WeROCK 099 付録CDインタヴュー集〜Mellows編
WeROCK 099の付録オムニバスCDに参加したバンドのインタヴュー集を、このWeROCK EYESでもお届けするシリーズ企画。
今回は、2023年9月にファースト・シングル「Rabbit Love It!/未完成」をリリース、そして今回のオムニバスCDにはここでしか聴けない「秘密closet」で参加してくれたメロウズのインタヴューをお届けしよう。
公式ライヴ動画「未完成」
カワイイとメタルが融合した“キュート・メタル”
——Mioは、元PASSPO☆というアイドル・グループで活動していて、故・横山明裕(ユナイテッド)さんに師事されていたそうで。
Mio:PASSPO☆の時代からベースもやっていて横さんに教えて頂いてました。バンド形態のPASSPO☆もあったんですけど、解散してからベース&ヴォーカルとしてバンドを組んだんです。ただ、コロナ禍とかもあったりでそのバンドが休止することになって、私自身もバンド活動を休んでいましたが、やっぱりまだやりたいことがある……メタルをやりたいと思ったんです。それで、今のプロデューサーにメンバーをご紹介して頂きました。
——メタルをやりたいと言っても、今回のオムニバス収録曲もそうだし、すでに発表されている楽曲を聴く限りでは純粋なヘヴィ・メタルではないですよね?
Mio:横さんに出会う前、高校生の頃からずっとメタルが好きだったんです。その後、自分はアイドルの道に行ったんですが、グループが解散してからは、自分にはメタルができないと思っていたので、もっとポップなバンドをやっていました。そのバンドが活動休止になって、自分のできるメタルをやればいいんじゃないかと思ったんです。アイドル時代に培ってきた“カワイイ”という部分とメタルを合わせて、自分なりの“キュート・メタル”を作ろうと。
最初はソロとしてやるとか、サポート・メンバーを迎えてとかのアイディアもあったんですが、やはりメタルといえばバンドだし私もずっとバンドが好きだったのでバンド形態でやろうとなり、ふたりを紹介して頂きました。そこから私の頭で思い描いてるものを具現化するために、プロデューサーとともに作り上げてきました。
——Sallyは、WeROCK的にはリップ・スティックのギタリストとしても何度か登場して頂いたことがあります。バンドが止まってからは、とくに表立った活動はしていなかった?
Sally:コロナ禍のタイミングでリップ・スティックが止まりまして、たまにセッションをやるぐらいで公には活動していませんでしたね。そんな時に、いくつかお誘いを頂く中でメロウズを選んで参加することになりました。その時点でバンドのコンセプトである“キュート・メタル”というのは聞いてました。
GINA:私は、バブバブルと囁揺的音楽集団アズマーをやっていたんですが、アズマーのマネージメントから“もう1バンドできますか?”と言われまして。個人的にギターをもっとうまくならないといけなかったし修行したかったので、やれるかやれないかではなく“やります”と言いました。ところが、その時点でどんなバンドなのか資料ももらってなくて、デモが来たらスピード・メタルの要素もあって、めっちゃ難しくて“ヤバイ”って(笑)。
Mio:どういうギタリストがいいとかは伝えてなかったんですが、プロデューサーが私の意向を汲み取ってくれてふたりを選んでくれました。Sallyちゃんの動画も観て、GINAちゃんのライヴも観に行って、ふたりとも素晴らしいギタリストだったので“お願いします!”と(笑)。
——もともとベース&ヴォーカルだったのに、ベースをやらなかった理由はありますか?
Mio:キュート・メタルをやるにはヴォーカルに専念したほうがいいと思いました。キュートを作るにはヴォーカルに専念して、いったんベースはお休みしてます。ちゃんと横さんのお墓に行って“ちょっとベースは休むけど、見てて!”と言ってきました。
——そこから“キュート・メタル”を作っていくわけですが、そもそも“キュート・メタルとはなんぞや?”というところからのスタートですよね?
Mio:通常のメタルを作っていく作家さん達だと無理だなと思いまして、ギターがめちゃめちゃ弾けてアニソンが作れるような方が、いちばんいいんじゃないかとプロデューサーと話しました。そこから作曲の方とやりとりして作っていってる感じです。
Sally:ホントにすごい曲が来たんですよ。最初に来たのが、今回、オムニバスに収録されている「秘密closet」だったかと思います。
Mio:最初の3曲ぐらいができるまでは、“ここは、もっとベースが重くないとダメですよね”とか“ただカワイイだけではダメ”とかの問題も出てきて、そこをクリアしていくためにどうすればいいのかやりとりがありました。
GINA:曲が来た時には“これが登る山か……”と思いました(笑)。まだ一合目なのに、自分の今までのスタイルにも近そうで弾いてみると違っていて。でも、食らいついていこうと思いました。
——Sallyは、そこまで違うスタイルではないですよね?
Sally:そうなんですけど、最初に聴いた時は“よく、この発想があるな!”という感動がありました。それに私がやってきたのは80年代の王道なヘヴィ・メタルだったから、そもそもダウン・チューニングというものをやってきたことがなかったんです。なので、今度はワクワクしてきて、実際に弾いてみたら自分でも気持ちいいと思えるフレーズが多かったですし、ギタリストが“お〜”って思えるようなフレーズがふんだんに入ってるのでさすがだなと。
Mio:私は“カワイイってなんだろう?”と思ってる部分がまだあって、カワイイにもいっぱいあるから“どうカワイイを表現しよう?”とかは歌ってみて自分の感じたまま行こうって思いました。そんな中で、実際に曲を聴いた時に“これだ!”って思いつつ、自分の中でも挑戦ではありましたね。
——いわゆる女性が歌うヘヴィ・メタルはやりたくなかった?
Mio:シャウトとかグロウルが歌えないんですよ。
——それができなくても、メタルを歌っている女性はいっぱいいますよね(笑)?
Mio:スリップノットが原点なんですけど、ああいうのがメタル・ヴォーカリストだと思っているんです。プロデューサーにも、やりたいのはスリップノットと言ってるのに、それは歌えないと(笑)。
Sally:でも、歌詞の乗せ方が独特なので、デモの段階とは違う歌になっていてMioちゃんじゃないと歌えないメロディになってると思います。
Mio:歌詞的にはメタルに寄せないでキュートにいってますね。私、ホラーが好きなんで、かわいくトゲを刺したいというか“よく考えると怖くない?”みたいにゾッとするような中で、かわいく書きたい。
——そういう方向性で、2023年にファースト・シングル「Rabbit Love it!」と「未完成」を発表しています。
Sally:「Rabbit Love it!」のサビは、ギターのふたりがすごく忙しいんですね。ずっとハモってるのが気持ちよくて、ツイン・ギターをふんだんに楽しんで頂ける曲なんじゃないかと。
GINA:忙しいけど、弾いていていちばん楽しい曲です。楽器隊だけ聴いていても成り立つ曲で、そこにMioちゃんの歌が入ると怖くてかわいいメタルに印象が変わるので、どの楽器に注目するかによってイメージが変わります。
Mio:この曲を聴いた時に“スゴッ!”って思いました。メロディもいいし、このメロディにああいうサウンドが来たので、これは化けるなって。でも、レコーディングの時にはディレクターからすごくしごかれました。
私、アイドル時代もメイン・ヴォーカルを担当していたわけではないし、キチンとヴォイス・トレーニングを受けていたわけじゃないので、レコーディング時にかなり教えて頂いて、いろんな自分でも知らない部分を引き出してもらいました。もう1曲の「未完成」では、かわいくではなく勢いよく歌ったんですね。私自身、カッコつけて歌うことがイヤだったんですけど、プロデューサーから“どうカッコよく歌ったとしてもかわいく聴こえるから大丈夫”と言われたので自信もって自分なりにカッコよく歌ってみました。
——そして、今回、提供して頂いた「秘密closet」は、このオムニバスが初の発表となる楽曲なんですね!?
Mio:ちょうどMVを作っていてタイミングがいいと思いましたし、この楽曲こそいちばんの“キュート・メタル”かなって思って最初に作った曲なんです。これまで発表してきた他の楽曲は、お客さんにわかりやすい曲とかポップな部分を探ってみたりという変化球的な要素もありましたが、今回はいよいよキュート・メタルに振り切った曲を発表するんです。
Sally:最初に聴いた曲だし、いちばん最初にライヴで披露したバンドの代表曲という印象ですよね。
Mio:私が作家さんにリクエストしたことを、すべて汲み取ってくれた楽曲です。カワイイとメタルが一緒にわかる曲になってますね。
GINA:ヘヴィなギターから始まってキュートなヴォーカルになって、次のメタルっぽくなるところまで聴いてもらえるかが勝負です(笑)。
Sally:生粋のメタラーの私から言わせてもらえれば、キュート・メタルを聴いて“え〜っ!”ってなるメタラーが多いと思うんですよ。だから、最初は賛否があると思うんですけど、本質的にメロディに対するコードの当て方とかがめちゃくちゃカッコいいので、聴けば聴くほどよさがわかってもらえるスルメ的な曲なので、ぜひ、何回も聴いてほしいですね。
▲左より、GINA(g)、Mio(vo)、Sally(g)
シングル「Rabbit Love it!/未完成」
¥2,750(税込) 2023年8月17日
①Rabbit Love it!
②未完成
◎“キュート・メタル”を掲げたメロウズのファースト・シングル。オムニバス収録の「秘密closet」よりもキュートさが際立つ「Rabbit Love it!」、ヘヴィなリフが印象で激しさに寄せた「未完成」を収録。iTunes Storeのメタル・トップ・ソング=日本チャートでは、それぞれ1位と2位を記録。オランダでは「未完成」が2位を記録している!
■ライヴ予定■
3月9日(土)=下北沢シェルター
3月30日(土)=原宿ルイード
4月25日(木)=渋谷レックス
■メロウズ 公式サイト■
https://www.mellows-cutemetal.jp/