WeROCK 093 付録CDインタヴュー〜SAISEIGA編

WeROCK 093の付録オムニバスCDに参加したバンドのインタヴュー集を、このWeROCK EYESでもお届け!
まずはSAISEIGA(サイセイガ)。
今回のオムニバスCDに収められた「SPORTS」を含むセカンド・アルバム『NOSTALGIA』を3月15日にリリースする。
4人が「SPORTS」やアルバムなどについて語ってくれた。

アルバム『NOSTALGIA』から「JUNBLE」


次の代表曲になるものを書こうと思った

——今回、2022年12月に配信シングルとして発表した「SPORTS」で参加という形だね。
Katsuki
:いつも僕と桐ちゃん(桐子)で曲を作っていくんですが、この曲はまず桐ちゃんがワン・コーラスだけのラフな形でまず持ってきたんですね。そこからまずドラムだけ完成させて、デモを活かす部分もありつつ、デモとはまったく違うリフを僕がぶち込む形で作っていきました。
桐子:まず、明るい曲を作りたいというのがありましたね。
Katsuki:コーラスがいっぱい入っていますけど、それは後から加えていっ多ものですね。僕の中ではインダストリアルというかミクスチャー的なノリを全体で出せればいいなと思って、まずベーシックなデモが完成させて、ReganとWakkunに投げた形ですね。
——最初にデモを聴いた時、どういう印象を受けた?
Wakkun
:ノリがいいなと。ドラムはシンプルだけど、どんどん前に進んでいく曲だなという印象でしたね。
Regan:わざわざ言ってこないけど、デモを聴いて、ここはコーラス・パートだなというのはわかったし、歌メロもデモから変えてないと思います。印象としては、次のターンとして明るいというイメージを加えていくんだなと感じましたね。セット・リストでの位置とかタオルを回すイメージも思い浮かんで。
Katsuki:そこでギャップがあったんですよ。僕は重心を下げて、リフの応酬でゴリゴリ攻めていくイメージでデモを作ったので。サビは開けた感じがあるんですけど、それも明るいというよりは、ラウドなイメージなんですよ。そこをReganは明るいとキャッチしたところが、自分の中ではおもしろかったんです。イントロのコーラスも最初の構想にはなかったんですけど、結果的に「GO ON!」(ファーストEP『芽』収録)とかのように、サイセイガらしい楽曲になったと思います。
Regan:曲を作っていく時に、Katsu君(Katsuki)と桐ちゃんの間のイメージと私とのイメージにギャップがあるのは、よくあるので。
Wakkun:ギターに関しては、リフが重いというより細かいという印象でしたね。でも、実際に弾いてみたら重くて(笑)。
Katsuki:今、セカンド・アルバムの制作の最終段階なんですけど、ギターに関しては「SPORTS」はアルバムの中でも苦戦した曲なんです。このソロについても、何度もWakkunとやり取りしながら決めて。最終的に、いわゆるメタルにありがちな速弾きのソロではなく、エフェクティヴでおもしろいソロになったと思います。
Wakkun:ソロは悩みましたね。エフェクティヴということとともに『ミッション:インポッシブル』というワードも出てきて。
——『ミッション:インポッシブル』?
Wakkun
:あの曲ぐらいキャッチーさを入れようということですね。
——最初は明るい曲という狙いがあったとのことだけど、それはアルバム全体のイメージも見据えてのことだったの?
桐子
:いえ、アルバムの中でどういう位置付けの曲にしようとかまではなくて、ただアルバムのメインになる曲というよりは、ライヴでみんながわーって盛り上がる曲を作りたいという感じでした。あと、この前、MVを公開した「JUMBLE」のほうが先に完成はしていたんですね。その「JUMBLE」はメイン曲にしようと作っていましたけど。
——「SPORTS」はすでにライヴで披露されているけど、お客さんの反応は狙い通り?
Katsuki
:最初にどこでやったのか覚えていないですけど……。
Regan:調べたら7月24日の厚木サンダースネイクみたい。
Katsuki:そっか。で、コーラス・パートがあるためお客さんにもこのノリが伝わりやすいなと思いましたね。演奏が難しくて、でもそこが伝わりづらいという、ある意味ソンをする立ち位置の曲なんですけど(笑)、コーラスが入ることで盛り上げられる曲になったと感じました。で、さっき桐ちゃんが言いましたが、「SPORTS」は「JUMBLE」の次にできた曲で、まだアルバムの全体像とかの意識はなかったです。
Regan:アルバムに向けてというより、ライヴをどんどんやっていたから、ライヴの鮮度を保つために新曲を、ということを桐ちゃんは考えていたと思う。ヘヴィな曲が多いから、ここでライヴを盛り上げられる、サイセイガらしいパーンと明るい曲をということだよね?
桐子:そう、ライヴだね。
Regan:タイトルは、Katsukiが、“バンドはスポーツと一緒だ”っていっつも言うから「SPORTS」になって。お客さんはこのタイトルに“え?”と思ったけど、ライヴを観て納得しましたって言ってくれます。
——そして、話に出てきた「JUMBLE」だけど、MVも公開されているね。
Katsuki
:2022年4月に吉祥寺クレッシェンドで初のワンマンをやったんですけど、そのワンマン用に作った曲です。あの時点では想像していなかったんですけど、ライヴを重ねるうちに僕達にとってもファンのみなさんにとっても、大事な曲になりましたね。それで、まず「JUMBLE」のMVを作ろうと。
——最初の手拍子も印象的だよね。
Katsuki
:まだコロナ禍は終わってないですけど、そのワンマンをやった時も煽っちゃダメだとかお客さんも声出しを自重している段階だったと思うんです。それで、声を出せないなら手拍子で参加してもらえる曲を作ったらおもしろいんじゃないかと思い、イントロのあのリズムを考えて。その構想をスタジオでみんなに伝えたんですけど……。
Regan:“新曲として、すごい作戦がある”ってね。
Katsuki:ふつう、手拍子が入るとポップな方向、ダンサブルな方向になると思うんですけど、そうじゃなくてヘヴィな方向にしたらおもしろいんじゃないかと。
Wakkun:そのアイディアを聞いて、おもしろそう、絶対にやろうって決まって。
Katsuki:サイセイガでこれまでにやってないことをやろうという考えがあるんですね。「JUMBLE」ではBPMを細かく変化させさせているんですが、それはファースト・アルバムの『THE SUN』ではやっていなかったことなんです。
——さて、1月中旬現在、セカンド・アルバム『NOSTALGIA』が完成間近とのことだけど、どういう作品になりそう?今、聴ける「SPORTS」と「JUMBLE」はまたそれぞれにタイプが違う曲で、そうした幅広さがあるのかな。
Regan
:幅広さで言えば、これまでもやってきているんですね。似たような曲が10曲入っているアルバムは、リスナーとしての自分がしんどい。どっぷりと一色に染めるというのもありますけど、いい曲はいい曲としてどんなジャンルやスタイルでも作っていこうと。そこに私の歌が入れば統一感が出せるし、そこが私の役割だと思っているので。私も幅広い曲が好きですし、Katsukiと桐ちゃんがいろいろなジャンルを吸収して曲が書けるのが強みですし。だから、アルバムにはバラードも入るし、スタイルは幅広いですけど、私の歌詞と歌唱でサイセイガの世界観は統一されたものになります。バンドのイメージは“赤”、“熱い”、“燃えている”とシンプルかもしれないですが、曲は対照的に複雑で難解な曲もあって、でもそれを丁寧に1枚の作品としてまとめています。
Regan:メンバーのシンクロ率が高くて、“えー、どうしようか?”って頭を抱えることはなく、“今はこれでしょ”というのがみんな一致していることが多いよね。
——シンクロ率が高い理由として、コロナ禍の中でもライヴを重ねてきたことは大きいと思う。
桐子
:2022年は多かったよね? 40回以上、ライヴをやってて。
Katsuki:僕自身はバンド活動をやっていなかった時期が長くて、自分の中でライヴの感覚がリセットされてたんですね。サイセイガはコロナ禍の中で結成されて、ライヴも無観客配信から始まってますけど、やりにくいなということも個人的にはなかったんです。コロナ禍にどうやって対応していくかというところで、「JUMBLE」も生まれましたしね。
桐子:ライヴをどんどんやって、地方にも行ったことがよかったと思う。ライヴをやらないとわからないことも多かったしね。
——アルバム・リリースの後はツアーも決まっているし。
桐子
:はい! あと、リリースの前に、MVの第2弾としてリード曲の「HANABI」も公開します。このインタヴューが出る頃には公開になっていると思います。
Katsuki:僕が思い入れのあるメロディとしてストックしていたものがあって、それを発表するのが、このタイミングなのかなと思って作ったのが「HANABI」です。それで一度ある程度の形にしてメンバーに聴かせたんですけど、作ってからReganと出会う前に考えていたメロディだし、彼女のよさが出せてないと思ったんですね。でも、Reganは最初のデモを渡した時点で取り組む気でいて。
Regan:最初のデモのメロが、クールでヘヴィでエモくてセクシーで好みだったから、歌詞も書いて渡したら、キーを変える、作り直すって言われて。
Katsuki:けっこうやり取りする中でバチバチしてね(笑)。
Regan:作り直したメロに対して“ダサくね?”って返したら、“ダサいはやめろ”って(笑)。でも、桐ちゃんはわかりやすくて、いいメロだし、Reganに合うと思うよって、Katsu君側に付いて(笑)。でも、他の局面でもそうなんですが、私が作るものって1回は“そうじゃない、もっとヘヴィに”とかぶっ壊されるんですね。結果として、私のアイディアもありだねとなることもあるんですが、Katsu君に一度ぶっ壊されることがより深い、サイセイガならではのものになっていると思います。
Katsuki:より深める作業をしたことでリード曲にふさわしいものができたし、間違ってなかったなと思います。
桐子:アルバム全体としては、メタルが好きな人だけでなく、ちょっとライトな音楽が好きな人も聴けるアルバムになっていると思います。

▲Regan(vo)、Wakkun(g)、Katsuki(b)、桐子(ds)

アルバム『NOSTALGIA』
SGM-0004
¥3,300(税込) 2023年3月15日
①火花-instrumental-
②HANABI
③SPORTS
④JUMBLE
⑤AMBITION
⑥emerald
⑦tomorrow
⑧Mirror
⑨成敗ダ。
⑩Genom
⑪Level5

◎先行配信シングル「SPORTS」を含む11曲入りのセカンド・アルバム。
ヘヴィな側面だけでなく、キャッチーさも前作以上に感じさせる作風に仕上がっていて、ラウド/ヘヴィ系の枠に収まらないリズムのアプローチにも注目したい。
リリース後の全国ツアーにも期待できる1枚だ。

■ライヴ予定■
3月19日(日)=長野ヴェニュー
3月21日(火・祝)=“LUPINUS ROCK FESTIVAL 2023”(東京・下北沢12会場往来自由イヴェント)
4月8日(土)=渋谷サイクロン
4月15日(土) & 16日(日)=札幌サウンドクルー
4月18日(火)=赤坂ネイビーフロア(※アコースティック・ライヴ)
4月22日(土)=渋谷エッグマン
5月1日(日)=新宿ワイルドサイド・トウキョウ
5月4日(木・祝)=仙台(詳細は後日発表)
5月12日(金)=福岡インサ
5月13日(土)=広島セカンドクラッチ
5月14日(日)=松山サロンキティ
5月20日(土)=名古屋・今池スリースター
5月21日(日)=梅田ジーラ
5月28日(日)=吉祥寺クレッシェンド
6月3日(土)=心斎橋マーキュリー
6月17日(土)=渋谷サイクロン

■サイセイガ 公式サイト■
https://www.saiseiga.com/