俺のMarshall〜島 紀史 編

アンプの王者“マーシャル”が、今年で創立60周年を迎えた。
これを記念して、本誌では“俺のMarshall”をアーカイヴ&追加取材でお送りしているが、このWeROCK EYESでも公開したい!
今回は島 紀史(コンチェルト・ムーン)編だ!!


弾き手を鍛えるような、マーシャルならではの
ラウドでビッグなアンプを作り続けてください

僕とマーシャルとの出会いといえば、まず自分が憧れた人達……リッチー・ブラックモアもゲイリー・ムーアも、ウルリッヒ・ロートもイングヴェイ(・マルムスティーン)も、大谷レイヴンも中間英明も、全員、マーシャルだったわけですよ。だから、自分が好きだと思うギタリストの後ろには、かならずマーシャルがあったんです。13歳でギターを始めて15歳でバンドに入ったんですが、当時はマーシャル以外の選択肢はなかった(笑)。
初めて手にした自分のマーシャルは、高校1年の終わりに先輩から譲ってもらうことになったものです。JCM800の4インプットでマスター・ヴォリュームが付いてない100wでした。マスター・ヴォリュームが付いてないモデルだったのでバカでかい音でね。というか、バカでかい音にしないと歪まなかった(笑)。
今も思っていることなんですが、マーシャルってユーザー・フレンドリーなアンプではなかったと思うんですよ(笑)。ギターを直で接続すればレコードと同じ音が出る、というアンプではなかった。大音量で、しかもちゃんと弾かないと音にならないような歪みの量のアンプだったんです。だからこそ、ギターの腕をマーシャルに鍛えられたという部分がすごくある。触ったらいい音が出るような歪みなんて、ストラトとマーシャルだけでは得られなかった。そこには、腕が必要になっていて、だからこそ今もヴォーカリストが困るようなラウドな音量で弾けるようになったんです。

JCM800の後は、73年製ぐらいの1959を音も気に入って買いました。その1959は、コンチェルト・ムーンのファースト・アルバム『FRAGMENTS OF THE MOON』(1997年)の頃まで使ってましたよ。その後、違うメーカーのも使っていたんだけど、ダブル・ディーラーのファースト・アルバム『Double Dealer』を2000年に作ることになって、その時に原点に立ち返ろうって思ったのと、下山(武徳)さんという強力な声を持つヴォーカリストと一緒にやるんだから“やっぱり、これはマーシャルだよな。ギターも強力なほうがいい”って思って、東京都内のありとあらゆるヴィンテージ・マーシャルを扱っている店に行って、1959と1987を1台ずつ買ってきたんです。
1987は50wなんだけど、初めて50wを買った。1987は、よく歪むし扱いやすかったんだけど、僕にとっては音も小さいしクリアさに欠けたんです。やっぱり100wがいいなと思って、1987を手放し、また東京中を駆け巡って1959を買いました。その時に買った1959は、2011年にコンチェルト・ムーンでリリースした9thアルバム『SAVIOR NEVER CRY』まで使ってます。

その後に使ってるのが、今の1967 Majorで200wマーシャルですね。コンチェルト・ムーンのレコーディングで言うと『BLACK FLAME』(2013年)からで、その少し前から使い出した。これが、1959よりも、さらにクリーンで、すごくワイド・レンジで音がキレイなんでね。歪ませるのは難しいけど、歪ませた時にヘンにコンプレッションがかからないアンプなんです。すごく弾くのは難しいんだけど、“やっぱりこういうことだったのか!”というトーンが出る。自分の右手で出しているニュアンスがアンプから再生されてほしいという部分を、限りなく理想に近い形で出してくれるのがMajorなんです。

キャビネットにもこだわりがあります。今もメインで使っているキャビは、Bキャビで18歳の頃に買ったものなんです。それをずっと使っていて、ダブル・ディーラーの最初の頃に、もう1台Bキャビを買って2発鳴らそうと思って買ったのが、今も使ってるJCM800の時代のベース用キャビネット(写真)なんです。65wのスピーカーが4発入ってるタイプですね。

マーシャルのいちばんの魅力は、ハードな音楽をやるうえでの理想的なロー・エンドがあるところですね。ブンブンというローではなく、ちゃんとゴンゴンと鳴ってくれるんです。それと、ギター・プレイヤーにとっては何にも代えがたい歌うようなミドル・レンジもある。で、ストラトキャスター・ユーザーにとっては理想的な、最前列の人の鼓膜を揺さぶるトレブル。ヘヴィ・ロック、ハードな音楽をやるにあたって、そのバランスが実現しているアンプはマーシャル以外にはないと思っています。

マーシャル60周年おめでとうございます! これからも現代のニーズに応えたアンプもそうですが、マーシャルならではの弾き手を鍛えるようなラウドでビッグなアンプを作り続けてください。僕も、マーシャルをいい音で鳴らせるギタリストになれるよう精進します。

長年愛用している2台のMajor1967と、キャビネットの1935B。本文中にもあるように、70年代製のベース用のモデル。
この他、会場によっていはヴィンテージ30搭載のキャビネットも使用している

島 紀史のセッティングを公開!(Majorのメイン・セッティング)

※WeROCK 048(2015年8月発売号)での特集をもとに追加取材しています。