WeROCK 111 付録CDインタヴュー集〜FATHOMLESS SKYWALKER 編
WeROCK 111の付録オムニバスCDに参加したバンドのインタヴュー集、第7回はファザムレス・スカイウォーカー!
バンドの歴史や新たな展開を見せる彼らの最新楽曲について聞いてみた。
MV「酒神楽 -SAKEKAGURA- (feat.かえるはかせ)」
日本を世界に広めるために振り切ってしまおうと
——ファザムレス・スカイウォーカーは2017年に結成されたということで、来年には10周年になるんですね。
拓馬:バンド結成のキッカケは、千尋がバンドを始めるにあたり誘われたことですね。
——千尋さんは、もともと大学でオペラの声楽を学んでいて、その後、ヴォイス・トレーナーもやられているそうですね。なぜ、ヘヴィ・メタル・バンドをやろうと?
千尋:大学時代に拓馬がやっていたバンドを観に行く機会があって、そのあたりから拓馬にメタルを教えてもらうようになって聴き始めた感じなんです。なので、メタルを聴き始めたのは遅めですね。
拓馬:当時、僕はスクリーモ系バンドをやっていて、千尋はクラシックの声楽をやってると聞いたので、最初はシンフォニック・メタルというより“パンクにクラシックの歌”というぜんぜん違うジャンルを混ぜたらおもしろいんじゃないかと思ったんです。
千尋:拓馬のライヴ活動を見ていて、“こんなに気軽にライヴ活動や音楽活動ってできるんだ”と思ったんです。
私、田舎出身でライヴ・ハウスとかがないところで育ったので、都会の人は気軽に音楽活動できていいな、バンドがやりたいなって。オペラをやっていたので、私にもなんか結びつくかなと思ってYouTubeとかいろいろ探っていて出会ったのがナイトウィッシュだったんです。で、“クラシカルなヴォーカルでも、こういうヘヴィな音楽ができるんだな”と思ってバンドをやりたくなって。
でも、最初にこのバンドを始めた時は、自分の声がぜんぜん抜けなくてメンバーの音作りに苦労させたなって思います。女性のオペラは、言ってしまえば地声ではなく裏声で歌ってるので、その声を抜けさせるために楽器陣がいろいろと音作りをくふうしてくれて、やっと今の形になってきました。
——オペラの歌とメタルは、まったく別物なんですか?
千尋:別物ということはないと思うんですけど、シンプルに低音域がオペラの発声だと抜けないというところが、メタルをやるうえでは最大の難所で、そこをクリアできるかなんですよね。メタル・シンガーは、うまい方が多いし、みなさん抜ける声をガンバって作らないとやっていけないジャンルだと思うんです。くふうされているヴォーカリストが多いし、みなさん、お上手ですよね。
——リズム隊は、どうやって決まっていったんですか?
拓馬:TETSUには、始動時からサポートとして叩いてもらっていて、2021年に正式加入してもらいました。
TETSU:個人的には初期の段階からメンバーでもと思っていたんですけど、僕がアイリフドーパというバンドをやっていたこともあり、拓馬が“メイン・バンドもあるしそこまでさせるわけにはいかないよ”と言ってくれていて。コロナ禍の時期なんて、拓馬と一緒に住んでた時期もあって、一緒のバンドで一緒に住んでるのにメンバーじゃないのもおかしいなって感じでした(笑)。
NINO:私も最初はサポートとして参加させてもらっていたんですが、メンバーのみんなともバンド関係なく普通に呑みに行く感じで仲良かったし、2026年1月3日に正式加入いたしました。
これまで、いろんなバンドでメタルを弾いてきて、根底がメタルというわけではなく、ゲーム音楽とかファンクやポップスも好きだったんです。ファザムレスのサポートをやっていて、今までやってこなかった部分も多いんですけど、印象に残る曲が多かったし自分が聴いてきた音楽に近くてとてもなじみがよかったですね。
拓馬:ベーシストに関しては、いろんな方にサポートしてもらってここまで活動してきてたんですけど、結成9年目にして初の正規メンバーです(笑)。
——楽曲的には、千尋さんのスタイルを活かして作ろうというのはありましたか?
拓馬:オペラ調のクラシックなので、やっぱりオーケストラを入れたいと思ったんです。であればシンフォニックだなと。そこに、うまいぐあいに自分の持ち味を入れたいなと。自分のギターは技術では他のギタリストに勝てないから、パンクとかいろいろな要素を入れて勝負したいなと思いました。
NINO:すごくインプットが多いよね? 映画音楽とか大好きだし。
千尋:クラシックというより映画音楽をずっと聴いてたんだよね?
拓馬:映画が大好きなので、ずっと映画音楽を聴いていたり、小さい頃、ヴァイオリンをやっていたのでクラシックの入口は昔からありましたね。でも、ヴォーカルのメロディとかオーケストラ・アレンジは千尋のほうが得意ですね。
千尋:曲によって、どっちがメインで作るかが分かれるので、それで曲の雰囲気が分かれます。私がメロとコードで作り始める曲と、拓馬がコードとリフから作り始める曲があってだいたい半々ぐらいかな?
拓馬:作り始めがどちらかという感じで、最終的には2人で作っていく感じですね。
千尋:私が曲を持っていく時はメロとコードと、ちょっとしたドラムだけで拓馬に提案してね。私の頭のなかでは完成しちゃってるので、それを拓馬に伝えるのが難しいんです。けっこう脳内でクラシックの曲が鳴っていて、それを無理矢理バンドに落とし込んでるみたいな部分も少しあるかもしれないです。
拓馬:共通項として映画に例えて、どういう物語で、どういう雰囲気の曲にしたいのか。明るめの曲なのか、もっとファンタジーなのかと理解して進めていく感じが多いですね。千尋は、コード進行も変わっていて、サビとかでもルートがけっこう動くんですよ。2回目だけ微妙に違うとかもあったり。
NINO:芸が細かい(笑)。ヴォーカルを聴いてるとすごく耳に入ってくるんだけど、バックはたんなる繰り返しじゃなかったりするんです。
千尋:私が作る曲は、変わったコード進行になることが多くて、拓馬が作る曲は王道のコード進行になってるよね。でも、自分の作るコード進行に、まったく違和感なくて、“あ、サオ隊のみなさん、めっちゃ弾きづらそう”って(笑)。
——今回のオムニバス収録楽曲は、昨年3月にリリースしたファースト・アルバム『Anthems of the Resilient 』のシンフォニックさとは違う世界観を持ってますよね。
拓馬:『Anthems of the Resilient』は、世界観を統一することに悩んだところもあったんですね。曲によってはメタルコアなリフがあったりパンク的なバッキングがあって……映画が大好きなので、映画っぽく言うと、戦士だったり戦うことをテーマにしてるアルバムですね。
千尋:私達の曲って振り幅が広くて、メロスピっぽい曲もあればメタルコアもある。さらに、やっぱり私の声が特徴あると思うので、じゃあ、どうやってまとめようかと思った時に、戦士というテーマ性をひとつ設けて、いかにそれらの曲をまとめるかと意識しながらレコーディングしたのがファーストですね。
拓馬:そのファースト・アルバムの中に、「侍 -The Proud Warrior-」という曲があるんですね。これまで、ずっと英語詞でやってきたんですけど、初めて日本語を混ぜた曲だったんです。去年4月にイギリスの JPUレコーズから世界リリースしていて、そのCEOの方が統計を取ってくれたら「侍 -The Proud Warrior-」で日本語が入ってることや和のメロディが、海外ではかなりウケてると。そういうこともあって、「酒神楽」では自分達の住んでる日本を世界に広めたいというのもあり、全日本語詞にして和メロにして振り切ってしまおうと。コンセプトとしては、メンバーみんなお酒が好きだし、ファザムレス海賊団が、和の国に入りました、みたいな感じです。
——どちらの作曲で?
千尋:私です。もともと和メロが好きというのもあって、JPUレコーズとせっかく契約したのだから、彼らに気に入ってもらえるような楽曲を作りたいと思って、こういう曲を提案しました。
TETSU:日本に寄ったとは思いましたけど、もともとバンドのイメージとかテーマを狭く捉えてほしくないと前から思ってたんですね。“あくまでもこういう要素もできる間口の広い世界感のバンドだよ”というのを出していくうえではいいんじゃないかなと思いました。
NINO:個人的にも賑やかな明るい曲がめっちゃ好きなんですよ。ファースト・アルバムの次にガラっと雰囲気が変わるというのも好きだったし、このバンドで自分が初めて弾くのが“お祭りどんちゃん騒ぎでありがとう”という感じです(笑)。
拓馬:今まで以上にすっと入ってきたんで、自分が日本人だなと思いましたね。なので、今までの曲に比べてまったく違うメロディが来たなという感覚はなかったですね。ファーストの時はメタル・アルバムという感じを出すために、リード・ギターを足したり無理してやっていたところもあるんです。それで雰囲気を崩しちゃうんじゃないかと悩んだ時もありますけど、今回は雰囲気を崩さないためにも今まで以上にバッキングに徹してます。パンク出身というのもあるので、やっと本来の自分が出せたかなって。
——この曲を聴いて、“ファザムレスはこういうバンド”と思ってもらってOK?
千尋:私の中では、全曲、“クサメロ”という統一コンセプトがあるんですね。今回は、こういう曲ですけど、“他にもいい曲いっぱいあるよ”と推してはいきたいです。たしかに、この曲から“シンフォニック・メタル”とは少し違くなってるかもで、ちょっと悩んでますが(笑)。
拓馬:クラシック要素が入るからいいんじゃないかな(笑)?
千尋:オーケストラは変わらず入ってるのでシンフォニック・メタルで間違いはないんだろうけど、世のみなさんが想像するシンフォニックとは違うなって。メロディック・ファンタジー・メタルみたいな、そんな感じかな(笑)。
▲上段中央より時計回りで、千尋(vo)、NINO(b)、拓馬(g&cho)、TETSU(ds)
配信シングル「酒神楽 -SAKEKAGURA-」
2026年1月28日
◎オペラ的な唱法で迫るヴォーカルを活かしたシンフォニック・メタル・バンドのファザムレス・スカイウォーカー。しかし、今回の収録楽曲でもあり、デジタル配信されたこのナンバーは、まったく意表をつくサウンドになっている。世界リリースされたファースト・アルバムとの世界感とも異なっており、独自のシンフォニック・メタルを作り上げていると言っても過言ではない作品だ。
■ライヴ予定■
4月5日(日)=心斎橋パンヘッドグルーヴ
5月3日(日・祝)=渋谷サイクロン
5月16日(土)=新宿ワイルドサイド・トウキョウ
■ファザムレス・スカイウォーカー 公式X■
https://x.com/FSW_jp
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