TAKAがラディアルのベース・プリアンプをチェック!

WeROCK 072のベース特集の最後を飾ったのは、TAKA(ガルネリウス)によるラディアルのベース用プリアンプの試奏レポートだ。この記事をWeROCK EYESでも公開! 現在、レコーディング中というガルネリウスの新作でも使われるというラディアルのBASSBONE V2をTAKA自身に紹介してもらおう!!
※WeROCK 072の掲載記事より。

ベース本来の個性を殺さずに、いいところを持ち上げてくれます

ラディアル BASSBONE V2 ¥41,000+税

〈仕様〉 コントロール:チャンネル1=レベル、EQ切り替え(ノーマル/トーンA/トーンB)、チャンネル2=レベル、ベース、ミドル、トレブル、ハイ・パス・フィルター切り替え(ノーマル/1/2) ブースト、ブースト・オン/オフ、ループ・オン/オフ、ループ・レベル、ループ切り替え(CH-1/ボス/CH-2)、チャンネル切り替え、ピエゾ用ブースター、デュアル・ピックアップ用ブレンド ●入出力端子:インプット×2、アウトプット、XLRバランス・アウト(マイク・レベル/グラウンド切り替え)、エフェクト・ループ、チューナー・アウト ●外形寸法:203(幅)×48(高さ)×107(奥行き)㎜ ●重量:1,157g ●電源:DC15v(専用アダプター付属)

——現在、行なっているガルネリウスのレコーディングに向けて、このプリアンプを試している最中だとか?
TAKA:ええ。エレクトリ(ラディアルの輸入代理店)の方と親しくさせていただいていて、ラディアルというブランドを教えてもらったんですよ。ちょうど自分も機材を変えてみたいと思っていた時期だったし、まずは定番のプリアンプを試してみようと思って、このBASSBONE V2を使っています。
——それまでにラディアルについて、どういう印象を持っていた?
TAKA:申し訳ないですけど、じつはほとんど知らなかったんです。他のプリアンプをずっと使っていたということもあって、BASSBONEも初対面でした。それで実際に試してみたらバッチリだったので、レコーディング本番で使ってみようということになったんです。
——現段階での印象は?
TAKA:まず、いいなと思ったのはヘンに音が変わらないことなんです。主張が強すぎない。例えば、アンペグっぽいとか他社の音っぽいというのがないんです。BASSBONE自体に主張や色はないんですけど、自分が持っているベースのいい部分を持ち上げて、いらない部分を減らしてくれる。自分のベースの個性を殺さないんです。あと、使い方がわかりやすい! 自分のような機械オンチでも簡単に音作りが始められましたね。
——本体は2チャンネル仕様だけど、それぞれどういうキャラクターだと感じた?
TAKA:チャンネル1はトーン・セレクターが付いているだけというシンプルさですが、もとのベースの音を大切にしながらけっこうキャラクターを変えられますね。ノーマルとトーンA、トーンBと切り替えられるんですが、トーンAは少しこもった感じのヴィンテージな音になる印象です。でも、がっつりと持ち上げるところは持ち上げてくれるので、ヴィンテージ風でも出るところは出ていて、物足りないということはないですね。トーンBはハイが出てモダンな感じになります。若いベーシストが好きな音だと思います。このチャンネル1だけでも好みの音は作れますよ。
——チャンネル2はどんな印象だった?
TAKA:チャンネル2は3バンドのイコライザーと切り替え式のハイ・パス・フィルターで音作りするんですが、EQの効きがすごいしっかりしているなと。少し回すだけで音が変わっていくし、回しきっても使える音になってます。ベースのおいしいところで効いている感じですね。しかも、ヘンな色づけがなく、持っているベースの個性を大切にした変化なんですよね。
——ハイ・パス・フィルターについては?
TAKA:これがいいんですよ。自分のメイン・ベースはもともとローが出すぎる傾向があるんですね。さらに指弾きだからローがたまりやすいんです。でも、ハイ・パス・フィルターを入れると、音の太さをそんなに変えることなく、もわっとした低音のよけいな響きをカットしてくれる。ゆるやかにカットするパターンと大きくカットするパターンが選べるんですが、どちらもいいですよ。
——そして、両チャンネルに共通したブーストというコントロールがあって……。
TAKA:自分ではブースト機能ってほとんど使わないんですよ。だから、他との比較はできないんですが、かなり効くと思います。EQと同じように効き幅が広いです。でも、ヘンに持ち上げすぎずに必要な部分がブーストされてます。だから、ハデなドライヴ・サウンドを好むベーシストには物足りないかもしれないですね。
——他に特色として、DIとしての機能も高いとのことだけど?
TAKA:今日は試せなかったですけど、レコーディング、ライヴともにそこは大切ですよね。
ラディアル担当者:ラディアルに、国内外のプロの現場で多く使われているJ48というアクティヴDIがあるんですが、BASSBONEのDI部はそのJ48とほぼ同じクオリティなんです。その面でも安心して使っていただけると思います。J48が税別で¥34,000、BASSBONEが税別で¥41,000なので、BASSBONEってコスト・パフォーマンスもいいんです。
——BASSBONE V2全体として、どういうタイプのベーシストにオススメ?
TAKA:このプリアンプは、初心者が期待するようなわかりやすい変化をもたらすタイプではないと思うんです。EQの効きはわかりやすいんですけど、よけいな色づけがないぶん、物足りなさを感じるかもしれない。そして、自分の持っているベースに対して素直なプリアンプだから、プレイのアラが目立つし、ベース本体の音がよくないからといって、それをごまかすこともできないです。もちろん、補正はできるけど、やはりベース本体の音がよくないとダメですから。
——そういう意味では、自分のベースの音がわかっている人向けなのかな?
TAKA:そうですね。アクティヴ/パッシヴを問わず、あと指弾きやピック弾きなどのスタイルに関係なく、本来のいい音をしっかりと持ち上げてくれますから。自宅では、2音下げで弾いたり、通常の4弦に5弦用の2〜5弦を張って弾いてもいるんですが、ローがムダに強調されることなく、ちゃんとバランスよく鳴らすことができますし、ドンシャリな音も作れる。使い方はシンプルだけど、使えば使うほど魅力がわかってくるプリアンプだと思います。

チャンネル1は、プリセットされた3種類のEQタイプとレベルのみとシンプル。
TAKAは、ヴィンテージ系のバランスのAタイプを気に入っている

チャンネル2には、ハイ・パス・フィルターを装備。
TAKA自身のベース本体がローが強めに出るということで、いちばん下のがっつりとカットするタイプが好み

▲TAKAのオススメ・セッティング。
チャンネル1では、ヴィンテージ系キャラクターのトーンAをチョイス。
チャンネル2では、ベースをセンターぐらいまで上げつつ、ハイ・パス・フィルターで余分な低域の鳴りを抑えている


兄弟機種のBASSBONE ODも緊急チェック!

 

ラディアル BASSBONE OD ¥49,500+税

今回、TAKAが試奏してくれたプリアンプのBASSBONE V2にオーバードライブを加えたのがBASSBONE ODだ。そのサウンドもチェックしてもらった!
——V2と同じ2チャンネル仕様ですが、それぞれキャラクターは違いました?
TAKA:一緒ですね。ヘンに色づけをしないというところはV2と同じです。AとBをクリーンとドライヴで使い分けるという、ふつうの使い方の他にも、例えば、ベースを持ち替える必要がある時に、各チャンネルのセッティングで出てくる音を同じような音にそろえるということもできそうですね。
——BASSBONE V2と比べて、EQの効き方が違うとのことですが?
TAKA:そうですね。ミッド・コントロールが効く周波数帯を1kHzと500Hz、250Hzの3種類から選べるんですよ。だから、より細かく音作りができます。ただ、ハイやローも含めてEQの効き幅は大きくて使いやすいというのは、V2と共通していると思います。
——基本的なキャラクターはどうですか?
TAKA:そこはV2と同じで、ヘンな色づけがないです。素直にベースのいいところを持ち上げてくれる印象です。
——このODにも、お気に入りのハイ・パス・フィルターが付いてます。
TAKA:V2と同じく3種類ですね。V2はグラフが書いてあって、ODはフラット/80Hz/150Hzと数値が書いてあるという違いはありますけど、今、試した感触としては、V2と同じ印象を受けました。しっかりと余計なローの鳴りを抑えてくれます。
——ゲイン・コントロールはどうですか?
TAKA:パッシヴ、アクティヴを問わずに、しっかりと音の存在感を上げてくれます。3時ぐらいまで回すと、ここぞという時のブースト・サウンドにも使えますよ。
——V2との最大の違いは、オーバードライブが付いていることですね。
TAKA:歪み自体もしっかり効くんですが、トーン・ツマミでけっこうキャラクターを変えられますね。個性的なオーバードライブです。ディストーション的でもなく、ファズ的でもなく、現代風の音でもない。好き嫌いはわかれるかもしれないですが、特徴があっていいですよ。その個性的なBASSBONE OD自体の歪みを、原音にどれだけ混ぜられるのかを調整できるのもいいです。芯のある音が作れます。あと、好みの歪み系ペダルを持っていれば、それをエフェクト・ループにつないで、BASSBONE ODの歪みも足すと他にはない歪みになると思います。
——全体的な印象をまとめると?
TAKA:使い方はわかりやすいし音作りもしやすいし、いろいろ設定できるから幅広く使える。でも、初心者向きではないと思います。ベース本来の音を損なわないというのが大きいし、持っているベースの音やキャラクターがわかっていて、それをよくしたいという人に向いているプリアンプだと思う。そこはV2と同じでしょうね。

 

問:株式会社エレクトリ
https://www.electori.co.jp/radial/index.htm

 

◎タカ。2009年にガルネリウスに正式加入。以来、その堅実かつテクニカルなプレイでバンドを支えてきた。ガルネリウスは現在新作のレコーディング中を終え、アルバム『INTO THE PURGATORY』を10月23日にリリースする。

ガルネリウス 公式サイト
http://www.galneryus.jp/

前作のアルバム
Ultimate Sacrifice
ワーナーミュージック・ジャパン WPCL-12714 ¥2,800+税