WeROCK 099 付録CDインタヴュー集〜DEATHROLL編
WeROCK 099の付録オムニバスCDに参加したバンドのインタヴュー集を、このWeROCK EYESでもお届けするシリーズ企画。
今回は2023年7月にアルバム『Japanese extreme metal art』を発表したデスロールのインタヴューをお送りしよう。
MV「Fear of mentally disabled」
ブラック・メタルの芸術性の高さを表現しました
——デスロールは、いつ頃、どういった経緯でスタートされたんですか?
KAZU:スタートしたのは、2011年頃です。その頃に初めてDTMに触れたんですが、想像していたよりも曲を形にしやすい時代になったのを知ったんですね。それで、どうせ曲を作るなら公開したい、いろんな人に聴いてほしいというのが最初です。あと、ノルウェーのバーズムに強く感銘を受けたんですが、そのバーズムもひとりのバンドなんです。自分ひとりでも不可能ではないと思い、続けてきました。
——KAZUさん自身は、他にどういう音楽に影響を受けたんですか?
KAZU:最初は、メタル調のギター・インスト的なゲーム音楽でしたね。そこからジューダス・プリーストの「ペインキラー」でメタルの世界に引き込まれ、だんだんともの足りないようになり、モービッド・エンジェルを聴き、さらに凶悪さを追い求め、最後にバーズムに辿りついたんです。ギタリストとしてのルーツで言えば、今、挙げたジューダス・プリーストのグレン・ティプトンとK.K.ダウニング、モービッド・エンジェルのトレイ・アザトースあたりが最初です。
——最近は違うんですか?
KAZU:最近ではないんですが、デスロールとしてライヴ活動を始めてから、X JAPANの、正確で理論に基づいた演奏に感銘を受けたんです。あと、ブラック・メタルとクラシックの融合を最初に完成させたのはスウェーデンのディセクションというバンドのジョン・ノトヴェイトだと個人的に思っているんですが、そのジョンにも強く影響を受けています。
——YouTubeにX JAPANやジューダス・プリーストのカヴァー動画も公開していますね。
KAZU:YouTubeに上げたカヴァー動画は、思い入れが深い曲ですね。あと、もっと学びを得ようと思いカヴァーしたという経緯もあります。
——さて、今回のオムニバスCDに「Fear of mentally disabled」で参加してもらいました。
KAZU:現代社会の闇とも言える、精神を病んでしまった人間をテーマにした楽曲です。基盤ができあがったのは2017年頃なんですが、その頃はまだミキシングやレコーディング技術もな部分があったんです。それを、アレンジやハモリを加えてレコーディングしなおしました。現在の私がいいと思う作り方はこうだと。
——この曲はギター・ソロも入りつつ、短い尺の中でも展開が入り、一般的にイメージされるデス・メタルとは違った印象を受けました。
KAZU:奏法や使うフレーズは、U.S. ブルータル・デス・メタルのようにパワー・コードとブラスト・ビートが軸になっていますし、ディセクションや北欧ブラック・メタルのようにアルペジオの多用もあって。ある意味で定番とも呼べるオールドスクールなエクストリーム・メタルを奏でていると思います。あとは、ブラック・メタルに共通することとして芸術性の高さがあると思います。それを構成美として表現しようとしたのがこの曲ですね。
——ヴォーカリスト視点、ギタリスト視点で「Fear of mentally disabled」の押しどころは?
KAZU:ヴォーカリスト視点で言うと、ブラック・メタルが好きな人には伝説ともなっているメイヘムのデッドというヴォーカリストがいるんですね。その彼の伝説のライヴ音源があるんですが、尊敬の念も込めて、その発声法に近い形で録りました。ギタリスト視点では、今の自分が思う楽曲のブラッシュアップ、あとレコーディングにおいての作り込みや技術的なアイディアを詰め込んだところです。
——この新曲は、次のアルバムに収録予定とのことですが?
KAZU:シングルでのリリースも考えましたがヴォリュームが少ないと思ったんです。シングルで発表するのであれば、6分とか8分くらいはあってもいいかなと個人的に思っているので。あと、『Japanese extreme metal art』という満足のいく作品も世に出した後なので、アセって次のリリースはしないつもりです。本当に満足のいく作品にできたらと考えていますし、おそらく1〜2年くらいはかかるかもしれません。あと、新しいサポートのIKUMI(g)が加わったので、準備ができしだいライヴでお披露目します。
アルバム『Japanese extreme metal art』
Wormholedeath
2023年7月7日(配信限定アルバム)
①Lady Banks
②The grey life
③Lost in confusion
④The torture of lying
⑤False images of isolation and depravity
⑥The lion’s den
◎イタリアのレーベル、ワームホールデスから配信限定で発表された6曲入りアルバム。ピアノと女性ヴォーカルによる①で幕を開けるという意外性を見せつつも、ブラック・メタルにこだわり抜いた1枚。本作についてのインタヴューをWeROCK 098に掲載しているので、チェックしてほしい。
■デスロール 公式サイト■
https://deathroll.aremond.com/