ロックトロンから真空管搭載のプリアンプが登場!

80年代から数々のエフェクターの名機を世に送り出してきたロックトロンが、最近では珍しくなってしまった完全アナログで4本の真空管を搭載したプリアンプを発表した。そこには、デジタルでは出せない音圧とレスポンス、そして真空管ならではの音が存在している。プリアンプを探しているなら、迷わずオススメできる1台の登場だ。
※WeROCK 066の掲載記事より。

ゴールドのパネルが、いかにもヴィンテージのマーシャルを彷彿とさせてくれるプリアンプの登場だ。4本のプリ管を搭載した、近年では珍しい(!?)アナログ仕様のこのモデルを試奏してみよう。
アナログ仕様でシンプルな操作性かと思いきや、いろいろとスイッチが付いている。チャンネル切り替えかと思ったが、そうではなく、すべてサウンドに関わるスイッチだ。音を作る時は、まず1-2スイッチで好みのトーンを選ぶことから始めるといいだろう。
さっそく1-2スイッチを1にしてクリーン・トーンで弾いてみると、わりとフラットな特性に感じる。モダンな方向性とのことだが、現代的でドンシャリというよりも、ギター本来の音を忠実に再現してくれるような印象だ。もちろん、真空管だけあって、レスポンスが速く、ピッキングしたと同時に音が付いてくるし、フラットな特性といえども、真空管ならではの中域の太さを感じる。
今度は2にしてみると、中低域がゴンとアップして、音圧が上がったことがわかる。6弦を弾いてみると、低域のさらに下の帯域が足されたトーンだということがわかるはずだ。ここでタイト・スイッチを上側にすると、そのローの部分を滑らかにしてくれる印象になる。2の時はタイト・スイッチをオフで音圧がアップ、オンでは低域を滑らかにしてくれる。このタイト・スイッチは、1-2スイッチの1の位置で使っても同じような効果が得られる。低域を締めてくれるので、音圧をスッキリさせている感じになるのだ。クリーンではタイト・スイッチをオフにするのがオススメと思ったが、歪ませた時にその印象は変化する。それは後ほど……。
続いて、このモデルの特徴であるブライト・コントロールだ。ゲインを下げ目にしてクリーン・トーンを弾くと、その違いがよくわかる。0がノーマルだとすると、上げていくとドンドン高域が明るくなり、さらに歪みも増してくる。低域がスッキリしているスイッチ1のほうで試すと、より高域の変化がわかるだろう。ちなみに、タイト・スイッチをオンにして、ブライト・コントロールを5にして弾くと、4インプット・マーシャルの左上に入れて弾いた時のような、スコーンとしたクランチが作り出せた。
ゲイン・コントロールは、ブライト・コントロールとの組み合わせでかなり変わる。例えば、ブライトが0の時、12時の位置だと軽いピッキングでクリーン、強く弾くとクランチ。ところが、ブライトを5にすると、同じ12時の位置でもマーシャルで言えば、JCM800を歪ませたぐらいまで歪んでくれる。スイッチ2の位置でだ。このまま、スイッチ1にすると、低音がスッキリする。さらに、タイト・スイッチをオンにすると、ローが締まってくれる。
おもしろいのは、ブライト・コントロールを5にしてゲインを上げていくと、12時以降は歪みが増すというよりもローの音圧が増していく感じだったということ。もっとも歪ませても、ヴィンテージ・マーシャルぐらいだから、プレキシという名にふさわしいプリアンプだと思っていると……そこから、ブースト・スイッチをオンにしてみよう! おっと、いきなり歪みがマシ、JCM 900ぐらいまでの感じなる。どんどん印象が変わってくるぞ。先ほど、“後ほど”と言った部分に突入!
ここで、さらに+スイッチを上側にすると歪みが増し、ヘヴィ・ロックにも対応できる現代的なサウンドに近づいてくれる。+スイッチは、オーバードライブさせて使うなら上側がオススメだ。このセッティングでタイト・スイッチをオフにすると、ローが増してくれる。スイッチ2でタイト・オフ、+スイッチ・オンで、かなりモダンな歪みが得られた。
EQは3つとも、いい帯域でかかってくれるのだが、おもしろいのはEQスイッチだ。このスイッチを1にすると、音圧がアップしてくれる。モダンなヘヴィ・メタルをやるなら、迷わずEQスイッチを1で使うのがオススメ。
最後に、このモデルの特徴であるアフターバーナー機能を試してみよう。これは、EQ回路の後にさらにゲインを加えられる機能で、そのゲイン量やハイのニュアンスもコントロールできる。これをオンにして弾いてみると、ドライヴ系のエフェクターを使ってコンプ感を得た感じになり、ソロが弾きやすくなる音という印象だった。

さてさて、総合的にどうだったか気になるところだろう。ずばり、本物のサウンドを求めるギタリストには、ぜひオススメしたい。今回は、パワー・アンプもマーシャルのヘッドを使ったのだが、そのセットから奏でられる音は、絶対にデジタル・アンプやシミュレーターでは出せない音圧とトーンだった。と言いつつ、今回は試せなかったが、このモデルをパワー・アンプ・シミュレーターとスピーカー・シミュレーターが入ったツー・ノーツのトーピド・シリーズに接続して、DTM環境でのサウンドもチェックしてみたくなった。きっと、シミュレートしたとは思えない、本物感が得られる音がPCからでも出てくるはずだ。

Valve Sonic Plexi ¥オープン

〈仕様〉 ●真空管:12AX7EH×4 ●コントロール:ブライト、ゲイン、ベース、ミドル、トレブル、アフターバーナー(ドライヴ/ハイ・カット)、マスター・ヴォリューム ●スイッチ:1-2スイッチ、タイト・スイッチ、+スイッチ、ブースト・スイッチ、EQスイッチ、アフターバーナー・スイッチ ●入出力端子:インプット×2、アウトプット×2(ライン/インストゥルメンタル) ●外形寸法:483(幅)×44(高さ)×165(奥行き)mm ●重量:2.5mm

1-2スイッチ:真空管の入力回路に関係するスイッチで、1はモダン、2はヴィンテージなサウンドになる。

タイト・スイッチ:上側にするとより締まったモダンなブリティッシュ・サウンドになる。1-2と組み合わせて、まずはここで音の方向性を決めよう。

ブライト・コントロール:0〜5の6段階で切り替えられるコントローラーで、0はオフ、1はヴィンテージ、5に行くにしたがってブライトになっていく。

ゲイン:歪みの量をコントロールするツマミ。ヴィンテージ・テイストのある歪みをモデルにしているので、フルにしても激歪みという感じではなく、あくまでも本来のトーンを保つ。

+スイッチ:スイッチが下側で80年代のブリティッシュ・トーン、上側にすると90年代のブリティッシュ・サウンドになる。

ブースト・スイッチ:歪みを増すスイッチ。オンにして、+スイッチと組み合わせて使えば、かなり現代的な歪みも作り出せる。

EQ:ベース、ミドル、トレブルというイコライザーは、どれもいい帯域でかかってくれるので、音作りがわかりやすい。

EQスイッチ:3バンドEQのスタイルを選べるというスイッチ。1は中域を強調したモダンなサウンド、2はヴィンテージ風なサウンドとのことだが、試奏してみると1で音圧がアップしてくれることがわかった。

アフターバーナー:スイッチをオンにすると、EQか色の後ろにさらなるゲインが加えられる。ゲインの量はドライヴ・コントロールで設定し、ゲインが高い時に発生する高域のジリジリ感をハイ・カットで減らすことができる。

マスター・ヴォリューム:最終的な出力レベルをコントロールするツマミ。今回、マーシャル 100wのリターンに接続して試奏したのだが、このツマミは時計の8時の位置でかなりの大音量が出せた。というか、音圧がすごい!

 

完全アナログ&真空管で、
現代的なディストーション・サウンドを作り出す!

プレキシという名から想像すると、ヴィンテージ・マーシャル時代のサウンドと思われるかもしれないが、このヴァルヴ・ソニックはモダンでハイ・ゲインな歪みも作り出せる。そのセッティングが以下の図だ。これでコンプレッション感が足りないようなら、ブースターを+すれば、極上の歪みができあがる!!

▲リア・パネル。ライン・アウトはパワー・アンプと接続する時に使用する。インストゥルメンタル・アウトは、ギター・アンプのインプットやエフェクターにつなぐ時のアウトだ。

 

問:日本エレクトロ・ハーモニックス株式会社
http://www.electroharmonix.co.jp