WeROCK 087付録CDインタヴュー〜Jill’s Project編

テラ・ローザやアフロディーテなどで活躍する岡垣“Jill”正志が率いるジルズ・プロジェクト。彼らが2004年にリリースしたアルバム『Last Contract』を再発するという。
今回はそのアルバムにも収録されていた「Upsurge Unconscious」のWeROCK verで参加してくれた!!

自分自身にとって原点回帰的な作品です

——今回、なぜファースト・アルバムの『Last Contract』を再発することになったんですか?
岡垣:オリジナルは2004年にリリースしたんですけど、現在入手が困難なので。それで、ボーナス・トラックを加えて、リマスタリングをしてという形で再発します。
もともとは、ANI-Katsu(関 勝美/b)がパチスロのトリビュート作品を作る時に、彼から“原点回帰の意味も含めて、岡垣さん、様式美の作品を作ってください”とオファーがあって、それがうまくいったんですね。そのトリビュート盤が2001年に出たんですが、その後も曲を作っていたので、これを作品にしようというのが最初でした。あと、その頃、YOUちゃん(足立祐二)が耳を悪くしていて音楽から離れていたんですけど、また復帰できるというのでアルバムに参加してよという話もとんとん拍子で進んだんです。でも、そのYOUちゃんが、残念なことに一昨年(2020年)に亡くなってしまい、彼の足跡をあらためて世に送りたいと思ったんです。YOUちゃんの現役復帰第1弾的なアルバムでもありますし、自分自身にとっても原点回帰的な作品ですので。
——そのアルバムから、今回のオムニバス参加曲として「Upsurge Unconscious」を選ばれた理由は?
岡垣:そのアルバムではYOUちゃんがメインでギターを弾いていて、アルバムに収録されている「Upsurge Unconscious」もYOUちゃんなんですが、じつはオムニバスに提供したのはBurny(日下部正則)が弾いているヴァージョンで、アルバムに収録されたものとは少しアレンジも違うんです。で、今回、イントロにも少し手を加えたスペシャル・ヴァージョンなんですよ。
——現在、再発盤のリマスタリング中とのことですが、当時のことも蘇りました?
岡垣:ハツラツとしているというか、計算して作ったというより自然に作っているなあというのは感じました。今は演出だとか、ここはこうしないといけないなとか考えることも多いんですけど、そういうのがないというか、頭に浮かんだものをそのままレコーディングしていたのを思い出します。その場でデモを聴いてもらいつつ、簡単な譜面とメモを見て、“OK、じゃあ録音しよう”みたいな感じで。録りながら進めていたし、セッション的でしたね。
——そんな『Last Contract』ですが、作品全体としてどういう作風でしょうか?
岡垣:最初にお話ししたように、始まりというかきっかけは、パチスロの音楽を様式美アレンジしつつ、オリジナルに仕上げてくれというところだったんですね。レインボーだったりテラ・ローザだったりのイメージでやってくれと。2000年当時、僕自身はそういう音楽を作っていなかったというか抑えていたんですが、そのパチスロのトリビュートでは、自分が得意としているところが爆発して、思う存分できたんですよ。個人的にメガ・ヒットしたんです。それが軸となって曲作りを進めたので、そうした様式美な作品になっていますね。
当時、タイトル曲の「Last Contract」がアルバムを締めくくっているんですが、テラ・ローザの時からアルバムの最後は大作で締めようというのが僕の中の決まりだったので、その時も劇的に締めくくるというプランで作った曲でしたね。全体的には、当時の僕がやりたかったことをそのまますべて詰め込んだものになっています。
——今回は再発ですが、ジルズ・プロジェクトとしての新作はどうなんですか?
岡垣:2022年中にニュー・アルバムを出そうと思っています。アフロディーテのアルバムも計画しています。あと、そうした新作と合わせて、過去の自分の作品についてもリニューアルした形で発表しようと思ってます。今回のジルズ・プロジェクトだけでなく、テラ・ローザなども含めて。
——テラ・ローザについては、2年前に予定されていた『Endless Basis』再現ツアーがコロナ禍で中止となってしまい、その後、赤尾(和重)さんがライヴ活動を引退されることも発表されて……。
岡垣:僕や三宅(庸介/g)も、赤尾から“WEBを見てください”と連絡が来て、みなさんと同じタイミングで彼女の引退を知ったんです。本人がそう決めたから仕方がないし、でも、テラ・ローザの楽曲やライヴを求める声は僕にも届いてますし、じつは去年に『Endless Basis』のツアーをやろうと思い、具体的な日程や会場も決まっていたんです。でも、それを発表する前にコロナ禍がまたひどくなって。
だから、何らかの形で『Endless Basis』はやるつもりですし、できれば2022年中にと考えてます。新曲をいくつか作っているので、これをどういう形で完成させて、発表していくかというところですね。
——今回のオムニバスを通じて、読者にアピールしたいのは、どういう部分でしょうか?
岡垣:今の世の中の楽曲制作って、ひじょうにプログラミングが活躍して、整理されたものだと思うんですね。それはそれで僕も好きなんですけど、今回の参加楽曲はセッション性が高くて、現場で作り上げていったものなんです。作曲は僕ですけど、みんなで作り上げていったという昔ながらの手法で完成した曲なんですね。だから、今の音楽と比べるとラフなところがあるかもしれないですが、そこがハード・ロックやヘヴィ・メタルの大元のところですし、そこに重きを置いています。そうした生々しいところを聴いてほしいですね。今回の楽曲だけでなく、アルバム全体がそうなっています。
若いメタル・ファンにも聴いてほしいし、“こういう音楽もいいね”って思ってもらえたらうれしいです。そして、『Last Contract』全体として、改めて言いたいのは、当時参加してくれたメンバーが、ウルフの関 勝美、ハリー・スキュアリーの出原 卓、デッド・エンドのYOUちゃん、スナイパーのBurny、ダンサーの藤本泰司……と80年代のジャパニーズ・メタル・シーンで活躍した人達で、でも、自分のバンドを背負っていないというか、自由にプレイしてくれているんですね。そこも聴いてもらえるとうれしいですね。

■岡垣“Jill”正志 公式サイト■
https://jill-okagaki.com/

アルバム『Last Contract』
Aphrodite Symphonics
JPRS-032
¥3,300(税込) 5月25日予定
※曲数未定

◎2004年にリリースされたジルズ・プロジェクトのファースト・アルバムが再発される。岡垣のもと、祇上養一(vo)や足立祐二(g)、関 勝美(b)、出原卓(ds)、他が集結し、様式美サウンドを響かせる。今回の再発での岡垣のマスタリングで、どう印象が変わるのかも興味深い。