メタルを録る!!〜二井原 実がsE Electronics + XTONE Duoで宅録!
好評のステイ・ホームにピッタリの企画“メタルを録る!!”。
これまでギタリスト系の機材が多かったが、今回はなんと、世界の二井原 実(ラウドネス)を迎え、自宅録音用に最適なマイクの試奏をしてもらった。
世界的なエンジニアとの仕事も多くこなしてきた二井原を納得させたヴォーカル録音機材とは!?
※WeROCK 080の掲載記事より。
■今回のお試し楽器■
sE Electronics sE2200
¥29,000+税
◎今回、二井原が試奏してくれたのは、数々の受賞歴を誇るカーディオイド・コンデンサー・マイク、sE2200の最新ヴァージョン。
ヴォーカルはもちろん、いろいろな楽器との相性もよく、滑らかで洗練されたサウンドが特徴だ。
【仕様】
●出力:カプセルタイプ : 1インチ・トゥルー・コンデンサー
●指向性:カーディオイド ●周波数特性 : 20 Hz – 20 kHz
●感度:23.7 mV/Pa (-32.5 dBV)
●最大許容音圧レベル(SPL):125 / 135 / 145 dB (0 / 10 / 20 dB パッド )(0.5% THD @ 1kHz)
●等価ノイズ・レベル:8 dB (A)
●ダイナミック・レンジ:117 / 127 / 137 dB (0 / 10 / 20 dB パッド)
●S/N比:86 dB
●インピーダンス:50Ω 以下
●ローカット・フィルター:80 / 160 Hz、6 dB / Oct(選択可)
●パッド:10 / 20dB(選択可) ●動作電源:ファンタム・パワー 48V(IEC 61938 準拠)
●推奨負荷インピーダンス:1kΩ 以上
●消費電流:4.2 mA
●コネクタ:XLR 3ピン
●外形寸法:51 mm(直径)x 215 mm(長さ)
●重量 : 611 g
■SE2200が通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/ec/pro/disp/1/547299
○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/se-elc-se2200
■製品の詳細■
https://hookup.co.jp/products/se-electronics/se2200
sE Electronics Reflexion Filter PRO
¥24,000+税
◎自宅レコーディングで、音響的に最強の役割を担ってくれるのが、このリフレクション・フィルター。
“部屋鳴り”を抑えてくれる。
■Reflexion Filter PROが通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/ec/pro/disp/1/115837
○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/se-elc-rflx-filter-pro
■製品の詳細■
https://hookup.co.jp/products/se-electronics/reflexion-filters-accessories/rf-pro
XSONIC XTONE Duo
¥19,500+税
◎さらに、ストンプ・ボックス感覚で手軽に使用できるオーディオ・インターフェイス、XTONE Duoも試してもらった。
PCはもちろん、iPhoneやiPadにも接続できるインターフェイスとなっている。
【仕様】
●インプット・インピーダンス:1 MΩ(Lチャンネル/楽器用)、100 kΩ(Rチャンネル/マイク用)
●アンバランス出力インピーダンス:100Ω
●バランス出力インピーダンス:200 Ω
●周波数特性:10Hz〜21kHz
●サンプリング・レート:44.1kHz、48kHz、88.2kHz、96kHz、176.4kHz、192kHz
●ビットレート:24bit
●ダイナミック・レンジ:108dB
●THD+N特性:0.001%
●USB パワー・インプット:5v DC
●電源:9v DC(センター・マイナス)
●消費電量:100 mA
●外形寸法:129(幅)×57(高さ)×98(奥行き)mm
●本体重量:355g
●付属品:USBケーブル、USB-Lightningアダプター、TRS-XLR変換アダプター、ポーチ付属、Positive Grid BIAS FX Mobile Essentialライセンス($19.99相当)付属、Blue Cat Hot Tunaライセンス($9.00相当)付属/【動作条件】 iOS(iOS 10.6以上でLightning または USB Type-C 端子を搭載したiPhone、iPad)、Mac(macOS 10.6以降のMacintoshコンピューター)、Windows(Windows7以降のWindowsコンピューター)
■XTONE Duoが通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/ec/pro/disp/1/688878
○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/xsonic-xtone-duo
■製品の詳細■
https://hookup.co.jp/products/xsonic/xtone-duo
——ラウドネスは、2021年、ついに40周年を迎えるわけで、ヴォーカリストとしても世界的なエンジニアとレコーディングもされているわけじゃないですか。そんな中で、レコーディング用マイクに対するこだわりはありますか?
二井原:これまで歴史的なプロデューサーやエンジニアとレコーディングしてきたんだけど、そのあたりが、まったく無頓着だったんだ。ここ10年ぐらいは自宅でレコーディングするようになったから、今から考えると惜しいことをしたなって思う。マイクひとつにしても、どんなモデルで録ったか研究してくればよかったんだけど、当時はマイクの種類にまで興味がなくてね(笑)。今は、エンジニアに来てもらってマイク、プリアンプなどをセッティングして録ってるから、すごく興味深いんだけどね。
——ふだんのレコーディングでは、どんなマイクを使ってるんですか?
二井原:メインは、ノイマン U87aiとシュアのKSM32。僕の声って、シャウト型のタイプじゃない? だから、あまりキレイに録れすぎるコンデンサーよりダイナミック・マイクが合うんだよね。なので、ホントはシュアのSM7bというダイナミック・マイクを使いたいんだけど、それだとエンジニアのほうから“ダイナミック・レンジが狭いんで”と言われて、コンデンサーでそれに近いタイプを探した結果、KSM32が僕の声にいちばん合うみたいでね。ノイマンのほうは、バラードとか空気感を感じさせる曲なんかで使ってる。
——マイクの種類によって、録る声は変わるものですか?
二井原:マイクは、ある程度の値段のモデルになると、性能うんぬんよりもキャラクターなんだよ。それよりも、自宅で録る場合、気をつけないといけないことがあるんだ。性能のいいコンデンサー・マイクを使うと、通常では拾わなくてもいい音まで拾ってしまう。家ってね、部屋鳴りだとか、生活環境音が鳴りまくってるの。遠くのほうの物音でさえ拾ってしまうし、あまり高性能すぎるコンデンサー・マイクは、ちゃんと防音していない宅録には向いてないと思う。どんなに声をキレイに録れても、エンジニア・レベルになると我々の耳には聴こえないぐらいの環境ノイズだったりを拾ってるらしいんだよ。
いい声質で録ることも大切だけど、部屋鳴りだったり、微妙なエコー感があったりするとプロ・レベルでは困ってしまうからね。しっかりと防音しているスタジオでレコーディングするなら、そういうマイクも生きるけど、宅録レベルで考えるなら厳しい部分も出てくるんだ。
——ちなみに、二井原さんは、自宅でレコーディングする時の環境は、どういった感じなんですか?
二井原:エンジニアからそういうノイズの指摘があってからはたいへんだったよ。仕事部屋は6畳ぐらいの場所なんだけど、天井が低めなのね。その部屋には本が山ほどあって、まわりが本で囲まれているから基本的にデッドになってくれてる。それでも、歌うと少しは響いてるみたいなんだ。そのため、なるべく反射音をなくすために、レコーディングする時は僕のうしろや、まわりを囲むように毛布を置いたり、いろんなことをしている。それでもノイズが気になる時は、レコーディング・スタジオに行ってたかな。今は、かなりデッドに仕上げてるので問題なくレコーディングできてるけど、やっぱり大きな声でシャウトしたら隣の部屋には聴こえてるよ。
——ラウドネスの近年のアルバムも、その部屋で録られてるんですか?
二井原:2009年の『THE EVERLASTING -魂宗久遠-』か2010年の『KING OF PAIN 因果応報』ぐらいから、ここで録ってるんじゃないかな。僕の場合、歌詞を書きながらやるので、けっこう歌入れに時間かかるんだ。そうなると、レコーディング・スタジオに通う時間ももったいないから、エンジニアとともに機材をそろえて環境も整えてガッチリやった感じかな。
▲二井原の作業部屋にセッティングされたsE2200。
なんと、ラウドネスの次作にも、このマイクで録ったヴォーカル・テイクが使用されるかもしれないとのこと
——その環境の中で、今回のsE Electronicsのマイクを試していただいたんですね。このメーカーは、初めて試されました?
二井原:うん、初めて使ってみた。まったく問題なかったので、ちょうど、今、ラウドネスの新曲を録ってたから、どの曲かは内緒だけど、そのコーラスを入れさせてもらったよ。本チャンとしてね。
——そのぐらいのレベルのマイクだったと?
二井原:ぜんぜん問題ないし、すごくクオリティも高かった。アマチュアの方が使うとしてひとつ問題点を言うなら、さっきも言ったけど性能がいいから音を拾いすぎてしまう(笑)。このマイクで録るならば、部屋鳴りだとか、それ相応の環境を整える必要があるかもね。そのひとつが、もうひとつ試してみたリフレクション・フィルター(Reflexion Filter PRO)だね。
——このマイクは、3万円以下で買える低価格帯のコンデンサー・マイクなんですが、充分な性能だったと?
二井原:そうなんだよ! 安くなったよね〜。これで、問題なく充分にプロフェッショナルなレコーディングができるんだから。キャラクター的には、ハイもよく出てくれるマイクだと思った。ハイがキラっとしてるように感じたかな。クィーンのように、ものすごい数のコーラスを重ねる場合、そういうハイの処理をどうするかだと思うんだけど、リード・ヴォーカルを録るなら、これで充分だと思うよ。
——そして、リフレクション・フィルターはどう感じました?
二井原:同じようなモデルを試したことあるんだけど、やっぱり声の輪郭がしっかり出てくれるようになるんだよね。これはエンジニアも言ってた。声の存在感が増してくれる。たとえば何もない部屋で録るとするなら、これがあるとないとでは大きく違う。声がバシっと前に出てくれる。ただ、今回、試奏したものは、かなり大きめだったので、歌詞を置くところがなくて歌詞を見ながらレコーディングはしにくい(笑)。
ちなみに、ヴォーカルを録音する時のマイクって単一指向性のものがほとんどでしょ。となると、マイクの裏側よりも歌ってる人の後ろ側の反射音を考えなきゃいけなくなるから、けっきょくさっきの話に戻るんだ。なので、このリフレクション・フィルターを使いながら、ヴォーカリストの背面の処理も考えれば、すごくいい環境でレコーディングできるようになると思う。
——ところで、歌を録る時に、マイクとの距離というのは大切ですか?
二井原:すごく大事。最低でも、マイクから10cmぐらいを基準にすること。そこから近づきすぎないようにはしてる。今回、試奏したマイクは、便利なことにポップ・シールドとショック・マウントが付属してるでしょ。通常は、マイクから10cmぐらいの距離にポップ・シールドを置けば目安になるんだけど、sE2200付属のものはショック・マウントに付ける形になっているから、そこから10cmぐらいの距離を保つ感じかな。
じつは、このポップ・シールドも大切で、僕が使っているのはアメリカ製のものでマイクに“フ”っという破裂音というか息が入らないような特殊なタイプなの。そのモデルに近くて、すごくいいポップ・シールドだった。このポップ・シールドを使うなら、そこから10cmぐらいの距離を保って録ること。あまり近すぎると低域が膨らんじゃうし、あまり距離を空けすぎると今度は細くなったり声質が変わってしまうので、いい距離を探してほしいな。
——今回、試奏したセットがあれば、二井原さんの特殊な声もいい感じに拾ってくれた、と。
二井原:ぜんぜん問題なかったよ。とてもキレイに録れる。歌でこれだけキレイに録れるということは、ギターとかの録りでも使えるんじゃないかな。この価格帯で作りもしっかりしていて、コンデンサーで繊細に音も拾ってくれて僕のガリガリした倍音もキレイに録れる。とても性能がいいので、やはりあとは部屋鳴りの処理をリフレクション・フィルターを使って、しっかりと整えるということ。そういう意味では、この組み合わせは、最強かもしれないよ。さらに、ヴォーカリストの背中部分に毛布とか布を垂らすだけでも、かなりデッドになってスタジオに行く必要がなくなる。これなら、アマチュアでも150%どころか200%、OK。なんら問題ないし、オススメ。この値段で、このクオリティのマイクがあるのが恐ろしい(笑)。
——そして、オーディオ・インターフェイスとして使用していただいた、XTONE Duoはいかがだったでしょう?
二井原:コンデンサー・マイクへのファンタム電源も供給してくれるとのことだし、バスパワーというのも便利だよね。これ、iPhoneとかiPadでも録れるんでしょ? レイテンシーも少ないし、この小ささなら、たとえばちょっとリハーサル・スタジオに持って行ってデモを録音する時でも便利だよね。家からパソコンとオーディオ・インターフェイスを持っていくとなると、それなりの荷物になるでしょ。それが、このコンパクトさなら使い勝手もいい。僕が、今、使っているインターフェイスやプリアンプって、スタジオ仕様のガッチリしたものだから、手軽に持っていくことができないので、これはすごく便利だよね。
▲オーディオ・インターフェイスであるXTONE Duoもセット。その奥にはDIOとの2ショットが!
X TONE Duoならこんな使い方もできる!
今回の試奏に登場したXSONIC XTONE Duoだが、オーディオ・インターフェイスとしての機能も多機能だ。今回のようなPCに接続してのヴォーカル録りはもちろんのこと、iOSやiPadなどのiOSに接続することでの録音も可能。
ギタリストであれば、Amplitube、BIAS FX、JamUp、Revalver4, Guitar rigなどのソフトと組み合わせることで、3つのスイッチによるプリセット切り替えが可能なので、エフェクト・スイッチャー感覚のオーディオ・インターフェイスとしても使用できる。
Positive Grid BIAS FX Mobile Essentialライセンス($19.99相当)が付属しているので、すぐにiPhoneでギターを鳴らすこともできるのだ。XSONIC社独自の“XSPEEDアクセラレーション・プロセッシング・テクノロジー”によりレイテンシーも最小限に抑えられ、Windows/Mac環境はもちろん、iOSデバイスでの使用は威力を発揮するぞ!
▲XTONE Duoのいちばんのポイントは、iPhoneやiPadに接続できるオーディオ・インターフェイスというところだろう
▲XLR変換アダプターも付属しており、さらにファンタム電源も供給!
コスト・パフォーマンスに優れたこちらのセットにも注目!
sE Electronics X1S Studio Bundle
¥26,000+税
◎今回、試奏したsE2200は、高性能なコンデンサー・マイクとしては、かなりリーズナブルなモデルだ。しかし、リフレクション・フィルターもプラスして考えると、“大型だし自宅には……”と躊躇してしまう読者の方もいると思う。
そこで紹介したいのが、こちらのX1S Studio Bundleというセットだ。こちらは、エントリー・モデルのコンデンサー・マイク “X1” をブラッシュ・アップしたヴァージョンで、そこにRF-X Reflexion Filter(ブラック・カラー)、Isolation Pack(ショック・マウント +ポップ・シールド)、3mマイク・ケーブルをセットにしたモデルだ! これなら、手軽に自宅で録音できる!
【仕様】
●カプセル・タイプ:1インチ・トゥルー・コンデンサー
●指向性:カーディオイド
●周波数特性 : 20 Hz – 20 kHz
●感度:30 mV/Pa(−30.5 dBV)
●最大許容音圧レベル(SPL):140/150/160 dB(0/10/20dBパッド)(0.5% THD @ 1 kHz)
●等価ノイズ・レベル:9 dB(A)
●ダイナミック・レンジ:131/141/151dB(0/10/20 dB パッド)
●S/N比 : 85dB(A)
●インピーダンス:125Ω
●ローカット・フィルター:80/160 Hz、6dB/Oct(選択可)
●パッド:10/20 dB(選択可)
●動作電源:ファンタム・パワー48v(IEC 61938 準拠)
●推奨負荷インピーダンス:1 kΩ 以上
●消費電流:6.0mA
●コネクタ:XLR 3ピン
●外形寸法:58mm(直径)×169mm(長さ)
●本体重量:445 g ●付属品:マイク・クリップ(変換ネジ付き)
【セット内容】 X1 S、RF-X Reflexion Filter(ブラック・カラー)、Isolation Pack、3mマイク・ケーブル
▲コンデンサー・マイク、リフレクション・フィルターなどなど付いて、この値段は驚き!
▲裏技紹介! このように、リフレクション・フィルターを使ったギター録りも可能だ
■X1S Studio Bundleが通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/ec/pro/disp/1/510523
○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/se-elc-x1s-studio-bdl
■X1Sの詳細■
https://hookup.co.jp/products/se-electronics/x1-series
ラウドネス 公式サイト
http://www.loudnessjp.com/