ZOOM:MS-50G+ MultiStompを試奏!

低価格でありながら高品質なマルチ・エフェクターを提供してくれるズームから、またまたすごいマルチ・ストンプが発表されている。
このMS-50G+は、コンパクトなボディに100エフェクトを内蔵し、お使いのエフェクト・ボードを万能かつ完璧なものに仕上げてくれる“最強のジョーカー”といえる存在。ブティック・ペダルと共存するマルチ・エフェクターと言い換えることもできる。
Sakura(HAGANE)の試奏動画とともに、その音色と魅力に迫ってみよう!!


Sakura(HAGANE)による試奏動画


ZOOM
MS-50G+ MultiStomp
¥12,900(税込)

【仕様】
●搭載プリアンプ:22種類
●搭載エフェクト:80種類
●同時使用エフェクト数:6
●パッチ・メモリー(ユーザー・エリア):100
●サンプリング周波数:44.1 kHz
●A/D 変換:24-bit 128倍オーバーサンプリング
●D/A 変換:24-bit 128倍オーバーサンプリング
●信号処理:32-bit
●周波数特性:20 Hz 〜 20 kHz (+ 0.5 dB − 0.5 dB/10 kΩ負荷時)
●入力端子:標準モノラル・フォーン・ジャック
●出力端子:L/R標準モノラル・フォーン・ジャック
●電源:DC9 V センター・マイナス(500 mA)/ZOOM AD-16推奨、単三電池2本動作(動作目安:アルカリ乾電池=約7時間/ニッケル水素蓄電池〈1900 mAh〉=約6時間30分/リチウム乾電池=約14時間 値はあくまで目安で使用条件により大きく変わります)、USB バスパワー動作対応
●USB端子:USB2.0 Type-C
●外形寸法:133 (奥行)x79(幅)x61(高さ)mm
●重量:353g(電池除く)

 

■気になる歪み & プリアンプをチェック!

マルチ・エフェクターで、もっとも気になるのは歪みの音色だろう。
MS-50G+には、デフォルトで18種類の歪み系エフェクターが搭載されている。さらに、プリアンプとしても22種類のモデルを搭載。名機をモデリングしたものもあれば、ズーム・オリジナルのモデルもあるわけだが、ここでは、そんな中から厳選して気になるモデルを試奏してみた。

歪み部門を厳選試奏!

EP DRIVEマエストロ・エコープレックスのプリアンプ部分のみを抜き出したサウンドだ。音を一段前に押し出してくれる
RC DRIVEクリーン・ブースター。原音を変えることなくブーストしてくれる、まさに“クリーン・ブースター”だ
TS DRIVE:アイバニーズ TS808のモデリング。TS系に多い低域がカットされることなく、ブーストしてくれるオーバードライブだ。
GOLD DRIVE:おそらくケンタウルス系のODモデリング。倍音豊かで音に元気を加えてくれる、かなり良質で実戦的なトーンに仕上がっている
SWEET DRIVE:ミッド・レンジに特徴を持ったODだ。名機OD-1を甘めにした中域をプラスした印象を感じた
ZEN O.DRIVE:ダンブル系ODとして知られるHermida Audio Zendriveモデリング。歪みの幅も広くディストーション近くまでいける
DYNAMIC DRIVE:真空管アンプのODを再現するモデリング。かなりローが出るので、アンプは軽めのクランチかクリーンで充分!
PLUS DISTORTION:MXR DISTORTION+のモデリングだ。クリッピングがオリジナルの他、2種類の合計3種類、選べるのがおもしろい
DISTORTION ONE:ボス DS-1モデリング。こちらもクリッピングが2種類選択可能。モディファイのほうは、かなり太いディストーションだ
SQUEAK DISTORTION:プロコ RATのモデリング。原音とのミックス音が調整でき、今までにないトーンも作り出せる
RED CRUNCH DRIVE:エディ・ヴァン・ヘイレンでおなじみのブラウン・サウンドが得られるエフェクト。ホントに、あの音になって気持ちいい!
VEVIOLET DISTORTIONサーの名機Riot Reloadedのモデリングだ。非常に上質なディストーションで、2種類のタイプからセレクト可能。

プリアンプ部門

MS45OS DRIVE:マーシャル JTM 45 Offsetのモデリングだ。本物同様ヴォリューム1&2を搭載。かなり太めな真空管トーンを再現
MS1959 DRIVE:マーシャル 1959 SUPER LEAD 100のモデリング。上のモデリングよりも歪みを増しつつ、中音域の太さは本物を凌ぐ!?
MS800 DRIVE:マーシャル JCM800 2203。マーシャルの歴史順に、だんだんと歪みが増してくる。TS DRIVEとの相性がよかった
UK 30A DRIVE:ヴォックス AC30系のモデリングのようだ。1音1音のツブ立ちがよく粘り気のあるトーンでクランチにも最適
RECTI DUAL DRIVE:メサ・ブギー・デュアル・レクチ・ファイヤーOrange Channelのモデリング。2つのキャラクターを選択でき、重低音が魅力だ
XTASYBLUE DRIVE:ボグナー・エクスタシーのブルー・チャンネルをモデリング。中域の豊かな歪みがボグナーならではの印象だ。
ORG120 DRIVE:オレンジGraphic120のモデリング。トーンのタイプを6種類選択でき、目指す歪みの方向性を決められる。
DZ DRIVE:ディーゼル・ハーバートのチャンネル2をモデリング。かなりの重低音からミッドをカットするツマミでドンシャリ・サウンドも可能。
7 HEAVEN DRIVE:ズーム・オリジナルのプリ。ピッキングのニュアンスで歪みをコントロールでき、7〜8弦用だが6弦でも使いやすい音が作れる。

アンプ・フロント接続用に最適化されたマルチレイヤー

マルチ・エフェクターやDAWのプラグインをはじめ、現在では多くのモデルがIRを使ったキャビネットのモデリングを搭載している。マイキングの特性まで考えられたシミュレーターもあり、その再現度は驚かされるばかりである。
そんななか、MS-50G +は、さらにそのIRの上をいくZOOM独自の技術を搭載しているのだ。それが、“マルチレイヤーIR”テクノロジーだ。
キャビネットは、ギターの音量やピッキングの強弱によって鳴りが変わってくるのだが、そこまでを再現してしまったのが、この“マルチレイヤーIR”。IR1〜3という3つの段階のIRに分かれており、ギターの音量やピッキングの強弱に応じてブレンドされ、実際のキャビネット同様の反応で、他のシミュレーターとは一線を画す再現度となっているから驚かされる!

▲ZOOM独自開発のマルチレイヤーIRのイメージ

■iOSで新エフェクトを追加!

本体だけでも手軽にエディット可能なのだが、iPhoneやiPadのアプリ(Handy Guitar Lab for MS-50G+)を使うと、視認性もよく、パッチの並べ替えなどのエディットがしやすい。さらに、搭載されているエフェクトの解説まで書かれているので、説明書を読む手間も省けて、かなり便利だ。
また新しく配信されたエフェクターをアップロードすることもできるので、さらに音色を増やすことが可能(すなわち100個どころではない!)。また、ユーザー同士でパッチ・メモリを共有できるという機能もある。この小さな筐体で、まだまだ無限の可能性を秘めているのだ。

▲iOSアプリ(Handy Guitar Lab for MS-50G+)でのエディット画面。どんなエフェクターが接続されてるか一目瞭然で確認できる

▲アプリのパッチメモリー画面。100種類搭載されているパッチの順番を入れ替えられるので、たとえば曲順や使う音色順に並べ替えれば、ライヴなどにも対応可能だ

■パッチを使いこなせ!

ライヴやスタジオの実戦派ギタリストにうれしいのが、すぐにパッチ(プリセット)を呼び出せることだろう。
MS-50G+は、最大6種類のエフェクトを同時に使用可能で、最大100種類のパッチを保存できる。85種類のプリセットから選んでカスタマイズすることも可能だ。まさに、実戦向きのマルチ・ストンプなのだ。

■ライヴで活躍させる方法

ライヴなどで、数種類の音色を使いこなさなくてはいけないギタリストなら、これまで数種類のエフェクター+スイッチャーで制御していたわけだが、それがこの小さな1台で完結し、さらにパッチの切り替えも上部にセットされた2つのフット・スイッチでできるのだ。
さらに、上記のiOSアプリを使うと手軽にパッチの順番を変更できるので、例えばライヴの曲順や使用順にパッチを並び替えれば、ワン・アクションで目的の音色を呼び出すことも可能だ。

■気になる操作性は!?

▲ブーツで実験。最初は、ツマミを踏んでしまったりしたが、慣れれば操作しやすいぞ!

■ズーム MS-50G+ MultiStompの詳細■
https://zoomcorp.com/ja/jp/multi-effects/multistomp-pedals/ms-50gplus/