トラベラー・ギターでメタルを弾く!

コンパクトなボディながらフル・スケールのネックで違和感のない演奏性を実現したトラベラー・ギター。その手軽さとともに良質なサウンドでもプレイヤーを刺激している。
その多彩な製品群からメタルにも使えるモデルを選び、チェックしてみた!

試奏動画をチェック!!


トラベラー・ギターの歴史

1992年10月、カリフォルニアのレッドランズにいた発明家のレオン・コックス氏が廃材や古いアコギのペグなどから製作したのがトラベラー・ギターの始まりだ(下の写真、ナチュラル・フィニッシュがその1号機。ピックアップはジャクソン!)。
1993年7月には販売を開始した当時は、小規模な製造と販売で、3年間で300本程の売り上げだった。その後、1995年、コリー・オリバー氏が来店し、トラベラー・ギターの魅力に惚れ込む。オリバー氏は当時のビジネス・パートナーだったキャリー・ノードストランド氏とともにトラベラー・ギターを買収、さらにマーケットを拡大。1998年に入る頃には需要に応えるため、フェンダーのコロナ工場に製造拠点を移し、2001年にはさらに海外の大規模工場へと製造拠点が移された。
現在では、今回試奏した4本の他、ベースやエレアコもラインナップ。フル・スケールのトラベル・ギターのトップとして君臨している。

1号機のデザインを継承し、現在も同社のベーシック機種と言えるのが、このUltra-Light Electric。
写真のイエローの他、計7色が発売中だ


Vaibrant Deluxe V88X
¥オープン

〈仕様〉
●ボディ:アルダー
●ネック:メイプル、ボルト・オン
●ネック・スケール:648mm
●指板:エボニー(コズミック・ブラック)、メイプル(ホット・ピンク)、24フレット
●ピックアップ:V88Xハムバッカー(フロント & リア)、V88Xシングルコイル(センター)
●コントロール:ヴォリューム、トーン、5ウェイ・ピックアップ・セレクター
●ブリッジ:フロイド・ローズ 1000FRT
●カラー:コズミック・ブラック(写真)、ホット・ピンク

Vaibrantシリーズには、ブリッジにダブル・ロッキング・トレモロを採用したスタンダード・モデルもラインナップ。カラーは写真のホット・ピンクの他、イエロー、スライム・グリーンも発売

 

まずは、どことなく、スティーヴ・ヴ●イを思わせるヴィジュアルのモデル、Vaibrant Deluxe V88Xからチェックしてみよう。
おっ、持った時の軽さに驚かされる! とにかく軽い。気になるのは、弾く時のバランスだが、座って弾く際は、まったく違和感なし。この形だと、“ネックのほうに重量がかかってヘッドが下がってしまうのでは?”と思われるかもしれないが、その心配も皆無。左手でネックを握っている限り、通常のSTシェイプのモデルとほぼかわらないバランスだ。続いて気になるのが、右手の弾き心地だろう。通常、手首からヒジにかけての部分をボディに固定して弾くギタリストも多いと思う。そうなると、このモデルは固定する部分がない! 不安……と思っていたら、これまた問題ないです。ボディに固定したいヒジと手首の中間部分に、ちょうど膨らみがあり、さらにその部分が丸く窪んでいるので、見事に腕がフィットしてくれる。
さて、肝心の音だ。このモデルはアルダー・ボディということだが、なにしろボディの面積が通常のギターよりも小さい! となると、ボディ材の影響があるのか微妙だが、アンプで出てくる音は“おっ!“と思わせてくれる。アルダーらしく(!?)枯れた高域が感じられた。これがアルダーのおかげなのか、あるいはボディの体積が小さいため高域が強めなのかは不明だが、ハイのヌケがいいトーンを出してくれる。そして、このモデルにはしっかりとフロイド・ローズが搭載されている点にも注目。こちらもなにも心配不要でアーミングが可能(ボディが小さいのでアーミングする際にボディを固定するコツを要します!)。
ネックのスケールも、通常のSTモデルと同様なので、弾き心地に違和感もなく、これは、もやはトラベル・ギターではなく、ふつうにスタジオなどでも使えるレベルのモデルと思った。ボディ鳴りが小さいぶん、ピックアップの特性がよくわかるトーンにも感じられ、そのサウンドは、なんとなくヴァイっぽいディマジオっぽさが感じられた。

フロイド・ローズはむき出しになっているが操作感に違和感はない

▲ヒジが当たる部分のデザインも秀逸。これにより安定してプレイすることができる

■Vaibrant Deluxe V88Xが通販で購入可能■
○神田商会オンラインストア
コズミック・ブラック
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr416/gr418/00066-00105991
ホット・ピンク
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr416/gr418/00066-00105992
○御茶ノ水楽器センター
コズミック・ブラック
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00066-00105991.html
ホット・ピンク
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00066-00105992.html
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00066-00105992-o.html

■Vaibrantシリーズの詳細

https://www.kandashokai.co.jp/flos/traveler_guitar/vaibrant/


EG-1 Custom Black V2
¥オープン

〈仕様〉
●ボディ:アルダー
●ネック:アフリカン・マホガニー、ボルト・オン
●ネック・スケール:約628mm
●指板:ブラック・ウォルナット、21フレット
●ピックアップ:フル・サイズ・ハムバッカー
●コントロール:ヴォリューム、トーン(プッシュでクリーン/ブースト/オーバードライブ/ディストーションを切り替え)
●カラー:ブラック・グロス
●その他:AUXイン、ヘッドフォン・アウト、シャドウ製E-Tuner

これはすごい! 1本ですべてを解決してくれそうな機能が詰まってる。
ヘッドもないのでどこでチューニングするの? と悩みそうだが、とにかくなんでもありなのが、このモデルだ。まず、チューナーをピックアップのエスカッション横に内蔵し、チューナーのボタンを押すとアウトプット音がオフになってくれる。さらに、すごいところがプリアンプ/ヘッドフォン・アンプを内蔵しているのだ。
トーン・ボタンを押すことで、クリーン/ブースト/オーバードライブ/ディストーションと切り替わる。アンプをクリーンにしてディストーションにしてみると、かなりブーミーな歪みを作り出してくれる。弾きやすさに関しては、まったく問題ない。ネック・スケールもショート・サイズではないので、違和感なく弾きこなせるはずだ。

▲シャドウ製のエスカッション一体型チューナーを搭載。視認性にも優れている

▲本体には単4型乾電池2本を使うプリアンプを内蔵、ヘッドフォン・アウトやAUXインも備えている。
また、トーン・ノブをプッシュすると、クリーン/ブースト/オーバードライブ/ディストーションと音色が切り替わる

■EG-1 Custom Black V2が通販で購入可能■
○神田商会オンラインストア
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr416/gr423/00066-00105669
○御茶ノ水楽器センター
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00066-00105669.html

■EG-1シリーズの詳細
https://www.kandashokai.co.jp/flos/traveler_guitar/eg_1_series/


Speedster Standard
¥オープン

〈仕様〉
●ネック・スルー・ボディ:イースタン・アメリカン・ハード・メイプル
●ネック・スケール:約628mm
●指板:インディアン・ローレル、22フレット
●ピックアップ:デュアル・レイル・ハムバッカー
●コントロール:ヴォリューム、トーン
●カラー:ハガー・オレンジ(写真)、ラット・ブラック、キャンディ・アップル・レッド・メタリック
※スピード・スター・シリーズには、上に掲載しているEG-1 Customと同じアクティヴ回路を搭載したデラックス・モデルもラインナップしている。

トラベラー・ギターの元祖モデルの発展系と言えるのが、このSpeedster Standardだ。
ここまで紹介してきたモデルで心配された右手のヒジの部分には取り外し可能なパーツが付けられ、右手の安定感はいちばんある。さらに、スルーネック仕様だからなのか、ミッドを押し出したトーンを奏でてくれた。試奏したモデルは、かなりテンションもあり、サスティンも豊富だった。シングルサイズのハムバッカーとスルーネックが相まって、いちばん太い音ながら、このボディならではのシャープなトーンも感じられるモデルだ。

▲弾きやすさを高めてくれるヒジ当ては、工具不要で簡単に取り外しができる

■Speedster Standardが通販で購入可能■
○神田商会オンラインストア
ハガー・オレンジ
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr416/gr422/00066-00107779
ラット・ブラック
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr416/gr422/00066-00107778
○御茶ノ水楽器センター
ハガー・オレンジ
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00066-00107779.html
ラット・ブラック
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00066-00107778.html

■Speedster シリーズの詳細
https://www.kandashokai.co.jp/flos/traveler_guitar/speedster_series/


Travelcaster Deluxe
¥オープン

〈仕様〉
●ボディ
:ポプラ
●ネック:メイプル、ボルト・オン
●ネック・スケール:648mm
●指板:メイプル(グロス・ブラックのみインディアン・ローレル)、22フレット
●ピックアップ:セラミック・シングルコイル×3
●コントロール:ヴォリューム、トーン×2、5ウェイ・ピックアップ・セレクター
●カラー:キャンディ・アップル・レッド(写真)、サーフ・グリーン、グロス・ブラック

STタイプを極限までシェイプ・アップしたのが、このTravelcaster Deluxeだ。
といっても、ネックのスケールなどは、ノーマルなのでフィンガリングでの違和感は感じられない。違和感があるとしたら、Vaibrantで心配した右手の部分。今度はヒジを乗せる部分がないので、ふだんストラトのボディに腕を乗せて弾いているギタリストだと、一瞬、戸惑うかもしれない。
音は、シングルコイルのピックアップのままなシャープでシャキーンとしたトーンだ。指板もメイプルだからか、とにかく高域のヌケが抜群! 通常のストラトよりもハイが出てくれるので、こういう音を使いたい時などレコーディングで利用してもおもしろいだろう。あとは、2点支持のトレモロのタッチが柔らかく、アップを使ってのヴィブラートもやりやすいのも特徴だ。

ネック・ジョイント部は、4点止めのボルト・オンだ。ストラップ・ピンも備わっている

■Travelcaster Deluxeが通販で購入可能■
○神田商会オンラインストア
キャンディ・アップル・レッド
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr416/gr417/00066-00106364
サーフ・グリーン
https://store.kandashokai.co.jp/c/gr416/gr417/00066-00106521
○御茶ノ水楽器センター
キャンディ・アップル・レッド
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00066-00106364.html
サーフ・グリーン
https://www.gakkicenter.com/SHOP/00066-00106521.html

■Travelcasterシリーズの詳細
https://www.kandashokai.co.jp/flos/traveler_guitar/travelcaster/