【試奏動画連動】K-A-Zを満足させたカール・マーティンのSシリーズ
デンマークで20年以上にわたりアナログ・エフェクターを開発し続ける老舗ブランド、カール・マーティン。数々の名機を生み出したエフェクター・ブランドであるが、そのカール・マーティンが新たに発売しているのが、これまでよりもコンパクトなサイズになったSシリーズだ。気になる4機種を断然アナログ派のギタリスト、K-A-Zが試奏してくれた! 試奏動画とともに紹介していこう。
※WeROCK 070の掲載記事より。
■K-A-Zによる試奏動画
カール・マーティン DC Drive ¥13,800+税
〈仕様〉 ●コントロール:ドライヴ、レヴェル、トーン、モード切り替えスイッチ(ファット/レギュラー) ●電源:9vDC/200mA(センター・マイナス) ●外形寸法:60(幅)×50(高さ)×115(奥行き)mm ●重量:340g
——まずはヴィンテージ・トーンが特徴というDC Driveですが、歪みの感じはどうでしょう?
K-A-Z:ゲインの幅がすごくあるオーバードライブなので、ブースター系からディストーションまで、すごくカヴァーできるタイプですね。たとえば、アンプをクリーンにセッティングして弾いてみると、ドライヴが9時ぐらいでクランチ、12時をすぎるとディストーションというぐらい歪んでくれます。そこから先に行くと、ヘヴィ・メタルにも対応できる歪みが得られる。オーバードライブと言いつつ、激歪みまでいけますよ。これだけ幅が広いゲインを作り出せると、リハーサル・スタジオやライヴ・ハウスに行って歪まないアンプがあってもクリーン・トーンで好みの歪みを作れるんじゃないかな。
——ポイントは、トーン・モードを切り替えられるファット・スイッチですね。レギュラー・モードでは通常のオーバードライブ的なニュアンスでクリアな響き、ファット・モードにすると厚みのあるハイ・ゲインなトーンになるとのことですが。
K-A-Z:僕のような7弦を使ってると、さすがにファット・モードはローが出すぎてしまうかもだけど、ふつうに6弦でプレイするなら、いい感じで低域を底上げしてくれますね。あとは、トーン・コントローラーを使ってハイの成分を足していけば、サウンド・メイキングの部分でほしいところが作りやすい。アンプをクリーンにして、これだけ歪みが作れるのは助かりますよね。
——トーン・コントロールの幅はどうですか?
K-A-Z:トーンの幅もかなり広いんですよ。けっこう効いてくれて、フル10にするとジャキジャキしてくれる。
——今度は、アンプをクランチ気味に歪ませて試奏してみてください。
K-A-Z:そこそこ歪むぐらいのアンプで、もう少しほしいなという時を想定して使ってみるね。
(弾きまくる!)
K-A-Z:真空管アンプを使いつつ、もう少しメタリックにしたいという時なら、ドライヴは9時前後から試してみるといいかな。オンにするだけでギター・サウンドがキラっとなる。ドライヴが9時でトーンを12時にして弾いてるんだけど、トーンが明るくなって押し出し感も出てくる。
——そのままファット・モードにすると?
K-A-Z:いいディストーション・サウンドになってくれますよね。今、完全にブースター的な使い方だけど、ここからアンプの歪みの量をカヴァーさせるぐらいの使い方をしたいならドライヴを12時ぐらいにしてみるのもいいかな。そうすると、歪みの質がキメ細かいタイプになってくるので、あとはトーンで調整してね。
——K-A-Zだったら、どういう使い方をしますか?
K-A-Z:いつもの音にブースターとして使うのもいいんだけど、ホントにゲインの位置でキャラクターがガラリと変わるんですよ。そこが使い勝手の広さで、アンプで作った歪みを変えずに芯をキラっとさせる使い方もできれば、ゲインを上げてガラっと音色を変えることもできる。最近のバンドでいえば、バッキングはクランチ気味に弾いていてサビでドカーンってヘヴィなリフになるというパターンの曲が多いじゃないですか。そういう使い方にも対応できますね。
——最近の主流となったデジタルな歪みエフェクターやデジタル・アンプで歪ませるのとは違いますか?
K-A-Z:もちろん。“ザ・アナログ”ですよ。デジタルで作った歪みとは、ぜんぜん違います。
——そして、K-A-Zがふだん使っているアンプの歪みに使ってみると……。
(弾きまくり!)
K-A-Z:これが、僕がいちばん使うんだろうなという使い方ですね。ドライヴは9時より下げて、レベルを上げ目にするセッティング。ふだんのトーンに、もう1ランク上のきらびやかさを出すという使い方で、リフが生きてくるっていうかね。今、7弦の低い音で使ったんだけど、そこの音階が聴きやすくなる。アンプでメインの歪みの音を作ったなら、ゲインは下げ目にしてメインの音に対しての磨きを加えるニュアンス。微妙な使い方かもしれないけど、ドライヴをゼロにする使い方をすればレコーディングでも生きてくると思う。卓のほうのEQでハイを上げるのか、それともDC Driveでキャラクター的な部分も踏まえて変えるのかというね。EQの場合、その域だけを上げるけど、これを使えば全体的に通っている部分が上がるので、そういう使い方もできる。オンにすると音が前に出ますよね。これなら、ソロの時だけ踏むのもありかも。アンプの根本的なキャラを変えないで、弾きやすくしてくれる。ローは変わらず、ハイの抜けがよくなってくれるモデルだから、基本は真空管アンプにプラスして使ってほしいですね。これを通すことで、パリっとするので耳に届きやすくなる。いい調味料なんです。歪みを作るうえで、最後の味付けになります。
カール・マーティン Atlantic Chorus ¥13,800+税
〈仕様〉 ●コントロール:スピード、デプス、レイト、レベル ●電源:9vDC/40mA(センター・マイナス) ●外形寸法:60(幅)×50(高さ)×115(奥行き)mm ●重量:340g
——続いて、アトランティック・コーラスにいってみましょう。こちらもヴィンテージ感あふれるコーラスとのことです。
K-A-Z:アンプをクリーンにして弾くと、これまた“ザ・コーラス”! 懐かしさもあるアナログ的な音ですね。広がり感も気持ちいいし、ゆったりめのスピードで深めにしてかければ、思わずアルペジオを弾きたくなる。僕が使っているヒュース&ケトナーのアンプはクリーンがかなりキレイなので、このコーラスはすごく相性がいい。
——おもしろいと思った点はありますか?
K-A-Z:レベル・コントローラーの使い方がおもしろいんですよ。幅が広いのでアンプをクランチにしてると、このツマミでゲインもコントロールできる。あとは、かなりアンプで歪ませながらかけると、モダンなバンドが出すような上モノ的なコーラスの使い方もできます。クリーンにかけるという王道な使い方はもちろん、不気味なアルペジオにかけて演出するとおもしろいですね〜。
カール・マーティン Surf Trem ¥10,500+税
〈仕様〉 ●コントロール:デプス、スピード ●電源:9vDC/50mA(センター・マイナス) ●外形寸法:60(幅)×50(高さ)×115(奥行き)mm ●重量:350g
——今度は、サーフ・トレムというトレモロ・エフェクターですね。
K-A-Z:これは、効きがすごい。アルペジオとかで使うのもいいかも。あとは、もうイキきちゃって飛び道具的に使うのもあり。
——(弾いてるのを聴きながら)スイッチング奏法のようにかかりますね〜。
K-A-Z:このトレモロのスピードをペダルで変えられるようになったらいいですね。そう思わせてくれるぐらい、効きがおもしろい。これ、映像(YouTubeのWeROCK TV)でおもしろい使い方をするので観てほしいですね。トーン的には、ヴィンテージ感たっぷりで、レスリー・サウンドを彷彿とさせます。
カール・マーティン Comp/Limiter ¥19,800+税
〈仕様〉 ●コントロール:デプス、スピード ●電源:9vDC/50mA(センター・マイナス) ●外形寸法:60(幅)×50(高さ)×115(奥行き)mm ●重量:350g
——最後は、コンプレッサー・リミッターです。
K-A-Z:じつは、カール・マーティンの大きいタイプのを持ってるんですよ。
(弾きながら)
K-A-Z:すんごい効く! ものすごい効くな〜。コンプレッサーというツマミの10時ぐらいから、かなり強めにかかってくれます。レベル・コントローラーの振り幅も広いですね。なにしろ、コンプをゼロでレベルをいっぱいにすると、ブーストもしてくれる(笑)。全体的には、コンプとリミッターなので、通すとすごく平らになってくれますね。使い方としては、コンプを上げていくと、かなり効いてくれて、そのぶん音量が下がっていくので、それをレベル・ツマミで補正する感じですね。すごく音のツブをそろえてくれるから、コーラスと一緒に使うと整ったアルペジオが弾けます。
——ツマミが2つというのもシンプルで使いやすいですね〜。
K-A-Z:前のタイプは4つのツマミが付いてたけど、これはわかりやすい! また調味料で例えるけど、塩をひとつまみなのかふたつまみなのかという加減で使うのがいいと思います。ちなみに、すごいコンプレッション感を出したかったら、わざとレベルを下げ目にしてコンプ・ツマミを上げるとバッキバッキにかかります。
——全体的な印象としては、どうでしたか?
K-A-Z:どれもそうなんですが、まず、この小ささで、使えるエフェクターになってると思います。このぐらいの大きさだと、エフェクト・ボードにも入れやすいし、単純に足元で操作することが前提になってるモデルだなって思いましたね。
問:株式会社フックアップ
https://hookup.co.jp/products/carl-martin
◎K-A-Z/カズ。カイキゲッショクや、昨年いっぱいで活動を休止したサッズをはじめ、多彩な活動を展開しつつ、ソロとしても精力的に活動。7弦のみならず、8弦や9弦も使いこなす、ヘヴィ系ギタリストの代表格である。
K-A-Z公式ツイッター
https://twitter.com/thekazrock
ソロ・アルバム
『The Edge of Death-attacK-A-Zenith Live-』
LOUDER THAN RECORDS ¥2,000(税込)