TOMO-ZOがTONEXシリーズをチェック!

画期的なアンプ・シミュレーターとして話題となったTONEX。その音作りを担う重要なポイントとなるソフトウェアが、大幅にアップデートされた。
なんと、コーラスやフランジャーなどのモジュレーション系エフェクトやディレイも装備。作った音色を TONEX PEDALや TONEX ONEに転送することで、アンプ・シミュレーターの枠を飛び越えて、マルチ・エフェクター的な使い方も可能となったのだ。そのTONEXの進化に迫ってみよう!
TOMO-ZOによる試奏動画
■今回、使用したのは!?
試奏で使用したのは、TONEX Pedal(写真左下/¥69,300/税込)と、TONEX One(写真右下/¥33,000/税込)、そしてPCで活躍するソフトウェアであるTONEXだ。
TOMO-ZOは、まずマックのTONEXソフトウェアで音作りをしてくれた。
バッキングは、基本1音色(ソロのバックでは音色そのままにディレイをオフ)、ソロでは2音色を使用。ソロの2音色は、ひとつが6505のトーン・モデルを使用し、そこにディレイをかけたもの。もう1音色は、その音色にコーラスもかけ、さらにチューブ・スクリーマーのトーン・モデルをTONEX Oneに転送してブースターとして使っている。
■ソフトウェアが大進化
——動画では、TONEXのPedalとOneを使ってデモ演奏をして頂きましたが、どう音作りをしていきましたか?
TOMO-ZO:ToneNET((世界中のギタリスト/ベーシストがトーン・モデルを共有しているコミュニティ)で入手したトーン・モデル)を使ったんですが、人気トップ10の一覧からメサ・ブギーの音を選びました。けっこうガッツリと厚みもありつつ録音してみるとお気に入りなトーンだったので、そこからプレゼンスとトレブルを少しだけエディットした感じですね。自分のギターとの相性もよかったので、この音を元にいこうと思いました。
——最初からメサ・ブギーの音を探したんですか?
TOMO-ZO:そういうわけではなくて、ハイ・ゲインな音を中心に探した感じですね。
——ふだんケンパーを使ってるじゃないですか? そこでの音もメサ・ブギーのモデリングですか?
TOMO-ZO:いや、サーのアンプをモデリングした音をメインで使ってます。今回はトップ10の音が、どれも完成されたものだったので、この機会に違うアンプも試してみたいと思ったんです。いろんなアンプの性質を知れるのもいいし、自分のギターとの相性がわかるのもすごく便利だなと思いました。基本的な音作りはソフトウェアだけでやりました。ホント、完成された音が多いイメージだったので、あとは好きな音を探し出して自分好みに微調整するだけで簡単に音を作ることができましたね。
——ケンパーと比べるとどうです?
TOMO-ZO:ケンパーはソフトウェアで音作りをするわけではないんですが、エフェクターが豊富なのでバンドの中で曲ごとにいろいろな切り替えがあったり、エフェクターまでこだわりたい人にはいいと思います。
対してTONEXは、ソフトウェアとして使えるし手軽さが最高です。トーンの再現度はどちらもクオリティが高くて、どちらを選ぶかは、どう使うかだったり、ギタリストの音質の好みかなと思いました。
——同じアンプのモデリングを比べてみたりしましたか?
TOMO-ZO:やってみたんですが、私の印象としてはケンパーがローのレンジが広くて、TONEXはもう少し中域に寄っていてギュッとしていて前に出てくる感じでした。
——DAWのプラグインとして使えるということで、たとえばレコーディングでも使えそうでしたか?
TOMO-ZO:ぜんぜんありだなと思います。自分が今回のデモを録音していてもすごい楽しかったしスムーズに録ることができたので、今後、ガチャリックスピンのレコーディングでも使ってみたいなと思いましたよ。
プラグインとして使えるので、ひとまずドライ音で録って、それを聴きながらいろんな音に微調整できるのはかなり便利じゃないかなって思います。今回、その音をそのままペダルに転送したわけですが、それこそDTMで曲作りされてる方にはすごいオススメしたいなって思うんです。レコーディングで作った音をそのままTONEX PedalやTONEX Oneに入れてライヴやスタジオに持っていけるのは画期的ですよね。TONEX Pedalに転送して音を出しても、そのままの自分の作った音がすぐに出てくれてるって印象で使えると思ったし、バンドでやる時に微調整できるのもいいですよね。ライヴ・ハウスで音抜けが悪かったりしたら、その場その場で調節できるわけですから。
——使い勝手はいかがでしたか?
TOMO-ZO:今回、TONEX Pedalに基本となるアンプの音を転送して、TONEX Oneにはチューブ・スクリーマー系のモデリングを転送してブースターとして使ってみました。こういう使い方も、すごくありだなと思います。
TONEX Oneは、この小さい筐体の中にアンプのトーンも入れられて、大きさとか関係なくいい音が出るんだなって。ただ、音色の切り替えは基本的には2個のプリセットなので、数個のプリセットを使いたいギタリストにはTONEX Pedalがいいですよね。50バンクまでいけるので、曲ごとに音色を変えたとしてもライヴでも使える。この2台があったら、完結しますよね。
——今回は、TONEXソフトウェアに入ってるエフェクトも駆使して音作りをして頂きました。
TOMO-ZO:バッキングではディレイを使ってます。ふだんバッキングで使うことは少ないんですが、今回は豪華さを出してみました。デジタルとテープがありますが、キレイな感じを出したかったのでデジタルのほうを選びました。
——ソロではアンプを変えてますね?
TOMO-ZO:6505のキャプチャーを使ってます。バッキングのトーンとも馴染みがありつつ、ちょっとキャラクターを変えたいと思って違うアンプを選んでみました。こちらも、トップ10で見つけてきたんですが、ホント、完成された音を見つけやすいんですよ。クランチだったりクリーンもカッコいい音がありました。
——音作り的には?
TOMO-ZO:エフェクターでコンプを使ってちょっとキュッとさせて、アンプのほうでゲインとプレゼンスを少し上げてます。ふだんコンプを使うことはないんですが、かけてみたらよい感じだったので使いました。ディレイもかけていて4分音符の設定にしました。ちなみに、キャビネットも変更できるんですが、選んだアンプのデフォルトで入ってるままを使いました。
——そして、もう1音色、チューブ・スクリーマー系のエフェクトをキャプチャーした音色を使ってますね。
TOMO-ZO:はい。TONEX Pedalのほうは、先ほどのソロにコーラスをかけた音にして、そこにTONEX Oneにチューブ・スクリーマーを転送してブーストしました。コーラスは、すごくいいかかりぐあいが好みで、シンプルな感じもいいなと思って音作りしました。チューブ・スクリーマーは、少し高音域を足したいなと思って加えた感じですね。
——総合的な評価はいかがでしょうか?
TOMO-ZO:いや、ホントにこれだけで完結できちゃうので、それこそガチャリックスピンでもちょっとしたスタジオとかにも持っていけたら便利だなと思いましたし、新曲の1曲だけやる練習とかにすごくいいいですよね。
あと、ギターを始めた人にとっても、これだけクオリティが高くてたくさんの種類の音を試せるっていうのは、いろんなアンプを知れる機会にもなるし、何よりも楽しく上達できるんじゃないかなと思うんです。どんなギタリストの方にもおすすめしたいなと思いました。ToneNETもめちゃ楽しいですしね。
■動画とリンク!
TOMO-ZOが作った全プリセット
①バッキング用プリセット
▲メインのバッキング・トーンは、ToneNETでダウンロードしたメサ・ブギー デュアル・レクチファイヤーのキャプチャーを基本に、多少イコライザーを調整しているのみ。そこに下記のエフェクトをかけている
▲使用エフェクト=ディレイ。デジタル・タイプを使用。なお、ソロのバッキングではオフにしている
②ソロ1用プリセット
▲ソロのトーンは、こちらもToneNETで見つけたピーヴィー 6505+マーシャル 412 V30キャビのトーン・モデルを使用
▲使用エフェクト①=ノイズ・ゲート。ゲイン深めでノイズが気になる時に使用
▲使用エフェクト②=コンプレッサー。ふだんはコンプを使わないTOMO-ZOが弾き心地がよいので使用!
▲使用エフェクト③=ディレイ。こちらもデジタル・タイプを使用。バッキング時とタイムとミックスが異なる
③ソロ2用プリセット
▲使用エフェクト=コーラス。ソロ1を基本に、コーラスをプラスしたセッティングだ
▲ソロ2では、もう1台のTONEX ONEにチューブ・スクリーマー系のエフェクトを転送してブースターとして使用
■TONEX PEDALの詳細■
https://hookup.co.jp/products/ik-multimedia/tonex-pedal
■TONEX Oneの詳細■
https://hookup.co.jp/products/ik-multimedia/tonex-one
■ウワサのTONEX Cabも最速レビュー
IK Multimedia
TONEX Cab
¥140,800(税込)
【仕様】
●出力:2ウェイ 350W RMS/700W Peak パワード・キャビネット
●スピーカー:高出力のギター用に特別設計された12インチ・セレッション低域ドライヴァー、大音量のステージでも鮮明なサウンドを実現する最大132dB SPL 対応、制御された指向性を持つ高性能1インチ Lavoce 高域ドライヴァー
●周波数特性:60Hz〜20kHz
●コントロール:ベース、ミドル、トレブル、アンプ・トーン、8プリセット、ヴォリューム、AUXレベル、IR ローダー内蔵
●入出力端子:USBインプット、MIDIイン/アウト、AUX IN(XLR 1/4 インチ・入力)、XLRバランス出力(PRE/POSTスイッチ付き)
●外形寸法:546(幅) x 432(高さ)x 230(奥行き)mm
●重量:12.7kg
※TONEX for Mac/PC SE とAmpliTube 5 SEソフトウェア付属
▲リアに設けられた入出力端子。MIDIも装備し、アウトプットはPRE/POSTスイッチ付きで、PAに接続したり、複数のキャビネットをスタックして最大限のパワーを得ることが可能となっている
アンプ・シミュレーターから出力されるトーンを完璧に再現するというコンセプトで開発されたTONEX Cab。
入荷ホヤホヤのこちらのモデルも、TOMO-ZOに試奏してもらった!
TOMO-ZO:いつも使っているケンパーとTONEX Pedalを接続して使用してみたんですが、アンプ・トーンというコントローラーを調整することによってライヴ感も出たりするんですね。ここで印象が変わるので、自分好みのちょうどいいバランスにするのがポイントです。コントローラーをマイクのほうに寄せるとレンジが広くなってくれる印象で、少しレンジが広すぎるな、もっと“キュッ”とさせたいなと思ったので私の好みは3時ぐらいの位置ですね。ライヴのほうに寄せるとミッド・レンジが豊富になる印象です。
ふだんケンパーからPAに送る音をTONEX Cabで出力したんですが、ホント、そのままのトーンでした。客席で聴いてるようなギターの音が出てくれるんです。
各EQの幅も広く、ライヴ会場ごとに調整もできると思いました。パワー感も充分なのに見た目よりも軽いし、どこに行っても手軽に自分の理想の音を再現できるのはすごいですね。
▲コントロール・パネル。ちなみに、こちらはTOMO-ZOが作ってくれたセッティングになっている
▲サイドのスタンドを使えば、スラント使用も可能
▲グリルを取り外すと、高域ドライヴァーを装備しているなど通常のギター用キャビネットとは違うことが確認できる
▲グリルは取り外すことが可能で、交換用の色違いも発売している。左がシルヴァー、右がゴールドで、各8,800円(税込)だ
■TONEX Cabの詳細■
https://hookup.co.jp/products/ik-multimedia/tonex-cab