エフェクト・ボードの魔術師〜KMA MACHINESのENDGAME
KMA MACHINESから発売された正体不明のエフェクター ENDGAME(エンドゲーム)。
いったい、どんなエフェクト効果を発揮してくれるのか謎な部分の多いこのモデルを徹底解明していこう。おもな機能は下記に示しているが、まだまだ“??”と思っているギタリスト/ベーシストも多いのではないだろうか。
そこで、搭載されたコントローラーを解説しつつ、謎を解明してみたぞ。要するに超便利な1台ということ!
KMA MACHINES
ENDGAME
¥オープン(税込)
おもな使用目的
◉キャビネット・シミュレーターとして使う(IRも可能)
◉パワー・アンプ・シミュレーターとして使う
◉ダブリング・エフェクターとして使う
◉ヘッドフォン・アンプとして使う
◉FXループとして使う
◉練習用に使う
◉イヤモニ用に使う
■ダブリング機能を使う=ライヴで効果大
エンドゲームの特徴のひとつがダブリング機能だ。
レコーディングでは同じプレイを2回弾いて、左右のチャンネルに振り分けることで、2本のわずかな違いやニュアンスがサウンドに厚みや広がりを出してくれる。ところが、もちろんライヴではそうもいかないので、これまではショート・ディレイを使ったりして疑似ダブリング効果を生み出したりしていた。
その方法だと、レコーディングのようなダブリングとは似て非なるものなのだが、このエンドゲームに搭載されているダブル・トラッカーを使えば、2回プレイした際の些細な違いを正確に再現してくれる。
さっそく、弾いてみるとショート・ディレイとは違うダブル・トラッキング効果をシミュレートしてくれる。ステレオ出力しないと効果は得られないようだが、ステレオ出力して左右のスピーカーに振り分けると、見事に左右から2本のギターが鳴ってくれるのだ。ダブリング機能はフットスイッチでオン/オフすることが可能で、さらに TDT WIDTHコントローラーを使えば、2つに分かれたサウンドの幅が調整できる。ツマミを右に回すにつれ、2つのサウンドが、より左右に分かれていくのだ。
この独特の機能は、KMAによるとリアルなダブル・トラッキング・サウンドを実現するために、さまざまな研究を行ない独自のカスタム・ニューラル・ネットワークAIを開発したとのことだ。
■パワー・アンプ・シミュレーターとしての使用
エンドゲームには、パワー・アンプ・シミュレーターが搭載されている。真空管タイプは3種類で、右横にあるスイッチで切り替えることが可能だ。
タイプはLEDの色で区別され、EL34=緑、6L6=赤、KT88=オレンジ、となっている。さっそく、こちらも試してみよう。
パワー・アンプだけの試奏というわけにはいかないので、エンドゲームの前段にプリアンプを使いオーバードライブ・サウンドを作り、エンドゲームのキャビネット・シミュレーター(グリーンバック 4 × 12を使用)を使ったうえでの試奏になる。EL34はミッド寄り、6L6はレンジが広く、KT88は押し出し感があるなど、各真空管の特徴を捉えている。キャビシミュとの組み合わせでトーンを決めると、いいだろう。
なお、エンドゲームからギター・アンプなどに接続するシチュエーションなど、パワー・アンプを必要としないバイパスも可能で、その際はLEDが点灯していない状態となる。
▲裏パネルを開けると、内部DIPコントロールがある。これは、メイン出力からAUX入力や、アンビエンス/キャビシミュ/パワー・アンプシミュをバイパスできるスイッチだ。
エンドゲームをイヤモニ用に使用する際などに便利!
■キャビネット・シミュレーターとしての使用
キャビネット・シミュレーターは合計5種類を選択できる。
プリセット1=V30(4 ×12)、プリセット2=クリームバック(4× 12)、プリセット3=グリーンバック(4 ×12)は、Celestion Digitalによるものだ。さらに、ユーザ・プリセットを2つ搭載〈A/B〉。サードパーティ製のIRをPCとUSB-C接続で、内部ストレージに読み込むことができる。
デフォルトでプリセットされている3種類のキャビネット・シミュレーターを、前段にプリアンプを接続し、エンドゲームのパワー・アンプ・シミュレーターと組み合わせて試奏してみた。
各シミュレーターで、かなりトーンが変わる。キャビでの違いがよくわかるのが特徴だ。
■エフェクト・ボード最終段に設置する
多彩すぎる機能を盛り込んだエンドゲームだが、本来の目的はその名のとおり、エフェクト関連の最終段に設置するのが理想。その接続例が下の図。
注意したい点は、キャブネット・シミュレーターやパワー・アンプ・シミュレーターを搭載しているものの、外部に基本となる音を作るプリアンプが必要なことだろう。
ギター→(必要ならばオーバードライブ系)→プリアンプ→エンドゲームという接続順でベーシックな音を作る。そこに、センド/リターンを活用してディレイやリバーブなどの空間系やモジュレーション系を接続するのが、いちばん基本となる接続例だろう。アウトは、ライヴの場合は、そのままPA卓に行くもよし、シミュレーターをオフってアンプのリターンに接続するのもありだろう。ステレオ・アウトなので、上記でも解説したが2台のアンプを駆使すれば、エンドゲームならではバツグンのダブリング効果を体感できるはずだ。
また、2個装備しているヘッドフォン・アウトは、練習用に使える他、イヤモニとしての使用も考えられる。
■KMA MACHINES ENDGAMEの詳細■
https://www.electroharmonix.co.jp/kma/endgame.html