WeROCK的試奏会〜タウラスの最新ペダル型アンプ・ヘッド!

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アナログ仕様のエフェクターやペダル・タイプのアンプ・ヘッドを発表しているポーランドのメーカー“タウラス”から、またまた極上のペダル型の真空管アンプ・ヘッドが登場した。
これまでのモデルよりも小型化されつつ、さらに機能も充実。プリ部に真空管を搭載しパワー部はトランジスタというハイブリット・モデルだ。
130Wの出力が可能な設計がなされており、音量が一般的な50Wの真空管アンプと同程度だという。さっそく、試奏!


Taurus
Stomp-Head SH8. Qube
¥オープン

■仕様■
●出力:50W/25W
●スピーカー:自動検出(4Ω/ 8Ω/16Ω)
●真空管:12AX7/ ECC83
●チャンネル:クリーン/ドライヴ
●フットスイッチ:リバーブ、ドライヴ、ブースト
●コントロール:ベース、ミドル+レンジ・スイッチ、トレブル、プレゼンス、ドライヴ、サウンド・セレクター(BRIT/USA切り替え)、ドライヴ・モード(クラシック/ハイ・ゲイン/ハイ・ゲイン&ブースト)、マッシヴ、チューブ・ブースト、リバーブ、ヴォリューム、出力切り替えスイッチ(50W/25W)、ギター・キャビネット/フルレンジ・キャビネット切り替えスイッチ、ブースト・レベル、ノイズ・ゲート・オン/オフ・スイッチ、ロー・カット・フィルター・オン/オフ・スイッチ、BlueToothスイッチ
●入出力端子:インプット、スピーカー・アウト、スピーカー・シミュレーター付きライン・アウト、エフェクト・リターン、エフェクト・センド、AUXイン、ヘッドフォン・アウト、外部エフェクター用電源出力(9V/300mA)
●外形寸法:185(幅)×78(高さ)×175(奥行き)mm/突起物含む
●重量:1.5kg

■多彩な機能をシンプルにコントロール


■充実した入出力環境!
アンプ・ヘッドでもプリアンプでも使える!

SH8.Qubeのすごいところは、ただのアンプ・ヘッドというだけではないという点だろう。
アンプ・ヘッドに、プリアンプ・アウト、キャビネット・シミュレーター、エフェクターなどへの9V電源の供給などなど、便利な機能が満載なのだ。
基本的な接続方法は、下
の図1を参照してもらいたいが、①SH8.Qubeからスピーカー・キャビネットに接続、②ラインアウト端子から、オーディオ・インターフェイスやミキサー卓に接続、という2パターンになる。①のパターンは、ふつうにプリ部=真空管、パワー部=トランジスタで50W(or25W)のヘッドとして使用できる。WeROCK的にオススメなのがパターン②の発展系(図2)。これは、リハスタやライヴでオススメの使い方で、SH8.Qubeのプリ部のみを使用して、たとえば100Wマーシャルのリターンに接続することで、プリもパワーも真空管アンプとして鳴らすことが可能になるのだ。100Wの真空管アンプに早変わりするので、音量感も申し分ないぞ!

図1。外部ペダル用の9V電源出力も備えている

▲図2。SH8. Qubeのリア側のラインアウトと、このようにマーシャルなどの真空管アンプに接続すれば、プリ部もパワー部もフル・チューブとして鳴らすことが可能だ

 

■3種類のモードが選べるドライヴ!

SH8.Qubeは3つのモードで音色を使い分けることができる。このモードとドライヴ・スイッチ&ブースト・スイッチのオン/オフを使えば、数種類のトーンが使い分けられる感覚だ。
ドライヴ・スイッチでクリーンと歪みとを分けることでチャンネル的に使用することも可能。ここでは、各モードのトーンを試奏してみたぞ。

①クラシック
クランチやブルージーな歪みにピッタリのモードだ。軽めの歪みからドライヴ・コントールをフルにするとヴィンテージ・ライクでありながら強めの歪みも作れた。ちなみに、どのモードもドライヴ・スイッチがオフの時はドライヴ・コントロールはスルーされるようだ。ドライヴ・スイッチをオフにするとクリーン、オンにすると各ドライヴ・モードのトーンが得られると考えるといいだろう。
②ハイ・ゲイン
メタルにピッタリのモードが、このモードだろう。ドライヴをフルにすると、マーシャルでいえばJCM2000手前まで歪んでくれた。SH8.Qubeからキャビネットへの接続でも、かなりの音量感があり真空管ならではの歪みなので、ピッキングに対するレスポンスもよくパワー部がトランジスタだとは思えないトーンを出してくれる。上で紹介しているマーシャル JCM2000のリターン接続と比べてみたのだが、パワー部を真空管にしなくても、デジタルでは出せない真空管ならではのトーンを出してくれる。
ちなみに、そのJCM2000と比べてみると、SH8.Qubeのほうが中域の押し出し感があり、どちらかというとヴィンテージ系マーシャルの歪みを強くした感じだった。まあ、リハスタのくたびれたマーシャルだったので、微妙な弾き比べではあるが……。
ここで、ドライヴ・レベルを調整するツマミを回してみたのだが、フルにすると気持ち歪みが得られる。基本的には、ドライヴ・スイッチがオフの時とのレベル差を調整するツマミのようだがメタルを弾くなら男のフル・スロットルがオススメ! ドライヴ・コントロール自体の歪みの幅も広く、このモードでいちばん絞った時にクランチ、フルで先ほども述べた2000の手前ぐらい歪んでくれる。
③ハイ・ゲイン&ブースト
このモードにすると、クラシック・モードとハイ・ゲイン・モードをブースト・スイッチで切り替えられるようになる。その際は、ブースト・レベル・ツマミがハイ・ゲイン・モード時のレベル・コントローラーに切り替わる。
通常、フットスイッチでモードの切り替えはできないので、クラシック・モードとハイ・ゲイン・モードをフットスイッチで切り替えたいギタリストには重宝するモードだ。ちなみに、ドライヴ・スイッチがオフでクリーンになるので、ドライヴ・スイッチをオンにしてクラシック・モード、ブースト・スイッチをオンにしてハイ・ゲイン・モードという3チャンネル的な使い方が可能だ。

ドライヴのモードは3種類だが、感覚としてはハイ・ゲインとクラシックの2種類が基本で、その2種類をフットスイッチで切り替えられるというモードがプラスされていると思えばいいだろう

 

■大きさはこのとおり!
そして、50Wと25Wの切り替えも可能

気になるのが大きさだ。50Wのアンプ・ヘッドとなると、かなりの大きさを想像するが、WeROCKと比較するとこのとおり。これなら、エフェクト・ボードに搭載することも可能だろう。

そして、出力を5oWと25Wとで切り替えられるのもポイントだ。
キャビネットに接続して鳴らす時に大いに役立つ。トーンも変わらず、真空管ならではの暖かい歪みを保ったまま出力を半分にしてくれる。
25Wといえども音量はそれなりにあるので、自宅使用ならヴォリュームはほどほどに。

出力の切り替えは、このトグル・スイッチで行なう

 

■好みの音作りに活用したい4つの機能

①ブリティッシュ? アメリカン?
ブリティッシュ系の歪みにするかアメリカンな歪みにするかを選択するスイッチだ。
ブリティッシュにしてみると中域の出方が増し、アメリカンだとややドンシャリで明るめの歪みになる。ただ、どちらもいいトーンの歪みなので選びがたい。

BRIT側にするとミッド感が増し、USA側だとレンジも広く明るくなる印象だ

②サチュレーション
コンプレッション感とサスティンを調整するスイッチも搭載。センターの位置でオフになる。
今回は、ハムバッキング搭載のギターで試奏してみたのだが、“1”でコンプレッサーのように粒立ちを揃えてくれ、“2”にすると押し出し感がアップするように感じられた。ハムバッキングだとそれほど変化がなかったのだが、シングルコイル・ピックアップだと、より効果的になるとのこと。

▲マッシヴ・スイッチは、シングルコイル・ピックアップ搭載ギターで効果を表わす

③チューブ・ブースト
オンにすることで、歪みが増し、中低音の押し出し感もアップする。メタルならオンで弾きたくなるはずだ。

押すとトーンの厚さが増すイメージ。スッキリさせたい時はオフだ

④ノイズ・ゲート
ありがたいのが、ノイズ・ゲートを搭載している点だ。真空管を搭載したアナログ仕様だと、どうしてもノイズが多くなってしまうので、これは助かる!!

 

■センド/リターンも搭載。スマホも鳴らせる

アンプ・ヘッドなので、もちろんセンド/リターンも搭載している。
ディレイやリバーブなどの空間系をキレイにかけたいギタリストならば、ここに接続。そう考えると、やはりエフェクト・ボードに入れたいアンプ・ヘッドだ。

そして、これまた現代的というか、なんとアナログのアンプ・ヘッドだが、スマホなどとBluetooth接続して音を鳴らすことが可能だ。ヘッドフォン・アウトも装備しているので、好きな曲を流しながら、“アンプの音”で練習できる。

■Taurus Stomp-Head SH8. Qubeの詳細■
http://www.electroharmonix.co.jp/taurus/stomp-head-sh8-qube.html


■心臓部がトランジスタの兄弟モデルも登場!

■Stomp-Head SH8. Qlone オープン価格

今回試奏したSH8. Qubeに続いて、プリ部がトランジスタのSH8. Qloneも登場する。こちらも、試奏機が届いたので、Qubeと比較して弾いてみた。
基本的な使用感などはQubeと共通だが、こちらはAUXインやヘッドフォン・アウトなどが省略されているなど、ややシンプルに設計されている。サウンドは、Qubeを弾いた後だったので“さすがに真空管には負けるでしょ”と思っていたのだが……なんとなんと、極端に音質が変わったという印象がない! 充分に真空管ライクな歪みを作り出してくれるから驚いた。ドライヴ・モードや、当然のことながら真空管ブーストなどのスイッチはなくQubeよりコントロール類もシンプルなので、直感的に音作りが可能だ。“やっぱり真空管に勝るものなし”と思ってたが、トランジスタもグッドですよ!

 

■Taurus Stomp-Head SH8. Qloneの詳細■
https://www.electroharmonix.co.jp/taurus/stomp-head-sh8-qlone.html