デンマークのエフェクター、ルナストーンが上陸!

デンマーク発、ギター本来の音質を大切にしてくれる個性的なコンパクト・エフェクターが登場している。それが、ここで紹介するルナストーンだ。オーバードライブなどの歪み系を中心に、ついにディレイも登場! スタジオ・ミュージシャンであり、現在、東京スクールオブミュージック専門学校渋谷の副校長を務めるクリス先生に、代表的歪み系モデル5機種と、気になる最新モデルであるディレイを試奏していただき、魅力を語ってもらった。
※WeROCK 074の掲載記事より。

【試奏ギタリスト】
クリス・ジャーガンセンニューヨーク出身のスタジオ・ミュージシャンであり、LAにあるMusicians Instituteで6年間指導にあたった後、滋慶学園の全国音楽系専門学校の立ち上げに関わり、その後NY The  Collective (President)を経て、現在は東京スクールオブミュージック専門学校渋谷の副校長に就任。ギター教則本『The Infinite Guitar』はアメリカのみならず、日本、中国で発刊され、学生には欠かせないバイブルだ。


ヴィンテージ・ライクな王道オーバードライブ
TRUE OVER DRIVE 1
¥18,500+税

仕様〉
●コントロール
ドライヴ、トーン、ヴォリューム
●電源9v DCアダプター(センター・マイナス)
●外形寸法73(幅)×51(高さ)×114(奥行き)㎜
●重量265g

クリス:すごく自然なオーバードライブです。アンプでオーバードライブさせた音になります。あとに出てくるファズやディストーションとは違って、暖かい音を作るためのエフェクターですね。
使い方としては、2通りあります。ひとつはアンプをクリーン・トーンにしてオーバードライブをかけるパターン。もうひとつは、アンプで歪ませた音にブースターとして使用するパターン。アンプをクリーンにして使うと、マーシャル系の歪みになります。ドライヴが9時ぐらいでもクランチ程度の歪みが得られる。
アンプを歪ませてブースターとして使用する使い方もオススメです。その場合はヴォリュームのツマミはフルに近くして、ドライヴを低くするといい。この使い方は、マーシャル系が好きなギタリストのいちばん好きな方法ですね。オンにした瞬間に、音圧が1段アップしてくれます。10dBぐらい上がる気がする。
ドライヴの幅は広いですね。ふつうのオーバードライブよりも高いゲインが得られると思います。クリーンなアンプにかけても、ドライヴがフルならディストーションに近いぐらい歪んでくれます。トゥルー・バイパスも優秀です。

オススメ・セッティング

左がクリーン・チャンネルで歪ませる場合、右はブースターとしての使用例


ピッキング・ニュアンスを忠実に再現
TRUE OVER DRIVE 1
¥24,800+税

仕様〉
●コントロール
ドライヴ、トーン、ヴォリューム
●電源9v DCアダプター(センター・マイナス)
●外形寸法73(幅)×51(高さ)×114(奥行き)㎜
●重量265g

クリスクラシック・ロックとブルースを合わせ持ったオーバードライブですね。これも暖かい音で、アンプを歪ませて使うもよし、クリーン・チャンネルでもいけます。そこまで激しくは歪まないけど、すごくセンシティヴです。ピッキングに、すごく忠実に反応してくれます。コンプレッション感はTRUE OVER DRIVE 1のほうがあるかな? こちらのモデルはコンプレッションを得ようとするより、ニュアンスを大切にしてくれる感じ。
あとは、これもベースのレスポンスが、すごくいいです。
それと、たとえばコントローラーを同じにしても、ぜんぜん違うオーバードライブが得られます。中域の出方も違いますし。あと、このモデル、じつは幅広いんですよ。ギター側のヴォリュームを絞ると少しザラっとさせたような太いクリーン・トーンが出てくれるんです。
今回、試奏した3つのオーバードライブのトーンの感じを時代的に言ってしまうと、古い順にこのブルー・ドライブ1→トゥルー・オーバー・ドライブ1→スムース・ドライブ1という感じですかね(笑)。どれも、デジタルではない、フル・アナログな回路を使っていて、アナログならではの歪みですよ。

オススメ・セッティング

左が、アンプ・クリーンでブルースな音。右は、アンプを歪ませてブースターとして使用する際のオススメ・セッティング


クリーンなブーストを望むならば、このモデル
SMOOTH DRIVE 1
¥24,800+税

仕様〉
●コントロール
ドライヴ、トーン、ヴォリューム
●電源9v DCアダプター(センター・マイナス)
●外形寸法73(幅)×51(高さ)×114(奥行き)㎜
●重量265g

クリス今回の3つのオーバードライブの中では、いちばん柔らかい歪みが得られます。いちばんクリーンなオーバードライブだといえますね。すごく自然なオーバードライブですよ。
アンプを歪ませてブースター的に使ってみましょうか。弾いてみると、やはりクリーン・ブースターっぽく感じました。
どういうギタリストにオススメかといえば、フュージョンとかブルースの人達ですかね。ラリー・カールトン系というか。僕が使うとしたらクリーン・ブースターとしてがいいですね。アンプがクリーンの時に使うと暖かくなるから、そういう使い方もありだと思います。クリーン・サウンドにかけると、すごくまろやかになるし、今、マーシャルのクリーン・チャンネルで弾いてますけど、もう1個、真空管を通したような暖かさが加わりますね。
トーンの効き方もおもしろい。こちらのモデルもピッキングの強弱で歪みが変わってくれるし、けっこう、このオーバードライブも好きですね。こういうピッキングだったり、ギターのヴォリュームにしっかり付いてきてくれるエフェクターって、やっぱりアナログならではだと思うんですよ。

オススメ・セッティング

アンプをクリーンにして暖かみのあるトーン、右はアンプ歪み+クリーン・ブーストだ!


80年代ドンピシャのディストーション・サウンド
DISTORTION 1
¥24,800+税

仕様〉
●コントロール
ディスト、トーン、ヴォリューム
●電源9v DCアダプター(センター・マイナス)
●外形寸法73(幅)×51(高さ)×114(奥行き)㎜
●重量265g

クリス歪まないクリーンなアンプしかない時に最適なのがディストーションですね。長いサスティンも得られていいです。歪みの質としては完璧に80年代の音ですね。さらに、モダンなタイプも作れて、高いコンプレッションが得られます。TRUE OVER DRIVE 1がクラシック・ロックな感じだとすれば、こちらは、まさに80年代ですね。
今回、マーシャルのJCM2000で試奏してますが、ちょっと聴いてみてください。まず、マーシャルのウルトラ・ゲイン・チャンネルだけでハイ・ゲインな音を作って弾いてみます。続いて、クラシック・ゲイン・チャンネルを使って、このディストーションで弾いてみます。どうですか? かなり同じ音になってると思いませんか? マーシャルを歪ませた時の音になるディストーションと言って間違いないでしょう。それと、このモデルはベースのレスポンスが高いです。
ディストのコントロール幅は、すごく広いです。3時ぐらいで、現代的な歪みも作れます。あと、色がオレンジじゃないですか(笑)? とすると、この色のディストーションって、やっぱり80年代を想像しますよね。あの時代のハード・ロックが好きなら、好きなディストーションでしょう。

オススメ・セッティング

左が80年代ハード・ロックを彷彿とさせるセッティング(アンプはクリーン)。同じくアンプはクリーンで、モダンなヘヴィ・ロック風ディストーション・サウンド


王道のファズ・サウンドからモダンな音まで対応
RED FUZZ 1
¥24,800+税

仕様〉
●コントロール
ドライヴ、トーン、ヴォリューム
●電源9v DCアダプター(センター・マイナス)
●外形寸法73(幅)×51(高さ)×114(奥行き)㎜
●重量265g

クリスファズは、いろいろな使い方があるんですよね。いちばんに思い浮かべるのがジミ・ヘンドリックスだと思うんですが、彼は不思議な使い方をしてました。当時のヴィンテージ・マーシャルにファズをプラスするんですが、アンプは少しだけしか歪んでません。そこにファズをカマす際、ギター側のヴォリュームを2〜3ぐらいに絞って弾くんですね。で、シングルコイルのフロント・ピックアップで弾くと、あのマイルドなファズ・サウンドになるんです。で、ギターのヴォリュームを上げて弾くと、どんどん音が暴れてきて、みなさんがイメージしてる、あのファズ・サウンドになると。
そういう思い通りのファズ・サウンドが出せるモデルなんだけど、これまでのファズよりも、すごくまとまった音になってくれますよね。ファズを使う時になにが大切かというと、ファズ自体はもちろんのこと、ギター側のヴォリュームだったりピックアップの選択であったりするんです。じつはファズは、それだけで音のヴァリエーションが、すごく出せるんです。ジミ・ヘンドリックスの、あの音を出せるのは、ギター側のヴォリューム調整によるものなんですね。ヴォリュームを絞って、フロント・ピックアップで弾いてみてください。最高!

オススメ・セッティング

左は、クランチにした歪みのアンプにかけた時のジミヘン・スタイル。ギター側はフロント・ピックアップでヴォリュームを半分以下にする。右は、ギター側をリア・ピックアップでフル・ヴォリュームにしての、いかにもなファズ・サウンド


名機2290にインスパイアされたコンパクト・ディレイ
DYNAMI DELAY 1
¥29,800+税

仕様〉
●コントロール
リピート、タイム(プッシュでバイパス・モード・スイッチ)、Dyn、ミックス、タップ用フットスイッチ
●電源9v DCアダプター(センター・マイナス/電池使用不可)
●外形寸法73(幅)×51(高さ)×114(奥行き)㎜
●重量265g

クリスこのディレイの魅力は、なんと言っても、このコンパクトなボディにタップ・スイッチを搭載したところでしょう。ディレイをライヴで使うギタリストにとっては、曲のテンポに合わせてディレイ・タイムを決めていかないと気持ち悪いことになりますから(笑)。それが、このコンパクト・サイズでできるのはいいですね。ディレイの問題って、ファンクション・スイッチを付けていくと、すごく大きくなってしまうじゃないですか? もう、その時点で、このモデルはいいんですよ。あと長いディレイができるのもうれしいですね(最長2.5秒)。
リピートの返りが、すごく自然な音質なのもグッドですね。デジタル・ディレイなんですが、トーンはアナログな感じですごくいいですね。
タイムのツマミはプッシュ式になっていて、切り替えると、ディレイをオフにした際にディレイ音を残すか、バシっと切るかを選択できるんですね。これはおもしろいですね。ギター・ソロ終わりでディレイの音を残しつつ、ディレイ・オフのバッキングを弾いていけるというね。
DYNのコントローラーも便利で、上げていくとディレイの音がジャマにならないようにかかってくれます。いっぽう下げて弾くと、ディレイ音が大きく出てくれる。いい具合にアンビエンスを調整できます。ミックス・コントロールは、フルにするとディレイ音しか出ないんだけど、DYNをフルにして弾くと、すごくおもしろい効果が得られますよ。
ルナストーンは、全部、クオリティが高い!

【各コントロールについて】
LED他のモデル同様、かなり大型のLED。エフェクトのオン/オフを表示する他、設定したディレイ・タイムに合わせて点滅する
REPEATディレイ音のリピート回数を決めるコントローラー
TIME通常はディレイ・タイムを決めるコントローラーだが、プッシュすることで違う機能が割り当てられているのが、このモデルの特徴。
このコントローラーをプッシュすることで、バッファード・バイパス、トゥルー・バイパスを切り替えることが可能(プッシュするごとにモードが変わる)。
バッファード・バイパス・モード時はエフェクトをオフにしても残響音が自然にフェイド・アウトし、トゥルー・バイパス・モード時はエフェクトをオフにした瞬間に残響音がカットされる。トゥルー・バイパスに切り替えるとLEDが1度点滅してから設定したディレイ・タイムに合わせて点滅し続け、バッファード・バイパスに切り替えるとLEDが2度点滅してから設定したディレイ・タイムに合わせて点滅し続ける
DYNディレイ音のコンプレッションを調整するコントローラー。アタック、リリース、デプス、スレッショルドなどを1つのツマミに統括してコントロールできるようなイメージだ。右に回すとコンプが強くなり、ディレイ音が均一になってくれる
MIX原音とディレイ音のバランスを調整するツマミ
TAPスイッチ押すタイミングによりディレイ・タイムが決定する。なお、エフェクト・オン時でも、このスイッチでディレイ・タイムの変更が可能だ
ON/OFFスイッチエフェクトのオンとオフを切り替えるフットスイッチ

オススメ・セッティング

左から、ジェフ・ベック風アンビ・セッティング、ロカビリー風ディレイ、ピンク・フロイド風セッティング。各ディレイ・タイムは、曲に合わせて任意でセッティングする

■ルナストーン公式サイト
http://lunastonejp.com/