WeROCK 087付録CDインタヴュー〜VIRAL RUMOR編

エクスカリバーやエボニー・アイズなどで活躍していたギタリストの金谷幸久。これまでのWeROCKオムニバスCDには、ソロ名義で参加してくれていた彼が、今回は自身のバンド、ヴァイラル・ルーマーで参戦。
4月27日にリリースされるファースト・アルバム『NO SURRENDER』からタイトル曲を収録している。

様式美とは違ったメロディアスなロックです

——これまで、WeROCKのオムニバスCDには、金谷さんはソロ・ギタリストとしてインストゥルメンタル曲で参加してもらったことがあったんですが、今回はヴァイラル・ルーマーとして参加ですね。このバンドはいつ頃に始動したんですか?
金谷:2017年、芝本とスタートしてます。とあるイヴェントで、自分が過去にやっていたエクスキャリバーというバンドの曲を彼に歌ってもらったら、イメージにぴったりで、とてもうまくいって。それで、じゃあ何か新しい曲を作ってみようかということでメンバーを集めていったんです。
——芝本さんの音楽的な背景はどんな感じなんですか?
金谷:芝本の好みは幅広いと思いますが、自分の身近なところでは、X-RAYの藤本 朗さんやハリー・スキュアリーの南 安秀さんが好きですね。芝本は南さんの弟子でもあって、昔、自分が南さんとやっていたリフレックスというバンドや、エボニー・アイズのライヴもよく観に来てくれていたんですよ。
——他のメンバーはどんな方なんですか?
金谷:のんたん(Noriko Oda/b)は、ブラック・ヤックやGiFリキッド・ブレインズというバンドでも活動していて、リッケンバッカーの使い手として以前から注目してたんです。なおぢ(Naoko Nakano/kb)は、以前、KROCKARK(ロックアーク)というバンドで一緒にやってました。緻密で繊細な音作りが特徴です。ハクチウムや、自分のインストゥルメンタル・バンドのマジェクスティック・ホライズンでも一緒にやってますね。ドラムのGenは先日20歳を迎えたばかりの若者ですが、音楽活動歴は長くて、小学生の頃から三匹の子豚という兄弟バンドで、ライヴをバリバリやっていた天才ドラマーなんですよ。
——そして、現在ヴァイラル・ルーマーは新作『NO SURRENDER』を制作中なんですよね。
金谷:ええ。今までの音楽制作の中で、さまざまな事情や理由で実現できなかったことを実現させようとしていますね。新曲はもちろん入りますが、以前に発表した自分のソロ・アルバムに入っていたインスト曲を歌モノにしたモノ、エクスキャリバーやエボニー・アイズの曲を、今の自分の解釈でリメイクした曲も入ります。
——基本的には、メロディアスなハード・ロックという感じになりそうですね。
金谷:そうですね。自分のソロ作品より演奏はハードで攻撃的なんですが、メロディを重視しているので、意外とポップだなという印象を受けるかもしれないです。ギターに関しては、これまでの自分の作品と比べて、いちばん弾きまくっています。
——それは楽しみです。その新作から今回「No Surrender」で参加してもらいましたが、この曲の作詞作曲のテーマを教えてください。
金谷:歌詞は芝本が書いているんですが、一連のコロナ騒動がテーマです。メンバーそれぞれが苦しい場面、状況を迎え、今もそれは続いています。そんな状況に、タイトルどおり、“降参してたまるか!”って思いが込められています。
楽曲自体は、じつは以前から自分のインスト曲としてあったもので、敬愛するゲイリー・ムーアのハード・ロック期みたいな楽曲を作ってみたいというところからスタートしました。芝本から、その曲に歌を付けてみたいと言われて、それならばとテーマを決めて再構築したんです。
——そのテーマとは?
金谷:ハードなんだけど、キャッチーにしたいと思いました。 退屈な長いソロは止めて、凝縮してコンパクトに。 短くてもちゃんと起承転結のある押さえるところは押さえるメロディアスでドラマティックなものにしたいと。
——叙情的なソロも聴きどころですよね。
金谷:ありがとうございます。ネオクラや様式美とはまた違ったメロディアスなハード・ロックを、このヴァイラル・ルーマーではやりたくて。
——新作のレコーディング全体を振り返って、とくに印象に残っていることはなんですか?
金谷:とても恵まれた環境で、全体的にスムーズに作業ができたことですね。今までバンドでレコーディングする時って、いつも時期を逃しているというか、バンドの状態があまり好ましくない時期に行なうこともあったんですね。例えば、人間関係がうまくいってなかったり、自分のモチベーションが維持できてなかったり……極端に言うと、旬を逃してからレコーディングする場合がほとんどだったんです。
でも、今回のヴァイラル・ルーマーのアルバムは、ライヴ経験も充分に積んで、人間関係もモチベーションも、とてもいい状態でレコーディングできてます。ギターに関して言えば、さっきもお話ししたように、今までのどの作品よりも弾きまくっていますし、それぞれの楽曲の曲調、場面に合わせて、セッティングを変えたり、ギター本体を変えたりと試してみたいと思ったことは、すべて納得いくまでできたんですね。自分は偏屈でワガママでマイペースなので(笑)、それを理解して受け入れてくれるメンバーやスタッフには、本当に感謝していますね。
——この新作発表後のヴァイラル・ルーマーの予定も教えてもらえますか。
金谷:コロナ禍なので、ライヴ活動はどうしても自分の地元である京都が中心になってしまうんですが、京都の都雅都雅で隔月でライヴをやっています。年内のライヴ予定は、3月22日、5月21日、7月23日、9月17日、11月19日です。このヴァイラル・ルーマーに加えて、自分が他にやっているマジェスティック・ホライズンというバンドやトリオ・バンドのライヴもやっていきます。ヴァイラル・ルーマーとマジェスティック・ホライズンのダブル・ヘッダーの時もあります(笑)。楽しみにしていてください。

左より、Gen Fujino(ds)、Noriko Oda(b)、Shigeaki Shibamoto(vo)、Yukihisa Kanatani(g)、Naoko Nakano(kb)

■レーベル 公式サイト■
https://majestic-horizon-entertainment.com/

アルバム『No Surrender』
SOUND RISING JAPAN
SRJCD-005
¥2,750(税込) 4月27日
①Dazzling Down
②Run Through The Night
③No Surrender
④Night Train
⑤In Hard Time
⑥Shout Like A Tiger
⑦Tailwind

◎WeROCK 087制作時、レコーディング中だった本作。そのため、まだ作品の全貌は明らかになっていないが、金谷のインタヴューからも彼のギターが炸裂するメロディアス・ハード・ロックな作風、そしてヴァラエティに富んだ内容が期待できそうだ。