俺のMarshall〜Yuki & Seiji 編

アンプの王者“マーシャル”が、今年で創立60周年を迎えた。
これを記念して、本誌では“俺のMarshall”をアーカイヴ&追加取材でお送りしているが、このWeROCK EYESでも公開したい!
今回はYuki & Seiji(D_Drive)編だ!!


私のサウンドはマーシャルじゃないと作れないもの(Yuki)

——おふたりにとって初めてのマーシャルというと?
Seiji
:僕は、トランジスタのLEAD12が最初のマーシャルです。大型でいえば、JCM800になりますね。その後、JCM2000(DSL100)にいき、現在のJVM410です。
Yuki:私は、2000(TSL100)が最初になります。その次が現在のJVM410になります。
Seiji:800を購入した時、僕はまだ中学生だったんですね。LEAD12はありましたけど、マーシャルの大型真空管アンプを初めて鳴らしたんです。ブースターでボスのOD-1を使って弾いたら“これが、マーシャルの音か!? デカい音で気持ちいい!”って思いつつ、中学生だったのであまりくわしいことはわかってなかったんですね(笑)。
そこからだんだんとキャリアを重ねていくと、すごく反応が速いアンプだということに気づき始めて、クリーンもギターのヴォリュームを絞ると操ることができるんですよ。それが2000になるとクリーン・チャンネルも搭載されて、だんだんと奏法的にも変わっていきました。2000になると歪みの感じも変化していて、ふくよかさが出てきた気がしましたね。2000を使ってたのは、かなり長かったですよ。
Yuki:私も、2000は7〜8年ぐらい使ってました。2000が最初だったので、マーシャルらしいストレートでシャキーンとした音がこれなんだなって思ってました。だからといって今のJVMより2000がよかったなというわけではないんですけど、マーシャルらしい音というのは2000なのかなって思ってましたね。
——そこは世代の違いですね(笑)。
Seiji
:Yukiちゃんはスタートが2000だったので、その気持ちはものすごくわかる(笑)。
Yuki:じつは、私、その後もヴィンテージ系のマーシャルを試す機会というのがなくて、JCM900あたりはリハーサル・スタジオとかにあったので弾いたことはあったんですが、800でさえほとんど弾いてきたことがなくて。900も、けっこう好きですよ。ギターを始めた頃、スタジオとかにあったのは900だったことが多くて、その頃の印象なので、今、使うとまた違うイメージかもしれないですが。
——Seijiさんは、キャビネットもいろいろ試されてますよね?
Seiji
:2000の時は、グリーン・バックのスピーカー4発が入ってるモデルでした。そのコンビネーションの相性がいいと思っていて、JVMでもスピーカーをそれにしてもらったんですが、今度は相性がよくないと感じて。なので、通常の1960タイプをリクエストして。最初のグリーン・バックが入っていたのはBキャビだったので、Aキャビに通常のスピーカーが入ってるモデルを用意してもらったんです。で、それを試してバッチリの相性だと思って数ヵ月弾いてたんですけど、ある時、グリーン・バックのほうに戻したら“あれ? こっちのほうが気持ちいいぞ”って(笑)。で、結果的に、今はグリーン・バックのほうを使ってます。
Yuki:私は1960で、最近はBキャビを使うことが多いです。
——ツイン・ギターということで、わざと相手と違う音の方向性にしたりはするんですか?
Yuki
:それはないですね。
Seiji:それぞれで気持ちいい音を出してる感じです。

マーシャル=ロックな存在は今でも変わらない(Seiji)

——最新アルバム『DYNAMOTIVE』では、ステレオで聴いた時、左右で音の違いがありますよね?
Yuki
:基本的に左チャンネルから聴こえるのが私で、右チャンネルがSeijiさんです。D_Driveのレコーディングでは、ずっとマーシャルを使っていてプラグインとかで音を作ったことはないですね。あの細かいピッキングやフレーズのニュアンスを拾ってくれるのは、やっぱりマーシャル・アンプならではと思いますね。
Seiji:最近のシミュレーターも優秀だとは思うんですね。それでも、エアー感が違うように聴こえてしまうんですよ。なにが生のアンプと違うのか言葉で説明するのは難しいんですけど、音を聴き分ける自信はありますし、それぐらい違いがあると思います。
——2000からJVMに変わって苦労した点はありますか?
Yuki
:最初は、音作りが別物という印象を受けたので苦労しました。これまで2000で作ってきた感じを出すのも難しかったんです。そこから、いろいろと試行錯誤して今の音を作り上げた感じです。
Seiji:僕も、最初は2000との違いは感じました。コンプ感が違うし音の飛び方もそれまでと違う印象で、中低域の出方がすごいなと思ったんです。その部分を踏まえたうえで音作りをしていけば、慣れてきますね。最初思ったのは、JVMってそれほど大きな音を必要としないギタリストなら、すごく音作りがしやすいアンプだなって。
Yuki:私が使ってるのはOD1チャンネルのオレンジ・モードで、ゲインは3ぐらいです。EQは、その時で変わってきますが、トレブルは2〜3ぐらいなことが多いです。ミドルやベースは6あたりで、プレゼンスは1〜2あたりであまりハイを出さないようにはしてます。
Seiji:僕もOD1のオレンジ・モードで、ゲインは0.5〜1ぐらいと、めっちゃ少ないです。トレブルが1〜3、ミドルが7、ベースが5、プレゼンスは0。それを会場によって微妙に変更してます。
——オーバードライブやブースターなど、ペダル・エフェクターは通してるんですか?
Yuki
:かけたりかけなかったりです。
Seiji:僕はソロ以外はかけてないです。2000の時はかけっぱなしだったんですけどね。曲によってはソロでもかけてないぐらい歪んでくれます。JVMなら、歪みエフェクターいらずですね。
——では、60周年を迎えたマーシャルにメッセージを!
Yuki
:60周年おめでとうございます。マーシャルには、音の存在感があります。どんなアンサンブルでも、聴こえる音にしてくれます。私達はマーシャル・レコーズからリリースさせて頂いたり、一緒にお仕事をさせて頂いているわけですが、そういうことを抜きにしても私のサウンドにはマーシャルが不可欠なのかなと思ってます。長年愛用していますし、これからも使っていく気満々です。
いろいろ便利なものが出てくる世の中ですが、マーシャルにそういったことも期待しつつ(笑)、自分のサウンドはマーシャルじゃないと作れないものなので、これからも使ってプレイしていきます。マーシャルって、本国イギリスで鳴らすと違うんですよ! また、イギリスに行ってマーシャルを鳴らしたいですね。
Seiji:マーシャル60周年、ホントにおめでとうございます。僕の中で、ギターを始めた頃から憧れのブランドで、マーシャル=ロックな存在は今でも変わらないです。今では、いろいろな技術を導入して、古き良き伝統を守りつつ新しい部分も取り入れてるマーシャルはさすがです。80周年90周年と続くように、いい意味で時代に流されず伝統を守りつつ、よいサウンドを届けてほしいです。これからも、マーシャルを使い続けていきます!

左がYukiのJVM410とスピーカー・キャビネット(1960A&B)。
右がSeijiのJVM410とスピーカー・キャビネット(
下段がインタヴューで語られているグリーン・バックのスピーカー入り)

Yukiのセッティングを公開!(メイン歪み=OD1 オレンジ・モード)

Seijiのセッティングを公開!(メイン歪み=OD1 オレンジ・モード)