MASAKIが17台のベース用ペダルに挑む!!〜コーラス/フランジャー、他編

WeROCK 072でお届けしたベーシスト特集“BASS SENSATION”。WeROCK EYESでは、その中からMASAKIによるベース用ペダルの試奏レポートをお送りしよう。この夏に発売されたばかりの最新機種から定番のモデルまで合計17台。プリアンプや歪み系、空間系、飛び道具系などなど、多種多様なペダルにMASAKIが切り込んだ! 今回はコーラス/フランジャー、リミッター、飛び道具などを紹介しよう。
※WeROCK 072の掲載記事より。


コーラス/フランジャー 編

タウラス Vechoor MK-2
¥22,680+税

〈仕様〉 コントロール:デプス、エンハンサー、レイト、デチューン、モード(フランジャーA/コーラス/フランジャーB) ●入出力端子:インプット、アウトプット ●外形寸法:96(幅)×65(高さ)×144(奥行き)㎜ ●重量:500g ●電源:DC9v/12v(アダプター付属)

2つの回路で、厚みのあるコーラスが得られます

MASAKI:マルチ・コーラスと名付けられていて、2種類のアナログ・モジュレーション回路が入っているんですね。で、コーラスと2タイプのフランジャーという合計3つの効果が選べるペダルです。
まず、モード・スイッチで、左側のフランジャーAを試してみたんですが、比較的おとなしめというかコーラスに近い印象を受けました。逆に右側のフランジャーBは、より揺れがハッキリしたフランジャーらしいフランジャーです。真ん中のノーマルとあるコーラスも含めて、全体的にはアナログらしい、ナチュラルなサウンドがいいですね。回路が2つあるおかげか、厚みもありますよ。
僕自身はタッピングで音に広がりを付けたい時にコーラスを使っているんですけど、このコーラスを使うならデチューンをやや上げることでエグみを抑えつつ、エンハンスで深さを整えるという感じですね。ハーモニックス奏法やクリーンな奏法にうねりを加えたい時にも合うと思います。うん、いろいろツマミを触ってみたんですが、どんな設定でもアナログらしいナチュラルなかかりでいいですよ。ベース本来が持っているサウンドを活かしつつ、そこに少しレイドバックしたというかヴィンテージっぽい香りがする音作りができますね。

▲モード・スイッチでコーラスかフランジャーのAタイプ、Bタイプを選ぶことができる

■通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/ec/pro/disp/1/412966

問:日本エレクトロ・ハーモニックス株式会社
http://www.electroharmonix.co.jp/taurus/vechoor_mk2.html


エデン I-90
¥オープン

〈仕様〉 コントロール:スピード、デプス、ロー・カット、ミックス・レベル ●入出力端子:インプット、アウトプット ●外形寸法:122(幅)×55(高さ)×90(奥行き)㎜ ●重量:500g ●電源:DC15v(専用アダプター付属)

モダンなキャラクターのコーラスらしいコーラスです

MASAKI:まず、感じたのは、WTDIとかにも通じる、エデンらしい各コントロールの反応のよさです。少し動かすだけで、音がしっかりと変わってくれる。だけど、効き幅が広いかというと、デプスやスピードをフルに上げきってもフランジャー的にはならないんですよ。あくまでもコーラスというサウンドでまとまってくれてます。
キャラクター自体は、アナログらしいナチュラルさがありつつ、音像がハッキリしている印象を受けました。ヴィンテージ寄りというよりは、モダンな音色という気がしますね。デザインもモダンな感じだし。で、そのモダンな音色、キャラクターでしっかりとコーラスをかけてくれるんです。
あと、特徴的なのはロー・カットですね。一般的なコーラスはスピードとデプスで音色を決めるんですが、このロー・カットがあることで、ローがぼやけてしまうのを防いでくれてます。結果、コーラスによる広がりがわかりやすく、聴きやすくなってます。そして、ミックス・コントロールが付いていて、どれだけコーラス・サウンドを混ぜるのかを決められるのもいいと思いますよ。原音を損なうことなく、さりげなくかけたいという時に親切なツマミだと思います。あと、ベースでやる人はあまりいないかもしれないですけど(笑)、コード弾きにもいいですよ、これ。

スピードとデプスというコーラスの基本的なコントロールはどちらも効きがしっかりとしている

問:株式会社ヤマハミュージックジャパン
https://jp.yamaha.com/products/brands/eden/bass_pedals/i90/index.html


エデン AstroFlange
¥オープン

〈仕様〉 コントロールヴェロシティ、アルティチュード、ロー・カット、エフェクト・レベル ●入出力端子:インプット、アウトプット ●外形寸法:122(幅)×55(高さ)×90(奥行き)㎜ ●重量:500g ●電源:DC15v(専用アダプター付属)

コーラスと同じく、エデンらしい“さりげなさ”があります

MASAKI:フランジャーということで、左下で紹介しているコーラスと同じモジュレーション系、空間系ですね。で、フランジャーというと、世の中には過激にかかるモデルもあるんですが、I-90と同じように“さりげない”“大人っぽい”“高級感”という印象を受けましたね。
もちろん、しっかりとしたフランジャー効果を得られるんですが、ツマミをフルに上げてもえぐい感じがしないし、すごい音の波がなだらかなんです。そう言った意味でも、ベースで使いやすいフランジャーだと思うし、コーラス寄りと言えるかもしれないですね。さりげなく使いたいですね。あと、I-90と同じくロー・カットがついているので、低域をすっきりさせてかかりぐあいを明確にできるし、原音とのミックス具合を調整できる。I-90と弾き比べてもらうのがおもしろいと思います。

ロー・カットで低域にフランジャー効果がかかることを抑え、音をはっきりとさせることができる

問:株式会社ヤマハミュージックジャパン
https://jp.yamaha.com/products/brands/eden/bass_pedals/astroflange/index.html


リミッター 編

ロジャー・メイヤー RM 58M LIMITER
¥オープン+税

〈仕様〉 コントロール:レシオ、アウトプット、スレッショルド ●入出力端子:インスト・イン、ライン・イン、インスト・アウト、ライン・アウト ●外形寸法:127(幅)×51(高さ)×94(奥行き)㎜ ●重量:340g ●電源:専用DC48vアダプター(付属)

スラップ・ベーシストにもオススメしたいリミッターです

MASAKIコンプレッサー/リミッターは、ベーシスト必須のアイテムですね。で、ざっくりですが、コンプは大きい音を小さくして小さい音を大きくする、リミッターは大きな音を抑えるという違いがあるんですが、ともに音量のばらつきをなくして、聴きやすくするというものです。よく、ライヴではアンプ直だよと語るベーシストでも、けっきょくは卓でコンプやリミッターをかけますし、それなら自分の音は自分ですべてまとめたいですからね。それに、どんなにウマくても音のばらつきは出ますから。
で、このRM 58Mはリミッターです。コントロールが2つというシンプルなモデルですが、スタジオ・クオリティのRM 58 LIMITERをコンパクトにしたというすごいものです。リミッターのかかり自体はすごいナチュラルで、ツマミを上げ下げしても、そのナチュラルさが保たれますね。もちろん、しっかりとその効果はあります。ダイナミクスもちゃんと感じられる。だから、オーソドックスなプレイをするベーシストにはもちろん、スラップにも向いていると思います。スラップって、コンプを強くかけすぎるとヌケとかダイナミクスがなくなってしまうので、こうしたナチュラルなリミッターがオススメなんですよね。

音量の抑え具合を調整するレシオ、どのレベル以上の音量を抑えるのかを調整するスレッショルドとシンプル

■通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/ec/pro/disp/1/504192

問:日本エレクトロ・ハーモニックス株式会社
http://www.electroharmonix.co.jp/rm/rm58m.html


飛び道具 編

デジテック Bass Whammy
¥33,000+税

〈仕様〉 モード(ハーモニー/ワーミー/デチューン)、トラッキング・モード(クラシック/コード) ●入出力端子:インプット、アウトプット、MIDIイン ●外形寸法:170(幅)×61(高さ)×196(奥行き)㎜ ●重量:1,370g(アダプターを除く) ●電源:DC9v(専用アダプター付属)

2オクターヴ上で、エグくかかるようにして使ってます

MASAKI飛び道具と言えば、ベース・ワーミーでしょう! 今日、試奏するまでもなく、僕のソロ・ライヴでの必需品なので使い慣れてます。ちなみに、僕は右側のワーミー・モードにして、2オクターヴ上の、エグくかかるパターンを選んで使ってます。踏めばかかるというわかりやすさもいいですよ。あと、ワーミー・モードで3オクターヴ下が出せる“DIVE BOMB”というのがあるんですが、個人的には荒々しすぎます(笑)。もう、すごいことになります。
で、左側のハーモニー・モードではペダルを上げ下げすることで、設定された音程の範囲で変わってくれます。曲中で使う時にはコード感を邪魔しないように、オクターヴの上下とか5度の上下で使うのが間違いないかなって気がします。で、デチューン・モードはいわゆるコーラス的な効果ですね。これも性能がいいというか、ベースで使いやすい。
まあ、さりげなく使うにはもったいないですよ(笑)。ハデに使ってほしい。飛び道具的なエフェクターなので、曲中で何度も使うというものでもないし、ベーシストにとって必須アイテムかと言われると違うかもしれないですけど、まさにワーミーならではのいろいろなパターンのピッチ・シフト効果を簡単に得られるというのは大きいと思います。

ペダルを踏むと、3オクターヴ下の音にシフトできる“DIVE BOMB”。
強烈な効果で耳を奪うこと、間違いない

■通販で購入可能■
○御茶ノ水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00156-00045138.html
問:株式会社神田商会
http://www.kandashokai.co.jp/flos/digitech/effectors/bass_products/bass_whammy.html


タウラス Dexter MK-2
¥34,400+税

〈仕様〉 ●コントロール:+オクターヴ・レベル、+オクターヴ・レンジ、−オクターヴ・レベル、−億ターヴ・レンジ、ドライ・レベル ●入出力端子:インプット、アウトプット ●外形寸法:96(幅)×65(高さ)×144(奥行き)㎜ ●重量:600g ●電源:DC12v(アダプター付属)

オクターヴを上下に加えられるペダルは珍しいです

MASAKIオクターヴァーですね。このDexterは、1オクターヴ上と下のサウンドを加えられるんですが、上下にかけられるってのは、他になかなかない気がしますね。そういったところでも、飛び道具度は高い気がします。
その効果もおもしろくて、レンジというツマミでエフェクトがかかる周波数をコントロールできるんですが、左に回すとトーン全体がまろやかに、右に回すとやや硬くなる印象ですね。それが、オクターヴ上、オクターヴ下にそれぞれ設定できるので、アイディアやセンスしだいで、いろいろな使い方ができますよ。オクターヴ上か下だけを加えることもできるし、原音に対しての混ぜ具合も調整できるのもいい! 意外といろいろできそうですね。
飛び道具的に使うのもありですが、僕なら、インストゥルメンタル曲でベースでメロディを弾く時にオクターヴ上を足して、そのメロディ感をハッキリさせるのに使いたいですね。レンジ・ツマミの調整で音を際立たせることができそうです。もちろん、ベース・ラインにオクターヴ下を加えるという一般的な使い方も問題ないですしね。バンド・サウンドに欠かせないペダルではないかもしれないですけど、ソロを聴かせるベーシストとかにはチェックしてもらいたいですね。

ドライ・レベルで原音とオクターヴ音の混じり具合をコントロールできる

問:日本エレクトロ・ハーモニックス株式会社
http://www.electroharmonix.co.jp/taurus/dexter_mk2.html


エデン CaliforniWAH
¥オープン

〈仕様〉 コントロール:ロー・ポイント、センシティヴィティ、レゾナンス、エフェクト・レベル、ヴォイス・スイッチ ●入出力端子:インプット、アウトプット ●外形寸法:122(幅)×55(高さ)×90(奥行き)㎜ ●重量:500g ●電源:DC15v(専用アダプター付属)

ファンキーなノリやうねりを出すのに最適です

MASAKIオンにするだけでワウ・サウンドが得られるオート・ワウですね。踏むだけでファンキーな雰囲気になります。逆に言うと音圧のあるメタル・サウンドの中では使い方が限定されるかもしれないですが、そうではない楽曲でのベース・ラインを際立たせたり、16ビートの楽曲の中でうねりを出したりするのに向いていると思います。ドラムとベースだけになる場面で使ったりするのもいいでしょうね。
ツマミの効きという面では、WTDIに比べると、グイグイと変わる感じではなく、しっとりとかかる印象ですね。このあたりはGLOWPLUGに近いのかもしれないです。ロー・ポイントというコントロールで、かかり始める周波数帯を決められるんですが、ベースらしく使うならこのロー・ポイントは左寄せにしたほうがいいかもと感じました。あと、センシティヴィティで強く弾いた時だけかかるように設定するとフレーズによりうねりが出せると思います。そのあたりはセンス勝負でしょうね。
ヴォイス・スイッチは押すと、まろやかになる印象で、押したほうが好みですね。そこは弾く人によって、わかれるところでしょうね。設定次第でドカンとハデにかけることもできますが、個人的には渋く使いたいペダルです。

▲ヴォイスを押すことで、2種類のキャラクターを切り替えられる。MASAKIは押した時のまろやかなトーンが好み

問:株式会社ヤマハミュージックジャパン
https://jp.yamaha.com/products/brands/eden/bass_pedals/californiwah/index.html

 

 

◎MASAKI。CANTAやダイダ・ライダ、ソロ、他、多方面で活躍する“ギター殺し”ベーシスト。9月7日からCANTAの全国ツアーが始まる!

MASAKI公式サイト
http://www.masaking.com/

アルバム
Did I make it?』/CANTA
ワードレコーズ GQCS-90714 ¥3,000+税