スーパーブラッド、最新作『I SEE THE LIGHT』を語る!

ハード・ロック/ロックン・ロールを基軸に、グルーヴィなサウンドを聴かせてくれるスーパーブラッド。
彼らが、2022年1月の配信シングル以来となる新作としてミニ・アルバム『I SEE THE LIGHT』を8月25日にリリースした。
WeROCK 096では、この新作についてのインタヴューを掲載したが、そのダイジェスト版をここに紹介しよう!
※MAD大内は都合によりインタヴューを欠席しています。

■アルバム『I SEE THE LIGHT』からMV「RUNAWAY TRAIN 14」


「DON’T BREATH」は
ジャパニーズ・メタルへのオマージュ

——スーパーブラッドの曲作りは、RYOさんからOKAHIROさんへの無茶振りからスタートすることが多いとのことですが、今回も?
OKAHIRO
:いや、今回はRYO君からリクエストが来る前から何となく作り始めていて。去年の1月に配信したシングルの「RIDE THE TIDE」は、当時AC/DCみたいな曲をというリクエストがあったけれど(笑)。
RYO:僕がリクエストする前にOKAHIROさんから“こういう曲ができたよ”って、デモが送られてきましたね。
——作曲した時のテーマなどは?
OKAHIRO
:とくにテーマを作らなかった。ふだんギターを練習する時に弾いているフレーズから“あ、これいいな”と思うものから広げていって、自然に新曲が増えていった感じで。最初にできた曲が「I SEE YOUR LIGHT」だったっけ?
RYO:そうですね。去年の夏ぐらいにデモが届いて。
OKAHIRO:そんなに前だったっけ(笑)?
RYO:そうですよ。制作全体としても、納得できるものを作るために締め切りは設けなかったというか、最初からしっかりとしたリリース日は決めずにスタートしました。それで、レコーディングは去年の秋ぐらいからスタートして、間に2ヵ月ぐらい空くこともありつつ、メンバーのタイミングが合う時に進めて。
——それぞれの活動もありますしね。そういう他のバンドでの活動とスーパーブラッドとで、自分の中でどういう違いがあるんですか?
OKAHIRO
:分けてるつもりはなくて……ソロだと自分が歌ってギターを弾いていたり、TYOと比べるとスーパーブラッドのほうがギターがハードだという違いはあるけど、そこは自然に自分の中で棲み分けみたいなものができています。
RYUSUKE KAWAMOTO(以下、RYUSUKE):自分もソロや他のバンドと、スーパーブラッドはまったく違うように見えますけど……スーパーブラッドがあるから自分があるというか、ここでミュージシャンとして育っているという感じですね。
——さて、今回のミニ・アルバムですが、既発の「RIDE THE TIDE」以外の4曲は、その「I SEE YOUR LIGHT」も含めて、どの曲もこれまでのスーパーブラッドになかったイメージですね。
OKAHIRO
:「I SEE YOUR LIGHT」はこれまでのスーパーブラッドの曲と比べて、使っているコードがいちばん多いかな。
RYO:作品全体として新しいことをやろうというのは考えていたし、メタル曲も入っていますし。
OKAHIRO:「I SEE YOUR LIGHT」は、RYO君にデモを送る前は違うサビが付いていたんだけど、それを外してリフに乗せたサビにして。最初のヴァージョンはネラいすぎというかサビとしておもしろくないと思って。
RYO:え、そうだったんですか? その最初のヴァージョンも聴いてみたい(笑)。で、ウチのメンバーはみんなシン・リジィが好きなので、そういうエッセンスを加えてみるのはどうですか、ってOKAHIROさんにリクエストしました。
OKAHIRO:レコーディング当初はシン・リジィのことは頭になかったけど、プレイ・バックを聴きながらRYO君が“シン・リジィみたいですね”って言ったんだよね。じゃあ、思い切りシン・リジィに振っちゃおうと思い、その場でリフをツイン・リードにしたりとかのアレンジを考えて。
RYUSUKE:最初のテイクではそのシン・リジィ感がよくわからなかったんですけど、次のレコーディングの時にOKAHIROさんがツイン・リードを入れてきてくれて、これだと! シン・リジィは大好物なので(笑)。
OKAHIRO:ドラムに関しては、この曲に限らず、マッドには細かく伝えなくても大丈夫だし、スムーズにいけましたね。——「I SEE YOUR LIGHT」はエンディングの歌詞もユニークですよね。そこはぜひCDを手に入れて歌詞カードに目を通してほしいです。
OKAHIRO
:うん、RYUのセンスが光っている。
RYUSUKE:OKAHIROさんのデモに仮歌も入っていて、ハッキリとは歌われていないけど、もう“I SEE YOUR LIGHT”とか“STILL ALIVE”と聴こえる歌詞も入っていて。そのデモから生命力を感じて、“やってやるぜ。みんなもライヴに来いよ”という思いを込めたかったんですね。
——メッセージというところでは、「RIDE THE TIDE」の続編とも言えますね。
RYU
:そうですね。「RIDE THE TIDE」はコロナ禍の波を乗り越えていこうというテーマで、その後、少しずつですけど、光が見えてきたというところですからね。
——そして、意外というところでは1曲目にメタルな「RUNAWAY TRAIN 14」が入っていますね。
OKAHIRO
:今回は思い切りメタルな曲を入れたくて。前作『BLOOD PROOF』の1曲目の「RESISTANCE」という曲でもそういう雰囲気はあったけど、もっと行ったれと。マッドにはツー・バスをドコドコ踏んでもらってね。
RYUSUKE:「RUNAWAY TRAIN」って暴走列車って意味なんですけど、そのマッド大内のドコドコも暴走列車の感じがありますね。ただ、じつはOKAHIROさんがやっているTYOに「RUNAWAY TRAIN  #9」という曲があって、この「RUNAWAY TRAIN 14」をライヴでやった時にお客さんがザワザワして(笑)。“あれ、曲名が同じ? でも、違う曲?”って。それで、あらためてこの曲には、いろいろな意味を込めて“14”という数字を付けました。
——メンバーのルーツにはメタルもあると思うんですが、なぜこれまでこうしたメタル・チューンをやらなかったんですか?
OKAHIRO
:何でかな(笑)? もともとはカヴァー・バンドとしてスタートしているし、メタルの曲もいろいろやっていたけど……たまたま、スーパーブラッドの曲としては自分の中から出てこなかった。
RYO:例えば、ジューダス・プリーストの初期はハード・ロックだけど、『Killing Machine』あたりからメタルに変わっていったと思うんですね。スーパーブラッドもそういう進化、変化の途中で、まだまだ成長している。その過程で生まれたのが「RUNAWAY TRAIN 14」だと思っています。
OKAHIRO:うまいこと言うね。
RYO:シーンの流れに合わせるのではなく、これからも自然に成長していきたいし、「RUNAWAY TRAIN 14」はスーパーブラッドが第2成長期に入ったことを表わしていると思います。まだまだ、スーパーブラッドはヤングなので。
——ヤングっていう表現がオッサンです(笑)。
OKAHIRO
:(笑)。
RYUSUKE:初期段階では、ドコドコの2バスがなかったんです。で、OKAHIROさんがバーンとドロップDで弾いていたから、グランジになってたんですよね。だから、歌メロとコード進行だけ聴くと、俺の中ではスーパー・グランジな曲なんです。そこにマッド大内のドコドコが入って、スーパーブラッドのメタル曲になったんです。
——4曲目の「FREE BIRD JAM」もまた違うイメージで。
OKAHIRO
:ちょっとファンキーな曲を作ってみたくて。ただ、ファンキーと言っても黒人音楽的なものではなく、ハード・ロック・バンドがファンキーな曲をやってみたらどうなるんだっていうのがテーマだった。例えば、ディープ・パープルの『嵐の使者』というアルバムで、リッチー・ブラックモアはファンクなギターを弾いているけど、今、聴くとカッコいい。ハード・ロック側からソウル・ミュージックなどを見て作ったところがカッコよくて、スーパーブラッドも基本はハード・ロック・バンドだと思っているけど、そうした自分達がファンキーでソウルフルな楽曲が作るとカッコいいものができるだろうと。このバンドはどんなジャンルでも飲み込んで自分達の色にできると思っていますし。
——最後の「DON’T BREATH」ですが、こちらもメタルな印象ですね。
OKAHIRO
:この曲は、完全にジャパニーズ・メタルへのオマージュ。アースシェイカーやアンセムの柴田さん、ラウドネスのニイちゃんとか、ジャパニーズ・メタルの先輩達と交流したり、セッションしたりしていて。そういうセッションの時に、ラウドネスで言えば「Crazy Doctor」とか「Crazy Night」……。
RYO:「アレスの嘆き」もやりましたね。
OKAHIRO:そうしたいろんなの曲をカヴァーしたりセッションしたことで、エッセンスも吸収して、自分なりのオマージュとして、これぞジャパニーズ・メタルだという曲を作りたいと思って。
RYUSUKE:自分はドンピシャの世代じゃなくて、掘り下げていったタイプですけど……スーパーブラッドの活動を通じて、あらためてジャパニーズ・メタルの強さを感じてきたんです。
——以前、フル英詞の「RESISTANCE」がありましたが、日本語と英語のどちらが歌いやすいとかあるんですか?RYUSUKE:もともとフル英詞のバンドで歌ってはいたし、どちらが歌いやすいとかはないですね。ただ、スーパーブラッドで日本語の歌詞の楽しさとか奥深さを知ったので、このバンドではできるだけ日本語で歌いたいというのはありますね。
OKAHIRO:ミニ・アルバム全体としてはヴァラエティに富んだ5曲が入っているけど、まだまだやれる余地があると思っていて。ジャンルに関係なく、ロックに限らずいろんな音楽を吸収していきたい。自分自身もディープ・パープルやレッド・ツェッペリンから始まって、ブルースやパンクのムーヴメントも経験してきた中で、髪が長くてエレキ・ギターを弾いているという姿に憧れつつ、どんなものにも飛びついて聴いてきた。スーパーブラッドでは、そうした音楽の貯金をどんどん出していければと思っています。突拍子もないものでも、この4人でやれば形になると思っていて。例えば、ボサ・ノヴァみたいな曲を持っていったとしてもね。
——スーパーブラッドというバンド名がジャンルや国境、民族などを越えて世界に発信しようというところから付けられていますしね。
RYO
:そうですね。そして、スーパーブラッドは来年10周年なんです。その前からカヴァー・バンドのMETAL DETOXとしての活動はあったんですが、スーパーブラッドとしては2014年の6月に柏サムアップから始まっているので。だから、来年はメモリアル・イヤーとしてこのCDを届けに縁のある場所、四国などまだ行ったことのない場所を回りたいと思っています。

※インタヴュー全編は、WeROCK 096(2023年8月発行)をご覧ください。

▲左から、OKAHIRO(g)、MAD OHUCHI(ds)、RYO(b)、RYUSUKE KAWAMOTO(vo & g)

ミニ・アルバム『I SEE THE LIGHT』
YCN RECORDS
BLOOD-0002
¥2,200(税込) 2023年8月25日

①RUNAWAY TRAIN 14
②I SEE YOUR LIGHT
③RIDE THE TIDE
④FREE BIRD JAM
⑤DON’T BREATH

■ライヴ日程■
10月15日(日)=下北沢Que
10月21日(土)=福島Cムーン
10月22日(日)=仙台バードランド
10月25日(水)=目黒ライブステーション
11月12日(日)=渋谷ラ・ママ
11月15日(水)=横須賀かぼちゃ屋
11月16日(木)=国分寺モルガーナ
11月17日(金)=八王子マッチボックス
12月2日(土)=四日市ケイオス
12月3日(日)=大阪・阿波座ジャック
12月29日(金)=原宿クロコダイル(ワンマン)

■スーパーブラッド 公式サイト■
https://www.super-blood.com/