日(土)=吉祥寺クレッシェンド
6月17日(土)=名古屋・八事サウンドノート&フェアリーテイルズ
6月24日(土)=名古屋・柴田アヒル

■クラン・アルカナリア 公式サイト■
https://arcanaria.wixsite.com/cran