tc electronicから名機を忠実に再現したプリアンプ・ペダルが登場

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多くのシミュレーターが登場している現代に、リアルなサウンドとディティールを提供する革新的なモデリング・テクノロジー“TC AMPWORX”を採用したプリアンプが6機種登場した。
しかも、マーシャルやフェンダーなどの王道から、5150やモディファイJCM800のモデリング・モデルまで!
その中で、とくに注目の機種を試奏しつつ、全モデルを紹介していこう。


JIMS 800 PREAMP
オープン価格

DIアウトから出力すると、キャビネット・シミュレーターが起動する。
すべてのモデルで共通しているアウトだ

【仕様】
コントロール:ゲイン、ブースト、レベル、ベース、ミドル、トレブル
●スイッチ:ブースト(プリ/ポスト)、ブースト・フットスイッチ、チャンネル・フットスイッチ
●入力端子:インプット
●出力端子:アウトプット、DI(CAB SIM)アウトプット、 3.5mm(1/8’)ステレオ・ヘッドフォン・ジャック
●USB端子:mini-USB
●電源:9V DC(センターマイナス/300 mA以上)
●外形寸法:51(高さ)x113(幅) x 136(奥行き)mm

カスタムショップ改造のマーシャルJCM800が蘇る!!

まずは、カスタムショップによって改造されたマーシャルJCM800をモデリングしたJIMS 800だ。
80年代に登場したJCM800といえば、LAメタル・ブームと相まってモディファイ・マーシャル・ブーム(リー・ジャクソンらが有名)だった。このJIMS 800は、ノーマルのJCM800ではなく、そのモディファイ・マーシャルのトーンをモデリングしたものだ。しかし、オリジナル800に搭載されていたロー・インプットとハイ・インプットを2チャンネル切り替えにして再現している点も注目(チャンネル切り替えはフットスイッチで行なうのだが、エフェクト↔バイパスにも設定可能)。
80年代メタルと聞いて注目してしまうギタリストも多いと思うので、さっそく試奏してみよう。コントローラーは、ベース、ミドル、トレブルという3EQの他、ゲイン、ブースト、レベルとシンプル。
まずはJIMS 800をプリアンプとして使用して、アンプ・ヘッドのリターンに接続して音を出してみる(ちなみに、キャビネット・シミュレーターも搭載)。ゲインを5に設定して弾いてみると、ちょうどいいぐらいに歪んでくれる!
ノーマルの800で、この歪みを得ようとすると、かなりゲインを上げないと、な歪みだ。しかも、中域のウォームな押し出し感もあり、ハイがキツくない。う〜む、これがモディファイ800か!? 当時のギタリストが、こぞって使いたくなるわけだ。さらにゲインを上げていくと、よりご機嫌なハイ・ゲイン・サウンドになってくれる。このウォームさを保ったまま歪んでくれるトーンは、JCM2000を彷彿とさせるぐらいだ。“前段にオーバードライブでもカマしたら、さらに弾きやすくなりそう”と思いつつ、搭載されてるブースト・スイッチを試してみた。
お〜! これはいい。まさに、前段にオーバードライブを使用した感じで、倍音も豊かになるし、これならオーバードライブなんていらない。EQの幅もかなり広いので、80年代だけではなく充分に現代のメタルにも対応できるモデルだ。

■LAメタル・サウンド

▲80年代のLAメタルを彷彿とさせるサウンドを作ってみた。ソロでブースト・スイッチを使うのもグッドだ

■tc electonic JIMS 800 PREAMPの詳細■
https://electori.co.jp/tcelectronic/JIMS_800_PREAMP.htm


V550 PREAMP
オープン価格

【仕様】
●コントロール:ゲイン、レゾナンス、レベル、ロー、ミドル、ハイ
●スイッチ:ブースト(プリ/ポスト)、ブースト・フットスイッチ、チャンネル・フットスイッチ
●入力端子:インプット
●出力端子:アウトプット、DI(CAB SIM)アウトプット、 3.5mm(1/8’)ステレオ・ヘッドフォン・ジャック
●USB端子:mini-USB
●電源:9V DC(センターマイナス/300 mA以上)
●外形寸法:51(高さ)x113(幅) x 136(奥行き)mm 

1992年製の5150をペダル型で再現!

今度は、時代が90年代に進み、エディ・ヴァン・ヘイレンが生み出した90年代真空管アンプの名機、ピーヴィー 5150初期モデルをモデリングしたV550だ。これまた、5150好きには納得のトーンを出してくれる。JIMS 800よりもかなりハイ・ゲインで、90年代から現代のメタルまで対応してくれる歪みだ。5150が今でも多くのギタリストに愛されているのがわかるトーンで、それを忠実に再現してくれている。
このモデルは、ブースト・ツマミがなく、その代わりに5150にも搭載されていたレゾナンス・ツマミを採用。このあたりも、こだわりを感じる。だからといってブーストできないわけではなく、フットスイッチを押すことでブースター的にセッティングしたオーバードライブを踏んだニュアンスが出せる。ちなみに、すべての機種は、ブーストの位置をアンプの前段(プリ)か後段(ポスト)に切り替えることができるので、オーバードライブ的に使うか(プリ)、単純にヴォリューム・アップに使うか(ポスト)を選択可能だ。ブーストの組み合わせなんて、本物のモデルにはないし、シンプルなペダル・タイプなのに、かなり音作りの幅が広く、とにかく納得のいくトーンがうれしい。

▲V550には、レゾナンス・コントロールを搭載。本物の5150的なニュアンスで低音を調整できる

▲ブースト・スイッチを搭載。プリに設定するとオーバードライブを使った時のような歪みがプラス!

■90年代エディ・サウンド

ハイ・ゲインなモデルだが、90年代エディ・サウンドは、このぐらいの歪みで。
そこまでEQしなくても充分にエディ風だ

■tc electonic v550 PREAMPの詳細■
https://electori.co.jp/tcelectronic/V550_PREAMP.htm


DUAL WRECK PREAMP
オープン価格

【仕様】
●コントロール:ゲイン、タイト、レベル、ベース、ミドル、トレブル
●スイッチ:ブースト(プリ/ポスト)、ブースト・フットスイッチ、チャンネル・フットスイッチ
●入力端子:インプット
●出力端子:アウトプット、DI(CAB SIM)アウトプット、 3.5mm(1/8’)ステレオ・ヘッドフォン・ジャック
●USB端子:mini-USB
●電源:9V DC(センターマイナス/300 mA以上)
●外形寸法:51(高さ)x113(幅) x 136(奥行き)mm

■デュアル・レクチファイヤーを小型化

続いては、90年代中盤から2000年代前半にかけてミクスチャー的なメタル・ギタリストに多く使用されたメサ・ブギーのデュアル・レクチファイヤーをモデリングしたDUAL WRECKだ。
弾いてみると、これまた、“そうそう、このドンシャリ感!”というレクチ・トーンが再現されている。当時のレクチいうと“ロー・チューニングにしてバッキングでゴンゴン言わせられるけどソロは弾きにくいな”という印象もあったが、このモデルは音作りの幅が広いので、ソロでのサスティンも稼げるサウンドを作ることが可能だ(セッティング例)。ブースト機能をオンにすれば倍音も豊富になるので、2000年前後のミクスチャー・メタル的な重低音バッキングから現代のモダン・メタルまでいける音作りができる。こちらもチャンネル切り替えにより、激しい歪みとクリーン・サウンドの2種類+各チャンネルのブースト2種類、という使い分けができるので合計4種類の音が作れる。

■モダンなメタル・サウンド

レクチのブームが到来した時代のサウンドを基本にしつつ、現代のモダン・メタルでも使えるディストーション・サウンド

■tc electonic DUAL WRECK PREAMPの詳細■
https://electori.co.jp/tcelectronic/DUAL_WRECK_PREAMP.htm


JIMS 45 PREAMP
オープン価格

【仕様】
コントロール:ノーマル、ハイ、レベル、ベース、ミドル、トレブル
●スイッチ:ブースト(プリ/ポスト)、ブースト・フットスイッチ、チャンネル・フットスイッチ
●入力端子:インプット
●出力端子:アウトプット、DI(CAB SIM)アウトプット、 3.5mm(1/8’) ステレオ・ヘッドフォン・ジャック
●USB端子:mini-USB
●電源:9V DC(センターマイナス/300 mA以上)
●サイズ:51(高さ)x113(幅) x 136(奥行き)mm

■tc electonic JIMS 45 PREAMPの詳細■
https://electori.co.jp/tcelectronic/JIMS_45_PREAMP.htm


■フェンダーやヴォックスの名機もあるぞ!

今回、試奏した4モデルの他、1965年製のフェンダー・デラックス・リバーブ(ブラックフェイス)をモデリングしたCOMBO DELUXE 65’ PREAMP、1965年製のAC30 Top BoostをモデリングしたDC30 PREAMPを加えて、合計6種類のラインナップがある。どれも、今ではそう簡単に音を出せないモデルなだけに、レコーディング用に1台持っておきたくなるトーンだ。


■サウンドの傾向をグラフにすると!?

 

▲JIMS 45、COMBO DELUXE 65’、DC30は、すべて1965年製のアンプを再現したモデルになっているが、ここでの「ヴィンテージ」と「モダン」は年代ではなく音の傾向を表わしている。
JIMS 45は、けっこうモダンな歪みも作り出してくれたのでこの位置に配置。ちなみに、どのモデルも幅広い音作りが可能なので、“ヴィンテージ・ライク”なトーンだけではなく、かなりモダンなトーンも作り出せるのがポイントで、現代のロックにもマッチしてくれる。