マーシャルでアナログ(DSL) vs デジタル(CODE)!
コロナ禍になって以降、WeROCKのマーシャル企画でも、“マーシャルで宅録”的なコーナーを掲載してきた。
なかでもDSLとCODEを使用しての宅録挑戦は、YouTubeと合わせて好評をいただいてきたが、よく考えらたこの2モデル、アナログとデジタルという真っ向から対決しそうなアンプではないですか!?
おうちで弾くには、本当のところどちらに軍配が上がるのだろう? 検討してみたぞ!
※WeROCK 080の掲載記事より。
今や、おうちでもマーシャルならではの迫力あるサウンドが楽しめる時代となった(けっこう昔からだが)。
大型すぎるスタックを鳴らすのは現実的ではないが、小型でも充分にマーシャル・サウンドを楽しめるのだ。その代表格が、ここで紹介するDSLとCODEだろう。
DSLは大小さまざまなワット数を取りそろえているが、今回の企画にピッタリなのが、1wのヘッドと5wのコンボだろう(今回は、ヴィンテージ・テイストあふれる限定モデルを使用。中身は通常のDSLと同じ)。
対するCODEは、いちばん小さいワット数のモデルであるCODE 25だろう。
さて、この2モデル、とにかく大きな違いがある。それは、DSLがプリにもパワーにも真空管を使った完全アナログ仕様なのに対し、CODEはキャビネットの音までシミュレートしたデジタル・モデリング・アンプなのだ。CODEが多数のエフェクトも搭載しているのに対し、DSLはエフェクトといえばリバーブのみ。マーシャルらしさ満載のDSLに対し、マーシャルがマーシャルをシミュレートしたのがCODEだ。まずは、それぞれのアンプの特徴を検証してみよう。今回は、あくまでも“おうち”で弾く際の試奏記だ。
まずは、DSL。
コンボのDSL5CRVにいってみよう。このモデル、5wなのだが、かなり音量を出してくれる。小型アンプといえども、同居人には怒られそうな音量だ(汗)。しかし、たしかに音量はあるのだが、ドッシリとしていて中低域がふくよかで耳に痛くない。JCM2000でおなじみだったディープ・スイッチも搭載されていて、これをオンにすると、ひとまわり低域を増強してくれる。素直にマーシャルらしいサウンドを、その筐体から出してくれるのがうれしくなる。うんうん、この音圧がマーシャルだよ、真空管だよ、という感じだ。クリーン・チャンネルも真空管ならではのトーンで、きらびやかになりすぎない暖かみのあるクリーンだ。
続いてDSL1HRVにいってみたいと思う。これはヘッドなので、通常はキャビネットがいるのだが、どうせならエミュレート・アウトが付いているので、ヘッド→オーディオ・インターフェイスと接続してDAW上で音を確認してみよう。こちらも2チャンネルを装備しているが、やはりWeROCKらしくウルトラ・ゲイン・チャンネルを鳴らしてみる。ちなみに、このエミュレイテッド・アウトはヘッドフォン・アウト端子との兼用になっているので、ヘッドフォンで音を確認すると、同じ感覚でトーンがわかる。音を出してみると、かなり中域が厚めのトーンだとわかる。ヴィンテージ・マーシャルにも通じるミッド感があるのだ。それに、キャビネットを通してないのに、キャビで鳴らしてるような空気感も感じる。中域がグワ〜っとくるマーシャル・サウンドといえばわかりやすいだろうか。PCで鳴らしているのに、プラグインとは違う音だ。“やはり真空管はいいよな〜。デジタルでは出せないよな〜”と思いつつ、デジタル・モデリング・アンプのCODEにいってみようではないか。
CODEには、それこそヴィンテージ・マーシャルから現代のJVMまで多数のモデリングが入ってる。これは、比較のしようがないぞ……。と言っていては企画にならないので、あえてDSLに近い音を作って比べてみると、うんうん、押し出し感は、やはり真空管を使ったDSLに軍配が上がるな。同じような音量設定にした場合、5wのDSLでも25wのCODEより音圧を感じるのだ。ただ、上の図にあるように、“おうちで録音”という方法を取ると話は別だ。PCから出てくる音に音圧を求めるわけにはいかないし、そこに音圧を感じるかといえば、正直、感じません。
とすると、数多くのアンプ・モデリング、そしてエフェクトが搭載されているCODEのほうが“おうち楽器”には有利!? いや、そんなことはない! 根っからのアナログ指向であるギタリストならば、このマーシャルらしい真空管トーンはDSLだから感じることができるのだ。
大方の読者のみなさんが予想していたと思うが、マーシャル企画内で甲乙を付ける結果なんて出せるわけがありません。どちらも用途に合わせて使い分けるのがいちばん! ええい、2モデルとも買ってしまえ!
マーシャル DSL1HRV
¥オープン
【仕様】
●出力:1w/0.1w
●真空管:ECC83(プリ管)×2、ECC82(パワー管)×1
●チャンネル:クラシック・ゲイン、ウルトラ・ゲイン
●コントロール:クラシック・ゲイン・チャンネル=ヴォリューム/ウルトラ・ゲイン・チャンネル=ゲイン、ヴォリューム トレブル、ミドル、ベース、リバーブ、チャンネル・セレクト・スイッチ、トーン・シフト・スイッチ、ロー・パワー・スイッチ(リア・パネル)
●入出力端子:インプット、オーディオ・イン、エミュレイテッド・アウト、エフェクト・センド、エフェクト・リターン、フットスイッチ・イン、1/4″スピーカー・アウト(16Ω)
●外形寸法:360(幅)×210(高さ)×215(奥行き)㎜
●重量:5.6kg
▲オーディオ・インターフェイスには、裏面にあるエミュレイテッド・アウトから接続する
▲こちらは、DSL1HRVの真空管だ。
プリ管にECC83、パワー管にECC82を搭載している
■マーシャル DSL1H(レギュラー・モデル)の詳細■
http://www.marshallamps.jp/products/amplifiers/dsl_2018/dsl1h/
マーシャル DSL5CRV
¥オープン
【仕様】
●出力:5w/0.5w
●真空管:ECC83(プリ管)×2、12BH7(パワー管)×1
●チャンネル:クラシック・ゲイン、ウルトラ・ゲイン
●コントロール:クラシック・ゲイン・チャンネル=ゲイン、ヴォリューム/ウルトラ・ゲイン・チャンネル=ゲイン、ヴォリューム トレブル、ミドル、ベース、リバーブ、チャンネル・セレクト・スイッチ、ディープ・スイッチ、トーン・シフト・スイッチ ロー・パワー・スイッチ(リア・パネル)
●入出力端子:インプット、オーディオ・イン、エミュレイテッド・アウト、エフェクト・センド、エフェクト・リターン、フットスイッチ・イン、1/4″スピーカー・アウト(16Ω)
●スピーカー:セレッション製Ten-30
●外形寸法:455(幅)×420(高さ)×240(奥行き)㎜
●重量:12.7kg
▲DSL5CRVには、JCM2000などにも搭載されていたDeepスイッチを装備。
低域をふくよかにしてくれる
■マーシャル DSL5C(レギュラー・モデル)の詳細■
http://www.marshallamps.jp/products/amplifiers/dsl_2018/dsl5c/
マーシャル CODE25
¥オープン
【仕様】
●出力:25w
●コントロール:ゲイン、ベース、ミドル、トレブル、ヴォリューム、マスター
●プリセット:ユーザー編集可能な100個のプリセット
●フットコントローラー:4ウェイ・プログラム可能(PEDL-91009、別売り)
●ストンプ・ボックスFX:コンプレッサー、ディストーション(3種類)、オート・ワウ、ピッチ・シフター
●プリアンプ・モデル:クリーン×5、クランチ×5、オーバードライブ×4、ナチュラル、ゲート
●モジュレーション系FX:コーラス、フランジャー、フェイザー、トレモロ
●空間系FX:ディレイ×4、リバーブ×4
●パワー・アンプ・モデル:クラシック・マーシャル100w、ヴィンテージ・マーシャル30w、イギリス製クラスA、アメリカ製クラスA/B
●キャビネット・タイプ:全8種類
●接続:Bluetooth® 4.0 および USB 2.0
●外形寸法:340(高さ)×350(幅)×215(奥行き)㎜
●重量:6.1㎏
▲CODE 25のパネル類。細かいエディットは、スマホ・アプリでも可能だ
■マーシャル CODE25の詳細■
http://www.marshallamps.jp/products/amplifiers/code/code25/