俺のMarshall〜ルーク篁参謀 編

アンプの王者“マーシャル”が、今年で創立60周年を迎えた。
これを記念して、本誌では“俺のMarshall”をアーカイヴ&追加取材でお送りしているが、このWeROCK EYESでも公開したい!
今回はルーク篁参謀(聖飢魔Ⅱ)編だ!!


プラグを挿した瞬間に“あ、この音だよね”という感覚が得られる。
音に芯があるんだよね

ルーク篁参謀自分のマーシャルを手に入れたのは、聖飢魔に入って少ししてからなんだ。
聖飢魔
に入るまではまともなアンプを持っていなくて、聖飢魔に入った時、セイモア・ダンカンとのエンドースみたいなものがあったから、俺も一時期、ダンカンのキャビネットとメサ・ブギーの2チャンネルのアンプ・ヘッドという時期があったけど、そのブギーを俺は扱いきれなくて、全然いい音を出せなかった。それで、マーシャルを使ってみればというまわりの意見もありつつ探してみたら、当時の悪魔寺(事務所のようなもの)の先輩でもあった和田アキラさんがマーシャル1987を楽器店に委託で出しているという話を聞いたのか、実際に楽器店で見たかしたんだよ。それで、ご本人に直接譲っていただけないかと話をして、1987とキャビネット1960Aをいっしょに格安で譲ってもらった。それが、最初に手に入れたマーシャル。

この1987はちょっと変わっていて、譲ってもらった時からプリ管が1本多く、合計4本搭載されていたんだ。この話をアンプに詳しい人にするとおかしいなあって言われるけどね(笑)。そのためか、この1987は他の1987より歪んだ気がする。かなりの間、メインで使っていたし、メイン・アンプでなくなってからもコンスタントに使ってきて今も持っている。他に、ヴィンテージ・マーシャルも最高で7台ぐらい持っていたけど、手放したものもあるから今はそんなに持ってないよ。一時期ライヴで長い間メインで使っていた72年製の1987は手元に残していて、あと1959を1台くらいかな。

聖飢魔の『有害』の黒ミサの頃は、1987と1959をリンクさせて使っていた時期もあったけど、当時の俺だから音のことをわかっていなくて、ろくな音を出していなかった。その後はADAのMP-1(プリアンプ)とVHTのクラシック(パワー・アンプ)という組み合わせの時もあったし、聖飢魔の後期からCANTAの初期まではボグナーのエクスタシーも使ったりもした。
そのボグナーの後は、ブギーで深い歪みと迫力のある低音というハヤリもあって、俺もブギーを使ったりしたけど、CANTAのアルバム『流星と春の嵐』のレコーディングでブギーだけでなくマーシャルも試してみようかということでJCM2000 DSLを使って1曲だけ「Monster」を録ったんだ。そうしたら、その音がいちばん好きな仕上がりになってね。“ああ、やっぱり俺にはマーシャルなんだな”って再確認して、それ以来、ずっとマーシャル1本。その後、そのJCM2000は、トランスを交換しなきゃいけないような修理をすることになったんだけど、直ってきたら音がちょっと変わってしまって。それで新製品をチェックしてみようとなって、試奏した中から気に入ったケリー・キングのモデル(2203KK)とJVM410Hを手に入れたんだ。
JVM410Hは4チャンネルでいろいろ使えるし、CANTA以外でいろいろ仕事をする時に便利だなという意味もあって。フラッグシップ・モデルだし、これを持っておけば間違いないだろうと。でも、その時に1959RR Randy Rhoads Signatureも弾いて、じつは音の面でいちばん気に入ったのは1959RRだったんだ。

マーシャルを使ってきた理由としては、プラグを挿した瞬間に“あ、この音だよね”という感覚が得られるというところ。音に芯があるんだよね。ゲインを上げてもつぶれきらないし、ピックが当たった時にザクザクではなくコンっといってくれる感覚を残せる。オーバードライブをつないでも、その感覚を残しつつ歪みが増やせるところが好みだし魅力かな。あと、ギター側のヴォリュームを絞って優しく弾いた時の音もまたいいし、絞って強く弾いた時もまたいいんだよね。
時代が変わって音楽の流行りも変わったけれど、マーシャルは変わらずずっと最前線にいてくれる俺の相棒。ルックスから音からすべてがパーフェクト。今後も長く確かなお付き合いをよろしく!

魔暦23年(2021年)に行なわれたヴィデオ黒ミサの収録用リハーサルで用意されたマーシャル。
左上段がメインのJVM410H、左下段がサブの1959RR。スピーカーはMODE FOURだ

こちらはWeROCK 043で掲載した当時のマーシャル。CANTAでのライヴ・セットだ。上段がメインの1959RR、下段がサブのJCM2000 DSL

JVM410Hのセッティングを公開!

※WeROCK 043(2014年10月発売号)での特集をもとに追加取材しています。