イギリス生まれのロトサウンド弦を弾き比べ!
イギリスで生まれ、長く全世界で愛されてきたギター&ベース弦のロトサウンド。
そのロトサウンドの日本国内での販売体制が変わり、興味深い弦も入手しやすくなった。
そこで、今回はギター弦全8種類を弾き比べ!
ベース弦で名を知られているロトサウンドだが、ギター弦も同様に高品質だ!!
“総じて、ブライトでパンチがあってヌケがいい弦です”
試奏レポートの前に、まずはロトサウンド弦の概要をお伝えしたい。
解説してくれたのは、神田商会の営業戦略室の西村暢紘氏だ。
1958年、ジェイムズ・ハウが弟のロン・ハウとともにイギリスのケント州に弦の製造会社を立ち上げたのが最初ですね。当初はトップ・ストリングスというブランド名だったのですが、1963年にロトサウンドというブランド名に変わっています。
初期にはジョン・エントウィッスル(ザ・フー)とともにRS66というベース弦を開発して、注目を集めました。このベース弦が、現在のスタンダード・モデルであるSWING BASS 66につながっていきます。その後も、ジミ・ヘンドリクスやクイーンのブライアン・メイとジョン・ディーコン、マイケル・アンソニー(ヴァン・ヘイレン)、ビリー・シーン(MR. BIG)、ダフ・マッケイガン(ガンズ・アンド・ローゼズ)など、アメリカやUKのロック・ミュージシャンに広く愛用されてきました。
※写真下は、ロトサウンドを愛用しているビリー・シーン、スティーヴ・ハリス、ジョン・エントウィッスルというトップ・ベーシストの3人。
ギター弦に注目しますと、当初はステンレス・スティールの弦が中心になっていて、これは現在のBRITISH STEELという弦につながっていきます。そして、1992年には巻き弦にニッケル・メッキを施したROTOシリーズの製造もスタートして、より多くのギタリストがロトサウンド弦を手にするようになりました。
ロトサウンドのポイントは、まず創業以来イギリス本国で開発や製造を続けてきていること。弦の製造機械自体の設計や製造も自社で行なっているのが特徴です(写真下がその弦を製造する機械)。
サウンドについては、各モデルで個々の違いはありますが、総じてブライトでパンチがあって、ヌケがいいという特徴があります。元気のあるサウンドと言えますね。また、メインのROTOS、SWING BASS 66はゲージのラインナップが豊富で、さまざまなタイプのミュージシャンにフィットすると思います。そして、ヘヴィなサウンドに向いたラインナップも充実しています。シグネイチャー弦で言えば、マイケル・アモット(アーチ・エネミー)やマイキーデムス(スキンドレッド)、スティーヴ・ハリス(アイアン・メイデン)、ビリー・シーン(MR. BIG)のモデルがありますし、ROTOSをロー・チューニング用にパッケージしたDARKZONEも発売されています。ぜひ、WeROCKの読者のみなさんにチェックしてほしいですね。
▲今回の試奏に際しては、フリーケンシー・アナライザーによる周波数の確認も行なっている。
写真はROTOS R9の6弦のみを弾いた時のグラフだ
ロトサウンドを代表するオールラウンド弦
ROTOS R9
¥オープン
【仕様】
●ゲージ:9/11/16/24/32/42
※写真のR9の他、7弦用や8弦用を含め、全12種類のゲージ・セットがラインナップ
基準となるロトスの09〜42ゲージから試奏!
これを基準にするので、グラフの数値もすべて中央に設定した。
巻き弦はニッケル・メッキを施したスティール製で、プレーン弦はスティール製(こちらはすべて共通)となっている。弾いた印象は、中域の押し出し感があり、多くの弦が新品時はギラギラしたトーンになるが、このモデルは落ち着いている印象だ。テンションが柔らかめで、チョーキングやヴィブラートがすごくやりやすい! 基準なのでトーンを中間にしているが、太め!
■ROTOSの詳細■
https://www.kandashokai.co.jp/flos/rotosound/electric_guitar_strings/rotos/
■R9が通販で購入可能■
○神田商会 オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr966/gr967/gr971/00423-00108809
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr966/gr1244/gr1245/00423-00108809-b2g1
※2セット分の価格で3セット入りのお得なセット
○御茶ノ水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00423-00108816.html
※2セット
なめらかなタッチが魅力
PURE NICKELS PN9
¥オープン
【仕様】
●ゲージ:9/11/16/24/32/42
※写真のPN9の他、全3種類が発売
こちらは巻き弦がニッケル製のモデルだ。
その方向性からかトーンのキャラクターがロトスよりも太く感じられた。と、アンプを通して弾いた時に思ったのだが、生音の時点でロトスよりも中域の太さを感じることができる。
こちらも張りたてでもギラギラしたトーンにはならないので、弾いていってもさほど音色の変化はなかった。資料によると、ロトスよりもテンションが柔らかめとのことだが、それほど違いはなく、どちらも柔らかめで弾きやすい。
■PN9の詳細■
https://www.kandashokai.co.jp/flos/rotosound/electric_guitar_strings/pure_nickels/pn9.html
■PN9が通販で購入可能■
○神田商会 オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr966/gr967/gr973/00423-00108831
○御茶ノ水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00423-00108831.html
これぞブリティッシュ・ロック・サウンド!
BRITISH STEELS BS9
¥オープン
【仕様】
●ゲージ:9/11/16/24/32/42
※写真のBS9の他、全3種類のセットが発売
1960年代から愛される、巻き弦にもスティールが使われているブリティッシュ・スティール。鋼鉄にクロムを加えた合金であるフェライト系ステンレス製を採用しているとのことだ。
色は他の弦と異なり、少し黒みがかっている。弾いてみると、生音の段階で明らかにロトスとはトーンが違うことに気づく。ブライトな方向性なのだ。アンプに通すと、よりわかりやすく倍音成分も多く、音の出力も大きい(DAWで録音した波形がそれを表わしていた)。ロックにも合うトーンだ!
■BRITISH STEELSの詳細■
https://www.kandashokai.co.jp/flos/rotosound/electric_guitar_strings/british_steels/
■BS9が通販で購入可能■
○神田商会 オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr966/gr967/gr972/00423-00108828
○御茶ノ水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00423-00108828.html
ドロップ・チューニング向けのROTOS
DARK ZONE DZ10
¥オープン
【仕様】
●ゲージ:10/13/18/36/52/60
ロトスをダウン・チューニングで使用するギタリストに最適にしたモデル。
6弦は、今回の試奏したモデルの中でもっとも太い60!! 下で試奏紹介しているマイケル・アモット・モデルよりも、さらに太い仕様になっている。 張ってみると、こちらも試奏用のギターではナットからハミ出してしまいました(泣)。
ただ、マイケル・アモット・モデル同様、太いゲージでも倍音も損なわれていないし(むしろ多めに感じる)、トーンも太さがありつつ、高域もしっかりと出てくれる印象だ。
■DARK ZONEの詳細■
https://www.kandashokai.co.jp/flos/rotosound/electric_guitar_strings/darkzone/dz10.html
■DZ10が通販で購入可能■
○神田商会 オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr966/gr967/gr975/00423-00108820
○御茶ノ水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00423-00108820.html
マイケル・アモットのシグネイチャー弦
MAS11
¥オープン
【仕様】
●ゲージ:11/15/18/32/44/59
アーチ・エネミーのギタリストであるマイケル・アモットのシグネイチャー弦だ。
マイケル自身、2音下げでプレイしているので、それに対応するかのように、かなり太いゲージのモデルとなっている。6弦は59! 試奏用のギターのナットでは、溝からハミ出てしまった(汗)。
試奏も2音下げで行なってみたのだが、ロー・チューニングでもコモることなく、適度な倍音を保ったまま鳴ってくれた。音はもちろん太いのだが、バンド・サウンドに埋もれることのないシャープさもある。
■MAS11の詳細■
https://www.kandashokai.co.jp/flos/rotosound/signature/mas11.html
■MAS11が通販で購入可能■
○神田商会 オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr966/gr967/gr977/00423-00108818
○御茶ノ水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00423-00108818.html
マイキーデムスのシグネイチャー弦
MD10
¥オープン
【仕様】
●ゲージ:10/13/17/30/42/54
パンクやレゲエを組み合わせたミクスチャー・メタルを奏でるスキンドレッドのギタリスト、マイキーデムスのシグネイチャー・モデルだ。
こちらも、ロトスと同じ仕様で、そこに多彩なゲージを組み合わせている。10、13、17というプレーン弦のレギュラー・ゲージに対し、巻き弦を30、42、54に設定。変則チューニングに対応した設定となっており、6弦ドロップCあたりのチューニングで使うにはベストな組み合わせといえよう。パンチがある音を出力してくれるぞ。
■MD10の詳細■
https://www.kandashokai.co.jp/flos/rotosound/signature/md10.html
■MD10が通販で購入可能■
○神田商会 オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr966/gr967/gr977/00423-00108819
○御茶ノ水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00423-00108819.html
長寿命とロング・サスティンがポイント
ULTRAMAG UM9
¥オープン
【仕様】
●ゲージ:9/11/16/24/32/42
※写真のUM99の他、全3種類のセットが発売
Type 52 Alloyと呼ばれている、52%のニッケルと48%の鉄からなる素材が使用されたモデル。これにより、ニッケル弦やスティール弦よりもパワーやサステインに優れ、弦寿命が長くなっているとのこと。
試奏してみると、ロトスよりもガッチリとしたテンションがある印象で、音もシャープに感じられた。そのぶんサスティンも長めで倍音も多い。これで長寿命とのことなので、ハード・ロック/ヘヴィ・メタル・ギタリストにはオススメしたいモデルだ。音の立ち上がりも速い。
■ULTRAMAGの詳細■
https://www.kandashokai.co.jp/flos/rotosound/electric_guitar_strings/ultramag/
■UM9が通販で購入可能■
○神田商会 オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr966/gr967/gr976/00423-00108834
○御茶ノ水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00423-00108834.html
ブルージーに迫りたいギタリスト向け
TOP TAPE RS200
¥オープン
【仕様】
●ゲージ:12/16/24/32/42/52
ジャズやフュージョン、ブルース、ソウルなどのプレイヤーに愛され続けるモデルとのことだが、そのゲージの太さにビックリだ。どうやら12〜52が標準のようだ(3弦も巻き弦!)。
レギュラー・チューニングにすると、かなりテンションがキツい感じだ。弦の触り心地が他のモデルと違い、ベース弦でいうフラット・ワウンドに近く、スベスベしていてスライドがしやすい。モネル(ニッケルと銅)合金による素材で、フィンガリング・ノイズも低減してくれる。
■TOP TAPE RS200の詳細■
https://www.kandashokai.co.jp/flos/rotosound/electric_guitar_strings/top_tape/rs200.html
■TOP TAPE RS200が通販で購入可能■
○神田商会 オンライン・ストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr966/gr967/gr974/00423-00108827
○御茶ノ水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00423-00108827.html
■神田商会 ロトサウンド公式サイト■
https://www.kandashokai.co.jp/flos/rotosound/