SYUがUAFX Knucklesを詳細レポート!
SYUによる恒例の試奏企画!
前回の試奏で大絶賛されたUAFX ANTI。その後、気に入りすぎて購入してしまったという!
そして、そのUAFXのペダル・シリーズに、次なる刺客が登場。
今回は、あのメサ・ブギー・レクチファイヤーをエミュレートしたプリアンプだという。さっそく、前回に続きSYU的楽器試奏会の開幕です!
SYUによる試奏動画(UAFX ANTI編)
SYUによる試奏動画(UAFX Knuckles編)
Universal Audio
UAFX Knuckles ’92 Rev F Dual Rec Amplifier
¥63,800(税込/希望小売価格)
■仕様■
●コントロール:プリ・ゲイン、プレゼンス、アウトプット、ルーム、ゲート、ロー、ミドル、ハイ
●スイッチ:スピーカー・セレクト、ストア、アンプ・モデル(クリーン、オレンジ、レッド)、オン・オフ・スイッチ、プリセット・スイッチ
●入力端子:1/4インチTSフォーン × 2(Input 2はステレオ接続用 & 4ケーブル・モード用)
●出力端子:1/4インチTSフォーン × 2(Output 2はステレオ接続用 & 4ケーブル・モード用)
●USB端子:Type-C(コンピューター経由によるアップデート用)
●電源:外部ACアダプター(アイソレートタイプ 9V DC/センターマイナス/400mA以上)、純正のPSU-GP1-WWを別売
■速弾きにもしっかりと付いてきてくれるし、
真空管の時代が終わりつつあると感じさせてくれる
——ANTIに続いて、今回はメサ・ブギー・レクチファイヤーをシミュレートしたKnucklesを試奏して頂きました。まず、ANTIですが、気に入って購入したとか?
SYU:そうなんですよ。あまりにも気に入ってしまって、買ってしまいました(笑)。すでに、リハーサル・スタジオでアンプのヘッドのリターンに接続して鳴らしてみたんですが、前回試奏した感触の通り、かなりよくてビックリしてます。
——そして、今回のKnucklesは、レクチのシミュレートとのことです。
SYU:僕がレクチを使ったことがあるのは、たぶん2000年になるかならないかの頃だと思うんですね。このKnucklesは、92年製のモデルを元にシミュレートされてるんですね。僕のレクチの印象は、鳴らした時にすごく塊のある音が得られるアンプという感じでした。マーシャルでは感じることができないような、“ドカーン”というか“ズドーン”と出てくる音色でした。当時、ライヴ・ハウスに出演すると、どこの場所に行ってもみんなレクチを使ってましたよね。あのヘッドを持ってたら勝ち組みたいな感じで(笑)。けっこう高価なヘッドだったんですけど、多くのギタリストがガンバって買ってましたね。
——今回のKnucklesのモデルとなった92年製のレクチを弾いたことはないですか?
SYU:さすがに、僕が使ったことがあるレクチが何年製のモデルかはわからないです。イメージからすると、2000年前後にハヤっていた印象があったんですけど、けっこう前から出ていたんですね。レクチの印象ってバッキングはズドーンなんですけど、リードが弾きにくいというか個性的なトーンだった記憶なんですね。
ところが、Knucklesはリードもぜんぜんいけるので、もしかしたら92年頃のモデルと2000年前後のモデルでは個体差があったのかもしれないですね。Knucklesはふつうにリードまでいけるし、もしかしたら僕は当時いい個体に出会ってなかったのかもしれないです。
所有はしてなくてリハスタとかにあったのを弾いていたので、少しくたびれてるモデルだったり、オーバードライブのセッティングが今の自分ほど長けてなかったのかもしれないです。当時のイメージは、バッキングは気持ちいいけど、速いパッセージを弾いた時に付いてこないような音というかサスティンがない感じだったんです……それがKnucklesだと、どこまでも付いてくるし速弾きをしてもまったく問題ないからビックリしました。
——単音を弾いてもコンプ感もありますよね?
SYU:ありますね。モチっとした感じは、実機そのままだし、音の立ち上がりも速いんです。
——さらにKnucklesには、ANTIにも搭載されていたTSとTCという2種類のオーバードライブも搭載されていますね。
SYU:TSはチューブ・スクリーマー系、TCはTCエレクトロニックのインテグレーテッド・プリアンプをエミュレートしたオーバードライブですね。
ANTIの時はTSがお気に入りだったんだけど、今回はTCを選びました。TSだとミドル感をアップさせる感じで、TCだとコントローラーがベースとトレブルになるのでミドル感というよりは低域と高域の調整に寄っていてシンプルに音作りができるなと思ったんです。アンプの音色を変えずにブーストさせるイメージにちょうどいいと感じましたし音作りもしやすくて使いやすかったです。
TSも試してみて、もちろん悪くなかったんですけど、今の僕のギターとKnucklesの組み合わせだとTCのほうが気持ちよく弾けました。まあ、もっと突き詰めていくとTSがいいってなるかもですが、今回の試奏ではTCのほうが好みでした。本体のツマミはANTIと同じで、TSの時は(ALTにした際)オーバードライブ、トーン、レベルですが、TCになるとベース、トレブル、レベルになってますね。僕は、ベースをちょい下げて、トレブルを少し上げ、レベルを全開でセッティングしてみました。
——メインの音色は3チャンネルで選択できます。気に入ったのはオレンジ・チャンネルでしたね。
SYU:オレンジはレクチ感というよりも、もう少しオーソドックスに使えるトーンで振り幅の広い音だと感じました。
せっかくだからオーバードライブを併用して使いたかったので、そういった理由もあってオレンジを選んだんです。たぶんレッド・チャンネルにすれば、オーバードライブなしでも充分な歪みになるなって思うんですね。あとはトータルな鳴り方として、オレンジ・チャンネルのほうがミドルも広く感じました。
——レッド・チャンネルは歪みの質も違いましたか?
SYU:違うように感じたし、トーンも、よりドンシャリになって攻撃的な音になっていると思います。
レクチのイメージだとレッド・チャンネルが近いかな。ただ、どのチャンネルもゲインの幅が広いんですよ。なので、オレンジ・チャンネルでもゲインを全開にすれば充分に歪みますし、たとえばEMGピックアップを搭載したギターであればオーバードライブがいらないというギタリストもいるんじゃないですかね。レッド・チャンネルも、ゲインを絞って軽めに歪ませることもできるし、全開にすれば申し分ないオーバードライブが得られるんです。
▲チャンネルは、CLN、ORG、REDという3チャンネル仕様。SYUのお気に入りは、ORGだったが、よりレクチ感を得るにはREDがオススメとのこと
——YouTubeで公開されているデモ演奏の楽曲は、単音リフの曲になってるじゃないですか。レクチというと、単音より和音リフのほうが合うイメージがあるんですが、Knucklesは……。
SYU:まったくそんなことがなく、単音でもいけます。そういうイメージのレクチってサスティンもない印象があるんですけど、Knucklesはコンプ感もありますし、たぶん1992年頃のレクチがこういう感じだったのかなって。僕が昔に弾いたレクチよりもサスティンもあるし音の立ち上がりも速いです。すごく状態のいいレクチをシミュレートしてるんじゃないですかね。
——お気に入りのセッティングを見ると、ミドルとトレブルを少し上げてますね。
SYU:オケと合わせてセッティングしていったんですが、ちょうど好きなミドルが出てくるのがこのあたりでした。おそらくですが、この3つのEQは干渉型だと思うんです。たとえばベースを下げていくと、単純にローが下がるだけではなくミドルにも影響していく。それもあって、3つのEQを比べながらエディットしていきました。
——ゲインは、オーバードライブを使ってるわりには上げ目と感じますが。
SYU:TCモードは、そこまで歪む感じのブースターではないんですね。とすると、このぐらいがちょうどよかったです。
——プレゼンスが上がり気味なのが意外だと思いました。
SYU:プレゼンスは音の抜け感にも関わってくるEQで、このあたりまで上げた時にいい感じで抜けてくれたんですね。
僕はオケを流して音作りをすることが多いのですが、それはオケの中でしっかりと自分の音が再生されないと弾いていて気持ち悪いからなんです。単体で気持ちいい音を出してくれるエフェクターって、いっぱいあるじゃないですか。じっさいそれをオケに混ぜると“う〜ん?”ってなることが多いんですよ。それをクリアできるペダルがいいものだと思うし、Knucklesに限らずUAFXのシリーズはどれも優秀なんですよね。
(弾きながら……)いや〜、ホントにソロも弾きやすいですね。僕が弾いてたレクチのよさを継承しながらソロも大丈夫になってるんです。なので、僕がイメージするレクチよりも、はるかに使いやすいし弾きやすくなってるのがKnucklesですね。レクチっぽさを求めるならレッド・チャンネルにすれば“これ、これ”ってなるだろうし、それなのにソロも弾きやすくてオーバードライブも搭載していてる、と。これは、ヤバイですね〜。
——とすると、あの時代のモダンなヘヴィ・ロックだけではないく、もっと幅広くハード・ロックなジャンルでも使えるのがKnuckles?
SYU:ですね。さらに、クリーン・チャンネルも懐かしさもあっていいんですよ。コーラスの乗りがよさそうなトーンで、ギター側のヴォリュームを変化させても付いてきてくれるので、ピッキングのニュアンスをしっかりと再現してくれる。ちなみに、このヴォリュームの感じは歪ませたオレンジやレッド・チャンネルでも付いてきてくれて、ギター側のヴォリュームを絞って弾くとクランチになってくれます。
——そして、いちばん感じたのが……。
SYU:とにかくレスポンスが、すごく速いんです。これは、ANTIやLionもそうだったんですけど、ピッキングの反応がよくて、レイテンシーをほとんど感じません。ここまでくると、デジタルとかアナログとか関係なく、ひとつのプリアンプとして使えるものが登場したなって思うんです。
世の中、マルチ・エフェクターを含めていろいろなデジタル系のモデルが出てきてるじゃないですか。もちろん、UAFXもそのひとつなんだけど、ひとつのアンプに特化してるところがいいんですよ。機能が充実しているのはもちろんだけど、ひとつのアンプのシミュレートだから、より説得力もある。
あと、自分でエフェクターを製作している僕からの感想なんですけど、この筐体も音に影響してるんじゃないかと思うんですね。他の大きめなマルチ・エフェクターのようにプリアンプが回路のひとつとして入ってるものより、この筐体があってひとつのアンプに特化してるからクオリティの高い音が出てくるんじゃないかと。アナログ・エフェクターだと筐体によって、ぜんぜん音は変わってきます。それが、デジタルの世界でもありえるんじゃないかなって。
アナログ・エフェクターに関してですけど、筐体の大小でいい音がするとかではなく、出したい音によって筐体を選ぶというのがあるんです。たとえば、自分がローを出しやすいブースターを作る時は、あまり大きめの筐体で作らないようにしてます。小さめにしてローを締めるんです。UAFXはやや大きめの筐体ですが、これがもしかしたら、アンプらしい音を出すために必要な大きさなのかなと思ったりもしてます。
——機能の話が出ましたが、ふたつのフットスイッチもお気に入りで?
SYU:便利なんですよ。僕は、左のスイッチにオーバードライブのオン/オフ、右にプリセットされた音色を入れるのが使いやすくて、そうすると4音色使えるじゃないですか。アンプのチャンネル切り替えと、外付けのオーバードライブのオン/オフが1台でできる感じですよね。
——ノイズ・ゲートも内蔵されてますが、今回、使わなかったですね。
SYU:使わなくても、そこまでノイズは気にならないぐらいだったんですよ。本物の真空管アンプよりノイズ自体が少ないと思います。
使い方のひとつとしては、大音量で鳴らした際にハウリング防止とかで役に立つかもしれないですね。アプリのほうだと、かなり細かいゲートの設定ができますし、アプリがなくても本体にあるALTスイッチを使うことでいろいろな音色が作れるんですね。そこも気に入ってる点です。もちろん、アプリは使ったほうがいいかと思いますが。オススメの使い方としては、自宅でアプリを使って音を作っておいて、リハーサル・スタジオに行った時には本体で微調整していく感じですね。それが、本物のアンプをさわる感覚でできるかなと。
▲フットスイッチは2つ。左のスイッチは、通常のKnucklesのオン/オフの他、オーバードライブのオン/オフやノイズ・ゲートのオン/オフなどに変更も可能だ
——ANTIと比べて、総合的にはどう感じました?
SYU:ふたつ並べて比べたわけじゃないので確実ではないんですが、もしかしたらKnucklesのほうが音量が大きいかもしれないですね。ANTIをスタジオで鳴らした時にも充分な音量感だったんですが、それがより出るとなると大音量が好きなギタリストにはオススメかなと思います。プリアンプになるので、アンプのリターンに接続して鳴らしても他の真空管アンプに負けない音が出せます。昔は、デジタルでは真空管にどうしても勝てない音圧があったんですが、今はその時代が終わりつつあるなって感じさせてくれますね。
——Lionも所有してるSYUさんには、Knucklesの最大の魅力はどこだと思いますか?
SYU:クリーンから激歪みまで、ものすごく振り幅の広い音を作れるのがKnucklesですね。でも、ANTIもLionも最高なんだよな〜(笑)。比べるのが、ひじょうに難しいです(笑)。あとは、マーシャルなのか、5150なのか、レクチなのか……どの歪みが好きかで選んでもらえばいいかなと思います。
▲中央のスイッチをALTに切り替えると、コントロール類の機能が【】で表示されたツマミに変更される。
STORE側に約0.5秒押し続けるると、設定が保存される
■キャビネット・エミュレーションの印象をSYUが語る!
●UK V30(LED : 赤)=レンジが広くデフォルトと言えるトーンです。トレブルがよく出て、トレブルを下げ目にして使うのがいいかもですね。
●CA V30(LED : 赤)=UK V30のレッドよりは、少しレンジを狭めた印象で、トレブルの効きがよくなってます。
●WHITE 75(LED : 赤)=上の2つよりも、もう少し中高域に寄ったトーンだと思います。重めなジャンルより、ややライトな方向な音楽に向くかと思います。
●UK V30(LED : 緑)=ミドル感がいちばん好きな音です。これに比べると、他のキャビネットは、わりとレンジが広い音だと思いました。このシミュレートに関しては、レンジも広いんですが僕の好きなミドルがよく出てくれるんです。トレブルを絞るとコモった感じも出ますし、もろに僕の好きな音が作れます。プレゼンスの効きもすごくいい。で、ベースを下げるとミドルが出てくるんですね。
●CA V30(LED : 緑)=上のモデルから、スピーカーもマイクも替えた印象のトーンになります。グリーンのほうは、3モードともトレブルを絞るとレッドよりコモった感じになってくれるので僕は好きですね。
●WHITE 75(LED : 緑)=グリーンの中ではレンジが広く、レッドに近いです。そんな印象なんですけど、トレブルの効きがいいので音作りしやすいです。プレーン弦の芯の部分が、ちゃんと再生されてる感じですね。
▲SYUが選んだキャビネット・エミュレートは、緑のUK V30。
これは、ユーザー登録後に選択できるキャビネットで、デフォルトの3種類と合わせて合計6種類搭載
■SYU=お気に入りセッティング
▲SYUお気に入りセッティング。ALTでセッティングできるレゾナンスは11時、ゲートは1時ぐらいだ。
写真下側は、ALTでエディットできるオーバードライブのセッティング。TCモードでの使用だ
■SYU愛用のUAFXペダル
◎SYUが気に入って購入したというUAFX 2機種。左から、Lion ‘68 Super Lead Amp、ANTI 1992 High Gain Amp。
Lionは、ブラインドマンの中村達也(g)からのオススメ&試奏で購入を決定、ANTIは前回の試奏企画後に、速攻、購入してしまったというお気に入りの2台だ。
■ハード・ロック/ヘヴィ・メタルに最適な3機種を比較してみると……!!
◎メタルにも最適なUAFXペダルの3機種を、SYUとともにグラフ分けしてみた。
Lionは、ヴィンテージ・マーシャルをモデリングしているが、ブラウン・サウンドをシミュレートしたチャンネルもあるのでハードな歪みも得られる。
ANTI、Knucklesともにハイ・ゲイン・タイプでさらにクリーンも作れるので、じっさいは表よりもロー・ゲインまでカヴァーできると思ってもらってOKだ。
ANTI、Knucklesは、どちらもかなり幅広い音作りができるぞ。
■Universal Audio UAFX Knuckles ’92 Rev F Dual Rec Amplifierの詳細■
https://hookup.co.jp/products/universal-audio/uafx-knuckles-92-rev-f-dual-rec-amplifier