ボディはピコでもサウンドはビッゲスト!!

数々の個性的なエフェクターを世に送り続けてくれているエレクトロ・ハーモニックス。
その独創的なエフェクターから生まれるトーンはギタリストを魅了し続けているが、最近、注目を浴びているのが手のひらサイズのピコ・シリーズだ。
気になるこのシリーズのうち4機種を試奏!


エレクトロ・ハーモニックスのペダル・エフェクトというと、まっさきに思い出されるのがビッグ・マフだろう。ならではのファズ・サウンドを奏でたビッグ・マフは、プロ・アマ問わず多くのギタリストに愛用されたモデルだった。ただ、これまたビッグ・マフのイメージからエレハモ・ペダルというと、ちょっと大きめの筐体と思う方も多いのではないだろうか。そんなエレハモの常識を覆すのが、今回、試奏したピコ・シリーズだ。4台でも手のひらに収まるサイズで、これならエフェクト・ボードで幅を利かせることもないだろう(笑)。
さて、数種類が発売されているピコ・シリーズの中から、今回は4機種をピックアップして試奏してみた。

PICO TRIBORO BRIDGE

【仕様】
●コントロールヴォリューム、ゲイン、ベース、トレブル、ゲイト、トーン、タイプ・スイッチ
●入出力端子:インプット、アウトプット

まずは、歪み系ペダルである、PICO TRIBORO BRIDGEだ。このモデルは、オーバードライブ、ディストーション、ファズという3種類の歪みを選べるという、おいしい歪みをひとつにしてピコ・サイズに収めたペダルだ。さっそく試奏してみよう。
歪みのかかりを調べるためにアンプをクリーンにして接続。歪みのモードは、上部にあるボタンで選択する。グリーンはオーバードライブ・モードだ。ゲインを下げめにして弾いてみると、かなり歪みが抑えられつつヴォリュームのブースト度が強い。ヴォリュームが11時の位置でバイパスと同じぐらいの音量で、フルにすると2倍ぐらいの音量感になり太めのクランチ的な歪みを作り出してくれる。トーンも太くなり、ローもぐっと出てくれる。そこからゲインを上げていくと、オーバードライブというよりも、すでにファズ的な歪みが得られてしまう。今度は、ディストーション・モードにしてみよう。ディストーションというより、さらにファズ的なツブの大きい歪みになってくれる。これは、もはやファズ・エフェクターなのではいだろうか!? さらに、ファズ・モードにすれば完全にファズだ。
とすると、“オーバードライブ的には使えない?”と思われるかもしれないが、このモデルには、もうひとつインプット・コンター・モードというのがある。これは低音をカットし中音域をブーストさせるモードとのことで、さっそく使ってみよう。
タイプ・ボタンを長押しにすると、そのモードに突入する。このモードが、かなりおいしい! オーバードライブをブースターとして使うギタリストなら、ぜひ、このモードがオススメだ。ミッド感が増して、上質なオーバードライブ・サウンドを出してくれる。通常モードではファズ的な歪み、インプット・コンター・モードでは上質なオーバードライブとして、という3種類以上の使い方が作れるエフェクターとなっている。

このボタンを押すことで、オーバードライブ、ディストーション、ファズという3つの歪みタイプを切り替えることが可能だ。
さらに、長押しで、隠しモードが!?


PICO DEEP FREEZE

続いては、弾いた音を永遠になり続けさせてくれるエフェクター、PICO DEEP FREEZEだ。
単音でもコードでも対応してくれて、たとえばEmのコードを弾いてエフェクト・オンすると、オフにするまで鳴り続けてくれるので、そのコードの上でソロを弾くというプレイもできてしまう。フットスイッチを押した瞬間から音が伸びるモードや、押している間(離すまで)が伸びるモード、さらに新しい音を弾くたびに DEEP FREEZE が感知して自動的にフリーズしてくれる、という3モードの選択が可能。じっさいにやってみると、慣れるまでは操作が難しいが、かなりおもしろいプレイを生み出せる。

▲モードを変更するとLEDの色が変化するので、現在、どのモードになっているのかが一目瞭然だ


PICO RERUN

飛び道具的なエフェクトの次は、王道(!?)的なテープ・ディレイをシミュレートしたPICO RERUNだ。
テープ・エコーならではのサチュレーションやフラッター感まで調整でき、アナログ・ライクなトーンで再現してくれる。また、フットスイッチを2回以上踏むことでタップ・テンポもできるのがうれしい。なお、バイパスも、アナログ・バイパスとデジタル・バイパスで切り替えられる。

▲サチュレーション・コントロールは、エコー・エフェクトに加わるサチュレーションがコントロールできる。
テープ・エコーならではの微妙なザラつき感を変えられる!


PICO ATTACK DECAY

最後に紹介するのは、飛び道具的なエフェクターでありつつ、なんとなく暖かみを感じるPICO ATTACK DECAYだ。
テープ・リヴァース・シミュレーターとあるが、ヴォリューム奏法的なヴァイオリンを弾いたような音を自動的に作ってくれるモデル。フレーズがリヴァースするわけではなく、リヴァースした時のような音と言えばわかるだろうか。弾いてみると、その設定と弾くフレーズによって効果が変わるので難しい……でも楽しい(笑)。うまく使いこなせば唯一無二のプレイが生み出せるぞ!

センス、アタック、ディケイの3つのコントローラーの設定が、このエフェクターのキモとなる

 

■製品の詳細■
https://www.electroharmonix.co.jp/ehx/index.html