俺のMarshall〜ジェイル大橋代官 編

アンプの王者“マーシャル”が、今年で創立60周年を迎えた。
これを記念して、本誌では“俺のMarshall”をアーカイヴ&追加取材でお送りしているが、このWeROCK EYESでも公開したい!
今回はジェイル大橋代官(聖飢魔Ⅱ)編だ!!


音がボヤけたり、レスポンスが遅いのは好きじゃない。
そういう面で、今メインで使っている1959に満足している

ジェイル大橋代官マーシャルの存在はね、ライヴで壁のように置かれている写真を音楽雑誌などで見て知るようにはなったけど、当時はまだあまり興味がなかった。もちろん、マーシャルはリハスタなどに置かれていれば弾いてみたことはもちろんあったけど、当初はキンキンした音の印象であまりいいと思わなかったんだよね。アンプ自体の個体差もあったのかもしれないけど、当時の自分では扱いきれなかった。聖飢魔に入った頃もまだマーシャルを使ってなくて、最初はグヤトーンを使ったり、その後、(エース清水)長官といっしょにセイモア・ダンカンのアンプも試したりしてね。

当時、シャラ(石原愼一郎)さんや(大谷)レイブンさんと親しくなってよく一緒に遊んでて、みんなマーシャルがいいって言うんだよ。それで、シャラさんがアースシェイカーのデビューの頃に使っていたけど、音がデカすぎて使えないということで、その1959を譲り受けることになってね。それが今でも俺がメインで使っているアンプ。
聖飢魔
を辞めてアメリカに渡る時にそのアンプも持っていって、向こうでリー・ジャクソンにカスタマイズしてもらってね。当時は、アンプのカスタマイズがハヤっていたし、マスター・ヴォリュームを付けて、もっと使いやすくしたくて。リー・ジャクソン・カスタマイズの特徴は、フリーケンシー・アジャストメントというツマミが追加されて、ミドルのツマミとつながっていること。フリーケンシーのツマミは、たぶん800Hzから2,000Hzぐらいかな、6段階で分かれて設定されていて、そこから周波数帯を選んでミドルのツマミで調整する。あとね、よくカスタマイズすることで音がよくなると思っている人もいるけど、そうじゃないんだよ。もともとの、そのアンプがよくないと無意味。そのシャラさんから譲り受けた1959以外に、もう1台1959をカスタマイズしてもらったけど、それはけっきょく手放したよ。今は1959を4台持ってるんだけど、どれも71年から73年製あたりのマーシャルだね。聖飢魔のレコーディングでもその改造マーシャルをメインに使う。

あと、全席死刑ツアーでは、自分のステージ・モニター用に1959SEを使ったんだよね。ホントは、そのステージ・モニター用にサブの1959を用意してたんだけど、リハ中にトランスが煙を噴いて修理に出していたから。1959SEはクルーの勤める楽器店に5台ぐらい入ったということでリハスタに持ってきてもらって、(ルーク篁)参謀といっしょに全部を弾き比べて1台を購入した。
他にマーシャルでは、スタジオ15(4001)というビルトイン(コンボ)とJCM600のビルトイン・タイプも持っている。スタジオ15はいろんなレコーディングで使ってるよ。JCM600は魔暦5年(2003年)頃にアメリカでたまたま見つけて手に入れてね。それは、飛行機で日本に持って帰ってきたよ。

ギターの音がそのまま素直に出てくれるものが好きで、音がぼやけたり倍音成分のバランスが悪かったり、あるいはレスポンスが遅かったりするのは好きじゃない。プレイヤーが出している音を劣化させるものはいらない。そういう面で、マーシャルで言えば、今、メインで使っている1959に満足しているし、満足しているから他の新しいアンプに興味がないんだよ(笑)。ただ、できるなら、俺のメイン・アンプの1959の“絶対に壊れないヴァージョン”が欲しい。アンプに限らず、プロと同じ機材を使ってみたいというのはよくわかる。でも、使ってみたらハッキリすると思うけど、同じ音は出ないんだよね。そこを決めるのは楽器側じゃなくて、プレイヤー自身。俺も、いろんなギターや機材を触ってみたけど、行き着いたのはそのプレイヤーのその音のフィーリングをコピーすることだったから。
マーシャルの音は永遠。60周年おめでとうございます。

魔暦23年(2021年)に行なわれたヴィデオ黒ミサの収録用リハーサルで用意されたマーシャル。
アメリカでリー・ジャクソンによる改造が施された1973年製。キャビネットは1986年製の1960A

同じく魔暦23年(2021年)に行なわれたヴィデオ黒ミサの収録用リハーサルで用意されたマーシャル。
こちらはサブで上段が1959SE、下段が1972年製の1959

1959のセッティングを公開!

※WeROCK 052(2016年4月発売号)での特集をもとに追加取材しています。