XSONICのAIRSTEP㊙︎作戦!
WeROCK 083の新製品コーナーで紹介したところ、“あのスイッチはなに?”とアーティストからの問い合わせが多かったエックスソニックのエアーステップ。
前号では簡単な紹介だったのだが、今回はTSPのShuに、このエアーステップがどれだけ便利なのかを実験してもらった!
XSONIC
AIRSTEP
¥27,500(税込実勢価格)
【仕様】
●MIDIアウト:Bluetooth MIDI、USB HOST(5v電源供給)、USB MIDI、5ピン標準 MIDI(2基)
●MIDIイン:Bluetooth MIDI、USB HOST(5v電源供給)、USB MIDI、5ピン標準 MIDI
●入出力端子:フットスイッチ・アウト×2、エクスプレッション・ペダル・イン×2
●電源:内蔵充電池(5v〜9v DCで充電)、連続使用300時間
●外形寸法:300(幅)×70(高さ)×45(奥行き)㎜
●重量:700g
●動作環境:iOS 10以上のデバイス、Android 4.0以降のデバイスのみ、macOS 10.6以降のMacintoshコンピューター、Windows 10以降のWindowsコンピューター
ワイアレス仕様!
さらに制御はスマホ・アプリで一発!!
Shu:パッと見だと、MIDIスイッチャーのようだけど、どうやら、それだけにとどまらないのが、このエアーステップだ。解説によると……DTM作業をはじめ、PCでの作業、スマホでの音楽アプリなどなどの操作ができてしまうということで、こんなシンプルなスイッチが、どこまで便利なのかを今回は検証してみたいと思う。
まず、これは、便利と思ったのが、電源が充電式な点! さらに、Bluetooth対応機器なら完全ワイアレスで接続できてしまうのはうれしい。さっそくPCにBluetooth接続して、YouTubeを操作してみると、サクサクとコントロールができるではないか。コンパクト・エフェクターをプリセットするようなスイッチャーではないけれど、エクスプレッション・ペダルも接続できるし、デジタル・アンプなんかは、このエアーステップさえあれば、簡単に制御できるのではないだろうか? 今回は、PCでの接続はもちろんのこと、ヤマハのデスクトップ・アンプであるTHR-Ⅱや、マルチ・エフェクターとアンプを使った試奏などなどで実験してみた。
▲大きさは、このとおりの小型なタイプだ。
充電式なので、Bluetoothでの使用に限れば、完全ワイアレス仕様となる
▲細かい設定は、iOS/Androidでダウンロードできる無償のアプリで行なう。
こちらはアプリの画面
作戦①:ヤマハ THR-Ⅱを操作してみる!
Shu:まずは、僕も自宅で愛用しているヤマハのTHR10Ⅱ Wirelessを、エアーステップを使ってコントロールするという裏技を実験してみよう。
ヤマハのTHR-Ⅱは、ハードな歪みから、透明感あるクリーン、さらにはコーラスやフランジャーなどのモジュレーション、エコーやリバーブなどの空間系などなどまで、いろいろな音色が搭載されたデジタル・アンプだ。ここで使用したTHR10Ⅱ Wirelessは、充電しても使えるし、ギターとワイアレスでの接続もでき、エアーステップを使えばケーブルいらずで音を出すことが可能となってくれる。
さて、エアーステップ自体の設定は、無料のスマホ・アプリで行なうのだけど、残念ながら2021年7月現在でTHR- Ⅱの設定は登録されていなかったので、自力で設定してみよう。エアーステップの設定はアプリ側で行なうので、写真①と②のように設定してみた。
▲【写真①】動作には問題ないが、快適に使うためにはエアーステップ側の設定をする必要がある。デフォルトでは入っていないので、アプリにて設定する
▲【写真②】エアーステップ側のスイッチの設定は、このようにしてみた。
これは、写真①のAの部分をタップすると表示され、細かい設定が可能になる。この設定以外にも、いろいろなパターンが設定可能だ
問題は、ここからだ。THR-Ⅱも、専用アプリで細かい音色の設定が可能で、この専用アプリのツマミやエフェクトの設定を、エアーステップを使って変更してしまおうというわけだ。その設定方法をわかりやすく下に公開してみたので参照してほしい。
THR-Ⅱ自体、5つのプリセットが可能なので、各プリセットを、ちょうど5つあるエアーステップのスイッチに割り当てるのが手っ取り早い。それ以外にも、例えばリバーブのオン/オフというエフェクト操作を割り当てることも可能だった。うまく設定が完了すれば、ギター、エアーステップ、THR-Ⅱという3台をワイアレスで接続し、野外での演奏も可能になるぞ!
設定方法を公開!
▲①=まずは、THR-Ⅱのスマホ・アプリであるTHR RemoteでTHR-ⅡとエアーステップをBluetooth接続することから始める。
THR Remoteの上記の赤線で囲った部分をクリック
▲②=THR-Ⅱとエアーステップをペアリング接続する
▲③=上記の写真②の画面から画面外をタップすると、Bluetooth MIDI Devices画面が閉じるので、続いてTHR Remoteのノブのアイコン(赤線で囲った部分)をタップする
▲④=エアーステップのフット・スイッチにアサインしたい、ユーザーメモリー番号、もしくはエフェクトを選択する
▲⑤=“Press Controller or send MIDI Message…”画面が表示されるので……
▲⑥=エアーステップの5つのフット・スイッチから、割り当てたいスイッチを押す
▲⑦=情報が割り当てられたらAssignをクリックすれば完了
▲⑧=最後にTHR Remoteのノブのアイコンをタップして終了だ
●追記:9月下旬現在、AIRSTEPのスマホ・アプリで、ヤマハ THR-Ⅱのセッティングがデフォルトで装備。さまざまなセッティングや操作が簡単に行なえるようになっている。
作戦②:YouTubeを使えばコピーがラク!
Shu:上記の“エアーステップ作戦その①”は、THR-Ⅱをお持ちのギタリスト専用の作戦だった。次は、PCなどで多くのみなさんが愛用しているYouTubeを、エアーステップを使って操作してしまおうという“作戦その②”を紹介したい。
最近のギタリストのなかには、YouTubeを使ってコピーする方も多いと思う。ところが、ギターを弾きながらキーボードを操作するのは、けっこう面倒だ。しかも、コピーするとなると、止めては巻き戻しの繰り返し。両手がふさがってると、わからないフレーズにイラっとしたことも多いことでしょう。
そんな時にエアーステップを使えば、空いている足で再生/ストップ、巻き戻し、早送りができてしまうのだ。さらに、エアーステップの設定も簡単。冒頭でも説明したけど、アプリにデフォルトである“Youtube”という項目を選択するだけ。それが下の画面だが、A〜Eに再生やストップなどの項目がアサインされてることがわかるはず。これ以外にも、PCのキーボードでできる操作を、独自にアサインすることも可能で、エアーステップをBluetooth接続すれば、わずらわしいコード類もなくスッキリとセッティングできるぞ!
▲YouTubeで操作する際の設定は、アプリにデフォルトで入っている。
左上の赤線で囲った部分から“Youtube”を選ぶだけだ
作戦③:アンプ+マルチ・エフェクターを
制御する
Shu:“作戦その③”は、リハーサル・スタジオなどで便利な使い方だ。
エアーステップは、MIDIなどに対応しているマルチ・エフェクターならプリセットの切り替えでも活躍してくれるので、リハスタなどで大いに活用可能。しかし、僕のように“歪みはアンプで作りたい!”というギタリストにとっては、問題がある。
たとえば、マルチ・エフェクターで歪みサウンド用とクリーン・サウンド用のエフェクトを作り、歪みとクリーンはアンプのチャンネルを切り替えるとなると、マルチ・エフェクターの切り替えと、アンプのチャンネル切り替えのふたつの作業を瞬時にやらなくてはならない。ところが、エアーステップには、ラッチ・タイプのチャンネル切り替え用のスイッチも搭載されているので、これを使えば、真空管アンプによってはエアーステップのワン・アクションで音色の切り替えが可能になるのだ。ひとつのスイッチを踏むことで、マルチ・エフェクターのプリセットを切り替えつつアンプのチャンネルも切り替える、というコンパクト・エフェクターを制御するプログラマブル・スイッチャーのような使い方ができてしまう。
対応可能なマルチ・エフェクターやアンプは、それぞれ調べていただくしかないのだが、今回、実験で使用したズームのMS 50Gなら、エアーステップのアプリにデフォルトで設定が搭載されているので、セッティングもあっという間にできたぞ!
▲エアーステップの設定は、デフォルトでZOOM MSシリーズという項目があるので、それを選択し、エディットしていった。
アンプの切り替え設定をプラスすればOKだ
▲このようにスイッチを設定すれば、マルチ・エフェクターの切り替えと同時にアンプを切り替えることが可能だ
作戦④:DAWでのレコーディングに超便利!!
Shu:ここまで、3つの作戦を紹介してきたが、じつはいちばん重宝しているのが、ここで紹介する“DAWで使用する作戦”だ。
“作戦その②”で紹介したYouTubeでの使用に近いのだけど、レコーディングやデモ制作の時は、ギターを持ちながら何度も録り直す作業を行なわなければならない(実力的に……)。デモ制作の時などは、思いついたフレーズをDAWにどんどん録音していくので、マウスだったりキーボードの操作のためにギターから手を離すのが、ストレスになってしまうこともある。というか、これまではそれが当たり前だったのだが、こういったDAWでの連続する操作がエアーステップを使って可能になるのだ。足での操作を覚えると、ホント、これまでの手での操作がなんだったのかと思うぐらい重宝する。
最初は、エフェクトを踏み変えるという感覚よりも、車でクラッチを操作しながら運転するような感じだったが(最近はオートマの方が多いので違うかもですが)、慣れてくるとかなり高速に制作作業も進んでくれる。これは、レコーディング作業だけではなく、ミックスなどを行なうエンジニアにもオススメしたい。
今回は、Logicでの実験だったが、これまた設定がデフォルトでアプリに搭載されているので、すんなりとできた。ProToolsなど、デフォルトで入ってないソフトでも、PCのキーボードで操作できることは、すべてエアーステップにアサインできるぞ!
▲デフォルトではCubaseやLogicというDAWでの設定が入っている。
もちろん、他のDAWを操作することも可能
Bluetooth接続のみに特化した
Liteもあります!
◎エアーステップには、Bluetooth接続のみに絞ったAIRSTEP Liteもある。今回の実験でいえば、マーシャル・アンプ+マルチ・エフェクター接続以外ならば、Bluetooth接続なのでLiteでも可能だ。
こちらの価格は、¥19,800(税込実勢価格)となっている。
■AIRSTEPの詳細■
https://hookup.co.jp/products/xsonic/airstep
■AIRSTEPが通販で購入可能■
○イケベ楽器
AIRSTEP
https://www.ikebe-gakki.com/c/c-/ef/ef14/ef141396/702859
AIRSTEP Lite
https://www.ikebe-gakki.com/c/c-/ef/ef14/ef141396/702860
○ミュージックランドKEY
AIRSTEP
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/xsonic-airstep
AIRSTEP Lite
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/xsonic-airstep-lite