令和を彩る新世代アンプ〜ギター編 その2
令和を彩る新世代アンプの試奏紹介レポート、続けてギター編 その2をお届けしよう。
※WeROCK 074の掲載記事を3回にわけて掲載します。
ギター編その1はこちら!
ベース編&番外編はこちら!
■ギター編 その2■
時代を変えた、デジタル・アンプの革命児
ケンパー
PROFILER STAGE
¥290,000+税
▲MIDIイン/アウトやキャノン・アウトはもちろんのこと、他のエフェクターも使用できるようにセンド・リターンも装備しているという至れり尽くせり
■PROFILER STAGEが通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/ec/pro/disp/1/648394
※予約受け付け中(2020年1月30日現在)
間違いなくアンプに革命を起こしたと言っても過言ではないのが、ケンパーだろう。レコーディングはもちろんのこと、プロ/アマを問わずライヴなどでも持ち込んでいるギタリストは多い。今さら説明不要だとは思うが、このケンパー、簡単に言ってしまえばエフェクターやアンプ・シミュレーター、キャビネット・シミュレーターなどを内蔵したアンプで、プリアンプ・タイプのものからパワー・アンプを搭載したもの、そして、今回、試奏している最新機種のフットスイッチを一体型にしたフロア・タイプのものなど合計5種類登場している。
アンプのモデリングをしたデジタル・アンプは他にもあるわけだが、このケンパー最大の特徴はプロファイリングという独自の技術にある。これまた簡単に言ってしまうと、アンプ自体の音を取り込み再現するテクノロジーで、たとえば、あるギタリストがこれまで使っていたマーシャルの音をそのままケンパーで抽出して再現できるのだ。
と、ケンパーの特徴を簡単に説明したが、今回は、そのケンパーが送り出した注目の新機種、“STAGE”を試奏してみた。これまでのケンパーをライヴで使用するとなると、音色の切り替えのためにフットスイッチが必要だった。このモデルは、フットスイッチを一体型にしたため、そのままPAに接続するならなにもいらないし、キャビネットからの音が欲しいなら、ライヴ・ハウスにあるアンプのエフェクト・リターンに接続すればOK。
今回の試奏では、マーシャル JVMのリターンに接続して、マーシャルをパワー・アンプとして使用してみた。これは、けっこう贅沢な使い方で最終的には真空管(パワー管)を通るので、デジタル+アナログのハイブリッド仕様ともいえる。そのため、出てくる音は、デジタルっぽくないトーンで、これまで真空管アンプにこだわっていた編集部試奏班はショックを受けることとなった。“これで、いいじゃん”……と。ただ、やはり機能が充実しすぎているので、操作に慣れるまでは時間が必要。あとはバンド内で使用した時の音ヌケがどうなのかだろうか。
▲アンプやエフェクターなど、直感的にエディットできるコントローラーは便利。とくにゲインとマスター・ヴォリュームが、いちばん大きいのは実用的だ
問:株式会社コルグ
http://www.korg-kid.com/kemper/
独自の技術!
アナログ回路で真空管のトーンを再現
ヒュース&ケトナー
BLACK SPIRIT 200 Floor
¥135,000+税
〈仕様〉
●出力:200w/20w/2w
●コントロール:チャンネル切り替え(クリーン/クランチ/リード/ウルトラ)、ブースト・スイッチ、ゲイン/インテンシティ、ヴォリューム/モジュレーション・タイプ、ベース/ディレイ・タイム、ミッド/フィードバック、トレブル/ディレイ・タイム、ノイズ・ゲート/リバーブ、サギング/キャビネット・タイプ、レゾナンス、プレゼンス、マスター・ヴォリューム、FXアクセス、FXループ、ストア、レッド・ボックス(マイク/ライン切り替え)、レッド・ボックス(オン/オフ切り替え)、出力切り替え(200w/20w/2w)、キャビネット切り替え(ギター・キャビネット/フル・レンジ・キャビネット)
●入出力端子:インプット、モニター・イン、AUXイン、エフェクト・ループ、MIDIイン、MIDIアウト/スルー、DIアウト、スピーカー・アウト
●外形寸法:470(幅)×70(高さ)×255(奥行き)㎜
●重量:4.1kg
■BLACK SPIRIT 200 Floorが通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/ec/pro/disp/1/654656
※2020年2月下旬以降、入荷予定
ヒュース&ケトナーのアンプ・ヘッド、ブラック・スピリットをフロア・タイプにしたモデルだ。パワー・アンプも装備されているので、ここからスピーカー・ケーブルでキャビネットに接続すれば完結してしまうというスグレモノ。
弾いてみると、今回、試奏しているデジタル・アンプとは違った歪みだとわかる。このモデルは、デジタルでもなければ真空管を使用しているわけでもなく、ヒュース&ケトナー独自の技術で真空管をシミュレートしており、デジタルのモデルより張り付き感が強いと感じられた。
なんと、出力は200w! 今回、試奏した他のモデルで、マスター12時ぐらいのニュアンスの音が、マスター・ヴォリュームを9時ぐらいの位置で体感できる。デジタルとはあきらかに違う音圧感があるのだ。そして、もちろん真空管を再現したトーンを売りにしているのだろうが、真空管っぽさにトランジスタならではのトーンをプラスしたよさがあると感じられた。
おもしろいのは、ヒュース&ケトナーといえば、マーシャル系とは違うクリーミーなクリーン・トーンに特徴があるのだが、こちらのモデルのクリーン・トーンは、これまでのヒュース&ケトナーのイメージとは違い、もう少しアタックも出るクリーンのようだ。マーシャル系とヒュース&ケトナーの間に位置するクリーンに感じる。歪みは、リード・チャンネルとウルトラ・チャンネルがあり、どちらもさらにブーストすることが可能。リード・チャンネルとウルトラ・チャンネルの違いは、歪みが強くなるというよりも、ウルトラにすると重低音がグッときてくる。ちなみに、クリーンやクランチでも、ピッキングのアタックにより、軽く歪みが得られるなど、ピッキング・ニュアンス通りに反応してくれるあたりは、アナログならではだろうか。
▲真空管回路の複雑な相互作用を再現するSPIRIT TONE GENERATOR。この機能を象徴するかのように、中央にオレンジ色に光る小窓が設けられている
▲4チャンネル仕様で、よく歪むチャンネルはリードとウルトラのふたつ。さらに、ブースト・スイッチも搭載されているので、歪み系エフェクターは不要だろう
問:パール楽器製造株式会社
https://pearlmusicinstrumentaljp.com/hughes_and_kettner/product/black-spirit-200-floor/
好みのアンプを入れ替えて使える!
シナジー・アンプ
モジュール・プリアンプ・システム
¥58,000+税〜
■シナジーのモジュールが通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/ec/cmHeaderSearchProduct/doSearchProduct/cmHeader/%20/%20/1?wd=synergy®istKeyword=true
真空管サウンドにこだわりたいギタリストに注目してほしいのが、シナジー。これは、12AX7を2本搭載したプリアンプなのだが、マイク・ソルダーノやデイヴィッド・フリードマンら著名なアンプ・デザイナーが開発を行なっているモデルなど、10種類以上ラインナップされているのだ。
代表的なものを紹介すると、マーシャルのJCM800のニュアンスを再現できる“800 module”、マイク・ソルダーノが手掛けた“SOLDANO-SLO module”、そしてデイヴィッド・フリードマンが手掛けた“FRIEDMAN DS module”や“FRIEDMAN HBE module”などなど。ハイ・ゲイン・アンプで知られるディーゼルのサウンドが得られる“DIEZEL VH4 module”といったモジュールも用意されている。
各モジュールごとにその特性を活かすためのコントロール類が備えられ、真空管ならではのトーンは極上と言える。深いこだわりを持つギタリストに試してほしいプリアンプだ。
なお、使用するためには、別売の専用ハードウェアが必要となる。
問:株式会社モリダイラ楽器
http://moridaira.jp/synergyamps