2022年 春〜気になるオーバードライブ弾き比べ!!
ギタリストにとって、永遠に探究心が尽きないのがオーバードライブであろう。
2022年を迎えたこの時期も、気になるオーバードライブがつぎつぎと登場している。そこで、この春注目の新機種から限定モデルまでをここで試奏比較してみた。
※グラフの見方:各モデルにはWeROCK試奏班による“試奏グラフ”を掲載している。表示は、以下のとおり。
【歪み】→ドライヴを最大にした時の歪みの量。外側に行くほど歪む。 【高域】【中域】【低域】→トーンの割合。外側に行くほど、その帯域が強め。
【ツブの細かさ】→歪みのツブの大きさを表わしている。外側に行くほど細かくモダンな印象。
【コンプ感】→エフェクト・オン時にコンプ感が得られるかを判断してみた。
SYU(ガルネリウス)設計による
新たな刺客!
SYU × SPI
RockAge Overdrive
¥オープン
●コントロール:ゲイン、レベル、ハイ、ミドル、ロー
●電源:ACアダプター9v〜18v(センター・マイナス/電池は使用不可)
●外形寸法:75(幅)×50(高さ)×115(奥行き)mm(ノブ等含む)
ガルネリウスのSYUが設計に携わったという新たなオーバードライブが発表された。それが、このロックエイジ・オーバードライブだ。これまでにシグネイチャー・ブースターを発売したり、本誌084の付録DVDでも特集したように、数々の自作オーバードライブを製作しているSYUだが、ついにオーバードライブの発売に至ったわけだ。期待大!
まずは、SYUが使うであろうアンプを歪ませてブースター的に弾いてみると……おっと、かなり歪むぞ! これは、もしやディストーションに近いタイプなのか!?
アンプをクリーンにして弾いてみると、まさにそのようだ。80年代のハード・ロックをも彷彿とさせてくれる、かなり荒々しいディストーション・サウンドが作れる! もともと中域に特徴のあるトーンで、3つのイコライザーを駆使することで、音作りの幅を広くしてくれている。しかし、そこはアナログ・エフェクターならではというか、極端に幅のあるEQではなく味付け程度で変化してくれるので、すぐに音作りをすることができるだろう。そして、ピッキングに対してアタックが速く、レスポンスがいいのもポイントだろう。
さて、アンプを歪ませて使用する方法に戻してみよう。ゲイン0でもかなり歪んでくれるので、アンプはクランチ程度がオススメかもしれない。この方向性のオーバードライブなら、どんなアンプであっても、このモデルで作り込んだ音にしてくれるので、ギターとロックエイジ・オーバードライブのみを持って行けば、どこの現場でも対応できるのではないだろうか。マイ・アンプがないギタリストには重宝するモデルになるだろう。
ちなみに、18vで使用することが可能で、それで鳴らしてみると9vの時よりも帯域が広がってくれる。歪みの量は、やや減るが、グラフよりも全体的に音の幅がアップしてくれる!
▲トーン・コントロールがロー、ミッド、ハイと3つあるのでプリアンプ的に音作りができる
■SYU×SPI:RockAge Overdriveの詳細 & 通販■
http://soulpower.cart.fc2.com/ca1/133/p-r1-s/
隠れた人気を誇るドイツ産ODが
進化を遂げた!
Nobels
ODR-1 BC
¥18,700(税込)
●コントロール:ドライヴ、スペクトラム、レベル、ベース・カット・スイッチ
●電源:9vバッテリー or 電源アダプター(別売/DC9v〜18v/2.1mm/センター・マイナス)
●外形寸法:74(幅)×58(高さ)×126(奥行き)mm ●重量:450g
オーバードライブ・マニアにも人気を誇るノーベルズのODR-1がブラッシュ・アップを遂げた。今回は、本体内にベース・カット・スイッチを搭載したとのことで、どのような進化を遂げたのか試奏してみよう。
緑色のカラーリングから、おそらくTS系なのかと連想させるが、音を出してみるとTSよりも幅広い使い方ができるODだということがわかる。基本的なトーンは、TSのように低域をスッキリさせたものではなく、ゲインが0でクリーン・ブースター、ゲインを少し上げるだけで、歪みの量が増していく。TS系の中域を持っていつつ、ゲインを増していくごとに歪みのツブも細かくモダンに変化していきコンプ感も増すようだ。スペクトラムというトーン・ツマミは中域を変えずに中低域と高域を調整するコントローラー。ニュアンスとしては右に回すと高域のヌケ感が増えていくので、プレゼンス的な感覚でも使用できる。
新たに加わったロー・カット・スイッチを試してみよう。ロー・カットすると、よりTSっぽさが出るというかTSのように低域がスッキリしてくれる。逆に言えば、TS系のローがなくなるのを好まないギタリストならば迷わず上側で使おう。けっこう歪むので、ディストーション的にも使える!
▲表面で手軽に電池交換が可能で、さらに底面にロー・カット・スイッチが搭載されている
※2月上旬にこのODR-1 BCの限定カラー・モデルとしてメタリック・グリーンのODR-1 LTD(写真下)が日本国内20台のみ入荷し、販売されたが、すでに完売となっている(機能はODR-1 BCと同じ)。
■NobelsのODR-1 BCの詳細■
http://www.electroharmonix.co.jp/nobels/odr-1-bc.html
■NobelsのODR-1 BCが通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/c/c-/ef/ef05/ef050744/719943
○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/nobels-odr1bc
エフェクト・ボードの省スペースに助かる
ミニ版もあります!
Nobels
ODR-1 mini
¥12,100(税込)
●コントロール:ドライヴ、スペクトラム、レベル
●電源:電源アダプター(別売り 9v DC/センター・マイナス)
●外形寸法:42(幅)×50(高さ)×93(奥行き)mm
●重量:155g
ODR-1のミニ版だ。基本的なトーンはそのままで、こちらにはロー・カット・スイッチは付いていない。
試奏してみると上のモデルよりもオンにした瞬間にローの押し出し感が強い印象を受けた。また歪みの量も0の位置でも本家より、ややアップしている感じで、ドライヴ0でブースター的に使っても、“ボン”っと音圧が出てくれる。低域を増したいなら、こちらもオススメだ。
■NobelsのODR-miniの詳細■
http://www.electroharmonix.co.jp/nobels/odrmini.html
■NobelsのODR-miniが通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/c/c-/ef/ef05/ef050744/719738
○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/nobels-odr-mini
名機チューブ・スクリーマーの
40周年記念モデル
Ibanez
TS940TH
¥24,200(税込)※数量限定品
●コントロール:ドライヴ、トーン、レベル
●電源:9vバッテリー or ACアダプター(センター・マイナス)
●外形寸法:74(幅)×53(高さ)×124(奥行き)mm
●重量:570g
名機チューブ・スクリーマー“TS-9”の40周年記念モデル。
中身は現行のTS-9と同じだが、筐体やツマミがレッドに輝いている。中域の太さと適度なコンプレッション感は、TS好きにはたまらない。今回の試奏の基準としたモデルだ。
■IbanezのTS940THの詳細■
https://www.ibanez.com/jp/products/detail/ts940th.html
■IbanezのTS940THが通販で購入可能■
○イケベ楽器
https://www.ikebe-gakki.com/c/c-/ef/ef05/ef050123/722050
○ミュージックランドKEY
https://www.musicland.co.jp/fs/musiclandkey/ibanez-ts940th
試奏協力店:イケシブ
今回の試奏記事でご協力いただいたのは、東京・渋谷にある「イケシブ」。楽器専門店が一堂に会した総合旗艦店であるのと同時に、エンターテインメント・カルチャーの発信基地としての側面も持つ“音楽・楽器の次世代型ストアだ。
ビルの1〜4階のすべてが楽器店! 1日いても飽きないので(!?)、ぜひ足を運んでみよう。
東京都渋谷区道玄坂1-7-4 スクエアB1〜4F
11:00〜20:00 年中無休(元日を除く)