ピックアップで進化する高崎 晃サウンド

キラー・ギター創設時より、多くのギタリストに愛用されてきたピックアップ(ダイナバイト&LQ-500)が高崎 晃(ラウドネス)監修のもと、パワー・アップされニュー・モデルとして発表される。
さっそく高崎本人に、その新製品に関して語ってもらおう。


今回のピックアップはガツンときて音の迫力がすごいよ

——87年にキラー・ギターが登場すると同時に、ダイナバイトとLQ-500というピックアップも発売されましたので、もう40年近く歴史がありますね。
高崎
:最初に開発した時は、何度も工場に行ってコイルの巻数を調整しながらその2個を作ったんだよね。最初に目指したのは、パワーがあるタイプではなく、ギブソンのP.A.F.のような、ちょっとパーリー・ゲイツっぽい出力が抑えめなもの。だから、どんどん巻数を減らす方向でチューニングしていってね。
——巻数を増やすとパワフルになるんですね?
キラー・ギターズ(以下KG)
:そうですね。
高崎:メタルやったら多いほうがいいと思いがちだけど、そうでもないんだよね。他のピックアップと比べるとわかると思うんだけど、ミドルがやや薄いぶんレンジが広い。
ピックアップってすごく大事なパーツで、今もいろんなピックアップを弾き比べたりしてたんだけど、弦があって、その振動をいちばん最初に拾うところでしょ。だから、すごく重要。同じギターでもピックアップを替えるだけで、だいぶ印象が変わる。とくにクリーン・トーンで比べるとよくわかるよ。
——ダンカンのモデルを使っている時でも、59タイプだったり、あまり高出力のものは使ってないですよね?
高崎
:やっぱり立体的な音が好き。パワーがありすぎると、すごく平面的なサウンドになってしまう。たとえばレコーディング時にダブルでギターを録るとするでしょ。出力の高いピックアップで録るとディストーションの壁ができすぎちゃうんだ。俺は奥行き感がほしい。ただ、今回のモデルは、少しミドルも出るようにしているよ。
——素材を変えたそうですね?
KG
:リア・ピックアップのLZ-610は磁石の部分がアルニコ5からセラミックになりました。
高崎:そのセラミックの影響なのかクリーンの印象はハイが滑らかで耳に痛い部分がないんだよね。歪ませた時は、ダイナバイトよりも塊感がある。ダンカンで言うとJBっぽいというか中域があるように感じるんじゃないかな。
一般的には、今回のピックアップのほうが好かれると思う。最初のダイナバイトは弾く人を選ぶよね。俺は好きだけど、“丸裸な状態で弾くのか!?”みたいな音だったから(笑)。今回のLZ-610は、ミドルも厚いし多くのギタリストに受け入れられると思う。
——フロント用のLQ-600の素材もセラミックなのですか?
KG
:いや、LQ-600はアルニコ5のままなんですけど、巻数を増やして少し重心を下げた感じです。これまでのダイナバイトとLQ-500は、高崎さんのアンプやギターのセットで高崎さんが弾くとあのサウンドが出てくれるんですけど、一般の方が小さめのアンプで弾くとあの音にはならないんですよ。なので、そこを補う方向でモダンな音のモデルにしてみました。
——数年前にダンカンから高崎さんのシグネイチャー・ピックアップが出たじゃないですか? あのモデルと比べるとどうですか?
高崎
:あれはあれで素晴らしいピックアップなんでね。今回のキラーのモデルはミドルが厚いぶん粘りもあるので、初心者がメタルをやるんだったらダンカンのシグネイチャーより弾きやすいと思う。あのシグネイチャーは、ギブソンの70年代初期に付いていたピップアップだったり、ティム・ショウが作っていたようなモデルだったりを想像しながらチューニングしていったんだよね。
それに、もちろんギターとの相性もあるよ。シグネイチャー・ピックアップが付いていたギターを、ある時、ダイナバイトに付け替えたことがあるんだ。そしたら、やたら抜ける音になったんだよ。ステージでスピーカーの指向性の位置から外れても、すごくハイが聴こえてくる。それは、今回のモデルも共通してるね。
——高崎さんが使用しているピックアップは、すごくピッキングのニュアンスが出るタイプですよね? そう考えると、今回のモデルもその方向性ですか?
高崎
:そうだね。“初心者でも”とは言ったけど、いきなり高出力ですごく歪むピックアップを作ったわけではないよ。これまでよりミドルが出て、少しパワフルになったぐらいかな。
——高崎さんがピックアップをセレクトするいちばんのポイントはどこになりますか?
高崎
:弾いたぶん、しっかりと出てきて、ピッキングのニュアンスが伝わるものがいいよね。強く弾いても弱く弾いても変わらないようなピックアップはおもしろくないでしょ(笑)。
——ところで、高崎さんのピックアップの高さは、どれぐらいにしてあるんですか?
KG
:それぞれのギターの鳴りで出力が変わってしまうというのもあって、微妙に高さは違いますね。あとは、2弦のポールピースを少し下げ目にしています。そうすることで、ストラトのポールピースのように2弦の倍音を減らすようにしてるんです。
高崎:ピックアップの高さは、低めだよね?もうちょっとパワーが欲しいと思って俺が上げたりしても、だいたい下がって返ってくるから(笑)。ピックアップを上げすぎると、音が暴れて飽和状態になってしまうんだ。スピーカーって、動かないと迫力ある音を生み出さないんだよ。たとえばアンプで低音を上げて弾いたりすると、ずっとスピーカーが出っぱなしになってへばりついたままになってしまうんだよ。その時点で飽和状態になってしまうから、ご機嫌なサウンドは出ないし平面な音になってしまう。そのへんの微妙なコントロールをアンプとかピックアップでしていかないと“ゴンゴンゴン”っていう音はこないんだよね。そういう部分で考えても、今回のピックアップは音の繋がりもいいし、すごくクリーミーさもあって前モデルよりもメタルをやるならガツンときて音の迫力がすごいよ。もちろん、いろんなジャンルのギタリストにも使えると思うよ。

手前が、ニュー・ピックアップに変更された高崎愛用機(KG-Prime 21 the spirit)。
後方のKG-Prime Rising sunには、LQ500(フロント)とLZ-510 Dyna-bite(リア)が搭載されていた


Killer Guitars=ニュー•ピックアップ

LQ-600(フロント用)
¥16,500(税込)

【仕様】
●ロゴ:SILVER
●磁石:アルニコ5
●抵抗値:12kΩ

▲ブラック

▲ホワイト(受注生産)

▲ブラック/クリーム

▲ブラック/ホワイト(受注生産)

■LQ-600の詳細
https://www.killer.jp/parts/pickup-lq-600.html

 

LZ-610(リア用)
¥16,500(税込)

【仕様】
●ロゴ:RED METALLIC
●磁石:セラミック
●抵抗値:17.5kΩ

▲ブラック

▲ホワイト(受注生産)

▲クリーム/ブラック

▲ホワイト/ブラック(受注生産)

■LZ-610の詳細
https://www.killer.jp/parts/pickup-lz-610.html