リリス一ノ瀬が惚れ込んだ歪みサウンド

王道のペダルからマニアックなモデルまで、多彩なエフェクターを発表している、アメリカ・オハイオ州のアースクイエカー・デバイセス。
そのアースクエイカーから、新たにベース用オーバードライブが登場した。この新製品を、Damian Hamada’s Creaturesのリリス一ノ瀬がチェック!
同社で人気のオーバードライブとファズ、そしてちょい足し音作り用のリバーブ、イコライザー&ブースターと、5台のペダルを試奏してくれた!!


リリス一ノ瀬による試奏動画


Blumes(ブルームス)
¥22,000(税込)

【仕様】
●コントロール:レベル、トーン、ゲイン、クリッピング・モード・セレクター
●入出力端子:インプット、アウトプット
●外形寸法:6.35(幅)×5.7(高さ)×12.065(奥行き)cm

——アースクエイカー・デバイセスのことは、前から知っていました?
リリス一ノ瀬(以下、リリス)
:ブランドのことはちゃんとは知らなかったんですが、この特徴的なデザインはカタログなどで見て覚えていましたね。
——そして今日は新製品のベース用オーバードライブ、Blumes(ブルームス)を中心に試してもらいました。
リリス
:ブルームスの第一印象としては、すごくパワフルだなと。オンにしただけでヴォリュームがかなりアップするし、歪み方もしっかりしていますね。ソロとかの見せ場で使いたい音色ですし、プリアンプとしても使えると思いました。
——自身では、いつもどうやって歪みを作っているんですか?
リリス
:現場によって違うんですが、私は原音を残してのディストーションや粒の粗い感じのディストーションが好きなんですね。今はプリアンプ・ペダルを歪み系ペダルの代わりに使っています。以前はファズも使っていましたね。
——そうした好みである粒の粗いディストーションもブルームスで作れそうですか?
リリス
:そうですね。かつ、キツめの歪みも得意そうだし、同時にベーシストが欲しいロー感、中低音域をしっかり出せるペダルになっています。
——各ツマミの効きはどうですか?
リリス
:かなり幅広いですね。真ん中のトーン・ツマミが効果的で、少しだけ歪みを足したいというところからめちゃめちゃ歪ませたいというところまでいけます。加えて、ゲインのツマミもあるので、かなり広い範囲で歪みをコントロールできます。オーバードライブとして発売されていますが、ディストーションまで出せますね。
——3つのクリッピング・モードを切り替えられるトグル・スイッチも付いています。
リリス
:1のモードがいちばん歪む印象ですね。しっかりと歪ませたい時に向いています。2はクリッピングさせないモードで、ゲイン・コントロールを絞るとクリーン・ブースター的に使えます。そして、3のモードですが、個人的にはこのモードが気に入りました。このモードだと原音が混ざるんですね。バランスを見て歪みを足せていけるし、混ざり方もいいです。全体的には、ツマミが少ないし、それぞれの効きがはっきりしているから音作りもしやすいと思います。
——さらに、リバーブとイコライザー&ブースター(下記を参照)を加えて、ちょい足しの音作りも試してもらいました。
リリス
:ブルームスはいちばん歪む1番のモードにして、そこにリバーブを足すことでかなり個性的なサウンドを作れますね。リバーブもいろいろなセッティングができるので、幻想的な歪みから飛び道具的な歪みも大丈夫。ギターに負けない歪み、気持ちいいソロ・サウンドを作れます。中域の存在感もしっかりあるし、ブルームス自体で音量も上がるので、イコライザー&ブースターは使わなくても大丈夫かもしれないです。ただ、バンドで合わせた時に、この音域が足りないとか出すぎているというのがあると思うので、その調整のためにあると便利かなと。
——どういうプレイヤーにオススメでしょう?
リリス
:低域を残しつつ、しっかりと歪んでくれるし、ブースターとしても使える。いいベース用オーバードライブが欲しい方、あとは多弦ギターやロー・チューニングのギタリストにもオススメです。一般的な王道のペダルだとロー感が失われるものも多いので、そういう意味でグラフでは王道感を下げました。かつ広く使えると思うので、マニアック度も低いと。ボードにあれば、かなり便利な1台です。

歪み度:★★★★★
王道感:★★
マニア度:★★

■リリス’s setting

↓クリックで拡大できます

オンにした時に音量差が出ないようにレベルはセンターに。中低域がしっかりしているので、トーンで高域も押し出すセッティングだ

■Blumesの詳細■
https://www.earthquakerdevices.jp/blumes


Westwood(ウェストウッド)
¥33,000(税込)

【仕様】
●コントロール:レベル、ドライヴ、ベース、トレブル
●入出力端子:インプット、アウトプット
●外形寸法:6.4(幅)×5.7(高さ)×12.1(奥行き)cm

——Westwood(ウェストウッド)はオーバードライブです。
リリス
:まず、感じたのはドライヴ・ツマミの効き方が特徴的だなということですね。歪みのタイプとしては中域を大切にしたナチュラルな感じで、その歪みが加わっていく感じがすごく繊細なんです。一般的な歪み系ペダルがツマミを上げると1、2、3〜と上がっていくとするなら、ウェストウッドは0.1、0.2〜と上がっていく印象ですね。ほんのりと歪みを足したいという時に最適だと思います。
——あまり強くは歪まない感じですか?
リリス
:いえ、ドライヴ・ツマミを12時(センター)から右に回せばしっかりとしたドライヴ・サウンドも作れますね。ブルームスと同じように効き幅がすごく広いです。ベースとトレブルのつまみも同じで、かなり効いてくれます。
——リバーブとイコライザーでちょい足しするなら?
リリス
:ドライヴ・ツマミは絞り気味にして、ほんの少しだけ歪みを乗せたところに、リバーブをかけるのがいいですね。ロック感を大切にしつつもジャジーなトーンを弾きたいという時にいいと思います。そこにイコライザーでさらにミッドを押し出すとさらにいい感じになります。
——どういうタイプのベーシストにオススメでしょうか?
リリス
:しっかりと歪ませることもできますが、やっぱりナチュラルな歪みを使いたい、味付けとして歪みを加えたいというプレイヤー向けだと思います。繊細に歪みを加えられる点は、他のオーバードライブにはあまりないマニアックな点だと思います。

歪み度:★
王道感:★★★
マニア度:★★★★

■リリス’s setting

↓クリックで拡大できます

ドライヴ・ツマミはセンター手前にして、ナチュラルな歪み感を作る。ベース・ツマミをセンターからやや右にして少しだけブーストさせる

■Westwoodの詳細■
https://www.earthquakerdevices.jp/westwood


Hoof(フゥフ)
¥36,300(税込)

【仕様】
●コントロール:シフト、トーン、レベル、ファズ
●入出力端子:インプット、アウトプット
●外形寸法:6.4(幅)×5.7(高さ)×12.1(奥行き)cm

——Hoof(フウフ)はファズですね。
リリス
:お気に入りになりました。私、以前、緑のビッグ・マフの音が好きで使っていたんですが、いざバンドで使うとファズの音がヌケなくて悩んでいたんです。だけど、このフウフは、ツマミを全部センターにした状態で弾いてみてところ、中低音がしっかりと出ているし、これならバンド・サウンドでも埋もれないと思います。ベース本来の存在感を出しつつ、ファズの凶悪な粗い粒立ちの歪みが出せると思います。
——各ツマミの効きはどうですか?
リリス:シフトは中域のコントロールですね。右に回して3時ぐらいにすると、ビッグ・マフっぽい中域をカットしたキャラクターになります。トーンは絞ると低域寄り、上げると高域寄りになります。このトーンでミッドのバランス感を取りつつ、シフトでミッドを出すか削るかという感じです。トーンを絞ると丸い感じを足せるし、上げるとバリバリしたニュアンスを加えられます。ファズ・ツマミは上げていくと粗さやパワフルさが加わっていきます。全体として、ヴィンテージっぽいファズ・サウンドも今ふうのファズも作れます。
——ちょい足しするなら?
リリス
:リバーブは使わずに……。フウフのファズを強めにかけつつ、イコライザーでさらにドンシャリにして、パンキッシュな音にするというのがおもしろいかも。
——どういうタイプのベーシストにオススメでしょうか?
リリス
:ファズがバンド・サウンドに馴染んでいないと悩んでいるベーシスト、ファズが好きな人です。グラフ的には、ファズ自体が少しマニアックだと思うので、2です。

歪み度:★★★★
王道感:★★
マニア度:★★★★★

■リリス’s setting

↓クリックで拡大できます

シフトを右側にして、お気に入りのビッグ・マフ的なキャラにしつつ、トーンでやや丸みのあるサウンドにしている

■Hoofの詳細■
https://www.earthquakerdevices.jp/hoof


ちょい足しで使ったリバーブとイコライザーがこちら!

▲左がリバーブのLedges(レッジズ)/¥36,300(税込)、右がイコライザーのTone Job(トーン・ジョブ)/¥28,600(税込)

——歪みに味付けをするために2台のエフェクターを用意しました。それぞれ単体で試してもらった感想を教えてもらえますか?
リリス
:リバーブのLedges(レッジズ)は真ん中のトグル・スイッチで、ルーム、ホール、プレートという3種類のモードが選べます。簡単に言うとルーム(左)からプレート(右)に向かって、どんどん広がりが大きくなっていきますね。さらに左上のレングスというツマミでリバーブの長さを調整できるんですが、このツマミも効き幅が広い!
あと、ダンピングというツマミがおもしろいです。高音域をコントロールするツマミで、フィードバックしている感じを出したりカットしたりできます。これは歪み系にちょい足しすることで飛び道具的にも使えますね。好みの設定を6種類プリセットできるのもいいです。実際、6種類もあればライヴでは充分ですからね。
Tone Job(トーン・ジョブ)は効き幅が広くてイコライザーとして優秀ななんですが、20dBのブーストもできるんですね。オンにすると、音にメリハリを付けられます。最後につないで出音の調整に使うのもいいし、ベース・ソロなどでオンにすればグッと音を前に押し出すことができると思います。

■Ledgesの詳細■
https://www.earthquakerdevices.jp/ledges

■Tone Jobの詳細■
https://www.earthquakerdevices.jp/tone-job


アースクエイカー・デバイセスとは?

現在、約40種類ほどのエフェクターをラインナップしている、アメリカ・オハイオ州にあるアースクエイカー・デバイセス。
その特徴などを輸入販売元であるヤマハミュージックジャパンの担当者に教えてもらった。

アースクエイカー・デバイセス(以下、アースクエイカー)の代表であるジェイミー・スティルマンは、自身でバンドを組みつつ、2004年頃からエフェクターの修理をきっかけに製作も始めたんですね。また、ジェイミーはザ・ブラック・キーズというバンドのローディもやっていて、そのブラック・キーズのギタリストが持っていたビッグ・マフがかなりいい個体だったんです。それで、ジェイミーがそれを模してHoof(ファズ)を製作して、ブラック・キーズのギタリストも使い始めたんですが、そのHoofの音がよくてアースクエイカーの存在が知られていきました。
アースクエイカーのペダルは、ジェイミーのプレイヤーとしての目線で製作されています。ラウドネスの高崎さんに試してもらったこともあるんですが、すぐに“このペダルはギタリストが作ってるでしょ”って見抜かれましたね。音の存在感やノイズが少ないところなど、バンドで使える実戦的な製品がそろっているというのが特徴になります。
また、可変幅が広いのもポイントです。ふつうのエフェクターはどんなアーティストを見ても、ツマミはだいたいこれぐらいのセッティングで使われるんだなってあるんですが、アースクエイカーのペダルは使うアーティストによって、それぞれ使い方が違うんですね。同じペダルでも、いろいろなジャンルでいろいろなセッティングで使われているんです。デザインやモデル名も含めて、ぶっ飛んだモデルもあることで、日本に入ってきた頃は飛び道具的なブランドと見られていたこともありましたが、幅広く使われるブランドになったと思います。また、ラインナップが幅広いので、どんなプレイヤー、ジャンルにもハマる1台があると思っています。
今後ですが、今アナログ・ディレイが廃番なので、それが発表されるのではないかと予想しつつ、ミュージシャンからのコラボの要請も多く届いているので、それも形になっていくのかと思っています。

■アースクエイカー・デバイセス 公式サイト■
https://www.earthquakerdevices.jp/


◎リリス一ノ瀬2017年〜2020年、絶対倶楽部のベーシストとして活躍。バンド解散後は、ソロ・プロジェクトの“青色壱号”を始動させ、並行して精力的にサポートやセッションも展開。魔暦25年(2023年)からは、ダミアン浜田陛下率いるDamian Hamada’s Creaturesの第2期メンバーとしても活躍中。4月24日には第Ⅴ大聖典(アルバムのようなもの)『最後の審判』が発表され、6月1日=大阪バナナホール、6月2日=名古屋ell.FITS ALL、6月8日=Zepp Shinjuku、6月22日(土)=仙台ダーウィン、6月29日(土)=福岡ドラムBe-1、6月30日(日)=広島ヴァンキッシュという6公演の全国ツアーも発表されている。

■Damian Hamada’s Creatures 公式サイト■
https://www.damianhc.jp/

■一ノ瀬 公式X■
https://twitter.com/ICHINOSE_CRASH