360 Reality Audioでラウドネスを聴く!

360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティ・オーディオ)と聞いても、まだまだ馴染みのない読者が多いことだろう。
時代の最先端を行く音楽体験なのだが、なんと我らがラウドネスのライヴ音源が、この音楽体験によって配信されるという。
いったい、どんな音楽体験なのか迫ってみよう。


高崎 晃も驚愕した360 Reality Audio!
〜なめてかかったら、
迫力と臨場感に驚かされたね

高崎:自分も昔からオーディオは趣味で、5.1chとかもいろいろ試したし、今もちょうどAV アンプを探してたりとか、映画も好きなんで、最新の音響システムが導入されたと聞けば、映画館に行って楽しんでる。だけど、今回に関しては「ヘッドホンだけで?」と少しなめてかかってたら、ちょっと驚かされたね。
まず、今回、出来上がってきた『8186 LIVE』の360 Reality Audio(以下、360RA)音源、とても35年前とは思えない迫力と臨場感で、当時来ていたお客さんは、こんな感じで自分達のステージを観られてたのかな? とかいろいろ考えさせられたし、このシステムを利用して、過去の作品を当時できなかったような立体的な音像で表現したりと、新たな作品を作り出すクリエイティヴィティも刺激されたね。
それと、耳の形を計測して個人の聴感特性に合わせて最適化し、よりリアルで臨場感ある360RAコンテンツを楽しめるヘッドホン“WH-1000XM4″では、音のよさはもちろん、ノイズ・キャンセリングの遮音性、充電時間の持ちなど、海外ツアーなど長時間移動が多い自分達には完璧やね。でも、装着したまま熟睡してたら、飛行機が着陸したのにも気づかず、CAさんに「もしもしお客様……」って起こされる羽目になりそうやけど(笑)。

 

開発者インタヴュー

——360 Reality Audio(以下、360RA)という新しい音楽体験は、技術的にどのようなシステムで実現されるのでしょうか?
澤志【ソニー株式会社 HES事業本部モバイルプロダクト事業部モバイル商品技術2部チーフ・エンジニア】
:これまでのオーディオというのは、スピーカーのある配置をベースとしてものでした。ステレオであれば自分の正面に2つのスピーカーがあって、そこから音が鳴ってくるというのを前提に作られたものですね。
それに対して360RAが採用しているミュージックフォーマットは、オブジェクト・ベースのオーディオになっていて、スピーカーがどこにあるのかということはまったく意識せずに、音がどこに位置しているのか……音のデータとその位置情報のデータがセットになって配信されていきます。なので、どこになんの音があるのかという制作意図を再現しようとするものになっています。
——もともとは、どういう発想から始まったものなのですか?
澤志:MPEG-H 3D Audioが新しい規格を策定することになり、10年ぐらい前から始まりソニーも参画しました。その時に、次世代のオーディオということでオブジェクト・ベースのものを開発していこうとなり規格化がスタートしていったんです。現在の360RAも標準規格であるこのMPEG-H 3D Audioに準拠しており、配信にも適した仕様となっています。
——オブジェクト・ベースというのは、具体的にどういうことでしょう?
澤志:たとえば、ヴォーカルをマイクで収録します。そのヴォーカルの音は、空間内のどこで鳴るべきなのか。音の空間を360度の球体にした時、ヴォーカルはどこに位置しているのか。その位置情報をヴォーカルの音と合わせて記録します。360RAのシステムでは、その音がその位置のまま再生されるんです。ギターはギターで、どこの位置で再生するのか。その位置情報を含めた1つ1つの音のことをオブジェクトと言います。
——これまでのスピーカーが2つあるシステムとは、まったく別の考え方になりますね。
澤志:ミックス・エンジニアの方も、これまでとは違う方法でミックスすることになります。DAW用のプラグイン・ソフトウェアとして制作ツールがありますので、それを使用すると画面上に球体が出てきます。そこで、音をどこに配置していくかイメージしながら直感的にミックスしていく形になります。ただ、ミックスする際も2チャンのスピーカーだと限界がありますので、ヘッドホンで行なうのがオススメですね。ヘッドホンでミックスする際は、13chのリファレンスの位置を再現するバーチャル処理を行なって確認できるようになっています。
——となると、リスナー側も専用のヘッドホンじゃないと体験できないのですか?
澤志:ふだん使用されている一般的なイヤホンやヘッドホンでも体験していただくことは可能です。認定のヘッドホンであれば、よりよい体験ができるようになっていまして、スマホ専用アプリを使って自分の耳の写真を撮影し、そこから個人に最適化されたパラメーターを計算し適用します。それにより、音場を一人一人に最適化した臨場感ある音で聴くことができます。
——これまでにも5.1chサラウンドなどのシステムがありましたが、それらとはどのような違いがあるのですか?
澤志:まず従来の配信では、所定のスピーカーの位置から音が再生されることを前提にしたチャンネル・ベースだったんですが、360RAはオブジェクト・ベースでの配信なのでまったく違います。
360RAは水平面だけではなく、360度の球体を表現しているので、水平面に加えて上側というか北半球の情報、さらに耳よりも下である足元も含めた南半球の音も再現できるように作られています。
——とすると、たとえばドラム・セットに座った目線で、下からバス・ドラムの音、中央にスネアの音、左やや上にハイハット、右上にチャイナ・シンバルの音、という音像も作れるんですね?
澤志:可能ですね。われわれの今回のフォーマットというのは、音楽を最大限再現するにはどうすればいいかということからのスタートでした。現在は、映像も加えた360RAということも始めてまして、コンサートでカメラマンがいろいろなパートのミュージシャンを追いかけていくと、それに合わせて音も場面に応じて変わっていき、まさに会場にいるような雰囲気になるんです。アーティストに近づくとそのアーティストが演奏している楽器が大きく音が聴こえたり、振り返るとそこにいる人が奏でる楽器が聴こえるという方法ですね。映像と組み合わせることで、実際のライヴ会場にいるようなパフォーマンスが得られるようなことも考えています。
——映像がなくても、ライヴ音源は360RAを体感してもらうにはオススメですか?
澤志:ですね。その場にいるかのような臨場感や空気感、会場の音やホール全体の音などを表現しやすいんです。ライヴ空間の上のほう、下のほう、うしろのほうの音をうまく表現することができると思います。
——現状、CDなどではこの音を体感することができないんですよね?
澤志:はい、ストリーミング・サービスのみになっております。
——では、360RAが、もっともターゲットにしているユーザーは、どんな人達になるのでしょうか?
澤志:開発している我々としては、この360RAで音楽リスニングの歴史を変えるぐらいの意気込みで開発しています。ステレオでのリスニングというのは、おそらく半世紀以上、続いていると思うのです。それを大きく変える時期に来ていると思うんです。そこには、このオブジェクト・オーディオを使ったフォーマットというのがピッタリなんじゃないかと。なので、これから、いろんな音楽をこの360RAで置き換えていけるといいかなと思っています。

▲左上が、これまでのステレオ再生。右上と左下がサラウンド→3Dサラウンドのイメージ。それらに対して、360RAは全方位から音が聴こえてくる感覚だ

 

ラウドネスのコンテンツが配信開始

冒頭での高崎 晃のコメントにもあるように、ラウドネスの伝説の『8186 LIVE』音源が、360RAで配信開始された。
今回、配信された曲は、「Loudness」「Rock Shock」「Dark Desire」「Streetlife Dreams」「Crazy Doctor」で、全方位から、あの日のライヴが迫ってくる。体験できるのは Deezer というストリーミング・サービスだ。
なお、『8117 LIVE』もDeezerやAmazon Music HDで10月に配信予定という情報も入っている。
詳しくは、10月15日発売のWeROCK 085をチェックしてほしい!

 

360 Reality Audioを疑似体験!

現在、ソニーの360 Reality Audioを紹介している公式サイト内で360 Reality Audioを疑似体験できるようになっている。
詳しくは下記のサイトにアクセスしてみてほしい!

https://www.sony.co.jp/united/360ra_sounddive/#j_music

360 Reality Audioが聴けるのは
このストリーミング!

「360 by deezer」というスマホ専用アプリを使用すれば、音にこだわった360 Reality Audioを、今、使用中のヘッドホンやイヤホンでも体験可能だ。
また、ソニーから発売されている認定ヘッドホンを使用すれば、さらに360 Reality Audioの本当の世界を体感できる!

■360 by deezerの詳細■
https://www.deezer.com/ja/devices/app/360bydeezer

Amazonが提供するAmazon Music HDでは、360 Reality Audio認定スピーカーを利用すると360 Reality Audio が体験可能。

■Amazon Music HDの詳細■
https://www.amazon.co.jp/music/unlimited/hd

※この他、海外のストリーミング・サービスであるnugs.netでも360 Reality Audioのストリーミング・サービスを行なっている

 

高崎 晃が絶賛したヘッドホンは?

ソニー WH-1000XM4
¥オープン

【仕様】
■ヘッドホン部(レシーバーのある製品はレシーバー部を含む)■
●型式:密閉、ダイナミック
●ドライヴァー・ユニット:40mm ドーム型(CCAWボイスコイル採用)
●感度:105dB/mW(有線接続、POWER ON時 1kHzにて)、101dB/mW(有線接続、POWER OFF時 1kHzにて)
●マグネット:ネオジウム
●再生周波数帯域:4 Hz – 40,000 Hz (JEITA)インピーダンス40Ω (有線接続、POWER ON時 1 kHzにて)、16Ω(有線接続、POWER OFF時 1 kHzにて)
コード長:約1.2m、OFC線、金メッキ・ステレオ・ミニ・プラグ(ヘッドホン・ケーブル)
●コード・タイプ:片出し(着脱式)
入力プラグ:金メッキL型ステレオミニプラグ
●質量(コードは除く):約 254g
ヘッドホン部(その他)■
●電源:DC3.7V(内蔵充電式リチウムイオン)
●電池充電時間:約3時間(フル充電/1.5AのACアダプター使用時)
●充電方法:USB充電
●電池持続時間(連続音声再生時間):最大30時間(NC ON時)、最大38時間(NC OFF時)
●電池持続時間(連続通話時間):最大24時間(NC ON時)、最大30時間(NC OFF時)
●電池持続時間(待受時間):最大30時間(NC ON時)、最大200時間(NC OFF時)
●周波数特性:4Hz-40,000Hz
●対応インピーダンス:40 Ω (有線接続、POWER ON時 1 kHzにて)、16Ω(有線接続、POWER OFF時 1 kHzにて)
●音声入力端子:ステレオ・ミニ・ジャック
マイクロホン部■
●型式:MEMS
●指向特性:全指向性
●有効周波数帯域:50Hz-8,000Hz
■付属品■
充電用USB(Type-C)ケーブル(A-C)、保証書、キャリング、ケース、航空機用プラグ・アダプター、接続ケーブル、取扱説明書
■Bluetooth■
●通信方式:Bluetooth標準規格 Ver.5.0
●出力:Bluetooth標準規格Power Class1
●最大通信距離:見通し距離 約10m
●使用周波数帯域:2.4GHz帯(2.4000GHz-2.4835GHz)
●対応Bluetoothプロファイル(Bluetooth製品の特性ごとに機能を標準化したもの):A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)、 AVRCP(Audio Video Remote Control Profile)、 HFP(Hands-free Profile)、 HSP(Headset Profile)
●対応コーデック(音声圧縮変換方式のこと):SBC, AAC, LDAC対応コンテンツ保護SCMS-T方式
●伝送帯域(A2DP):20Hz – 20,000Hz(44.1kHzサンプリング時) / 20Hz – 40,000Hz(LDAC 96kHzサンプリング、990kbps 時)

上で高崎 晃が絶賛しているヘッドホンがこちら。ソニーのWH-1000XM4だ。
高性能に進化したBluetoothオーディオSoCが、ソニー独自開発の「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」と連係することで、アルゴリズムの進化を実現させたモデル。
通常のヘッドホンとしてはどうなのか? WeROCK的視点で迫ってみたぞ!

最近のヘッドホンは、高音質はもちろんのこと、Bluetoothによるワイアレスだったり、ノイズキャンセリング機能を搭載していたりと多機能なモデルも多い。
そんな時代だが、WeROCK試奏班としては、流行のドンシャリ系の音作りがされているモデルや、ノイズキャンセルされすぎるもの、そしてBluetoothを利用したワイアレスのモデルは、原音とは違う方向のトーンになるモデルも多かったため、ヘヴィ・メタルを聴くには、いまひとつオススメできなかった。せっかく、音にこだわりまくっているメタル・ミュージシャンの音は、なるべく原音に近い形で聴くのが取材時などにも正しい選択ではなかろうか……と偉そうなことを言ってしまったが、電車などでのリスニング時は、やはりワイアレスが便利! 変化してしまう音色を諦めるか、と思っていたところに高崎 晃も絶賛したモデルが登場。さっそく、試奏(試聴?)してみよう。
まずは、高崎 晃が絶賛した、WH-1000XM4だ。こちらはBluetooth仕様だが、ワイアードでも聴けるので最初はワイアードで試聴。装着してみると、その段階でかなりのフィット感があり、すでに周りの音を遮断してくれているのがわかる。ワイアードで聴く場合、電源オフでも聴くことができるようだ。そのまま、聴いてみると、ギターは充分なトーンで再生されているが、ドラムのアタックが弱く感じた。“これって、もしかして電源を入れなきゃいけないのかな?”と思い、電源をON! すると、大迫力! ドラムのアタックだけではなく、ベースもギターも、すべてが迫ってくる。かといって、ドンシャリ気味なトーンではなく、かなり太めの中域が感じられるし、高域の痛い部分もないので疲れない。ドラムのタム類をはじめ各楽器のバランスとヌケもよく、ベースのフレーズもしっかり聴こえる。
この状態でノイズキャンセリング機能をオフにしても、とくにトーンの変化は感じられないのがすごい。Bluetooth接続に切り替えてみると、ワイアードと比べると、多少の違いはあるが、中域がドッサリとなくなることはない。中高域の一部をやや抑えたトーンに聴こえ、そのぶんドラムのアタックが強く出てくれるので、“こちらのトーンのほうが好き”という方もいるのではないだろうか。ちなみに、ノイズキャンセリング機能をオンにしても、ほぼ違いはわからなかった。すごいぞ!

■WH-1000XM4の詳細■
https://www.sony.jp/headphone/products/WH-1000XM4/

 

インナーイヤーのWF-1000XM4もチェック!

ソニー WF-1000XM4
¥オープン

【仕様】
■ヘッドホン部(レシーバーのある製品はレシーバー部を含む)■
●型式:密閉、ダイナミック
●ドライヴァー・ユニット:6mm
●マグネット:高磁力ネオジウム・マグネット
●質量(コードは除く):約7.3 g×2
■ヘッドホン部(その他)■
●電源:Li-ion
●充電時間:約1.5時間
●充電方法:USB充電(ケース使用)、ワイヤレス充電(ケース使用)
●電池持続時間(連続音声再生時間):最大8時間(NCオン)/最大12時間(NCオフ)
●電池持続時間(連続通話時間):最大5.5時間(NCオン)/最大6.0時間(NCオフ)
■マイクロホン部■
●型式:MEMS
●指向特性:全指向性
■付属品■
●USBケーブル:USB Type-C™ cable
■Bluetooth
●通信方式:Bluetooth標準規格 Ver.5.2
●出力:Bluetooth標準規格 Power Class 1
●最大通信距離:10m
●使用周波数帯域:2.4GHz帯(2.4000GHz-2.4835GHz)
●対応Bluetoothプロファイル(Bluetooth製品の特性ごとに機能を標準化したもの):A2DP, AVRCP, HFP, HSP
●対応コーデック(音声圧縮変換方式のこと):SBC, AAC, LDAC
●対応コンテンツ保護:SCMS-T
●伝送帯域(A2DP):20Hz-20,000Hz(44.1kHzサンプリング時)/ 20Hz-40,000Hz(LDAC 96kHzサンプリング、990kbps時)

続いて、インナーイヤータイプのWF-1000XM4を試聴してみよう。
こちらは、完全ワイアレス仕様で、再生機器とBluetooth接続するモデルだ。音色は、WH-1000XM4よりもスッキリとしていて全体的にヌケがいいトーン。もしかしたら、WH-1000XM4が完全密閉型だったのでミッドを強く感じさせ、こちらのほうがフラットに近いかもしれない。ドラムやベースはアタックが強く、ギターは余計な中域を抑えてプレゼンス部分も出してくれているのでヌケがいいようだ。どちらのタイプも、各楽器がバランスよく聴こえるのでコピーする際にもありがたいヘッドホンと思えた。ちなみに、スマホ専用アプリに付いているEQの効きが素晴らしく、自分好みのトーンにすることもあっという間にできる。ノイズキャンセリング機能と外音取り込み機能(アンビエント・サウンド・モード)、そしてそれぞれのオフの設定もスマホ専用アプリで行なう。どれを選択してもトーンが変わらずに再生してくれるのが、すごい。

■WF-1000XM4の詳細■
https://www.sony.jp/headphone/products/msa/WF-1000XM4/

■試奏のまとめ■
ふと気づくと、Bluetooth接続のヘッドホンを試聴してるのを忘れるほど、どちらも音質がよすぎる。時代は、ここまでのクオリティのヘッドホンを生み出したんだなと感心させてくれる。というか、それがソニーだからなのか、とにかく満足のいく2モデルだ。
この2モデルは、今回紹介している360 Reality Audio認定モデルとのことで、WeROCK試奏班も『8186 LIVE』を360 Reality Audioと、通常のCDとで比べてみた。CD音源に比べると、 360 Reality Audioは奥行き感があり、実際のライヴ会場にいる感覚だ。目を閉じると、時は86年にさかのぼり、目の前には、代々木オリンピック・プールのステージ上にオリジナル・ラウドネスの4人がいてくれる(涙)。そんな感覚に陥るぞ。

■360 Reality Audioの詳細■
https://www.sony.jp/headphone/special/360_Reality_Audio/