新楽器2023-2024/Line 6:HX One 編
モデリングの元祖と言っても過言ではないLine 6から、コンパクト・サイズに膨大な数のエフェクトを搭載した新モデルが発表された。
マニアックなモデルまで備えられたこの最新機種に迫ってみよう。
Line 6
HX One
¥55,000(税込)
【仕様】
●搭載エフェクト:273種類
●プリセット数:128
●入出力端子:インプット(L/MONO、R)、アウトプット(L/MONO、R)、MIDIイン、MIDIアウト/スルー、エクスプレッション・ペダル・イン、USB
●外形寸法:96(幅)×62(高さ)×125(奥行き)mm
●重さ:450g
■ここがすごい①
〜Line 6で培った驚愕のモデリング数
とにかく、すごいのが、そのモデリング数だろう。WeROCK読者がもっとも気になる歪み系だけでも50種類以上を搭載している。最後に気になるエフェクトを試奏しているが、これは、ほんの一部! この他をざっと挙げていくと、ダラス・レンジマスター Treble Booster、 ポール・コクレーン Timmyオーバードライブ、アナログマンのPrince of ToneにKing of Tone、ウェイ・ヒュージ Red Llama(モディファイ)、Hermida Zendrive、ホライゾン Precision Drive、チャンドラー Tube Driver、アースクエイカー・デバイセスからはPlumesにLife Pedal -Octave/Distortion回路、Benadrian Kowloon Walled Bunny Distortion、Arbiter Fuzz Face、73年製エレクトロ・ハーモニックス Ram’s Head Big Muff Pi、エレクトロ・ハーモニックス ロシアのBig Muff Pi、Garbageの改良版ボス FZ-2などなど。正規版だけではなくモディファイされたモデルなど歪み系マニアなら思わず息を呑んでしまうようなモデリングを多数収録している。
もちろん、それは歪み系だけではなく、モジュレーション系や空間系、さらにはワーミー・ペダルに、ヴォックスやジム・ダンロップのワウなどなどのモデリングまで搭載されている。もし、これらの名機を集めたら、いくらになるのだろうか(汗)。
■ここがすごい②
〜スイッチにワウやワーミー効果を割り当てられる!
HX OneはHelix Floor直系のHXモデリング・エフェクトを、ペダル・ボードに入れやすいようアンプ・モデルを除いたエフェクトのみをコンパクトなボディに搭載している。そして、コンパクトなボディに複数系統のエフェクタが使えるようにすると操作が複雑になってしまうため、あえて1系統でシンプルに使えるようにしている点に注目だ。
MIDI端子を装備しているので、MIDI出力を搭載しているスイッチャーでボードを組んでるギタリストなら、HX Oneにエディットした好みのエフェクトをプリセットし、他のエフェクターと組み合わせて使用することができる。また、新搭載の“Fluxコントロール”は、右スイッチでパラメーターをオートメーションできる機能で、外付けエクスプレッション・ペダルがなくても、ワウやワーミー・ペダルでペダルを踏んだ効果を出すことができるのだ。ちなみに、この右スイッチは、TAPテンポ用のスイッチにも切り替え可能だ。
▲上部に配置されたインプット/アウトプット類。アンプにセンド・リターンがあれば4ケーブルにも対応
▲MIDIイン/アウトを装備しているので、MIDI対応スイッチャーなどと組み合わせることができる
▲便利なFluxコントロールの他、エクスプレッション・ペダルや外付けのフットスイッチにも対応可能だ
■気になるサウンドをWeROCK的試奏!
とても、すべてのエフェクトを試奏して掲載できないので気になる歪み系を中心にエフェクトを厳選して試奏してみた。
モデリングの元祖と言っても過言ではないLine 6なだけに、どれも本物と見分けがつかないどころか、モデルによっては本物よりもコントロール類の幅が広くトーンを作れてしまった。そして、弾いたことのない名機の音を確認できることに涙!
歪み部門を厳選試奏!
Kinky Boost:エキゾチックのEP Boosterをモデリング。ブーストとブライトという設定も選べ、本物をさらにブラッシュ・アップさせた印象。
Compulsive Drive:フルトーン OCDのモデリングだ。フルトーンのODならではの、中域の増し具合と倍音を豊かにしてくれる感じが得られる。
Top Secret OD:DOD OD-250モデリング。イングヴェイが愛用していたことでも知られるODだ。ゲイン・コントロールの幅が広い!
Scream 808:アイバニーズ TS808 Tube Screamerのモデリングだ。中域の押し出し感、倍音の増し方は、まさに808。
Hedgehog D9:マクソン SD9 Sonic Distortionのモデリング。ブライトで抜けのいい歪みはSD9ならでは。音が潰れることなく歪んでくれる。
Stupor OD:ボス SD-1 スーパー・オーバードライブのモデリングだ。SD-1らしい中域と粘りのありつつ、抜けのいいブーストが再現されている。
Deez One Vintage:ボス DS-1、しかも日本製のモデルのモデリング。懐かしくもあり、80年代のハード・ロックを思い起こす歪みだ。
Deez One Mod:上記と同じくボス DS-1だが、こちらは、なんとキーリー・モディファイのモデルをモデリング。上のモデルより中域が増した印象だ。
Vermin Dist:プロコ RATのモデリング。トーン・ツマミは右に回すとコモり気味になるという、本家を受け継いた仕様になっている。
Ratatoullie Dist:同じくRATのモデリングだが、こちらはLM308オペアンプ付きをシミュレート。上のモデルよりドンシャリ感が増している。
Swedish Chainsaw:ボス HM-2のモデリング。最近は本家で技シリーズも出ているが、負けず劣らずチェーンソー・トーンからメタリックな歪みまで作れる。
Screamer:アイバニーズ Tube Screamerのモデリングだ。Bassツマミがあるので、TS系では出せない低域も稼げるのがうれしい。
Overdrive:DOD Overdrive/Preamp 250をモデリング。本物よりもEQツマミが多く、ならではの極太トーン+幅広い音作りができた。
Heavy Dist:ボス Metal Zoneのモデリング。91年に発表されて以来、愛され続けているモデル。スラッシーな、まさに90年代のメタル・サウンド!
Killer Z:こちらも、ボスMetal Zone MT-2のモデリングだが、こちらはコントローラーの当て方が本家に近くなっている。
その他の気になるモデリングも試奏!
Script Mod Phase:MXR Phase 90のモデリング。デジタルっぽさがなく、本家同様にアナログの温かみを感じさせるかかり方だ。
Script Phase:同じくMXR Phase 90のモデリングだが、こちらはマニアックにスクリプト・ロゴ・ヴァージョン。上のモデルより、ナチュラルな印象。
Gray Flanger:MXR 117 フランジャーのモデリング。オリジナル同様に、コーラス系のナチュラルなかかりから、ジェット・サウンドまで幅広く作れる。
Harmonic Flanger:A/DA Flangerのモデリングだ。“Enhanc”というツマミを動かすと、過激なかかり具合になり、飛び道具的な使い方ができる。
70s Chorus:名機ボス CE-1のモデリングだ。CE-1ならではの暖かみのあるコーラスが再現されており、クリーン、歪み、両方ともいける。
Adriatic Delay:ボス DM-2 w/Adrian Modをモデリング。本家よりもノイズの量をはじめ、エディットできる項目が多い! トーンは、アナログ感満載。
■Line6 HX Oneの詳細■
https://line6.jp/hx-one/