MASAKIも納得の最新ベース用プリアンプ〜DSM & Humboldt

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ハード・ロック/メタル・ベーシストに注目してほしいプリアンプが新たに日本に上陸!
気になるそのサウンドをMASAKIが試奏してくれた!
まずはチリ生まれのDSM & フンボルトから、同社のダニエル氏のインタヴューと2機種の試奏をお届けしよう。


MASAKIによる試奏動画


■Simplifier Bass Masterは初心者でも使いやすく、
Sub Atomicはメタル・ベーシスト向けですね

▲DSM & Humboldtの創業者であり最高技術責任者でもあるダニエル・シュワルツ氏

——まず、DSM & フンボルト社について教えてください。
ダニエル
:私がやっていたDSMノイズメイカーという会社とハノ(現CEO)がやっていたフンボルト・エレクトロニクスという会社が一緒になって、2019年にスタートしました。それまで、フンボルト・エレクトロニクスはユニークなペダルを作っていて、DSMノイズメイカーはキャビネット・シミュレーターをメインに作っていたのですが、交流する中でそれぞれの知識や技術を生かして最初に一緒にSimplifierを作りました。このペダルが大成功したので、それぞれが作っていた製品をストップして、DSM & フンボルトとして熱意を持ってやっていくことにしたんです。
——ベース用の新製品が2種類発表されました。まず、Simplifier Bass Masterの特徴を教えてください。
ダニエル
:まず、我が社のコンセプトとしてミュージシャンにとって使いやすい製品を作るというのがあります。Simplifier Bass Masterについても、いろんなベーシストがライヴやレコーディング、練習などいろんな場面で使えるモデルとして開発しました。そして、ベストなサウンドを得るためにアナログ回路にもこだわっているのも特徴です。
——小さなボディにひじょうに多くの機能が詰め込まれていますね。
ダニエル
:そうですね。プロ向きと言えばプロ向きで、それぞれの機能がどういう役割を果たすのかわかっていれば、より真価を発揮すると思います。しかし、ビギナーにとっても、例えばイコライザーの調整やキャビネットの種類によって音がどう変わるのかとかを知ることができる製品でもあります。1時間も触っていれば使い方をマスターできると思います。
——Sub Atomicはいかがですか?
ダニエル
:こちらは前身となるDSMノイズメイカー社でも人気だった製品で、復刻してほしいという声が多かったんです。そこで、いくつかの機能を追加して新たに発表しました。こちらは、ロック・プレイヤー、メタル・プレイヤーをメインのターゲットにしています。Sub Atomicもスピーカー・シミュレーターを搭載していて、練習からライヴ、レコーディングまで幅広く使えます。音の傾向も、メタル向けということでハイ・ゲインな仕様になっていますが、歪みを抑えればクリアでパンチのあるサウンドになり、ヴィンテージなサウンドをはじめ、他のジャンルでも使える製品になっています。
——今後、どのようなベーシスト向けモデルを考えていますか?
ダニエル
:新製品を2種類発表したばかりですからね(笑)。ですが、私達はつねにユーザーからの意見を参考にして、ギタリスト向け、ベーシスト向けの新しい、そして他にはないユニークな製品を考えています。


DSM & Humboldt
Sub Atomic
¥46,200(税込)

【仕様】
●コントロール:クリーン・チャンネル=トーン、レベル サブアトミック・ドライヴ・チャンネル=レベル、サブ・ロー・パス・フィルター(500Hz/オフ/100Hz)、ブレンド、ドライヴ、ベース、ミッド、ハイ、ヴォイシング・スイッチ)
●入出力端子:インプット、アウトプット、FX(センド、リターン)、プリFX(センド、リターン)、DIキャビネット・シミュレーター・スイッチ & グラウンド/リフト切り替えスイッチ付きDIアウト
●電源:DC9〜12 V センター・マイナス(100mA)
●外形寸法:105(幅)×51(高さ)× 125(奥行き)mm
重量:364g

■Sub Atomicは今時のメタル・バンドで使える歪み出し、
Simplifier Bass Masterはキャビシミュが優秀ですよ

——Simplifier Bass MasterとSub Atomicの2機種をチェックしてもらいました。それぞれの第一印象を教えてもらえますか。
MASAKI
:Simplifier〜はアンプ的に、Sub Atomicはプリアンプ的に使えるモデルだと感じます。Sub Atomicのほうが歪みますね。動画でのデモ演奏の前半部でSub Atomicを使っています。
——まず、Sub Atomicですが、歪みの質についてはどうでしょうか?
MASAKI
:Sub Atomicは2チャンネル構成で、クリーンとドライヴの音をブレンドして使えるんですね。音作りのポイントとしては、歪みだけにすると音に腰がなくなってしまうので、クリーンを混ぜるんです。僕はブレンド・コントロールを半分ぐらいにして、音ヤセしないようにするのが好みですね。
歪みに関しては、粗い感じではなくてサラサラというかキメが細かくてなめらかな感じですね。オーバードライブというよりディストーション寄りに感じます。キメが粗いタイプだと、僕のように速弾きするタイプだと音の粒が潰れてしまい、ディテールがわからなくなるんですが、これはいいですし、ジャンルを問わずに使えると思います。EQもわかりやすく効いてくれるし、それぞれの帯域でちょいセンターから上げるのが好きです。
——歪みの前段でヴォイシングを3種類から選べますね。
MASAKI
:フラットなタイプとハイをブーストしたタイプ、ミッドをブーストしたタイプですね。個人的には、フラットなタイプはふくよかさがあって、低域も出ている印象ですね。あと、ローパス・フィルターも3種類から選べて、上側の100Hzにすると低域を、下側の500Hz側にすると低域〜中低域を通してくれます。僕はセンター(オフ)のフラットな音がバランスがよくて好みです。
——クリーン・トーンはどうですか?
MASAKI
:EQがドライヴ・チャンネルと共通なんですが、そこで好みに補正するだけで使えるトーンだと思います。僕の場合は、クリーンで使う時はドライヴ時よりもやや上げ気味にします。あと、トーン・ツマミで大きくキャラクターを変えられるんですね。上げていくとローがなくなっていくんですが、僕としてはセンターから少し下げたあたりがベースらしいサウンドだなと感じます。
——どういうベーシスト向けでしょうか?
MASAKI
:今時のメタル系バンド、ロック・バンドではベースを歪ませるのが主流ですし、Sub Atomicの歪みも充分に使えると思います。クリーン・チャンネルは素直で使いやすい。だから、オールラウンドという気がします。プロ・ベーシストが使えるクオリティですし、音作りも多彩に行なえますよ。

▲メーカーがメタル向けというだけあって、パネル上段のドライヴ・コントロールでかなり歪ませることができる

■MASAKI’s setting

デモ演奏のスタートで聴ける歪みサウンドのセッティングだ。
ドライヴのヴォイシングはフラット。クリーンを混ぜて音ヤセを防いでいる

こちらはタッピングやスラップでのセッティング。
高域のきらびやかさをプッシュするためにイコライザーのハイを上げている

 

■Sub Atomicの詳細■
https://hookup.co.jp/products/dsm-humboldt/sub-atomic


DSM & Humboldt
Simplifier Bass Master
¥60,500(税込)

【仕様】
●コントロール:プリアンプ・レベル、ゲイン(コンプ)、モード切り替えスイッチ(クリーン/コンプ/ホット)、ロー・パス・フィルター(500Hz/オフ/100Hz)、プリFXアサイン(ドライ/ボス/オフ)、ロー、ロー・ミッド、ハイ・ミッド、ハイ、マスター・レベル、ポーティング、ツイーター、キャビネット・サイズ(1×15/8×10/4×10)、キャビネット・タイプ(ウォーム/ブライト/モダン)
●入出力端子:インプット、AUXイン、レベル付きヘッドフォン・アウト、アウトプット(メイン、パラレル)ポストFX(センド、リターン)、プリFX(センド、リターン)、グラウンド/リフト切り替えスイッチ付きDIアウト(メイン、パラレル)
●電源:DC9〜12 V センター・マイナス(100mA)
●外形寸法:125(幅)×43.2(高さ)× 69.4(奥行き)mm
●重量:356g

——Simplifier Bass Masterはいかがですか?
MASAKI
:こちらはクリーン・モードとコンプレッション・モード、ホット・モードという3つのモードがあります。印象としてはSub Atomicと比べて、歪み自体はそれほど強くない感じがします。なので、デモ演奏ではそのクリーン・モードを主体にして、クリーン・モードで2音色、ホット・モードで1音色を使っています。
——歪みはそれほど強くはない?
MASAKI
:ええ。デモ演奏の最後の速いシンコペーションのフレーズで、ドライヴをかけていますがナチュラルなタイプで、けしてファズ的な歪みではないですね。使いやすいし、ピック弾きだともっとしっかり歪みが前に出ると思います。プリアンプのレベル・ツマミを上げると、ドライヴ感が加わります。歪ませた時の音ヤセを防ぐためにEQでローを中心に上げつつ、でもハイはあまり上げるとキンキンしてしまうのでほどほどがいいと思います。心地いい歪みが得られますよ。
——キャビシミュもチェックされました。
MASAKI
:細かくセッティングできるんですが、まず下段のミニ・スイッチで、ウォームとブライト、ドンシャリが選べます。ヴィンテージっぽいウォーム、ハイがポイントのブライト、ドンシャリまでいかないけど低域も出るモダンの3種類があって、ここがじつは音作りの基点になるのかなと思ったんです。モダンというドンシャリ・タイプだと自分にとって歪みの気持ちいいところが落ちる印象があり、ウォームのほうが好みでしたね。スピーカーのサイズと数も選べて、試してみたら10インチ×4発のローの感じがや音が前に飛んでくる印象があって好みです。そして、ツイーターですよ。
最近のベース・アンプにはツイーターが付いていて、高域をきらびやかにできるんですが、絞るとまろやかになり、上げていくとキラキラしていく。スラップとかタッピング、指弾きだとこのツイーターを上げるとキレイに聴こえると思います。
ポーティングでローの出方が変わるので、僕はセンターよりやや上げ気味にして基本となるサウンド・キャラクターを作って、そこからEQとかを調整してみました。EQは全体的にセンターよりやや上げ気味が好みです。
——EQの効き方もわかりやすいですね。
MASAKI
:4バンドに分かれていて、それぞれ干渉しないので使いやすいですよ。僕はいつもどおり、どの帯域もセンターよりやや上げ気味にするのが好みです。上げすぎるとノイズが絡んでくるので、そこにも気を配りました。
——どういった場面でオススメですか?
MASAKI
:レコーディングに向いていると思います。キャビシミュが優秀で“アンプの音”が作れますし、好みのエフェクターをつないでもいいでしょうね。入出力端子が充実しているし、メーカー側もそうした使い方を想定していると思いますよ。アンプの音にこだわったり、レコーディングもするというようなベーシスト向けと言えると思います。ジャンル的には幅広く対応できるし、メタルで使うなら歪み系ペダルをつなげればいいですしね。

音作りの鍵となるというスピーカー・シミュレーター。スピーカーのサイズや数、キャラクターなどを選べる

■MASAKI’s setting

デモ演奏後半部。まずはプリアンプのクリーン・モードでのファンキーなフレーズに合うセッティング。
EQを全体的にややセンターから上げるのがMASAKI流

こちらは同じく、プリアンプのクリーン・モードでのジャジーな和音フレーズに合うセッティングだ。
ツイーターを上げての、高域の伸びもポイントだ

ドライヴ・トーンのセッティング。プリアンプのモードをホットにして、キャビネットはあえてウォームを選択している

 

■Simplifier Bass Masterの詳細■
https://hookup.co.jp/products/dsm-humboldt/bass-master